Saint Guardians

Scene 9 Act 2-3 深淵-Abyss- 少女の心の変遷

written by Moonstone

 フォンとロムノを交えての情報交換と今後の行動方針の打ち合わせは終わった。ドルフィンとシーナは居室に、リーナは実験室に、イアソンとクリスは専用
酒場に居る。フィリアはイアソンにシェンデラルド王国への潜入に向けての打ち合わせと誘われ、専用酒場に赴いている。ドルフィンと杯を酌み交わせるほど
酒に馴染んでいるイアソンや、2つも3つも肝臓があるのではないかと疑ってしまうクリスほどではないが酒を嗜めるフィリアは、「美味い酒もあるで」という
クリスの補足もあって、イアソンの誘いに応じた。フィリアはまだセレブレーションを迎えていない未成年だから、本来なら飲酒は出来ない。だが、パーティーの
面々以外には年齢を明かしていないし、ランディブルド王国の法律も外来者、しかも一等貴族当主が上客として事実上無期限の滞在許可を与えている客の
一等貴族当主の邸宅内での行動にまでは及ばない。
 専用酒場に向かう前に、フィリアが目下最大の懸念を生み出す元凶に念入りに釘を刺したことは言うまでもない。言うまでもなかろうが、元凶とはルイだ。
一等貴族当主のフォンが国軍の幹部会と役所にシェンデラルド王国への入国許可を申請すると約束したから余計に、今更前言撤回などと無責任なことは
出来ない。しかし、心理的距離が急接近しているのは間違いないアレンとルイ、特に当人は意識していないようだが意外にもかなり恋愛に積極的で
したたかな側面を持つルイを野放しにしておくことは、フィリアにとってもう1つの旅の目的、すなわちアレンとの距離を縮めることを達成するどころの話では
なくなる危険性が高い。
 酒が入れば本音が出やすくなるのは、時代や世界が違えどもさほど変わりはない。専用酒場で最初に出されたカーム酒を一気に飲み干したフィリアは、
早速ルイを泥棒猫呼ばわりしたのを皮切りに強く批判し始める。シェンデラルド王国への潜入に向けた打ち合わせそっちのけで、ルイへの批判に加えて
自分のアプローチを受け入れなかったアレンの鈍さへの愚痴を垂れ流すフィリアを、イアソンは懸命に宥める。クリスも一応イアソンに加勢するが、アレンと
ルイの接近を好意的に受け止めているのもあるし、もう手遅れだろうと内心思っている。

 フィリアに釘を刺された当のルイは、1人で2階のテラスに居る。微風に銀の長い髪をなびかせてテラスの柵に両手を置くルイの表情は重い。
ルイは、フォンとロムノを交えての情報交換と打ち合わせが終わった直後に、ロムノから国王と国の中央教会総長との謁見の話を持ち出された。
フォンが両者に根回ししてのことではなく、両者直々にフォンに依頼があったとロムノは言っていたが、フォンに対して激しい怒りと強い不信感を抱いている
ルイは、ロムノの説明を額面どおりに受け入れられず、返答を保留して退室した。
 執務室に入ってから出るまで、ルイはフォンと一度も目を合わせていない。合わせようともしなかった。これから自分はどうすれば良いか分からず混濁した
思いを抱え、ルイは独り考え悩む。アレンに相談を持ちかけようとは思ったが、これ以上私情に巻き込みたくないと見合わせた。ルイは無言で思案の迷宮を
彷徨い続ける。出口どころか自分の近くさえ満足に見えない迷宮を独りで彷徨うのは過酷だ。しかし、自分の悩みや苦しみは自分で解決なり処理するものと
いう意識が根強く存在し続けるルイには、誰かに相談を持ちかけるという選択肢が容易に前面に出ない。

「ルイさん。」

 ルイは呼びかけに振り向く。入浴はまだらしく着替えていないアレンを見て、ルイは少し表情を明るくする。

「隣・・・良いかな?」
「はい。」

 振り向いたルイの表情が重かったことで遠慮気味のアレンの申し出を、ルイは快諾する。長年の親友であるクリスにさえ明かせなかった出自を明かした
唯一の存在であるアレンなら、隣に居られるだけで苦悩の迷宮に光が差すように思える。
 硬い表情で執務室を出て、執務室へ繋がる廊下のドアの向こう側に出たところでイアソンに専用酒場に誘われて応じたフィリアに釘を刺された際、硬い
表情のまま無言に徹したルイが気になって、アレンはフィリアの影と視線が届かなくなったのを確認してからルイを探していた。メイドの1人から2階のテラスに
居たという目撃情報を得てルイを発見したところまでは良かったが、ルイの後姿があまりにも寂しげで悲しげだった上に、振り向いた直後の表情が重いもの
だったことで、アレンは出しゃばりが過ぎたかと悔やむ。申し出を快諾したのも無理をしているんだろうと思うと、アレンはルイに気を遣わせて申し訳なく思う。

