【単独制作作品No.88 明るい夜空】

Written by Moonstone

夜って意外と明るいんだぜ。

友人が言ったその言葉に、僕は呆れた。
夜が明るいわけがない。夜は暗いもんだ。
北極や南極じゃあるまいし。
試しに見てみろと言う友人を、その時は適当にあしらった。

帰路の途中でふと夜空を見上げてみたら、
暗いと思っていた夜空に雲が流れていた。
青空に浮かぶ雲はちぎった綿のように柔らかそうなのに、
夜空に浮かぶ雲は深く積もった雪のように硬そうだ。
うっすら白く、光っていて。
空を優雅に旅しているというよりも、
別の世界に赴くために密かに移動しているようだ。

月明かりもないのに明るい夜空。
下界で夜を照らすために作られた多くの光が空にも及んで、
雲の秘密の大移動を照らし出している。
見てはいけないものを見てしまったような気がして、
僕は空から目を逸らして家路を急ぐ。

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