雨上がりの午後
Chapter 162 今年の総仕上げに向けて
written by Moonstone
翌日はやっぱり朝から雨だった。
勿論待って止むのを期待するわけにはいかないから、晶子と一緒に傘を差して大学へ。そして文学部の研究棟まで晶子を送り届けてから工学部の講義棟へ。
これまでと同じ流れだ。
まだ生協は開いてないから−夜は遅いが朝も遅い−講義室の中央やや前方の席に陣取って待機。
提出するレポートは出してある。今回のは比較的簡単だったせいか、クローン培養要請は来ていない。
何もすることがないから、頬杖を付いてぼんやり時が流れるのを待つ。
「おっ、今日も早いな、祐司。」
講義開始時刻まで後5分となったところで智一が入って来る。智一は何時ものように俺の隣に座る。
「今日も晶子ちゃんと一緒に出勤か?若いって良いねえ。」
「俺と1つしか違わない智一に若いって言われたくないな。」
「まあ、細かいことは気にするな。」
智一の場合は大雑把過ぎると思うんだが・・・まあ良い。
周囲を見回す。人はさほど多くない。
この講義は2年の後期の必須科目と重なっていて、その講義も故意か偶然かこのコマに補講があるから、それを落としていると取ろうにも取れない。
その講義では半分以上が単位を落としているから、その分人が減るというわけだ。
当然ながら、必須科目の単位を一定数以上落としていると留年になる。3年から4年への進級条件では特に必須科目の単位数が効いて来る。
それで引っかかって留年、というパターンが多いらしい。
俺は今のところ順調に受講した講義全ての単位を取得しているから、その点では問題ない。
教官が入って来た。教壇の前に立つと、早速テキストを広げる。
高校までのように通過儀礼のような挨拶なんてないから、教官が入って来た時が講義の開始と言える。専門科目ではよりその傾向が強まっているように思う。
まあ、何にせよ補講の幕は開けたんだから、年納めの一環として講義に集中しよう。
そして昼休み。補講といってもすることは普通の講義と変わらないから、それなりに疲れは溜まる。
レポートは出したし、年末に向けて着実に前進しているように思う。
智一と一緒に昼飯を食べた後、その足で生協の店舗へ。目的は勿論PCを受け取るため。智一もついて来ている。
「どんなPC買ったのか興味があるから」というのがその理由だ。好奇心の変形と見て間違いないだろう。
「安藤です。注文しておいたPCを受け取りに来ました。」
俺は生協の組合員証をカウンターに差し出す。これがないことには注文したPCを受け取れないし、割引も効かない。
「はい。少々お待ちください。」
カウンターに居た女性が奥に消える。・・・やけに時間が掛かるな。ノートPCだし、ソフトは1パッケージタイプのものだから、そうかさばらない筈だが。
と思っていたら、優に一抱えはある巨大な段ボール箱が近づいて来た。もっている人の顔は段ボール箱に隠れて見えない。
その段ボール箱がでん、とカウンターに置かれて、ソフトのパッケージがその脇にちょこんと置かれる。A4サイズのノートPCなのに何でこんなに大きいんだ?
「お待たせいたしました。受領証にサインをお願いいたします。」
「・・・あ、はい。」
呆けていた俺は男性の声で−段ボール箱を抱えてきた人だ−俺は我に帰り、差し出された受領証の内容を確認してからサインをする。
ちなみに代金は前金で払ってある。予め注文内容を所定の用紙に書いて、金と一緒に生協の店舗に差し出す、というパターンを使った。
俺が今回注文したPCのメーカーは、そういう方法で注文を受け付けている。
「こちら、控えになります。」
「どうも。」
「ありがとうございました。」
とは言うものの、こんなものどうやって持って行けば良いんだ?外は雨降ってるし、見るからに重そうだし・・・。
考えていても始まらない。とりあえずダンボールを持ち上げてみる。・・・あ、見た目よりずっと軽い。両手で十分持てる重さだ。
問題はソフトのパッケージだな。幾ら軽いと言っても片手ではちょっと無理だ。
「祐司。ソフトは俺が持った。先導するからついて来い。」
智一が横から声をかけて来る。単に暇潰しについて来たわけじゃないと暗に言っているのが分かる。何だかんだ言っても智一は良く分かっている。
「悪いな。」
「気にすんな。今日は雨降りだし、人手があった方が良いだろ?」
智一はさらっと言って前に出る。智一の先導を受けて俺はダンボールを抱えて歩く。
何分大きいから前が見えない。智一の先導が頼りだ。
通常の講義の日程は終わっているとは言え、昼休みということで結構混雑している店内を歩く。
前で退いた退いた、という声が聞こえる。智一が先導してくれているのが良く分かる。
