ナルビア市街は一気に戦場と化した。
ドルゴに跨った『赤い狼』の機動部隊が、ドルフィンのイクスプロージョンを受けて混乱していた兵士達に襲い掛かり、急所である顔面に剣を突き立てていく。
更にドルフィンが
リトルドラゴン23)を召還して『赤い狼』に反撃しようとする兵士達を襲わせ、
レイシャーで数人纏めて胸板をぶち抜き、時に自らも剣を振るって兵士達を肉の積み木にしていく。
一方、イアソンを筆頭とする情報部隊は貴族の邸宅へ向けてドルゴを走らせる。情報部隊はイアソンの素早い指示で各方面に分かれ、10数人規模の
部隊で続々と貴族邸宅へ突入する。まさか攻め込まれるはずがないと高を括っていた貴族達はろくに迎撃出来ないまま、たちまち『赤い狼』に身柄を
拘束される。彼らは王国議会議員という役職がついて回る為、今回の一連の事件について尋問されることになっている。
兵士達は確実に数を減らし、降参して武器を捨てて両手を上げるものも出始めた。『赤い狼』の面々は降参した兵士達を素早く拘束し、戦闘に
巻き込まないよう脇に退かせて戦闘に戻る。国歌特別警察の最高幹部であるランブシャー長官は、数十人規模の護衛に守られながら王城へ逃げこんで
行く。それを捕捉した『赤い狼』の機動部隊が王城へ突進する。
「アレン!フィリア!リーナ!お前達は『赤い狼』の後を追って城へ突入しろ!」
剣を振るって襲い掛かる兵士達をバラバラに切り刻みながら、ドルフィンが言う。
「王と黒幕は城内に居る筈だ!何としても奴等を追い詰めてアレンの親父さんの居所を吐き出させろ!俺もここを片付けたら即そっちへ向かう!」
「分かった!」
「分かりました!」
「ドルフィン!早く来てね!」
たまに襲い掛かってくる兵士達を−ドルフィンや『赤い狼』の攻撃を免れた者達だ−迎撃していたアレン、フィリア、リーナの三人は、ドルフィンの指示に
従って、王城を目指してドルゴを走らせる。兵士達はバタバタと倒され、降伏する者も多数出てきた。数では国家特別警察が上だが、戦力の面から見ると
『赤い狼』の方が圧倒している。何せ一騎当千のドルフィンが居るのだから、普通の兵士が適う筈もない。
そんな中、白衣姿の数人が南へ向かって走っていくのが微かに見えた。それを見たドルフィンと『赤い狼』の一部は、ドルゴを走らせて彼らを追う。
「南部には劇場があります。あそこは大幅に改造されて正体不明の施設にされています。」
「だとしたら警戒体制は只事じゃない筈だ。全員俺の後ろに回れ。結界を張る。」
「了解しました。全員、ドルフィン殿の背後に回れ!」
ドルフィンが先導する形で、『赤い狼』の一群は謎の施設となった劇場へ向けて疾走する。ドルフィンは自分が先頭になったのを確認して、全員を囲む
結界を張り巡らせる。
劇場らしい大きな建物が見えてきたところで、強力な魔力の集中を感じる。それはナルビア正門でのものより遥かに強い。少しして一群の周囲の彼方此方に
青白い閃光が生じ、耳を劈(つんざ)くような激しい音と共に雷が一群目掛けて迸る。だが、ドルフィンの張った結界はびくともせず、そのまま南下を進める。
「ドルフィン殿。さっきの魔法は・・・。」
「ライトニング・ボルトだ。どうやら奴等、余程俺達を近付けたくないらしいな。」
「警備が厳重だという情報はありましたが、まさかこれほどとは・・・。」
「フン。呪文詠唱でしかライトニング・ボルトを使えない程度の戦力で俺を足止めするつもりか。舐められたもんだ。」
ドルフィンはまったく意に介さないばかりか、口元に冷たい嘲笑を浮かべてさえいる。
一群は魔法の迎撃による被害をまったく受けることなく、とうとう劇場だった施設の前に辿り着く。幅数十メールに及ぶと思われる巨大な建物の前には、
