『まず、リーナが本選出場者になっているこの国のシルバーローズ・オーディションと貴族の関係から話す。』
早速本題を提示したイアソンは一呼吸置く。『シルバーローズ・オーディション−長いから以降はオーディションと言うが、それはこの国の一等貴族が持ち回りで主催している国家的行事だ。
俺はこの国に2回ほど来たことがあるんだが、貴族の階級が一等から三等まであることと、貴族が小作人に多額の小作料を納めさせている、という社会構図を
把握していた。これはカルーダ王国を出る前にアレン達にも話したとおりだ。しかし、この貴族制度というのが実はちょっと変わっていることが分かった。』
「どんなふうに?」
『二等と三等は働き手の病死なんかで利用者がなくなった耕作地を、商売で成り上がった商人なんかが購入したりして一定規模に達した段階で王国に
申請して、規模に応じて二等か三等になる。だから商売が順調に行ってれば三等から二等に昇格したりするが、商売が失敗して没落すると貴族じゃ
なくなったりする。つまり二等三等の貴族は永遠不変の役職じゃない。その点、一等貴族は特別だ。』
「特別?」
『ああ。一等貴族は建国以来国王一族を支えてこの国を発展させてきたという建国神話がある。調べてみたんだが、この国がある地域が最も神の教えを
曲解して世界を絶滅の瀬戸際に追い込むきっかけの一つを作ったことを憂慮した神が、1人の天使に10人の従教徒36)を付き添わせて派遣したことに始まる
らしい。キャミール教を国教としてその教えを基本にした法体系や、他のキャミール教国家じゃ見られない、中央教会を中心にした地区管理制を創り上げ、
国の形成と発展に大きな役割を果たしてきたのが、派遣した天使とそれに付き添った10人の従教徒だ。天使の末裔が国王一族、10人の従教徒の末裔が
一等貴族ってわけだ。その関係で、三等から二等への成り上がりはあっても一等になることは絶対になくて、逆に一等から二等、三等に格下げされることも
ない。勿論、一等貴族は全員敬虔なキャミール教徒だ。所有する小作地は勿論二等や三等よりずっと多いが全国に分散していて、役人を通して収穫量を
把握してその年の小作料を決めて、どの小作地からどれだけの小作料を得たかということを国王と議会に報告する義務がある。だから二等や三等は
小作人から小作料を搾取する場合が多いが、一等ではそういうことはない。小作料を着服したりしたら最悪の場合当主は資格を剥奪されるし、役人の場合は
処刑される、と国の法律で定められているそうだ。だから、一等貴族の小作人は事実上役人と同じで、生活もかなり安定しているらしい。』
「へえ・・・。」
『俺は大商人と癒着した国王や貴族連中が税金を取りたい放題取って行くレクス王国の社会体制を肌身で感じて、それに反対して王制打倒、主権在民を
掲げて活動している「赤い狼」に加入して幹部やってた関係もあって、貴族連中の支配する国はこんなもの、という既成概念があったようだ。だが、この国の
一等貴族に関して限って言えば、そんな抑圧するような体制じゃないようだ。俺もこのことを知ったときはちょっと驚いたよ。』
「それでイアソン。一等貴族とオーディションの関係は?」
『最初にも触れたが、オーディションは一等貴族が持ち回りで担当している。今年の担当はリルバン家。一等貴族の中でも特別な家系だ。』
「どういう風に?」
『一等貴族の家系は10あるんだが、そのうち4つは、神がこの地に派遣した天使に信仰の証として授けたという伝説を持つ王冠を代々所有している。
リルバン家はその1つだ。で、そのリルバン家の現当主はフォン・ザクリュイレス・リルバン。ザクリュイレスっていうのは、リルバン家の当主を示す名前で、
ミドル・ネーム37)というそうだ。フォン当主が第1724代・・・って気が遠くなる数字だが、その当主は現在35歳。王国議会議員で−まあ、一等貴族の当主は
