Saint Guardians Side Story
Vol.1 移り行く感情(こころ)〜ある少女の場合〜
-Moving emotion 〜The case of a girl〜-
Act 1 達人二人の出会い
written by Moonstone
リーナが何者かに−恐らくはこれまでの兵士達とは別格の特殊部隊−に攫われて早2日。
装備の点検、食料品や医薬品の詰め込みを終えたアレン、フィリア、そしてドルフィンの三人は、アレンの父ジルムとリーナが囚われているであろう
首都ナルビアへ向けて旅立つのみとなった。
朝日が目指す場所であるナルビアの方向から黄金色の光を覗かせ始めた頃、自室の壁に凭れて俯いていたドルフィンが目を開ける。
顔を上げてベッドを見ると、アレンとフィリアが心地良い寝息を立てている。
昨日までの出発の準備で相当疲れたのか、これまでの習慣で朝が早いアレンも起きる気配はない。
リーナは一人になった時、突然の襲撃に遭って拉致された。
自分の持つ剣が父親の拉致の鍵を握ると推測されるアレンも、何時同じ事態に遭遇するとも判らない。
アレンを誘い出す為にフィリアに矛先を向けて来るかもしれない。
ドルフィンはリーナ拉致の教訓と今後予想される最悪の事態を考え、自室に二人を寝かせることにしたのである。
もっともフィリアは、そんな思慮を知ってか知らずか、アレンと一緒に寝られるということで随分浮かれていたが。
カーテンは背後からほんのりと後光のように輝き、中央の隙間からまだ輪郭の不明瞭な光が差し込んで来ている。
どうやら今日は、暑い一日になりそうだ。
ドルフィンは左手で握っていた愛用の剣を持って静かに立ち上がると、空いた右手を窓の方に翳して囁くように言う。
「オーディン。」
青白い炎に包まれた、八本足の馬に跨った長い槍を持った騎士が姿を現すと、ドルフィンはやはり声量を落として命令する。
「この部屋への侵入者は問答無用で排除しろ。殺しても構わん。」
「承知いたしました。」
オーディンが返答すると、ドルフィンは剣を持って音を立てないように部屋を出る。
人気のない、微かに揺らめくランプの灯火に照らされた廊下をドルフィンは歩く。
程なく辿り着いたのは、他ならぬリーナの部屋である。
リーナの悲痛な叫びを聞きつけて駆けつけ、蹴破ったドアは片付けられたが、破片がまだ入口付近に散らばっている。
ドルフィンの表情に影が差す。
実の妹のように可愛がって来たリーナが、まさしく一瞬の隙を突いて攫われてしまった。
表面にこそ出さないが、そのショックで生じた心の穴は大きく、深い。
ドルフィンはそこの足を踏み入れる。
あの時侵入者に破られた窓はまだ直されておらず、閉じられたカーテンが微かに揺らめいている。
本棚にぎっしりと並んだ薬剤師関係の専門書。壁にかけられた多数の色とりどりの洋服。あちこちに置かれた大小様々な縫いぐるみ。
僅かに残る侵入の痕跡と主が居ないことを除けば、そこは何度か訪ねたことのあるリーナの部屋そのままである。
ドルフィンは机の隅に置かれた描写立てを手に取って見る。
そこには、椅子に腰掛けたフィーグを中央に、その後ろにドルフィンとリーナが写っている。
リーナは、フィーグの背後に位置するドルフィンの左腕に自分の腕を絡めて、嬉しそうに笑っている。
その素朴な笑顔を見たら、殊更いがみ合うフィリアが見たらどんな顔をするだろうか。
本当は単に並んで写る筈だったのだが、リーナがいきなり腕を絡めて来たことが思い出される。
「・・・あれから、もう3年経つのか・・・。」
ドルフィンが呟く。
その呟きに呼応して、時の流れに浮かぶ記憶の笹舟が次々とドルフィンの脳裏に浮かび上がって来る・・・。
