【単独制作作品No.21 闇に消えたい】

Written by Moonstone

彼は生に疲れ果てていた。生命の保持を。存在の継続を。
彼は死を切望していた。生命の終焉を。存在の消滅を。
だが、どんな自殺の手段も彼は選択出来ないでいた。
彼が欲しかったのは死という結果だけであり、過程は欲しくなかった。

ある夜、褥に身体を横たえた彼は天井を眺めていた。
静寂が立ち込める闇を眺めるうち、彼はふと思った。

このまま闇に消えてしまえれば、どんなに楽だろう。

消えたいか? ・・・え?
消えたいか? 誰だ?
消えたいか? ・・・ああ。

朝の陽光に照らされた褥に、彼の姿はなかった。
闇の消滅と共に彼も消滅した。消えることを望んだ彼は消えた。
彼は結果だけを手にすることが出来たのだろうか?
彼が消えた今、誰もそれを知ることは出来ない。
しかし結果を手に入れた彼には、もはやどうでも良いことだろう・・・。

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