「雨は幸い小降りだな。このまま研究棟まで行くか?」
「ああ。ダンボールなら濡れても構わないから。」
「お前の傘は俺が持つ。ソフトは念のため濡れないように俺が傘を差していく。そのまま先導するからついて来いよ。」
「分かった。」
俺は生協の店舗を出て、智一の先導を受けながら雨がぱらつく通りを歩いて電子工学科の研究棟に入る。
多少髪が水分を帯びたが、後で拭くなり何なりすれば良い。服は厚着だから、あの程度の降りなら後で干さなきゃならないとか気にするほどのものじゃない。
そのまま智一の先導を受けて階段を上がり、久野尾研の学生居室に入る。
週1回出入りしているとは言え、まだ仮配属中の身だから大きな態度に出るのは禁物。失礼します、と言ってから入る。
「祐司。机に置かせてもらえ。」
智一の案内で机があることを確認してから、段ボール箱を静かに置く。
見掛けほど重くないと言っても結構距離があったから息が多少上がっている。このまま持って帰るわけにはいかない。俺はカッターナイフを拝借して開封に取り掛かる。
ダンボールは透明のテープで要所が繋ぎ止められてる形だから、合間に刃を通せばすんなり解体出来る。
中を見てみると・・・スカスカだ。巨大な梱包財を一つ退けると、その中からA4サイズの箱とビニール袋に詰められた付属品その他が姿を現す。
キャリングバッグも入ってはいるが・・・あまりにもスカスカだ。精密機器だから梱包を厳重にしたんだろうが・・・ここまでする必要があるのか首を捻ってしまう。
まあ、兎も角こんな巨大なもので机を占拠し続けるわけにはいかない。
残る梱包財を取り出してから付属品、キャリングバッグ、そしてPC本体を取り出す。あ、取扱説明書など書類一式も忘れちゃいけない。
箱が空になったのを確認してから、カッターナイフで箱を解体。折り畳んでもかなりかさばる。
改めて見てみると、PC関係のものより梱包材やダンボールなどゴミ箱行きのものの方が明らかに多い。
とりあえずカッターナイスを返して、キャリングバッグにPC本体と付属品、書類一式を詰め込む。
キャリングバッグに収まると呆気ないほど小さい。
持ち運び出来るように、ってことでノートPCにしたんだから当たり前といえばそうなんだろうけど、此処まで運んできたダンボールの大きさを考えると、
首を傾げたくなるものがある。
それにこのゴミ・・・。ゴミ捨て場は各階にあるから良いものの、何回かに分けて運ばないといけないな。
「ん?何だ。随分派手にゴミが出てるな。」
声の方を向くと、ジャンパーを羽織った野志先生が入って来るところだった。
野志先生は久野尾研所属の助手で、学生実験では主にプログラミング関係を担当している。人当たりは温和で、週1回のゼミには大抵出席している。
「お邪魔してます。」
「おや、安藤君。新品のPCを買って、来年度からのうちの研究室への本配属に備えるつもりなんだね?」
「はい。そのつもりです。」
俺は率直に答える。久野尾研に本配属を希望しているのは事実だし、こういう時には本配属希望の意思を明示しておくべきだ。
野志先生は満足げな笑みを浮かべる。
「なかなか良い心構えだね。4年になったら是非この研究室に入ってよ。うちとしても、君には卒研(註:卒業研究の略称)やゼミでリーダーシップを
発揮して欲しいからね。久野尾先生も是非に、と仰ってるから。」
「ありがとうございます。」
「3コマめは補講?」
「はい。」
「それが終わってもし君の都合が良ければ、うちでやってる研究の概要を説明したいんだが、どうだい?君の興味にあった研究が選べると思うよ。」
「良いんですか?まだ仮配属の段階なのに。」
「全然気にすることはないよ。むしろ、うちとしてもこちらの研究をよく知った上で君に研究テーマを選んで欲しいと思ってるから。補講が終わったら
僕の居室に直接来てもらえば良いよ。」
「じゃあ、よろしくお願いします。」
野志先生は部屋に居た4年と院生の人達に−ゼミで顔を覚えている−声をかけて、一緒に出て行く。どうやらこれから昼飯らしい。
野志先生はこの大学の院を出て助手になった一人でまだ若い−20代後半だと聞いたことがある−こともあって、研究室の面々からも兄貴分感覚で
親しまれている。
「完全に祐司勧誘モードだったなぁ。」
智一が溜息混じりに言う。
確かに野志先生は俺に照準を絞っていた。智一を度外視していたとも言えるが、何にせよ同じ場所に居ながら待遇の差が大きく表面化したとなると、
同じく久野尾研配属を希望している智一には「来たければ来れば?」と暗に言われたように思えるだろう。
「もう水面下じゃ成績優秀者の奪い合いが始まってるって聞いてたけど、俺の目の前で展開されるとはね・・・。」
「奪い合いって・・・そんなことあるのか?」