全員議員になるんだが、その他に今年のオーディション中央実行委員長、教会人事監査委員長を務めている。』
「オーディションの実行委員長は分かるけど、その教会何とか、っていう役職は何なの?」
『この国は、建国神話や現在の国家体制からも分かると思うけど、教会の影響力がもの凄く強い。このフィルっていう町には、ドルフィン殿が呪詛の解除を
施された王国の中央教会の他、東西南北と港湾、首都の6地区に教会があって、その代表者が王国議会議員になる。割合から言うと、一等貴族と国王に
任命される二等、三等貴族と教会代表者がほぼ1:1:2の関係にある。王国の中央教会の聖職者ともなれば、知名度や人望の面からも国の役人よりはるかに
格上だ。そんな影響力を持つ教会の暴走を押さえるため、一等貴族全員と国の役人で構成される教会人事監査委員会っていう組織がある。成り上がり者が
多い二等、三等貴族が金とかで子どもを教会の要職に就けさせようとしないか、教会がそんな圧力に屈したりしないかを監視したり、教会の人事を監査して
承認したりする権限を持っているかなり重要な組織だ。フォン当主は一昨年からその委員長に就任している。年齢的には若いがかなり有望らしい。』
「ふーん・・・。」
「イアソン。この先はまた後にしてくれないか?」
『どうかしたか?』
「いや・・・。夕食の準備があるんだ。」
『夕食の準備?そこはホテルだから、食事と居心地はこっちよりはるかに良い筈だし、そもそも客の一人であるアレンが食事の準備をする理由なんてないだろう。』
「それがあるんだよ・・・。」
「シーナさんから聞いてないのか?俺が今、朝昼晩の三食を用意してるって。」
『否。シーナさんから聞いているのは、アレンが一目惚れした彼女を殺そうとした不届き者の背後関係を知りたくてうずうずしている、ということだけだ。』
『−ふーん。なるほどね。まあ確かに、何処の誰が狙っているか分からない以上は自前で出来ることはした方が無難ではあるな。』
どうやらイアソンはすんなり事情を飲み込んだらしい、とアレンは胸を撫で下ろす。「というわけだから、また後で頼む。」
『分かった。一目惚れした彼女と一緒に料理作りたいだろうし。』
「イアソン、お前なぁ・・・。」
『それじゃ、食事が済んでからアレンから連絡してくれ。その間、一目惚れした彼女から聞ける範囲で事情を聞いておいてくれるとありがたい。』
「だからそれは・・・」
『あと、一目惚れした彼女の風貌も教えてくれるとありがたい。ドルフィン殿とシーナさんも甚(いた)く知りたがっている、ということを付け加えておく。』
「その要望には応えられない。じゃ、また後で。」
『了解。俺は転寝でもしてる。』
「アレン。どうしてイアソンが通信相手になってるわけ?」
早速疑惑の矛先を向けてきたフィリアに−アレンが通信の最初に頬を赤らめたことが引っ掛かっているのもある−、アレンは溜息を吐いてから応える。「シーナさんは今立て込み中なんだって。3年間の空白を埋めるためにね。」
「3年間の空白を埋めるために立て込み中?」
「シーナさんは昨夜、強力な精力剤と媚薬を作ったそうだよ。」
「なーるほど。今宵は存分愛の営みと洒落込んでるってわけね?」
「そういうこと。」
「そう言えばアレン、言ってたわね。シーナさんが妊娠しないか、って。なるほど、なるほど。そういうことなのね・・・。」
「へえ。シーナさんってアレン君達と別行動取っとる、才色兼備を地で行く女性やろ?薬使ってまで婚約者と旅先でベッドイン、なんて、そっちの方もえらい
進んどるんやなぁ。ルイもそんくらい積極的にならな駄目やで?」
「ちょ、ちょっと、クリス!」
「どうしてそこでルイが出て来るのよ!」
「早く食事の準備してくれないかしら?」