「ロムノさんから言われたこと・・・考えてたの?」
「はい・・・。」

 暫しの沈黙を破ったアレンの問いに、ルイは短く答える。期せずしてアレンと2人きりになれたのは嬉しいが、ろくに当てもないまま苦悩の迷宮を彷徨う
自分にアレンを巻き込んだことを、ルイは申し訳なく思う。
 ルイがロムノの説明を言葉どおりに受け止められなかったのは、リルバン家に滞在したまま国王と国の中央教会総長に謁見することで、リルバン家次期後継
候補への既定路線が固められてしまうことを強く警戒したためだ。ルイは一等貴族当主の地位に何らの執着も未練もない。叔父であるホークが存命して
いたらホークに継承してもらって良かったし、今後自分の異母兄弟が現れれば、何の躊躇いもなく何も見返りを要求することなく当主継承を委ねるつもりで
居る。なのに、自分にリルバン家次期当主の座を譲ろうと策を巡らせていると思わせることが、フォンやロムノの意向とは裏腹にルイの怒りと不信感を強めて
いる。

「ルイさんは、どうしたいの?」
「え・・・。どうしたい、と言いますと?」
「ルイさんは国王と国の中央教会の総長に謁見したいのかどうか、ってこと。」
「・・・謁見させていただけるのなら・・・させていただきたいとは思います。」

 リルバン家次期当主への既定路線が固められることには強く警戒しているが、国王と国の中央教会総長との謁見そのものには前向きだ。
ランディブルド王国の頂点に君臨する国王に謁見出来る機会はそうそうない。将来有望な若手聖職者と認識されているらしいが、一介の司教補に過ぎない
自分が国のもう1つの頂点である国の中央教会総長に謁見出来る機会はやはりそうそうない。その2つの頂点から直々にフォンを介する形で自身との面会を
求められたことは、非常に光栄だ。
 特に国の中央教会総長は、正規の聖職者なら一生に一度は謁見したい存在。国の中央教会総長は国王一族の宗教顧問23)の他、王国議会議員、全国の
聖職者の勤務状況と待遇の把握と待遇是正の是非の判断など多忙を極めるから、謁見を申し出ても数ヶ月待ちで済めば良い方で、スケジュールの見通しが
立たないから不可能、と窓口である国の中央教会総務部に門前払いされる場合の方が多い。そんな存在が地方の一聖職者である自分との面会を求めて
いるのだから、応じないのは傲慢不遜と全国の正規の聖職者どころか国民全体から非難の集中砲火を浴びても致し方ない。

「国王陛下もそうですが、国の中央教会の総長様と謁見出来る機会は滅多にないことですし・・・。」
「それなら・・・、謁見の申し出に応じても良いんじゃない?」
「・・・それは・・・。」
「リルバン家次期当主継承とは絡めないで、1人の国民として、1人の聖職者として謁見すれば良いんじゃないかな。」

 躊躇ったルイに、アレンは改めて謁見したいという希望を実現させる方向を提起する。

「ロムノさんは、フォン当主が根回ししたんじゃなくて、相手方から直々に謁見の申し出があったから、って言ってた。けど、ルイさんがそれをそのまま信用
出来ないのは当然だと思う。だから、事前にリルバン家云々とは無関係ってことをフォン当主とロムノさんに念押ししてから、国王と国の中央教会の総長と
謁見すれば良いんじゃないかなって思うんだ。」
「・・・。」
「例えばだけど・・・、もし謁見にリルバン家の問題を絡めてきたら問答無用で此処を出て以後連絡は一切取らない、必要ならこの国を出る、とか・・・交換
条件を出すって言うのかな・・・。そういう強い態度に出ても良いと思うよ。謁見することでルイさんのリルバン家次期当主継承に向けた既成事実を作ろうと
するのは卑怯だし、そんな条件には一切応じない、ってルイさんも強く言って良いと思う。」

 駆け引きを含むアレンの提案は取り立てて珍しい性質のものではない。諜報能力に秀でたイアソンでなくても思いつくレベルだ。しかし、ロムノからの
話をリルバン家継承と絡めて考えていたルイには斬新な切り口だ。
 ルイが5歳という物心付いて程ない頃から正規の聖職者への道に踏み込んだことは何度も述べた。我々の世界では当然のことながら児童労働に該当
するが、この世界では児童労働の概念が一般でない。それにランディブルド王国ではキャミール教の精神が至高の模範と位置付けられているから、幼年期
から正規の聖職者になることは法的にも禁止されていないし、熱心な信者の間では称賛さえされる。もっとも修行はやはり前述のとおり大人でさえ2/3は
1年もたずに脱落するほどの厳しさだから、辛抱や忍耐が大人より未成熟な幼年期−昨今はそうでもない事例が目立つが−で継続する例は非常に稀だ。
伝統的に町全体で正規の聖職者を多数養成しているフィルの町でも、幼年期から修行を継続している者はごく少数派である。
 聖職者の称号全体で見れば高い方ではない司教補の段階でルイが、全国の教会関係者の注目を一身に浴びるのはそういう背景があるためだが、幼年期
から信仰一筋の生活を過ごして来たことは、ルイに駆け引きや取引といった人間関係の一面を体得する機会を与えなかった。神の教えを信じて他人の心の
幸福に寄与することやそのために常に自分を向上させる思考、簡潔に言えば「自分に厳しく他人に優しく」を徹底追求するキャミール教の精神が骨の髄まで
染み透った結果、自分の意思を優先させることを半ばタブー視させるようになったのだ。