暗闇に覆われていた視界に、徐々に霞みがかった部屋の風景が現れる。
霞が消えて視界が広がって来ると、不安げにこちらを見る眼鏡をかけた若い女性の顔が映る。
「シーナ?!」
ドルフィンが目をばっと開けて起き上がろうとするが、全身に走る激しい痛みに思わず顔を顰める。
女性は首を横に振って宥めるように言う。
「動かないで下さい。まだ傷が完全に塞がってないんですから。」
「・・・此処は?」
「言葉は通じるんですね?此処はナルビアの宿屋の一室です。」
「ナルビア・・・。確か、レクス王国の首都・・・。」
「ええ。でも良かった。先生の発見が遅かったら助からなかったかも知れませんよ。」
ドルフィンは痛む右手を動かして、布団の裾を少し捲る。
胸を包むように包帯が巻かれ、その彼方此方に微かに赤い染みが浮かんでいる。
布団を捲った腕にも、しっかりと包帯が巻かれている。
「さっき先生とか言ったが・・・その人は?」
「今、別室で薬草の調合をされてると思います。」
「君は?」
「私は先生の下で、薬剤師の勉強をしている学生なんです。先生のお供でこの町に来てるんです。」
女性がドルフィンの問いに答え終わると同時にドアがノックされる。
女性が応答するとドアが開き、少し白髪混じりの男性が手に茶褐色の薬瓶を幾つか持って入って来た。
ドルフィンが目を開けて自分の方を見ていることに気付くと、その男性は安堵の溜め息を吐いてベッドの脇に歩み寄る。
「気が付いたかね。・・・ああ、言葉は大丈夫かな?」
「大丈夫です。フリシェ語は話せます。」
「そうか。しかし助かって何よりだ。全身大火傷に無数の裂傷。そして脱水症状に衰弱。息があったのが不思議なくらいだよ。」
「私は・・・何処に?」
「海岸の岩場に打ち上げられていたよ。此処数日海がかなり荒れたから、サンゼット湾にまで海流が流れ込んだんだろう。
そうでなかったら、今頃君は大海原に沈んでいたと思うよ。」
「・・・。」
「しかし君には驚いたよ。その生命力の高さは勿論だが、傷がじわじわと塞がっていたからな。初めて目にするが・・・それが自己再生能力1)(セルフ・リカバリー)かい?」
「はい。」
「栄養剤を数回投与して体力が回復したら、傷の回復がさらに早くなった。この分だと3日もあれば回復するだろう。君、これを頼むよ。」
男性は持っていた薬瓶を女性に手渡す。
「私はこれから薬草の仕入れと購入レートの交渉に行くから、失礼させてもらうよ。何かあったら彼女に言ってくれ。」
「ありがとうございます。」
「なあに、礼には及ばんよ。困った時はお互い様だ。それに、負傷者を目の前にして放っておくようでは、薬剤師である前に人として失格だよ。」
男性は笑みを浮かべて部屋を出ていく。
女性が受け取った薬瓶のうちの一つの蓋を開け、少し茶褐色を帯びた粉を薬包紙に計量スプーンで二杯分取り出す。
そしてベッドの脇の小さな棚に置かれていた水差しでコップに水を汲む。
「それは…?」
「栄養剤ですよ。ちょっと苦いですけど我慢して下さいね。」
女性が粉を零さないように、注意深く薬包紙を両手で持つ。
飲ませようとしていると判断したドルフィンは、やんわりと拒否する。
「いや…。自分で飲めるから。」
「安静にしてないと駄目ですよ。まだ傷は塞がってないですし、起き上がる体力もまだ備わってない筈です。」
女性の言う通り、針で突つかれているような痛みに加えて重い倦怠感が全身を包んでいる。
先程も腕を動かすのもやっとだったというのが本当のところだ。
余程の重傷と衰弱だったという男性の言葉を、ドルフィンは身を持って実感した。
「意識がない間もちゃんと飲んでもらってましたから、大丈夫ですよ。」
「…君が?」
