【単独制作作品No.77 移ろうもの】 Written by Moonstone
夕焼けが橙から紅に変わって来ている これも季節の移ろいを示すもの 夏の陽が醸し出す夕暮れ色は 灼熱の余韻を残すような橙 秋の陽が醸し出す夕暮れ色は その弱まりを示すような紅 一陣の風が吹き抜ける 少し前まで感じた筈の熱気は感じない 湿り気もない爽やかな風はやがて 実りと落葉を促すものとなる 紅の空と乾いた風は 季節の移ろいが近いことを物語る一片のメモ それを人が感じるかどうかは別として 毎年送られる自然からのメモ 早朝からあれだけ騒々しく鳴いていたクマゼミの声は もはやない 代わりに聞こえるツクツクボウシの合唱は 何処か控えめ ツクツクボウシが鳴き始めると夏が終わると人は言う 木々の下に転がるセミの亡骸が ひと時の季節の終わりを示している 移ろいは季節でも生命でも繰り返される 誰かが何かが生まれる代わりに 誰かが何かが死んでいく 誰かが何かが死ぬ代わりに 誰かが何かが生まれて来る 諸行無常とは万物の定めなのかもしれない 私の命の灯火が消える時 どんな灯火が点るのだろう 凡そ分かりもしないことを 時に考えてみたりする |
![]() |
ご意見、ご感想はこちらまでお寄せください。 Please mail to msstudio@sun-inet.or.jp. |
若しくは感想用掲示板STARDANCEへお願いします。 or write in BBS STARDANCE. |
![]() |
第4創作グループへ戻る -Back to Novels Group 4- |
![]() |
PAC Entrance Hallへ戻る -Back to PAC Entrance Hall- |