「今は時勢柄、院に進学する奴が多いことは知ってるだろ?」
「ああ。」
その話は聞いたことがある。
学部卒では就職範囲が狭まっていること、それを反映したような新たな高学歴志向などがあって、大学院進学が多くなっているという。
半分くらいは院に進学するそうだ。
「その関係で、院生の粗製濫造みたいな傾向も生じてる。修士や博士はそう簡単に出せないから、レベルの低い院生は研究室には足手纏いだ。
それに、教授もレベルの低い学生は就職でも教官推薦し難い。自分の責任問題にもなりかねないからな。そういうこともあって、この時期になると研究室の
助手や院生が中心になって、成績優秀者を勧誘するそうだ。言わば上澄みの補充ってとこだな。」
「ふうん・・・。」
「祐司みたいにサークルに入ってない奴にはその先輩を頼るっていう手段が通用しないから、さっきみたいに野志先生や堀田研の駒場先生のような助手が
頃合を見て勧誘する、って方策を採るんだ。さっきの野志先生の話からするに、久野尾研は総出で祐司獲得に乗り出すみたいだな。」
「どうしてだ?」
「研究内容を説明するのはそれを担当する院生が主体の筈。てことはさっき野志先生が4年や院生を引き連れて出て行ったのは、昼飯もあるだろうし、
説明の役割分担を指示するためだと考えるのが自然だ。少なくとも、歓迎一色になるのは間違いないぜ。」
思わぬ形で研究室勧誘を受けることになったようだ。
まあ、前に見学させてもらった時は全体をざっとなぞるような感じだったから、研究内容をしっかり把握出来るならそれに越したことはない。
少なくとも、渋々という様子はなかったし。
あ、補講が終わってからとなると、遅くなるな。
晶子には補講は3コマで終わる、って言ってあるから、研究室の説明を受けるから遅れるってことを伝えないと。
俺は窓際に寄ってメールを作成する。どういうわけか研究棟では携帯の電波の入り具合が全般的に良くないし、晶子は今昼休みで同じゼミの奴と話したり
しているかもしれないからな。
それに、室内で携帯を使うことにはいまだに違和感と言うか忌避感と言うか、そういうものがあることもある。
送信元:安藤祐司(Yuhji Andoh)
題名:終わるのが遅れるから、連絡
補講が終わってから、先生に誘われて研究室の説明を受けることになった。だから終わるのが遅くなる。終わったらメールを送るから、それまで何時もの場所で待っていて欲しい。急なことで悪いが、また後で。ちなみに注文しておいたPCは受け取った。帰宅したら見せるよ。
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本当に急ぎの連絡だが、仕方ない。俺はメールを送信する。
多分晶子は怒らないと思うが、話が違う、という気持ちは生じるかもしれない。後で事情を説明した方が良いだろうな。
「祐司。早速晶子ちゃんに連絡か?」
「ああ。余計に待たせることには違いないからな。」
携帯を仕舞って戻ったところで智一が声をかけて来る。隠す理由はないから俺は素直に答える。
俺が晶子と大学の行き帰りを同じくしていることは、智一はとうに知ってるし。
「じゃあ、ゴミ片付けて講義室に行こうぜ。」
「智一は先に行っててくれ。これは俺が出したゴミだから、俺一人で片付ける。」
「まあ、そんな固いこと言うなって。運ぶくらいはするからさ。」
智一は俺の肩をポンポンと叩いて、さっさと梱包材を抱えてさっさと出て行く。
・・・何だかんだ言っても、良い奴なんだよな。横の繋がりが極端に少なくなった大学で巡り会えた数少ない相手の1人。大切にしないとな。
久野尾研での説明を受けた後、俺は図書館へ向かっている。3コマめの補講が始まる直前に、晶子からメールが届いた。
送信元:井上晶子(Masako Inoue)
題名:待ってますからね
メールありがとうございます。祐司さんからメールが届いた時は生協でお昼ご飯を食べた後ゼミの部屋に居たんですが、何時ものように歓声を受けつつ囲まれてしまいました。私は図書館の307号室で待っています。時間は気にしないで、祐司さんが納得出来るまで説明を受けてくださいね。
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智一が言ったとおり、久野尾研の研究内容の説明は野志先生が全体のガイド役、院生が各研究テーマ説明の主体になっての随分突っ込んだ内容で、
他愛もないであろう俺の質問にも懇切丁寧に答えてくれた。
そして、「久野尾研の1日」とも言うべき内容を教えてもらった。
俺がバイトで生計を補っていることは野志先生も知っていて−前に堀田先生から召集を受けた時に聞いたそうだ−、今のバイトをしながらでも卒業研究は