「ルイさんは今までずっと誰かのために生きて来た。それはとても凄いことだと思うし、そもそも俺が凄いとか言えるレベルじゃないと思う。だから、少しくらい
自分のために生きても良いと思うんだ。」
「自分のため・・・ですか。」
「うん。誰がどう思うかとか自分がこうすることで誰かが困るんじゃないかとかより、ルイさんが今したいことを優先させるのを、ルイさん自身に許してあげて
良いと思う。」

 アレンの助言は当たり前のことではあるが、ルイのように何らかの事情で自我を極端に抑圧するよう常に意識を制御する「癖」がついた者には、当たり前で
なくなる。
 自我を常に前面に出し、あらゆる局面で自分の意志を押し通すのは単なる我が侭であり、無人島で1人生活するならまだしも多少なりとも他人と関わる
−買い物に行ってレジで清算する時にレジ担当の人と金銭のやり取りをすることも勿論含まれる−社会生活においては他人との軋轢を生むばかりで、瞬く
間に犯罪が絶えない社会になる。国家レベルに発展すれば世界大戦となり、核兵器が未だに何万発も存在する我々の世界では、何時地球上から全ての
生命が消滅するかを予想するなど誰でも予想出来る。そうならないようにする取り決めが個人レベルでは約束や我慢であり、社会レベルでは法律や道徳や
マナーであり、国家レベルでは各種条約や国連に代表される「緩やかな地球連邦政府構想」や集団安全保障の概念である。
 それらが重要なのは言うまでもない。しかし個人レベルで言うと、親が子どもを自分の言いなりにならないと気が済まないなどの理由で、子どもに自分の
理想を「躾」や「子どものため」と称して一方的に押し付けてばかりだと、子どもは常に親の顔色を気にするようになり、親が気に入るように行動しようと自我を
極端に抑圧するようになる。それは言い換えれば子どもにとって「常に自分が自分でない」状態であり、ひいては自分の意思を出すことを自分自身が許さない
ことに繋がる。
にもかかわらず、ある年齢に達したことなどを契機に「自分のことは自分で決めろ」と方針を180度転換しても、それまで親の言いなりにさせられることに
慣らされてきた子どもがいきなり自分の意思を出して行動出来る筈がない。子どもが出来ないで居ると今度は「いい歳して自分のことも自分で出来ないのか」となじられるのだから、子どもが当惑したり「今までと言うことが正反対」「自分で出来ないようにしておいて今更どうしろと言うんだ」と怒りを抱いても当然だ。
 この事例における親の行動、すなわち過干渉が極めて有害と指摘され、教育熱心な親を持つ成績優秀な「良い子」がある日いきなり殺人や放火など
「良い子」とは程遠い凶悪犯罪へと容易に突き進むのは、過干渉によって抑圧された自我が何かの拍子で暴発したためだ。「良い子」を持って安心している
親は、ある日突然子どもから絶縁されるなど「謀反」を起こされることを覚悟するか、早急にこれまでの自分の行いを全面的に謝罪して以降自分を戒めるかの
どちらかを選択すべきだと忠告しておく。

「自分自身に許す、ですか・・・。」
「今までずっと誰かのために生きて来たルイさんにとって、大袈裟かもしれないけど自分のために生きる方向に切り替えるのは直ぐには難しいと思う。でも、もう
ルイさんは自分のためにも生きて良いと思うんだ。」
「・・・。」
「・・・あ、御免ね。何だか偉そうなこと言っちゃって・・・。」

 ふと我に帰って、この国で下手な役人よりはるかに人望や知名度が高い正規の聖職者に出過ぎたことを言ったと思ったアレンは慌てて謝罪する。ルイは
静かに首を横に振る。

「母の遺志を全うした私は、これからどう生きるか考えるつもりで居ました。でも何時の間にか重要な役職に就く聖職者の考え方に戻っていました。そして
同時に、囚われまいと思っていた筈のリルバン家継承問題に囚われてしまってもいました。アレンさんの助言は、方角さえ決められずに自らを束縛して
立ち往生していた私を解放してくれて、貴重な羅針盤にもなりました。」
「ルイさん・・・。」
「・・・私は1人の国民として1人の聖職者として、国王陛下と国の中央教会の総長様に謁見させていただこうと思います。」

