本号のトピックス
★創造支援局にWeb技術チームのコンテンツ追加へ/Web環境構築やデータバックアップ手法などを紹介
★短期連載企画「CSSとJavaScript−その可能性と問題点−」第4回
★作品投稿について/PAC運営委員会
★創造支援局にWeb技術チームのコンテンツ追加へ/
Web環境構築やデータバックアップ手法などを紹介
 芸術創造センターではWeb技術の発展と変遷にも対応して、JavaScriptによる動的ページの作成や見栄えの統一などを進めています。これらWeb技術はGoogleMapsで一躍脚光を浴び、Twitter、Facebookなど様々なソーシャルネットワークの基幹技術でもありますが、Web構築はブログの普及に見られるように、HTMLやCSSを知らずともページを構築出来る利便性と引き換えにブラックボックス化が進んでいます。Webをより深く理解し、他人が提供するテンプレート任せにしないオリジナルのページ作りは、ソフトウェア面でのものづくりの楽しみでもあります。
 芸術創造センターではプログラミングの楽しさやWeb技術の理解を広める一環として、創造支援局にWeb技術チーム専用コンテンツを設けることを決定しました。既に創造支援局タブ内コンテンツ一覧には「Web技術チーム」のエリアが設置されて、コンテンツの公開を待機しています。

 第1弾として、(1)「ローカル環境におけるWebサーバ構築」(2)「Firefoxのプロファイル再構築」(何れも仮題)−の2点を準備しています。(1)はローカル環境でPerlやPHPなどサーバーサイド言語も実行出来るWebサーバを自分のPCにインストールして、必要な設定を行う過程を紹介・解説します。(2)は多種多様なアドオンを導入出来ますがトラブル時の対処が利用者の情報収集に委ねられているFirefoxの個人設定ファイルであるプロファイルを、どのように再構築するか、特に利用歴が長いほど喪失のダメージが深刻なブックマークを含めて最低限のプロファイルを復旧・再構築する過程を紹介・解説します。
 いずれもウィンドウのキャプチャ画面をふんだんに盛り込み、手順を追って動作を確認出来るようにする方針です。また、ブラウザを閉じる必要がある場合でも別途閲覧できるようにPDF版も準備し、印刷しても使えるような環境を準備する方針です。
 公開時期は未定ですが、ウィンドウキャプチャ画面は順調に収集出来ています。レイアウトも考慮して見やすく使いやすい実用的なコンテンツを構築出来るように準備を進めますので、ご期待ください。(Web技術チーム/芸術創造センター運営委員会)
★短期連載企画「CSSとJavaScript−その可能性と問題点−」第4回
 久しぶりの掲載となりました。前回はCSSとJavaScriptの融合による動的ページ生成の基本について述べました。今回はCSSとJavaScriptの問題点について言及します。(Web技術チーム)

 CSSによって単調だったWebページのレイアウトは多種多様になり、JavaScriptによって文章とイメージの羅列からユーザーの操作で豊潤な反応を示すページが出来るようになり、CSSとJavaScriptの融合によってWebアプリケーションと呼ばれる多彩なWebページが登場してきました。Webを豊かで多彩にしたCSSとJavaScriptですが、全てがバラ色というわけではありません。
 CSSでは、ブラウザによって対応の度合いが異なる問題があります。特にIE、とりわけ今尚使用されているIE6はCSSの解釈がかなり劣り、他のブラウザでは一様に表示されるレイアウトが大きく崩れることがあります。IE7以降もCSSの正当な解釈やCSS3の実装度合いは他のブラウザより遅れを取っており、IEのみ特有の解釈を踏まえた別の記述を用意したり(CSSハックと称される)、IE専用のCSSを用意するなど、ブラウザでの見栄えを便利にすると同時に統一するCSSの導入が逆にブラウザ間の相違を生じる皮肉が生じています。
 CSS3についても本号発行時点では正式な勧告には至っていないため、ブラウザベンダーの判断にゆだねられる部分が大きいです。webkit系ブラウザのSafariとChromeでは実装が大きく進んでいますが、IEでは2011年3月正式リリースの9でも主要ブラウザで唯一実装されていないプロパティが目立つなど大きく対応が異なるため、たとえば同じグラデーションをするためにも以下のようなブラウザ個別の記述を行う必要があり、プログラマに不便を強いています。

background: -webkit-gradient(linear, 0% 0%, 0% 100%, from(rgba(247,247,210,1)), to(rgba(240,242,155,1)));
background: -moz-linear-gradient(top, rgba(247,247,210,1), rgba(240,242,155,1));

 上記の例はTOPの付箋紙風一口メモの台紙ですが、この例ですと、上側がwebkit系ブラウザ(Safari,Chrome)専用、下側がFirefox専用です(Operaは現時点でグラデーション非対応です)。webkit系とFirefoxでは色の始点と終点は同じですが、始点と終点の場所の指定が異なることが分かります。CSS3が全てのブラウザに実装されれば、たとえばgradientプロパティで同一のグラデーションが実現出来るでしょうが、それまではこのような記述が必要です。

