【単独制作作品No.54 切れてなかった赤い糸】

Written by Moonstone

きっかけは些細なことだった
普段ならさらりと流せることだった
なのに昼間道端で大喧嘩 挙句の果てには平手打ち
彼の頬を叩いた手が痛い 胸はもっと痛い

「あんたなんか 大嫌い!」
どうしてあんなことを口走ったのか
言いたくなかった 言わなきゃ良かった
沸き立つ暗雲を放ったこの口が憎い

私だけしか居ない部屋が 今日は余計に肌寒い
電灯がやけに眩しい 静まり返った一人部屋
溜息ばかり吐いていた私の耳にコール音
重い手を動かして受話器を耳へと持っていく

「今日は・・・御免 悪かった」
私が言うべき筈の一言が うっすら耳に流れ込む
瞼が熱い 胸の痛みが消えていく
電話の向こうの彼に返す言葉が震えてる

赤い糸は切れてなかった 彼は切らなかった
もっと太くしよう 今度は私から

「今から・・・会ってくれる?」
「何時もの場所で・・・待ってるよ」

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