 アレンの助言を踏まえて考えを整理したルイは、自分の意志を再度抽出して国王と国の中央教会総長との謁見を次の方針に据えることを静かに宣言する。
アレンはルイが自分の意志で自分のために生きる選択肢を選べたことを嬉しく思い、微笑んで頷く。
 アレンは自分が提案した以上、ルイに依頼されればフォンとロムノにリルバン家継承問題を謁見に絡めないよう確約させる場に同席して、ルイを全面支援
するつもりでいる。自分とは比較にならない熾烈な時代を懸命に生き抜き、現在の地位と名声と信頼を掴み取ったルイの力になるには力不足かもしれないが、
自分が望まれれば最大限ルイの力になりたいと思う。

「アレンさんと出逢えて・・・、本当に良かったと改めて思います。」

 ルイはアレンを真っ直ぐ見つめて言う。2つの大きな茶色の瞳に、アレンは視線と意識を強く引き付けられる。

「オーディション本選が終わったら、フォン当主に母の形見の指輪を渡して村に戻るつもりでいました。でも、それすら考えが及ばずにフォン当主との面会
そのものを拒んでいた私を、アレンさんは母に代わって導いてくれました。そして今回も、従来の思考の枠を超えてこれから自分がどう生きるかを模索する
第一歩を踏み出す大きな手助けをしてくれました。アレンさんと出逢えたことは・・・、母を失って自分が歩む道を見失っていた私に神が齎してくれた最高の
機会です。」
「ルイさんが今まで一生懸命生きて来たことに、神様が報いてくれたんだよ。天国のお母さんと一緒に、ね。」
「改めて御礼を言わせてください。・・・アレンさん。本当にありがとうございます。」

 丁寧に一礼したルイは、アレンに身を寄せる。アレンは少し驚くが、想いを強める相手が身を寄せたことに胸の高鳴りと喜びを感じ、ルイの両肩にそっと
手をかけて自分に密着させる。やがてアレンの両腕はルイの背中に回り、ルイの両腕はアレンの背中に回り、優しく強く抱き締め合う。愛しさ溢れる抱擁は、
相手への想いを更に強める心地良い温もりも生じさせる。アレンはルイの柔らかさと弾力を、ルイはアレンの力強さと逞しさを全身で感じ、自然に目を閉じて
腕いっぱいに溢れる感触に浸る。こんな場面を見てアレンとルイの親密さを疑わない者は、認める認めないを別にしてまず居ないだろう。
 近くを通りがかった使用人やメイドは、2人の邪魔をしないようにそそくさをその場を後にする。2人を目撃した者の中には、リーナも含まれる。
2階に実験室を供与されているリーナは、長時間かかった薬草合成実験を終え、一息吐くために専用食堂に向かう途中で現場に差し掛かった。リーナは
しかし特段驚くこともなく、カップルの親密な様子を目撃した際によく見られる驚きや興味津々といった様子の使用人やメイドとは違って、何食わぬ顔で
立ち去った。
パーティーの面々がアレンとルイの接近に色合いは異なれど強い反応を示す中、自分に危害が及ばない限りリーナが他人にはとことん無関心なことには
何らの変わりもないようだ・・・。
 1週間後の7ジム。リルバン家の使用人とメイドがエントランスホールに集結する。使用人とメイドは玄関のドアから主要通路に沿って敷かれている真紅の
絨毯の両脇に整列する。少しして、奥から現れた人物を見て、使用人とメイドが一様に感嘆の声を上げる。ランディブルド王国で最上級の色とされている
薄い青紫を基調としたドレスと手袋、カチューシャを身に着け、髪の一部を同じく薄い青紫のリボンで後ろに纏めたルイは、資産の多さのみを尺度とする
「金持ち」ではない気品と風格を伴う上流階級の令嬢そのものだ。優に100人を超える送迎の列に緊張と当惑の色を隠せないルイの隣には、プラチナ24)
鍍金(めっき)されたハーフプレート一式25)を着用し、内側に同じく薄い青紫のシューチェ26)を着用したアレンが居る。愛用の剣を腰のベルトに引っ掛けた
アレンは、ルイと並んで一歩一歩ゆっくりと絨毯を踏み締める。
 ルイはこの日に決まったランディブルド王国国王との謁見のため、王家の城に出向く。アレンはランディブルド王国の儀礼に基づきルイに同行する騎士と
いう位置づけだ。アレンの剣と鎧がなければバージンロードを歩く新婚カップルそのものの光景を見て、使用人やメイドは感嘆の声と共に拍手をしながら
話をし合う。ルイの母ローズが使用人としてリルバン家に居た頃を知っている古参の使用人やメイドは、ルイの顔形がバライ族でも珍しいハーフのダーク
エルフで美貌とスタイルが抜群だった在りし日のローズに重なって見える。ローズが戸籍の届出だけではなく本当に死去したことを口コミで知っている
使用人やメイドは、生前のローズが今のルイを見たらどれほど喜ぶかと想像を廻らせ、ある者は目頭を押さえる。
 巨大なドアが開かれ、入り口を開けた馬車の座席が横付けしてアレンとルイを出迎える。アレンはぎこちないながらもルイより少し先に、座席に添えつけ
られた小さなステップの脇に立ち、ルイに手を差し出す。ルイは会釈してからやはりぎこちなく手を差し出し、アレンにそっと手を取られながら馬車に
乗り込む。ルイに続いてアレンが馬車に乗り込んだ後、御者(ぎょしゃ)が座席のドアを閉めてステップを収納し、馬車をゆっくり動かし始める。馬車の前後
左右には王家から派遣された国軍の兵士が多数陣取り、近づくことさえ容易ではない。
 馬車は緩やかにリルバン家邸宅の敷地を出る。アレンとルイを乗せた馬車がシルバーカーニバル真っ最中のフィルの町を行進する。リルバン家の紋章で
ある2本の角を持つユニコーンの頭部をあしらった旗を靡かせる行進は、人々の噂と関心を呼ぶ。ドア越しに人々の歓声を聞く車内のアレンとルイの表情は
どちらも硬い。ルイが緊張しているのは勿論だが、アレンは遠い異国から来た一外国人であるにも関わらず、儀礼に沿うために一国の国王と由緒正しい
一等貴族の一家系リルバン家の次期当主後継候補の謁見に同行することになったのだから、へまをしてルイに恥をかかせまいと緊張し、早くも汗だくに
なっている。

