【単独制作作品No.24 聖夜への喧伝を他所に】

Written by Moonstone

肌を包む空気が熱気から消えてくるようになると、
世間ではそれに反比例して「人恋しさ」が喧伝される。
空気が冷気を多分に含み、聖者の誕生を祝う時期になると、
「人恋しさ」の喧伝は「恋人欲しさ」へと変貌する。

私は一人生計を立てるようになって以来、この時期は何時も一人だ。
私が一人近場の食堂で夕食を食べたと言ったら、この時期にそれはないだろう、と
笑い者になったこともある。
だが、この時期に恋人は必ず必要なものなのだろうか?
恋人が居ないと空しいものだろうか?
ひと時の喧伝に乗って恋人とやらを作ることの方が、余程空しいのではなかろうか?

今年も私はこの時期を一人で迎える。
そしてこれまでと同じく、適当な店で一人食事を食べ、一人ケーキを食すつもりだ。
私はそれを空しいとは思わない。これまで一度もそう思ったことはない。
一人気ままに、自分の手を煩わすことなく食すのは、気楽で良い。

そう思うのは、私が孤独を愛するが故かもしれない。
癒えた筈の過去の傷を回想してしまうが故かもしれない。
何にせよ、世間の喧伝に乗って慌てふためくことはしない。
聖夜とやらを一人で迎え、近付く新しい年の足音を聞くのみだ。

そういう過ごし方も、あって良い筈だ。
私は何時も、そう思う。

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