「食事の準備は時間かかるんでしょ?それに、アレンもイアソンからの報告はその後に受ける方向で合意したんでしょ?だったらその方向で動いて頂戴。
他人の痴話喧嘩であたしの食事時間が不規則になるのは、真っ平御免だわ。」
「リーナ。あんた、えらいクールやなぁ。こういう話題で盛り上がれへんようやと、この先寂しい人生しかあらへんで?」
「あたしはお父さんの後継者になるために薬剤師の資格を取ることが目前の最大の目的。恋愛事はどうでも良いわ。・・・もう興味もないし。」
「夕食のメニューは何?」
「えっと今回は、コウミィを使った煮込み料理をメインに考えてる。」
「骨や皮を選り分けるのは御免よ。」
「大丈夫。切り身を使うから。」
「なら良いわ。」
「アレン。刺身だけは勘弁してね?」
「きちんと加熱調理するよ。」
「美味い料理頼むで。ええ酒も手に入ったし。」
「念のため聞くけど、クリスって好き嫌いないよね?」
「美味いもんやったら何でも歓迎すんで。美味い酒には美味い料理。これに尽きるでな。」
「じゃあ待ってて。」
「アレンさんは・・・、女の人と一緒に料理がしたい方ですか?」
「え?」
「それとも、料理は女の人に任せたい方ですか?」
「ん・・・。今まで考えたことないけど・・・、一緒に料理して一緒に食べたい、っていう気持ちもあるし、女の人が作った料理を一緒に食べたい、っていう気持ちも
ある・・・かな。今みたいに二人でわいわい言いながら料理作って食べるのも楽しいし、相手が作った料理を迎えて一緒に食べるのも良いな、って思う。」
「男の人としては、女の人に料理が出来て欲しいですか?」
「うん。出来て欲しい、な。その場合は俺と同等くらいが良いかな。俺より上手だと俺の出る幕がないし、俺より下手だと相手がやりにくいだろうし。」
「アレンさんと同等のレベルというのは、かなり厳しい条件ですね。」
「そうかな・・・。ルイさんとシーナさんは十分クリアしてると思うよ。」
「その女性(ひと)に婚約者が居ても・・・、気になるんですか?」
「シーナさんに婚約者が居ること、知ってるの?」
「ええ。昨夜お風呂でリーナさんから聞きました。才色兼備を絵に描いたような、同時に性格も良い魅力的な女性だと。」
「シーナさんは実際綺麗だし理想的ではあるけど、俺には、お姉さん、って感じだよ。」
「こういう女性って良いなぁ、とは思うけど恋愛感情にまでは行き着かないんだ。シーナさんにはドルフィンっていう、もの凄く強くて男らしい剣士が
婚約者だし、事情があって3年間生き別れになってたんだ。だからその分幸せになって欲しい。そして、俺にとって憧れであって欲しい。男の場合、否、俺に
限ってだけど、その女性が自分の理想だからって即恋愛感情には結び付かないんだよ。理想は理想としてあるけど、それにしがみ付いてばかりじゃなくて、
そういう女性に少しでも近い女性を現実に見つける方が良いと思ってる。」
「理想に置き換えられる現実を探しているわけですね?」
「うん。もっとも、そんなに都合良くいくか、って思う時もあるけど。俺はまだ16だし、それに・・・。」
「どうしたんですか?」
「俺には・・・まだ恋愛なんて早過ぎるよ。」
「私は、恋愛に早い遅いはないと思います。大切なことは、自分の心に正直になることだと思います。」
「俺は・・・男の敗者だから。」
「アレンさんが言う『男』というのは何なんですか?」
「背が高くて、何者も寄せ付けない強さとそれに裏打ちされた自信を持ってる・・・。俺は見てのとおり背も低いし、父さん一人助けられないで居る・・・。
一方じゃ、見た目が女っぽいことで面白がられてる・・・。俺が描いている理想からはかけ離れている現実があるんだ・・・。そんな俺に恋愛なんて早過ぎるよ。」
「私は・・・アレンさんは立派な男の人だと思っています。」