「ルイの奴ぅ・・・!!」

 リルバン家邸宅敷地の一角からアレンとルイの出発を見ていたフィリアは、今にも砕けんばかりの勢いで歯軋りしている。
見送りの列に並んだ使用人やメイドと同じく、王家の城に向かったアレンとルイの様子は新婚カップルそのものだった。その上、ルイはアレンに手を取って
もらって馬車に乗り込んだ。マナーの1つとは言え、これまでアレンと手を繋ぐことさえままならなかったフィリアの激しい怒りを呼ばない筈がない。
しかし、ロムノ直々にランディブルド王国での謁見の儀礼一式を解説され、国王との謁見が決まった3日前からルイ専任の使用人とメイドに儀礼一式を指導
されていたアレンとルイの邪魔をすることは、事実上の一等貴族後継候補の重要な儀礼を阻害したとして重罪に問われかねないから、唇を噛んで見詰める
しかなかった。
 勿論、フィリアとてこれまで手を出しあぐんでいたわけではない。アレンとルイが近づかないよう食事の際にはアレンと同じテーブルに着き、ルイを猛烈な
怒気を伴う形相で睨み付けて牽制した。シェンデラルド王国への潜入に備えるとして、アレンとイアソンとクリスの共同トレーニングに参入し、アレンと過ごす
時間を強引に増やした。しかし、告白となるとどうしても尻込みしてしまった。長く浸りきった幼馴染という特別な間柄自体それはそれで十分心地良いのも
あるし、アレンの心がルイに大きく傾いていることは把握しているから、自分が告白することでアレンとの間柄が崩壊してしまう危険を察したためだ。
 フィリアは朝が弱い方なのに対し、アレンとルイは長年の生活習慣から朝が非常に強い。昼間フィリアに威圧されておちおち互いに声をかけることも
出来ない分、アレンとルイは普段どおり朝早く起きて厨房の一角を借り、料理を手がけるようになった。アレンの料理の腕前はパーティーで一二を争う逸品。
ルイも幼い頃から共同生活の重要な一角を担って来たことで、料理の腕は非常に高い。パーティー用の朝食・昼食の他、使用人やメイドや執事への差し入れ
にも、と作ったサルシアパイやフルーツゼリーなどの菓子類はどれも大好評を得ている。
 使用人やメイドの計らいで、アレンとルイが共同で料理を手がけていることは、フィリアには伏せられている。また、同じく使用人やメイドの計らいで、菓子類の
一部は密かに当主フォンにも回され、フォンは職務の合間に食している。未だまともにルイと話し合えない寂しさや悲しさと、愛娘が手がけた菓子を口に
出来る感慨で、フォンの仕事は暫し滞る。

