【単独制作作品No.61 空虚】

Written by Moonstone

乾いた甲高い音が宙に舞う
その音が空しく心にこだまする
何度目か分からぬ酒を飲み干し
床に投げつけたコップの断末魔

私 来月 結婚するの
・・・え?
貴方よりずっとハンサムで背が高くて
・・・
収入も多い エリート
・・・じゃあ 俺は・・・
気持ちだけじゃ生きていけないからね
・・・そうかよ・・・

想いが届いて心躍った
毎日が楽しくて仕方なかった
苦心して選んだプレゼントを贈った
会うことそのものが楽しかった

音を立てて崩れ去った思い出
廃墟に冷たい雨が降り注ぐ
糸を切られたパペットは
出鱈目な姿で横たわるのみ

遊ばれていた 弄ばれていた
悔しくて 悲しくて
走り去るのが精一杯だった
家に篭ってありったけの酒を飲む

もう酒を飲む気力も消え失せた
支えを無くした身体を机に伏し
消え行く意識の中で酒瓶を見る

空っぽの瓶 そこには何もない
空っぽの心 風と雨が荒れ狂う
新たな芽が出てくることはないだろう
・・・それで良い

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