【単独制作作品No.62 一つの望み】

Written by Moonstone

お前は今 何を望む?

突然私の前に現れた男は唐突に尋ねる
純白のローブに身を包み 純白の羽を広げる様は
まさに天使
その男はそれ以上何をするでもなく
ただじっと私を見詰める

お前は今 何を望む?

男の再度の問いかけで 私の意識が輪郭を取り戻す
私が望むこと それは・・・たった一つ
私は意を決し 懐から古ぼけた写真を取り出す
肌身離さず持ち歩いているその写真を 男に見せる

彼女の至上の幸せを望む

・・・彼女はお前と一緒になれない
彼女の至上の幸せを望む
お前は彼女を見守るしかない
彼女の至上の幸せを望む
己が関わらずしても尚望むのか?
彼女の至上の幸せを望む

・・・良かろう

一瞬の閃光と承諾の一言を残して男は消えた
何故あの男が私の前に現れたのかは分からない
選ばれたのか 気まぐれなのか
でも 私の望みは受け入れられた
彼女には至上の幸せが齎されるだろう

私は写真を見る
彼女への想いと記憶を封じた たった一つの記録
譬え私が関われずとも 譬え見守るのみだとしても
彼女が幸せになるのなら それで良い

見守ることも 一つの愛の形
私は そう 信じてる

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