 王家の城への道中、アレンとルイは一言も喋らない。顔を見合わせても居ない。喧嘩をしているわけではなく、国王との謁見が刻一刻と近づくにつれて
膨張する一方の緊張もあるし、今朝互いの服装を見たのもある。
 武器防具一式を着用したアレンは、ホテルに入った最初の夜に自分を包囲した重装備の兵士達をたった1人で次々となぎ倒して真っ先に自分の安否を
気遣ってくれた鮮烈な記憶や日々トレーニングに励むひたむきな姿が織り成す「精悍な剣士」というルイの印象を、プラスの方向に大きく強めた。対して
アレンは、上流階級の令嬢と称するに相応しいルイを一目見て心を奪われた。美しいだけでなく、清楚さと上品さを併せ持ったルイの姿は、アレンが今までに
見た女性とは大きく一線を画すものだった。良い印象が更に強まったところに、結婚式を終えて新居に向かう様子さながらの馬車への乗車があったことで、
互いをより強く意識するようになっている。
 2人がオーディション本選前に交わした約束、すなわちルイが1人の女性として1人の男性であるアレンに話を聞いてもらうことはまだ果たされていない。
フィリアが常時睨みを利かせているのもあるし、今日の国王との謁見と1ヵ月後に設定された国の中央教会総長との謁見を終えて初めて、ルイは聖職者や
一等貴族後継といったしがらみから解放されるという思いで共通しているのもある。顔を向けるまではいかないが、アレンとルイは頻繁に視線を相手に
向けている。断続的に見える相手は慕情という特別な思考のバンドパスフィルターを介しているため、輝いて見える。
 10ミムほどで、アレンとルイを乗せた馬車は王家の城の正門前に到着する。リルバン家を出た時とは逆のドアが御者によって開かれる。兵士達の厳重な
警備の中、自分の側のドアが開かれたアレンは、添えられたステップを慎重に踏んで馬車から降りる。乗車した時と同じようにステップの脇に立ち、やはり
慎重な足取りで出て来たルイに手を差し出す。会釈をしたルイはアレンに手を添えられながら、慎重に慎重を重ねて馬車から降りる。2人の動きは
ぎこちないが、指導を受けて何度も練習しただけあって様にはなっている。
 兵士達に周囲を固められて、アレンとルイは城に近づく。リルバン家邸宅の正門より更に巨大な扉の前に来たところで、先頭を歩いていた騎士長27)が手にしたランス28)を高く掲げて叫ぶ。

「開門!」

 重低音と共に扉がゆっくりと開かれる。完全に開いた扉の向こうに、荘厳な造りの城が見える。城へと続く幅広の石畳の両脇には、重装備の兵士が整然と
並んでいる。それだけでも迫力は十分だが、兵士の列の後ろから華やかなファンファーレに始まる豪華且つ重厚な演奏が、入城経験が一度もないアレンと
ルイには強烈なインパクトとなって足の動きを阻む。しかし、まさか此処で引き返すわけにはいかない。アレンとルイは覚悟を再度固めて兵士達の警護に
囲まれながら城へ向かう。後ろから地鳴りのような重い響きが聞こえる。アレンとルイを迎え入れた正門が閉じられたのだ。アレンとルイは緊張のあまり
振り返る余裕すらなく、続いて開かれた城本体の正門から入城する。
 エントランスホールで兵士の警護の壁が剥がれ、アレンとルイに近い中心部が引き続き2人の警護を続ける。これは謁見の場所となる謁見の間に近づける
兵士の階級がアレンとルイに近いほど高いためだが、アレンとルイが気づくことはない。謁見の間に繋がる豪華な造りのドアの前まで来たところで兵士の壁が
左右に分かれ、やはり重装備の衛兵が佇むドアがアレンとルイの目前に現れる。

「では、ルイ様。ご入室ください。」
「・・・はい。」

 衛兵によってドアが静かに開かれ、ルイは1人で入室する。アレンは謁見が終了するまでドアの前でひたすら待機だ。付き添いたいのは山々だが、謁見の
間に入室出来るのは国王が招聘した客の他は一等貴族当主と次期当主継承権を得た者、国の中央教会の幹部職のみと定められている。事前にロムノから
忠告を受けているから、アレンは静かに閉じられたドアの向こうに消えたルイが無事に謁見を終えることを願うばかりだ。

 真っ直ぐ敷かれた赤い絨毯の上をルイは静かに歩く。前には数段高いところに据えられた玉座のシルエットが映るシルクのベールが見える。ルイは指導の
とおり近衛兵の静止の合図が出たところで立ち止まり、その場でドレスの裾を広げて左膝を突き、浅く頭(こうべ)を垂れる。高まるばかりの緊張と胸の鼓動に
耐えるべく目を閉じて頭を下げるルイの前でシルクのベールがゆっくり開かれ、銀を主体にした豪華絢爛な玉座に座した、豊かな口髭を蓄えた老人が姿を
現す。この人物こそランディブルド王国国王、ルベルスト3世である。

「・・・国王陛下のお招きを賜り、本日馳せ参じました。・・・私、ヘブル村中央教会祭祀部長、ルイ・セルフェスでございます。」
「よく参られました。顔をお上げなさい。」

