【単独制作作品No.74 藤の花の下で】

Written by Moonstone

花を散らす雨が 音もなく降り注ぐ
不躾な雨は晴天を押し退け 人を軒先に押し込む
急速に人の姿が消えていく中 私は一人佇む
待ち合わせは 藤の花棚の下

紫の小さな花弁が 雨に流され落ちていく
春の休みの只中に 私は貴方と会える
普段はお互い遠い地に住む
藤の花が散るのを見るのも 待ち時間の楽しみ

お待たせ 仕事が遅れちまって
鞄を傘代わりにした貴方が 私の前で息を切らす
スーツに浮かぶ濃い斑点 貴方が急いで来た証
汗か雨か分からない雫を 私はハンカチで拭う

元気そうね 安心した
声やメールじゃ分からない 本当の貴方
前に会ったのは 雪降る中だった
会う度に季節は変わる 町の様子も変わる

だけど 今日は 違うのよね
この前の電話で確認したものね 私の指輪のサイズ
貴方が差し出した小さな箱
春雨の中 貴方と私は 一つの大きな階段を上る・・・。

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