 JavaScriptでは、フレームワーク依存があります。フレームワークの登場により、ブラウザ間での差異が大きかった解釈が埋められ、DOM(Document Object Model:Webページの場合はWebページを構成するタグとそれらのパラメータを階層構造(オブジェクト)とすること)をはじめとするブラウザの内部構造を把握しなくても、フレームワークが提供する一定の構文を使用することで簡単に動的なページが作成できます。
 しかし、フレームワークは多くの構文によるレスポンズを実現するため、C言語などのような一種の開発言語と見ることが出来ます。そのため非常にファイル規模が大きくなっています。たとえばprototype.jsは159kB(Version1.7)、jqueryはPRODUCTION(コメントなどを省いたもの)で29kB、DEVELOPMENT(コメントなどを盛り込んだもの)で214kBにのぼります。これらは帯域が増強の一途をたどっているネット回線でも大きな容量と言えるでしょう。
 ブラウザ側でキャッシュされていても1度は全てのファイルを読み込み、ブラウザが解釈する必要があります。そのページで全ての操作が完結し、情報が集約されているならまだしも、通常はTOPページから複数のコンテンツにリンクして、そこからさらに細部へとリンクする複雑な構造なのが普通です。1度しか使用されないページのために巨大なフレームワークを使用することが適切かどうか考える必要があります。キャッシュが全てのユーザーで有効とは限らないことも含めて。
 また、フレームワークは一定の構文に対して応答するものですが、それはブラックボックスと言えます。前述のようにファイルが巨大であるため(テキストで数十kBはかなり長大であることはこのページの公開作品でも分かります)、フレームワークがどのような構造かを把握するのは困難です。内部構造を知らないまま供給されるフレームワークを使うことは、そこに何らかの原因で悪意のあるプログラミングがなされていた場合、重大な危険を生じます。
 また、フレームワークの提供機関の問題もあります。フレームワークは個人または有志によって無償提供されていますが、未来永劫提供されるという保証はありません。フレームワークの主流は当初prototype.jsでしたが、現在はjqueryです。このような変遷が続く中、「役割を終えた」などフレームワークの提供が停止する事態も考えられます。その場合、セキュリティの面でも不安な旧型フレームワークに依存しなければならなくなります(続く)。
★作品投稿について/PAC運営委員会
 投稿規程を設けて以来一度も投稿作品の受付がありませんが、当ページでは作品投稿を歓迎しております。規定に関しては投稿規程をご覧戴くとして、ジャンルはオリジナル小説、二次創作作品、ファンタジー、恋愛・・・。著作権侵害やマナー違反のもの以外は、既存のグループ以外の作品も受け付けています。新規ジャンルで複数回数の投稿が確約されるのでしたら、新規グループを立ち上げます。

 「作品は投稿したいけど、このページはどうも敷居が高い」とお思いの方、ご心配は無用です。Moonstone主幹も暗中模索の状態から投稿を始め、それが進展して自分のページ立ち上げに至ったという経緯があります。「始めの一歩」は誰にでもあります。その「始めの一歩」をこのページで踏み出してみませんか?それがきっかけでネット作家として名を馳せることも決して夢ではありません。必要なのは貴方の作品とほんの少しの勇気です。

 「こんな作品じゃ人前に見せられない」と不安になる気持ちも分かります。しかし、価値観で左右される命題において、賛否両論が生じるのは必然的です。非難や否定を恐れず、自身の制作スタンスを堅持して作品をネットを介してこの世に送り出して欲しい、と願わずにはいられません。当ページがその足がかりになれれば幸いです。皆様からの投稿をお待ちしております。(芸術創造センター運営委員会)
★編集後記
・東日本大震災は日を追うごとに甚大な被害が判明している。中でも重大なのは福島第1原発の放射性物質漏れだ。こちらも日を追うごとに事態が悪化し、放射性物質の大量流出や周囲環境の放射能汚染が深刻化し、近隣住民の避難や農水産物の取引拒否を生むなど日本の原発史上最悪の事態になっている。地震と津波は天災だが、福島第1原発は天災より人災の比重が圧倒的に高いのが特徴であり、そのことがより事態を悪化させる原因となっている。
・福島第1原発の震災時の危険は以前から指摘されていた。津波が押し寄せるだけでなく引く時に生じる海面の高さの差で、原子炉冷却に使う海水が取得出来なくなり、冷却不能から深刻な事態になる、と。しかし、管轄する東京電力と国策として原子力発電を推進する政府与党、そして原子力発電を進める電力会社が大口広告主であるマスコミは悉く黙殺してきた。「原発は絶対安全」の立場に固執して警告を無視し、事故発生時には「原発は絶対安全」のメンツに固執して事態を隠蔽し、結果重大な惨事を招いたのだから、東京電力と新旧政府与党はA級戦犯との誹りを免れない。
・原発立地には巨額のカネが動き、住民の深刻な対立も生じた。経産省からの電力会社への天下り、原発立地による箱モノ行政推進と自治体財政の悪化、原発管理における電力会社による下請け会社の隷属的支配など、典型的な日本の負の部分を多数内包している。原発をすぐにすべて停止させるのは現実的ではない。だが、維持管理に莫大なコストがかかり、燃えカスの処理も出来ない原発推進一辺倒をたたちに止めることは十分可能だ。そのためにはまず、原発推進の経産省と規制機関の原子力安全保安院を完全分離し、電力会社の監視を強化することだ。天下りなど論外であることは言うまでもない。(M)
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