「ええ。」
ドルフィンは観念したように小さく溜め息を吐くと、眼を閉じて口を開ける。
女性はドルフィンの後頭部に手を回して少し持ち上げ、その口に薬包紙の粉を流し込む。
さらさらと音を立てて注がれて来る粉は、複数の特徴ある薬草の匂いと苦みを瞬く間に口いっぱいに広げる。
女性は続いて水の入ったコップを取ってドルフィンの口に流し込む。
唾液と混じって嫌な粉っぽさが水に溶け込んだのを確認して、ドルフィンはぐっと薬を飲み込む。
独特の匂いと苦みがまだ少し口に残っている。
それが皮肉にも、ドルフィンに生きていることを実感させる。
「…助かったんだな…俺は…。」
ドルフィンの呟きに、女性は微笑みで答える。
あまり味わいたくない感覚である苦みや痛みも、生きているからこそ味わえるものなのだ。
それから数日後、ドルフィンはフィーグというその薬剤師の男性と付き添いの女性と共に、ミルマへ向かう馬車の中に居た。
フィーグの家と店は、仕入れがし易いナルビアではなく、ミルマにあるということだ。
ミルマはレクス王国最大の都市であるが地理的に南北を険しい山脈に挟まれた、関所のような位置にある。
敢えてそこに店を置くことで、ナルビアでの仕入れだけではなく、西の方からも仕入れるためだという。
薬草の量や種類は豊富だが、関税や手数料などで高額になりがちなナルビアでの仕入れと違い、西の方からの仕入れは量や種類こそナルビアに比較して少ないが、
かなり安価で入手することが出来るという。
ドルゴではなく馬車を用いるあたり、相当裕福であることが窺い知れるが、学生を預かっている身だからねとフィーグは笑って言う。
フィーグの言う通り、ドルフィンの全身に隈なく刻まれた傷は体力の回復に伴って急速に塞がっていき、現在ではほぼ完治していた。
ただ、骨折や内臓損傷の可能性もあるということで、設備も整っているフィーグの家で静養することを勧められたのだ。
動けるようになった以上直ぐにでもナルビアを発ちたいとドルフィンは思っていたが、自分の命を救ってくれたフィーグらの勧めを無下にするのは気が引けたのか、
その勧めに甘えることにした。
舗装などある筈のない、獣道に毛が生えたような街道を進む馬車の揺れは割と激しく、慣れない人間が乗ると酔ってしまうこともある。
その中で、フィーグは向かい合って座るドルフィンと会話していた。
海岸に打ち上げられていたという状況から何か重大な事情があると察したのか、フィーグはドルフィンが何処から来たとか、
どうしてあんな重傷を負っていたのかということには一切触れず、話題は当たり障りのないものだった。
その中でドルフィンが18歳なのに対してフィーグは36歳であると双方が知った。
丁度倍の年齢差である。
突然、馬車が急停止する。
異変だと察したドルフィンはすぐさま傍らの剣を手に取る。
「た、大変です!盗賊です!かなりの数です!」
御者が小窓を開けて、一行に事態の急を告げる。
街道を進む途中で魔物や盗賊に遭遇することは、何ら珍しいことではない。
勿論、フィーグも傭兵を複数雇って馬車を護衛させている。
しかし、盗賊は数十名の大軍である。如何に戦いのプロである傭兵でも数の差は容易に埋められるものではない。
ドルフィンは出入り口のドアにある小窓から外の様子を窺う。
明らかに盗賊の方が優勢である。
傭兵は腕こそそれなりに確かだが、数の差を埋められるほどではない。
傭兵の迎撃をすり抜けた者が、徐々に馬車の方へ迫ってきている。
傭兵はそれを食い止めようとするが、自分が相手をする分で精一杯のようだ。
ドルフィンは剣を持ってドアの取ってに手をかける。
すぐさまフィーグがそれを止める。