重装備の兵士達と魔術師、その奥でドアの前で何かごそごそしている白衣姿の面々が立ち塞がっている。兵士達は一斉に、重装備とは思えない俊敏な
動きで一群に突進してくる。だが、ドルフィンの剣の一振りで結界に辿り着く以前に上下真っ二つにされて地上に崩れ落ちる。間をおかずに結界の周囲に
青白い閃光が生じて、猛烈な稲妻が結界に突き刺さるが、ドルフィンの結界はその形すら歪めない。
「馬鹿共め。敵を倒すつもりならこれくらいの魔法を使え。」
ドルフィンは右掌を前に突き出して呪文を唱える。
「アルブ・デラ・ンデ・クローズ!見よ汝、銀河の星が砕ける様を!」
施設周辺を一瞬で結界が取り囲む。『赤い狼』の魔道剣士は勿論、守備隊の魔術師も凄まじい魔力の集中を感じる。呪文詠唱で結界が張られるという
ことは、三大称号の魔術師のみが使える強力な魔法である証拠だ。
「ギャラクシャン・イクスプロージョン24)!」
ドルフィンが
魔法を発動させる25)と、結界内部で火山の大噴火のような轟音と共に大爆発が起こり、結界内部が瓦礫と爆煙でいっぱいになる。
爆発が次第に収束に向かうにつれ、結界の中で爆破されて出来た瓦礫が豪雨のように地面に落下していく。結界が消えた後には建物の痕跡すら残って
いない。ただ爆煙がもくもくと立ち上るだけだ。
ドルフィンの魔術師としての圧倒的なパワーを見せ付けられた『赤い狼』の一群は、改めてドルフィンが敵に回らなかったことを幸運に思う。
こんな強力な魔術を使われたら、『赤い狼』の中央本部でさえも簡単に瓦礫の山にされてしまうに違いない。
「ド、ドルフィン殿・・・。やりましたね・・・。」
「・・・どうやらそうでもないらしい。」
「え?」
『赤い狼』の面々が爆煙を注視すると、うっすらとではあるが何か巨大な物体が蠢いているのが分かる。爆煙が消えていくにしたがって、その物体が姿を
現してくる。それを見た『赤い狼』の面々は驚愕の色を露にする。爆煙から姿を現した物体は、ライオンや山羊や蛙などが出鱈目に絡み合って
スライム27)で
覆われたような、見たこともない巨大かつ不可思議な生き物だった。
その生き物はゆらゆらと不気味に動きながら、ドルフィン達目掛けて蛙の口から赤茶けたものを吐き出す。それは結界に阻まれたが、ジュッという無気味な
音を立てて結界表面を流れて地面に滴り落ちる。そしてそれは、ジュウジュウと肉が焼けるような音と悪臭を伴って地面を溶かしていく。それは強力な酸性の
粘液らしいものであることは容易に察しがつく。
「・・・なるほど。奴等は切り札としてこの不恰好な生き物を解放するつもりだったらしいな。」
「し、しかし、ドルフィン殿の魔法で吹き飛ばない筈が・・・。」
「普通ならな。だがどうもこの生き物には魔法が効かないか、余程強力な再生能力があるかのどちらからしい。」
ドルフィンは剣を抜く。細い刃身が太陽の光を浴びて鋭い輝きを発する。
「こいつは俺が始末する。お前達は味方と合流して敵を一掃しろ。」
「は、はい!全員退却!」
「ドルフィン殿!ご無事で!」
『赤い狼』の一群は、ドルフィンの結界から脱出して来た道を引き返していく。
ドルフィンは結界を解除して剣を縦に横に、それこそ一瞬で払う。不気味な生き物の身体中に線が入り、バラバラに飛散する。しかし、地面に散らばった
肉片が−と言えるのかは分からないが−フィルムを逆回転させたかのように一点に集中し、たちまち元の形に整形される。
「・・・そう簡単にはお寝んねしねぇようだな。」
ドルフィンの瞳が鋭さを増す。それに呼応するかのように、ムラサメの刃身が淡く輝き始める。生き物の蛙の口から赤茶色の、山羊の口から黒色の、