火の加減を見てからルイが静かに言う。「私とクリスが深夜に襲撃されて絶体絶命だった時、アレンさんが助けに来てくれたことは今でもはっきり覚えています。兵士の人達に扮装して襲撃してきた
人達を全滅させてからアレンさん、真っ先に私に駆け寄って無事を確認してくれましたよね?あの時、アレンさんに優しく抱き締められて・・・本当に安心
しました。私は助かったんだ、この男性(ひと)に助けられたんだ、って・・・。男の人に抱き締められるのはあの時が初めてだったんですけど、アレンさんから
感じたのは、一人の男の人の温もりと優しさだったと確信しています。」
「ルイさん・・・。」
「男の人全部が背が高いわけじゃありません。私の同僚や村の人にも身長が私とさほど変わらない人だって居ます。外見はご両親を通じて神から授かった、
アレンさんがアレンさんであることを示す大切な特徴の一つです。料理がとても上手だということもそうです。」
「・・・。」
「アレンさんはさっき私に、理想は理想としてあるけれどそれにしがみ付いてばかりじゃなくて、それに少しでも近い現実を見つける方が良い、って
言いましたよね?私、それはアレンさんにも言えることだと思うんです。理想は生きる目標として持つべきです。でも、人間には個人差がありますから必ずしも
それに及ばないことはあります。ご両親を通して神から授かったアレンさんという一人の存在と命をアレンさん自身が大切にして欲しい。ひいてはそれが、
アレンさんが一人の男性として自信を持つことに繋がる。私は・・・そう思います。」
「・・・私が偉そうに言えた義理じゃありませんね。」
「否、ルイさんの言うとおりだよ。俺は男だ、って言っておきながらそれを否定してちゃ駄目だよね。自分が男ってことに自信を持つようにするよ。今直ぐに、とは
いかないかもしれないけど。」
「私はあの時、怯えてばかりで魔法を使うことさえも忘れていました。そんな私を危険を顧みずに助けてくれたアレンさんと今、こうして一緒に料理出来て
凄く幸せです。アレンさんと神に感謝しています。アレンさんと出逢えたことを・・・。」
「・・・俺もだよ。」
「−こちらの情報はこんなところ。」
『なるほど。』
「で、此処からは俺の推測なんだけど・・・。」
「−俺はこう思うんだけど。」
『この国では戸籍制度が強固なのは俺も把握した。誰が何時生まれて何時死んだのか、家族構成はどうなっているかまでバッチリ分かるようになっている。
だが、戸籍は役所が管理していて、本人であることを証明する−この国では成人であることを示すパーソンカードっていうものがあるそうだが、そういうものを
見せないと閲覧出来ない仕組みになってる。教会の要職や役人、教会人事監査委員会でも所定の書類に必要事項を記入して申請して受理されないと閲覧
出来ないほどしっかり管理されている。これは国の法律で決められていて、違反者は厳重に処罰されるそうだ。恐らく外部からの操作を防ぐためだろう。
小作料や税金は家族構成によって決まるらしいからな。アレンが言う・・・ルイだったか?彼女の母親が生きているにも関わらず戸籍上死んだことになっていた
ことから、何者かが戸籍を操作した可能性が考えられる。さっきも言ったように戸籍の操作がそう簡単に出来ないようになっていることを踏まえると、アレンの
推測どおり、高位の聖職者や出世している国の役人が彼女の父親で、密かに戸籍を操作したり、母親から真相を聞かされている可能性があるということで、
彼女の抹殺を狙っているという考え方も出来る。』
「警備の兵士に扮装してまで襲撃して来たっていうのが一番引っ掛かるんだ。入り口ではオーディション本選出場者とその護衛かどうか、証明書を見せるまで
とても入れる状態じゃなかったし、俺も入って直ぐに女かどうかチェックされたくらい、人の出入りは厳重にチェックされていたんだ。それでも警備の兵士に
