【単独制作作品No.101 僕を追う月】

written by Moonstone

暫くぶりの星の世界。波音だけが続く、星の穴場。
今夜は少し勝手が違う。ひときわ大きく輝く、月が居る。
陽光を反射して輝く空の鏡は、星の中で静かに浮かぶ。
気まぐれな夜の旅だから、こういうこともある。

月明かりを背に、気ままに歩く。
ふと足元を見ると、少し薄い自分の影がある。
街灯なんて一つもないのに、影?
ああ、月光で出来る影か。初めて見る。

足を速めたり、方向を変えたりしてみる。
影は速さや方向を変えつつ、僕の足から伸びている。
月が僕を追って来る。悠然と深い藍色の空に浮かびながら。
初めての、絶対勝てない月との競走。
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