ライオンの口から緑色の粘液がドルフィン目掛けて吐き出される。ドルフィンは難なくそれをかわして生き物目掛けて突進し、透りざまに剣を乱舞させる。
生き物の身体が再びバラバラになるが、再び肉片が一点に集まっていく。
生き物の方を振り向いたドルフィンは、肉片が収束していく一点に白銀色に輝く小さな宝石らしいものがあるのを見逃さなかった。ドルフィンは自分の
左手の甲を見る。そこには魔術師の証である賢者の石が輝いている。その輝きと同じだ。
「・・・賢者の石・・・?」
ドルフィンは一瞬疑問を感じるが、その生き物が形を取り戻してゆっくりと向きを変えたことで思考を止める。不気味なことこの上ない動きを見ながら、
ドルフィンは確信の笑みを浮かべる。
「次で終わりだ。化け物。」
ドルフィンは再び剣を構えて生き物目掛けて突進していく…。
一方、『赤い狼』の機動部隊と共に王城に突入したアレン達は、待ち構えていた兵士達の迎撃を受けた。だが、ドルゴから飛び降りたアレンの俊敏な
動きと剣さばき、フィリアの魔法、リーナのレイシャーで次々兵士達をなぎ倒していく。『赤い狼』の機動部隊も、流石に戦闘能力に秀でた集団だけあって、
兵士達の攻撃を巧みにかわしながら兵士の顔面に剣を突き立てて倒していく。
ランブシャー長官を護衛していた兵士達はほぼ全滅した。僅かに残った兵士達の中に、アレンとフィリアはかつて自分達の町テルサを武力と威圧で
制圧した、国歌特別警察テルサ支部長官だったマリアスの姿を見る。支部隊全滅、ドルフィンの敵対化でテルサ支部長官の地位を剥奪されたマリアスは、
一兵卒としてランブシャー長官の護衛の一人に加わっていたのだ。町の人々を武力と威圧で押さえつけ、父ジルムを攫ったマリアスに、アレンの怒りが
ボルテージを急激に増す。
「マリアス!父さんを返せ!」
「貴様、ジルムの息子・・・。わざわざ乗り込んでくるとは飛んで火に入る夏の虫、といったところか。」
「五月蝿い!父さんは何処だ!」
「口の利き方を知らんガキだな。掴まえて父親同様拷問にかけてくれるわ!」
マリアスが剣を構えてアレン目掛けて突進してくる。だが、その動きは目に見えて鈍重だ。アレンがそれを余裕でかわし、すれ違いざまに顔面に拳を
叩き込むと、マリアスは鼻血を噴出しながら後ろに弾き飛ばされる。折角の重装備をまったく使いこなせていない。
「拷問にかけられるのはあんたじゃないの?」
フィリアが半ば呆れた顔で言う。
「所詮あんたは、虎の威を借りた狐ね。あんたみたいな奴があたし達の町を牛耳ってたかと思うと情けないわ。」
「や、喧しい!今度こそ小僧を倒してくれる!」
マリアスが口調だけは威勢良く、鼻を押さえながらゆっくりと立ち上がる。鎧が相当重いらしい。アレンはマリアスが立ち上がるのを待つことなく、マリアス
目掛けて剣を振り下ろす。マリアスの鎧が紙のように呆気なく切り裂かれ、そこから血が噴出す。すかさずアレンはマリアスの喉元に剣を突きつけて怒鳴る。
「父さんは何処だ!吐け!」
「い、言える筈なかろうが。」
「・・・じゃあ死ね。」
アレンは迷うことなくマリアスの首を刎ねる。マリアスの首がゴロゴロと床を転がり、首を失った胴体から噴水のように噴出す。アレンの顔形に似合わぬ
怒りの形相に、残されたランブシャー長官と残りの護衛の兵士は震え上がる。
そうしている間に、彼らの周囲を『赤い狼』が間合いを取って包囲する。観念したのか、ランブシャー長官と護衛の兵士は武器を捨てて両手を上げる。
その瞬間、『赤い狼』が彼らを素早く拘束して武器を喉元に突きつける。
「アレン君の父親の居場所は何処だ?黙っていると命はないぞ!」
