【単独制作作品No.6 秋雨に濡れて】

Written by Moonstone

秋雨に濡れて歩く。秋の空は変わりやすいことを忘れていた。
そしてその変化は私の事情などまったく考えてはくれない。
人の心と同じように・・・。昔の人は良く言ったものだ。

ふと空を見上げる。
灰色の平たい雲が低く垂れ込め、冷たい雫を斑なく零し続けている。
何か悲しいのか・・・?それとも物思いに耽っているのか・・・?
空は何も語ることなく、ただ季節の色合いの移り変わりを雨に乗せて伝える。

一雨毎に外の空気は冷気を強め、白から黒へと季節は変わる。
その移り変わりは段階的にして滑らか。
人々の服も長袖に厚みを増し、木々の色は色彩を豊かにして
やがては地面を敷き詰める色材となる。

帰ろう・・・我が家へ。誰が待っているわけでもないが。
せめてこの身に染みる冷たい雨を凌ぐことは出来る。
どうして秋雨はこうも冷たいのだろう・・・?
やがて訪れる黒き季節の前準備のつもりなのだろうか・・・?

何を思っても、空は何も語ってはくれない・・・。

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