【単独制作作品No.52 黒冬と私】 Written by Moonstone
どんなに厚着をしていても 身体の芯から冷えてくる 冷たい風が私の温もりを奪っていく 全てを沈黙へ誘(いさな)うこの風は 黒を冠する季節に相応しい 私は首をすぼめて家路を急ぐ ドアを開けて中に入る 急いでドアを閉める お帰り、の声はない 明かりも温もりもない 寒さと暗さは外気と何ら変わらない せいぜい風がないくらいか この季節は独りが際立つ 暖房器具を動かす 明かりを灯す 明るくはなったが 暖まるまでには時間がかかる 手洗いとうがいをする水が 外の風と同じように肌に痛い 厚着のままで 私は凍えながら食事をする 温かい食事が恋しい ようやく暖かくなってきた だが衣を多少薄くする程度 外の冷気は 何処まで私について回る気か 温かい食事でも暖房でも この冷気を完全には打ち消せない 何かが足りない それは何か分かっている だが私は あえて分からないふりを続ける また心が凍える気分を味わうだけに決まってるから |
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