出来ることが分かった。一番の懸案とも言える内容が判明したのはありがたい。
そして、俺がPCを買って配属に臨んでいることを野志先生をはじめ院生や4年が歓迎してくれた。
「そこまで本気なら、うちとしても総力を挙げて向かえるよ」と野志先生は言っていた。つまりは「他所の研究室の誘いに乗るなよ」と釘を刺されたわけだ。
PCを買ったんだから、ということで、実際に4年がPCを使って、担当している研究テーマについての2、3分程度のプレゼンテーションを実演してくれた。
4年は卒業発表が控えているし、研究室の方針として「自分の研究テーマを説明出来る」態勢を整えているそうだ。
そのプレゼンテーションが終わった直後、とどめと言わんばかりに研究室の頂点に君臨する久野尾先生が登場。
プレゼンテーション開催に至った経緯を野志先生が説明すると、久野尾先生は甚く感心した様子で「君が4年になるのを楽しみにしているよ」と言ってくれた。
後期試験をクリアすれば、久野尾研配属への道が大きく開ける。
別の角度から音楽に、音にアプローチ出来る門が用意されたなら、後は俺自身がそこに至るまでの道を切り開くのみ。
心弾むものを感じながら、図書館への道を急ぐ。
すっかり外は暗くなったが、まだ図書館は開館時間でIDカードなしでも入れる。逸(はや)る心を抑えて3階に上り、307号室を探す。
程なく見つかった307号室には「使用中 Using」と出ている。俺がノックすると、中で物音がしてからドアロックが外れてドアが開き、晶子が顔を出す。
「お待たせ。行こうか。」
「はい。」
鞄を持った晶子と一緒に図書館を出る。電灯が規則正しい間隔で照らす大通りに入る。
「どうでした?研究室の紹介は。」
「研究室総出の歓迎、って感じだったよ。あそこまでさせておいて、いざ4年になって別の研究室に入ったら、一生恨まれると思う。」
「良かったですね。研究テーマは選べました?」
「ん・・・。これが良いかな、っていうテーマはかなり絞れた。それに、今のバイトを続けながらでも卒業研究は出来る、ってことも分かった。研究室の1日
みたいなものを教えてもらってさ。」
「良かったですね。」
晶子は安堵の表情を浮かべて、小さな溜息を吐く。
「卒業研究で祐司さんが今のバイトを続けられなくなったら、祐司さんの生活が大変になるでしょうし、かと言って、時間をやりくりしてバイトに来て、
なんて言える立場じゃないですし・・・。」
「俺もそれが一番の懸案だったんだ。来年は弟が大学に入るから尚更仕送りを増やしてくれ、なんてとても言えないし、でも月10万ってのはきついし、
どうしようかと思ってたんだ。」
弟の大学進学には、自宅から通学出来る国公立大学のみ、という条件が課せられている。
自宅から通学、という接頭語を除けば条件は俺と同じだ。
月10万の俺への仕送りに2人分の学費、そこにもう1人分の仕送りを捻出出来る余裕は家にはない、というのが親の見解だ。
俺とて一人暮らしをするにあたっては、この大学なら、という条件があった。
金を稼ぐことがどれだけ大変かということが身に染みて分かっている今、親が提示した条件や見解に異論を挟むつもりはさらさらない。
だから先んじて来年度で卒業する手筈になっている俺は、来年度の学費は自分で払う、と言った。
そうすれば年額100万円近い金が浮く。それで弟が受験する大学の条件が緩和されるわけじゃないが、親も弟も多少は気が楽になるだろう。
気休めにもならないかもしれないが、今の俺が出来るのはそれくらいだ。
「それより、・・・いきなりで悪かったな。3コマで終わるところを1コマ分余計に待たせてしまって・・・。」
「そんなことなら気にしないでください。祐司さんにとって大切なことですし、一緒に通学するって約束はきちんと守ってくれたんですから、それで十分ですよ。」
はっきり言わなくても、俺がしたことは自分の都合を晶子に押し付けたに他ならない。
配属を希望している研究室を紹介してもらえるということで半ば有頂天になっていた。時間が経って晶子と話しているうちに頭の火照りが冷めて、
晶子の気持ちが嬉しいと思うより申し訳なく思う気持ちの方が大きい。晶子が少しも俺を責めたりしない分、罪悪感が募る。
「帰ったらバイトですね。」
あ、そう言えばそうだったな。店の営業は補講と同じく28日まで。残すところ後2日か。
今年もあっという間だった、と感慨に耽(ふけ)るのはもう暫く先だな。
補講が終わると共同生活の場は俺の家に移る。去年は俺が帰省していた関係で一緒に過ごせなかったから、その分一緒の時間を大切にしないとな・・・。
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