「駄目だ!奴等の前に出てはならん!殺されるぞ!装甲の厚いこの馬車でじっとやり過ごすんだ!」
「・・・任せて下さい。」
フィーグの制止を振り切って、ドルフィンはドアを開けて馬車の外へ出る。
盗賊の集団が、馬車から20メール程にまで迫っている。
気勢を上げながら突進してくる盗賊達は、馬車の外に立っている人影を見つけて気勢を上げる。
人を殺し、物を奪うのが盗賊の常套手段である。
まずは、手頃な標的を血祭りに上げるつもりなのだろう。
一般人のみならず、歴戦を潜り抜けた傭兵でも尻込みするような集団の突進に対して、ドルフィンは平然としている。
それどころか、剣を抜いて身構えることすらしない。
小窓から様子を窺っていたフィーグは、どうぞ襲って下さいと言わんばかりのドルフィンを見て、思わず声を張り上げる。
「君!何をしているんだ!奴等はもうそこまで来ているぞ!」
だが、ドルフィンは剣こそ抜いたが、全く身構える様子はない。
そうこうしているうちに、集団はドルフィン目掛けて目の色を変えて突進してくる。
盗賊として日陰の暮らしを送らざるをえない日頃の鬱憤を暴力に変えることで発散しているのだ。
その勢いは殺戮と略奪という共通の目的で統一されているだけに、迷いは見られない。
ドルフィンの瞳が俄かに鋭くなる。
歓声すら上げながら剣を振り上げて襲い掛かってくる盗賊を間近にしても尚、ドルフィンは身構えない。
自分との距離が2メール程になったところで、剣を持ったドルフィンの右腕が一瞬消える。
再び腕が見えるようになると同時に、数人の盗賊が縦や斜めに胴体を二分して前のめりに倒れていく。
一斉に飛び掛かろうとした盗賊達は、突然仲間が殺られたことで思わずその足を止める。
ドルフィンは剣を持って立ったまま、一歩も動いてはいない。
だが、確かにドルフィンの腕が消えて再び現れた直後、数人の盗賊が一撃で仕留められたのだ。
「な、何だこいつ・・・?!」
「気を付けろ!何か飛び道具のようなものを持ってやがるぞ!」
「魔法か・・・?」
「否、違う。俺も少しは魔法を齧ったことがあるが、魔法反応は全く無かったぞ。」
盗賊は隙を見て一斉に攻撃を仕掛けようと目論む。
しかし、ドルフィンは最初から身構える様子もなく、隙だらけである。
数人が目配せして小さく頷く。
と同時に、その数人が一斉にドルフィン目掛けて襲い掛かる。
ドルフィンは右手の剣を、羽根でも振り回すように物凄い速さで大きく横に振る。
すると、ドルフィンに剣が届くより前に、盗賊達の胴体が上下に二分されて草叢に投げ出される。
盗賊達は勿論、様子を窺っていたフィーグも呆然となる。
剣を振るだけで触れずして数人を一撃で仕留めたドルフィンに、只ならぬものを感じずにはいられない。
「・・・まあまあだな。」
ドルフィンは別段勝ち誇ることもない。試し切りで久しぶりに振るう剣の感触を確かめているような雰囲気だ。
その平然とした態度が余計に盗賊達の怒りと恐れを増幅させる。
剣士崩れや逃亡した犯罪者が多い盗賊達は、同じ境遇同士であるせいかその結束は固く、仲間を無残に殺された怒りは嫌でも激しくなる。
しかし、得体の知れない技を持つ目の前の男−それも若者−に対して、怒りを上回る恐怖が湧き起こってくる。
人の形を取った魔物。
そんな表現すら相応しい、今まであったことのない強大な相手を前に、盗賊達はじりっと後ずさりする。
自分達より弱い対象を狙うのが常套手段であり、強い対象に対してはその気勢も萎えるというものだ。
だが、馬車の獲物は相当の戦利品を期待出来る。
それをむざむざ捨てるわけにはいかない。それこそ、譬え仲間の屍を乗り越えてでも手に入れる価値があるのだ。
盗賊達は何度か目配せをすると、一斉に全員でドルフィンに襲い掛かる。