「・・・さ、最上階・・・。この城の最上階に国王陛下とバンディ参謀長、それに顧問様とお付きの兵士達と共に居る筈だ・・・。」
「嘘を言うとためにならんぞ!」
「ほ、本当だ!し、信じてくれ!頼む!」
ランブシャー長官の狼狽振りから、言うことはどうやら嘘ではないらしい。そう思ったアレンはドルゴに飛び乗り、正面にある階段へ向かって走らせる。
取り残された感がするフィリアとリーナは、一先ず『赤い狼』の面々と共に居ることにする。まだ兵士達が潜んでいて、安心したところで襲撃してくる
危険性があるためだ。
アレンは手綱を叩いてドルゴを全力で走らせ、階段を上っていく。途中、守備兵らしい兵士達と出くわしたが、アレンは巧みな操縦で攻撃をかわして
剣の一撃を加える。兵士達を倒しながら、アレンは最上階を目指してドルゴを走らせる。
その頃、最上階は大騒ぎになっていた。
劇場が吹き飛ばされ、現れた正体不明の生き物が暫くして見えなくなり、ランブシャー長官らを追って『赤い狼』とアレン達が城内に突入して来るのを
見たからだ。彼らはドルフィンが召還したブルードラゴンも目撃しており、そんな強力な魔物を召還できる人間が敵側に居ると知って、震え上がっていた。
バンディ参謀長に至っては、国王の許可を得て自信を持って配備した迎撃用魔術師部隊がミサイルの束で城壁ごと粉砕され、血の気を失っていた。
そんな中、悠然としているのは、彼らの護衛ということで急遽要請を受けた、顧問と称される黄金色の鎧と銀色のマントを着け、顔を目の部分だけ細く
切り抜いたような謎の人物と、その配下の兵士達だけだ。兵士達のうち数人がズタズタになったアレンの父ジルムの両腕を抱えている。ジルムは完全に
気を失っているようだ。
国王は血相を抱えて顧問である謎の人物に、半ば錯乱しながら懇願する。
「そなた!何とかしてくれ!このままでは『赤い狼』の軍団に制圧されてしまう!」
「・・・制圧は時間の問題ですな。」
「な、何ですと?!」
あまりにも冷静な男の言葉を、王は我が耳を疑って聞き返す。
「あ、貴方や貴方の護衛の兵士なら奴等を倒すことなど苦もない筈!何とかして下され!」
「『赤い狼』とやらを倒すのは我々には簡単なこと。」
「でしたら・・・。」
「しかし、もう我々は貴方方に用はないのです。」
「な、な、何?!」
「もう一度言いましょう。貴方方は用済みなんですよ。」
男はそう言って仮面の下でくくく・・・と笑う。男の言葉を聞いて国王は勿論、その一族やバンディ参謀長は愕然となる。表情が強張った彼らに、男は
あくまで冷静に、否、冷酷に告げる。
「我々の目的は達成出来ました。私の指南に従って国歌特別警察を作ってもらい、それを使ってジルムを拉致し、ハーデード山脈の古代遺跡の実態調査と
B計画の初期試験が出来ました。生憎剣は入手出来ませんでしたがそれは今すぐ必要ということではありません。後々行方を追えば済むこと。ですから
貴方方は用済みなんですよ。」
「そ、い、否、貴様!この私を!国家を裏切る気か?!」
「私は貴様に国のあり方を指南しただけ。それで権力に溺れて好い気になったのは他ならぬ貴様自身だろうが。そもそも素性の知れない人間の指南を何の
疑いも抱かずにすんなり受けて行動し、勝手に権力の麻薬に溺れることこそ、愚かしいこと極まりない。」
男の口調が急に重く、罵るようなものに変わる。本性を現したのだ。
「く・・・。だ、騙したな・・・。貴様・・・!」
「騙したも何も、貴様が勝手に私の口車に乗っただけのこと。・・・これ以上の問答は無用だ。」
男が左手の人差し指を国王一族達に向けると、周囲に居た兵士達が一斉に剣を抜いて斬りかかる。国王一族とバンディ参謀長は、声もなく絨毯に倒れ、