 豊かな響きを持つ穏やかな声で、ルイは目を開けて頭を上げる。此処までは指導どおり順調にこなしている。
強い緊張の只中に置かれたとは言え、ルイは村に要人を迎える際には歓迎の列の前列に並び、重要な行事である冠婚葬祭の陣頭指揮を執る一村の中央
教会祭祀部長だ。緊張に翻弄されて言葉を噛んだりしない。

「そなたの名声は私も聞き及んでいます。才能並びに将来性豊富な全国屈指の若手聖職者である、と。」
「光栄でございます。」
「フィルの町に来たのは今回が初めてのこと。町は見て回りましたか?」
「いえ。町に入って直ぐホテルに入りましたし、オーディション本選後もやはり直ぐにリルバン家邸宅本館に移りましたので。」
「中央教会をはじめとする様々な施設がありますから、機会を設けて回るとよろしいでしょう。」
「お言葉、心にしかと留めさせていただきます。」

 謁見は世間話のレベルから始まったこともあり、予想よりもかなり穏やか雰囲気の中で進む。

「・・・一月後に総長殿との面会が決まったと聞きました。」

 一呼吸置いてから、ルベルスト3世は別の話題を切り出す。ルベルスト3世の言う「総長」は無論、国の中央教会総長を指す。

「総長殿は大変心の広く豊かな人物です。そなたの心のあるがままをご覧になって、そなたの問いに率直な答えを返されるでしょう。」
「私は総長様とお会いするのは初めてでございますが、総長様の御心に接する機会が設けられたのは大変光栄でございます。」
「そなたの父、フォン殿とどう接すべきか、総長殿は必ずや助言を下さるでしょう。」

 フォンの名が父という接頭語を伴って表れた瞬間、幾分緊張が解れて来たルイの表情が一瞬にして硬くなる。フォンは自分の父親に当たる。しかし、父親と
認めては居ない。母と一党貴族後継の座を天秤にかけて後者を選び、母に地獄の苦しみを齎した。リルバン家の当時の事情を未だ聞いていないルイの
認識は不変だ。
 どうしてその話を此処で持ち出すのか、という疑問を発端に、今回の国王との謁見や1ヵ月後に決まった国の中央教会総長との謁見は、やはり全て自分を
次期リルバン家当主後継にするための既成事実作りだったのか、とフォンへの強い疑問と不信感を再び抱いたルイは、視線を無意識に下へと逸らす。

「フォン殿は一等貴族当主の中でも、キャミール教の精神を広く強く実践しています。」

 ルベルスト3世の称賛は、ルイにとってはフォンの根回しによる間接的説得にしか聞こえない。

「先の臨時建議会でフォン殿の辞任を求める弾劾決議が全会一致で却下されたのは、フォン殿の高い職務遂行能力を、建議会出席者が思想の枠を超えて
高く評価していることの表れ。弾劾決議提出の理由とされたそなたに関する問題は、フォン殿の実弟であるホークが強欲に溺れ、外部の者に体良く利用
されたが故に生じたこと。よって私は、臨時建議会での決定を受けてフォン殿の一連の事件に関する責任は一切不問とすると宣言したのです。」
「・・・。」
「我が国の将来を大きく左右する一等貴族当主後継者となるに、出自は不問です。また、そなたは我が国の法律に則り、ヘブル村の評議員会委員も務めて
います。キャミール教の精神を早くから実践し、地方での行政経験を有するそなたがリルバン家次期当主に就任することは、我が国にとって実に喜ばしく、
望ましいことです。」

 ルベルスト3世は、フォンからルイに次期リルバン家当主継承を促すよう依頼されていない。生まれた時から一等貴族親族という恵まれた生活環境の中で
育ち、外界の生活を実体験したものが居ない一等貴族当主と、給与は決して多くはないが現場で陣頭指揮を執る傍ら率先して職務をこなすことが要求
される教会幹部の境遇を比較して、地方行政の実務経験を有するルイが一等貴族次期当主になることは、国民の生活に即した政策立案や議論が行えると
考えて述べたに過ぎない。
 王国議会議員となる国の中央教会とフィルの町にある6つの地区教会幹部ではフィルの町以外の町村の教会で評議委員会委員に就任する役職の経験を
有する者が圧倒的多数を占める。日本における所謂「キャリア官僚」が全国にある所属省庁の出先機関と本省庁の幹部職を転々とし、頂点である事務次官
へと進む出世コースを邁進するのと似ている。「キャリア官僚」の出世コースのスタートラインに就くためには、国家公務員T種試験の合格が絶対条件であり、
逆に国家公務員T種試験に合格すれば同期の1人が事務次官に就任するまで、経歴に傷をつけなければ一応出世コースを走り続けられるし、リタイアしても
省庁外郭団体や関連団体への天下りという事実上の退職保障がある。一方ランディブルド王国の聖職者は、正規でも形式上各町村の中央教会総長と総務
部長が承認すれば無試験で「就職」出来る代わりに、心の持ち方によって変動が生じる魔力を基準とする称号の上昇が必要とされる。聖職者に必要な心の
持ち方とは、慈愛や庇護といった継続を要する平穏な部類の感情を維持することであり、前述のとおりそれはそう簡単なことではない。ライバルや自分より
年少の者が昇進するのを妬んだり、追い落としを画策したりするようでは、聖職者では何時まで経っても称号の上昇は見込めない。つまり出世コースのある
地点での停滞を余儀なくされる。
 ルイは自分に苛烈な時代を齎した母や村の人々を恨むことなく、ひたすら村の人々のため、母のために修行に勤しんだ。だからこそ異例の速度で称号を
上昇させ、全国の教会関係者の注目を浴びるまでになれた。しかし、それは決してリルバン家当主継承のためではない。自身に毎回束になって届く異動
要請を断り続けたことに代表されるように、ルイは自身が生まれ育ち母ローズが眠るヘブル村で生涯を過ごすつもりだった。オーディション本選への出場を
名目にフィルの町を訪れることを決意したのは、母の遺志を全うするためでしかなかった。アレンとの出逢いでオーディション本選終了後直ちに村に帰還
するという当初の方針は撤回し、今後どうするかはまだ決められないで居るが、少なくともリルバン家次期当主継承を望んでいないことは確かだ。
いかに国王の進言とは言え、リルバン家次期当主継承を促されることはルイにとって苦痛でしかない。

