【単独制作作品No.43 水よ、ありがとう】

Written by Moonstone

湧き水を両手で掬う。それは冷たく、清らかだ
彷徨うような長い旅の末、水筒の水は尽きていた
喉の乾きはとうに限界に達していた
染み出す唾を口に溜め、口と喉の渇きを誤魔化してきた

そこに現れた湧き水
岩の隙間から絶え間なく溢れ出すそれは
音もなく真下の地面に穴を穿っていた
それが源流となり、小さな清流を生み出していた

湧き水を口に含む
凛とした冷たさが口いっぱいに広がる
潤いを渇望していた喉に流し込む。
干からびていた喉が一気に潤される

美味い。本当に美味い
水がこんなに美味いと感じたのは初めてだ
水は潤いと同時にこれ以上ない充足感を与えてくれる
感涙が湧き出すのを感じ、暫し深い感慨に浸る

がむしゃらに水を掬っては飲む
透明な大地の恵みは、心まで潤してくれるような気がする

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