血の沼を広げる。そして男も剣を抜き、国王を袈裟斬りにする。男に踊らされるがままに権力に溺れた哀れな国王は、真っ二つになって床に崩れ落ちる。
「全員脱出準備。」
「了解しました。」
国王一族とバンディ参謀長を殺害した兵士達は、東にあるテラスに数体のワイバーンを召還して分乗する。
その時、ドアが切り裂かれ、勢い良く蹴破られる。男が振り向くと、血糊がべったりついた剣を持ってアレンがドルゴに跨っていた。アレンは息を切らし
ながら男を睨みつけて叫ぶ。
「父さんは何処だ!」
「父さん?・・・フッ、あれのことか?」
男が指差した方をアレンが見ると、両足を縛られて兵士達に両腕を抱えられている父ジルムの姿を見つける。
「父さん・・・。そうか。貴様がジルムの息子か。わざわざ捕まりに来たのか?」
「黙れ!父さんを返してもらうぞ!」
「口の利き方を知らんガキは、少々痛い目に遭わねばならんな。全員かかれ!」
男が言うと、脱出準備をしていた兵士達が一斉に剣を抜いて、アレン目掛けて突進してくる。その動きは明らかに今までの兵士とは違い、重い筈の鎧を
ものともせずに素早くアレンに向かって行く。待ち構えていては不利になると直感したアレンは、ドルゴの手綱を叩いて兵士達に向かって走らせる。
アレンは出会い頭に2、3人の兵士を切り裂き、兵士達の間を突っ切りながら剣を振るって兵士達をなぎ倒していく。兵士達の背後に回ったところでアレンは
ドルゴから飛び降り、持ち前の俊敏さをフルに生かして兵士達に斬りかかり、次々と倒していく。
ものの2、3ミムで兵士達は全滅に追い込まれた。アレンは死体の海の中で男と一対一で対峙する。男はくくく・・・と笑う。部下の兵士が全滅したことを
喜んでいるようにさえ思える。
「くくく・・・。まさか貴様が剣を持っていたとはな。」
「やっぱり俺の剣を狙ってたのか!」
「狙っていた・・・?くくく・・・。返してもらおうと思っていたと言って欲しいものだな。」
「何だと?」
「その剣は私が持つべきものだ。返してもらおうか。このセイント・ガーディアン、ザギ様にな!」
ザギと名乗ったその男は仮面を取り外して放り投げる。仮面の下から現れたのは、ドルフィンと同じくらいの年齢らしい顔立ちに鋭い青色の瞳を持ち、
口元を不気味に歪めた男の顔だった。
「セイント・ガーディアン・・・?」
「小僧。その剣を返してもらうぞ。」
「お前なんかに渡してなるものか!」
「威勢の良い小僧だ。だが、セイント・ガーディアンの前には無力だがな。くくく・・・。」
ザギは無気味に笑いながら剣を抜く。アレンはザギを見据えながら剣をしっかり握り直す。少しの間を置いて、アレンは先制攻撃を仕掛けた…。
用語解説 −Explanation of terms−
23)リトルドラゴン:無属性の小型ドラゴン。小型と言ってもドラゴンの類に漏れず攻撃力、防御力、魔法防御力は高く、動きも俊敏。武器は何といっても
鋼の鎧をも切り裂く鋭い牙である。
24)ギャラクシャン・イクスプロージョン:力魔術の一つで破壊系魔術に属する。結界内で大気や土、水の分子に核融合反応を起こしてそのエネルギーを
一気に解放する。結界外部には一切の影響を及ぼさない。Necromancerで使用可能。
25)魔法を発動させる:魔法は呪文を詠唱しただけでは効力を発揮しない。魔法の名称を口にすることで初めて発動する。これを利用することで
時間差攻撃を行ったりすることが出来る。
26)スライム:RPGでお馴染みの不定形のゼリー状の生物。肉体が極端に柔らかい為、武器の類は一切効かない。魔法も肉体の特質上、水系、雷系、
風系、光系、破壊系は効かない。火系や暗黒系が有効。