「総長様からもお話があるでしょう。是非耳を傾けてください。」
「・・・恐れながら申し上げます。」

 再び上げられたルイの顔には困惑と苦渋、そしてフォンへの怒りが混在している。

「現時点ではリルバン家当主継承の資格を有する存在は私1人のみであることは存じております。しかしながら・・・、私が当主を継承する必然性は
ありません。」
「それは・・・、そなたにリルバン家当主継承の意思がないということか?」
「そのようにご理解くだされば幸いでございます。」

 ルイが柔らかい言い回しながらもリルバン家次期当主継承を断固拒否する態度を表明したことに、ルベルスト3世は衝撃で顔を強張らせる。
ルイは知らないし、知ろうともしないが、フォンは今後正室はおろか側室を設けるつもりは一切ない。ルベルスト3世が臨時建議会の閉会後にフォンに
尋ねると、フォンは正室も側室も娶らないと断言した。しかし、唯一の当主継承資格者であるルイは断固拒否を明言した。一等貴族では養子縁組は法律で
禁止されている。このままでは一等貴族のお家断絶という深刻な事態を招きかねない。

「・・・総長殿との謁見までまだ時間はあります。再考を願います。」
「お言葉、ありがたく賜ります。」

 そう答えて目を伏すルイ。立場上考え直せとの忠告は聞き入れるが実行するかどうかは別問題との意志を前に、フォンとの溝はあまりに深く大きいものだ、と
ルベルスト3世は実感と危機感を強める。

「・・・ご苦労でした。下がりなさい。」
「失礼いたします。」

 この場での説得は不可能と判断したルベルスト3世は、謁見の終了を宣言する。ルイは目を伏したまま深々と一礼し、立ち上がってから再び一礼して、
静かに、しかし足早に退場する。ドアが静かに閉じられた謁見の間で、ルベルスト3世は厳しく重い表情で深い溜息を吐く・・・。

用語解説 −Explanation of terms−

23)宗教顧問:ルイが普段の聖職者生活で大きな比重を占める、各家庭に赴いてキャミール教の教えを説く「教会」を王家専属で行うことに相当する。
キャミール教の影響が強いランディブルド王国の王家では、王族全てがキャミール教の精神を学ぶことを義務としている。


24)プラチナ:この世界でもプラチナは使用されている。しかし、埋蔵量の少なさと高温の炉が必要なため非常に高価で、上流階級の装飾品に用いられる
ことが殆ど。限定的に儀礼用の武器防具の鍍金として用いられる。


25)ハーフプレート一式:アレンが最初の頃着用していたものと同じだが、アレンは軽量化を優先したことと家計があまり裕福でなかったことから、胸から鳩尾に
かけての部分しか所持していなかった。正式にはガントレット(籠手)と腰周り、及び膝から下にも装着部分がある。アレンはルイの謁見に同行するため、
一式を貸与されている。


26)シューチェ:男性用正装の1つで、ブレザーから襟を省いたような形をしている。フルプレート(全身鎧)以外の鎧を装着する場合に用いる。

27)騎士長:ランディブルド王国国軍における役職の1つ。剣だけでなくバトルアックス(戦闘用の斧)や次に解説するランスなど多彩な武器を使いこなせる
剣士が一般に「騎士」と称され、騎士長はその長に当たる。


28)ランス:長さ2メール〜2メール50セムほどある長い槍の総称。攻撃は「切る」「突く」の他「投げる」にも対応する。一般の槍より長いため扱いが難しい。

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