紛れ込んで襲撃して来た、っていうことは・・・。」
『オーディション本選関係者による犯行の可能性が高いな。』
『俺もその辺を当たってみた。そっちのホテルには、オーディション中央実行委員会の要人が何人か宿泊している。実行委員会は事務班、警備班、
福利厚生班の3班に分かれていて、それぞれ一等貴族の親族が班長に任命されている。任命したのは実行委員長のフォン当主だそうだ。』
「鍵が警備の兵士だから、怪しいのは警備班だね。」
『俺もそう思って警備班の要職の名簿を役所で入手したが、班長はフォン当主の実弟ホーク・リルバン氏となっている。その下の幹部職にはこの町の6つの
地区教会の総務部長とか国軍の幹部が名を連ねているから、どれも怪しいといえば怪しい。アレンの推測どおり、その中に彼女の父親が居る可能性がある。」
「他には?」
『戸籍はさっきも言ったように、基本的に本人じゃないと閲覧出来ないから調べるのは事実上不可能なんだが、もう少し突っ込んで調べてみる。アレン。
お前は念のため薬で女になっておけ。』
「何でだよ。入り口でのチェックは抜けたんだからもう必要ないだろ?」
『警備の兵士に扮装してまで特定人物を狙ってきたんだ。問題の彼女を助けたのが他ならぬアレン、お前で、今彼女がアレン達と同じ部屋に居るから、
何か難癖をつけてアレンと彼女を引き剥がして、護衛が手薄になったところで彼女を改めて抹殺しようとする可能性もないとは言えない。」
「・・・分かった。女になっておく。」
『用心しろよ、アレン。俺ももう少し突っ込んで調べておくから、そっちも関係者から出来るだけ情報を入手しておいてくれ。些細なことでも良い。それが闇に
隠れた真相を引っ張り出す糸口になる可能性は十分あるからな。』
「分かった。機会を見て色々聞いておく。イアソンも頼む。」
『了解。それじゃお休み。』
「お休み。」
「ちょっと休むか。まだ夜は長い。」
「そうね。まだまだこれからだものね。」
「ドルフィンはどう思う?アレン君の彼女候補がホテル内で襲撃された事件。」
シーナはベッド傍の小さなテーブルにグラスを乗せてパンニョールを注ぎながら言う。「警備の兵士に扮装して襲撃した、っていうことから、内部犯の可能性が高いと思うんだけど。」
「その線が妥当だな。今のところそれ以外に、アレンの彼女候補を人の出入りのチェックが厳しいホテル内で襲撃出来るだけの穴が見当たらん。」
「このオーディションが一等貴族と密接な関係がある国家的行事だということにも、何か関係があるのかしら?」
「リルバン家の当主が今年の実行委員長というから、そいつに取り入った何者かがリルバン家当主の権限を間接的に悪用している可能性もある。」
「リルバン家は、この国がある地域に派遣された天使に授けられた王冠を所有する4つの家系の一つと言う。その王冠の財宝的価値は相当なものだろうし、
王冠を使うことで何かが起こるのかもしれん。1500代以上も延々と引き継いで来て、その背景を一等貴族という家系が端的に証明しているんだ。眉唾物の
噂話、と単純に片付けられそうにない。」
「そうよね・・・。」
「強大な権限を持つ奴に直接間接問わず取り入って自分の目的を達成する、というやり方はレクス王国での混乱とも共通項がある。」
「どういうこと?」
「ザギの奴がそいつを指南してリルバン家当主を利用させ、最後には王冠を戴こうと段取りを練っている可能性もある、ってことだ。」
「アレン君、大丈夫かしら・・・。」
「警備の兵士を含めたオーディション関係者が信用出来ないとなると、アレンを信じるしかない。あの薬は持たせたよな?」
「ええ。」
「敵は自分が強くなるのを待ってはくれない。その時の強さで乗り切るしかない。」
「昔の貴方が言った言葉そのままね。」
「アレンには昔の俺が重なるんだ。師匠と出会った時の俺とな・・・。」