ドルフィンは剣を持ったまま、何と盗賊達に向かって歩いていく。
ドルフィンの剣が上下に左右に唸ると、瞬く間に盗賊が数人ずつ一まとめに倒されていく。
そして、左右や背後に回り込んだ盗賊に対して、ドルフィンの蹴りが繰り出される。
反射的に身構えて受けた者も、腕ごと頭を吹き飛ばされて草叢に叩き付けられていく。
ドルフィンが前に進む様子は、鬱蒼と生い茂る草木をなぎ倒しながら進む冒険家さながらである。
数の差などものともしないドルフィンの前に、盗賊の集団は全て草叢に自ら血の海を作って浮かんだ。
信じ難い光景に、一部始終を見ていたフィーグは声も出ない。
傭兵を振り切ったらしい残りの集団が、続々と馬車目掛けて襲い掛かってくる。
だが、剣を持った男の周囲にばら蒔かれた仲間の死体を目にして、彼らは思わず足を止める。
状況から判断して、男が倒したようだ。だが、これだけの集団を一人で・・・?
俄かには信じられないが、それでも不思議はないと感じさせる何かを、盗賊は男からびりびりと感じる。
数メールの距離まで迫ったものの手を出しあぐむ盗賊達に、ドルフィンがゆっくりとした動作で剣先を向ける。
盗賊達はそれだけで体をびくっと震わし、中には後ずさりするものも居る。
野に下り、野で生きる盗賊達だからこそ感じることが出来る野生の感とも言うべきものが、彼らの意識に訴えているのだろう。
この男と戦えば、待っているのは確実な死である、と。
ドルフィンが一歩、また一歩と盗賊の方へ歩を進めていくと、盗賊達は距離を広げるようにどんどん後退する。
既に逃げ腰になっていた盗賊達は、やがて身体の向きを反転させて一斉に逃げ出した。
ドルフィンは逃げていく盗賊達の後ろ姿が見えなくなるまでじっと見詰めていた。
完全に見えなくなって暫くしてから、ようやく剣を鞘に納めて馬車へ戻る。
一旦逃げた振りをして油断したところで再び襲って来ることも珍しくないので、確認していたというところか。
「もう大丈夫でしょう。」
「・・・あ、ああ。そ、そうかね・・・。」
「また奴等が来るかもしれません。夜の方がもっと危険ですから注意しましょう。」
驚きで相槌を打つことが精一杯のフィーグに対して、ドルフィンは至って平然としているばかりか、その後のことにも思索を巡らせている。
戦いが生活であり、時に戦うことが生きる目的とする者も居る傭兵や兵士が陥り易い、強者であるという思い込みに基づく驕りはないようだ。
確かな技量と同時に、それを制御する精神も身に付けたことを窺わせる。
座席後ろの小部屋に退避していた御者が、恐る恐る顔を出す。
何時まで経っても槍や矢が叩き付けられる音がしてこないので、大部分の疑問と僅かな期待を抱いて様子を見る為である。
二つに分かれて散らばる盗賊の多数の遺体を目にして、疑問と期待の割合が一気に逆転する。
「や、奴等はもしかして・・・?」
「一先ずは追い払った。日が落ちる前に最寄りの町に入るか、安全に野宿できる場所まで早急に移動した方が良い。」
「は、はい。」
御者は小部屋から出て手綱を握る。
ドルフィンはフィーグが開けたドアから再び馬車に乗り込み、元の位置に座る。
全く息が上がっていないドルフィンに、先程までに見せた人間離れした戦いを思わせるものはない。
これでまだ回復しきっていないとしたら、全力を出したらどれほどのものになるのだろう?
それほどの力を持ちながら、瀕死の重傷を負って打ち上げられていたのは何故だろうか?
フィーグは目の前の青年に、驚異よりむしろ興味を感じていた。
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