車両や人の数は大きく違う。本数も全然違う。
だけど、その地に住む人々にとっては、日常の一部。
通勤通学、通院介助、休日のお出かけ。日常の足。
小さい車両が1両2両、線路を走るところを偶に見る。
「少しでも早く」走り「一人でも多く」乗せる都心の主要路線と違って
森や海の方が視界を広く占める景色の中を、各駅停車でゆっくり走る。
乗る人は少なくなっても、昔からの町の日常が今も続いている。
駅舎に入る。古びた木造の駅舎には、誰もいない。
都心でよく見る、駅員に食って掛かる人はいない。
そもそも駅員もいない。本当に誰もいない。
錆が所々に浮かぶ時刻表は、待つ人がいない理由を静かに語る。
次の電車まで、あと2時間。
待つことには慣れている。待てば来るならむしろ親切だ。