Moonlight PAC edition 号外 2002.2.3発行
編集、発行:Moonlight PAC版編集委員会
声明:有事法制に断固反対する
基本的人権を破壊し、米軍への戦争協力をより可能にする法制度
井上晶子:通常国会が始まり、「不審船問題」を口実に有事法制提案の機運が高まる中、芸術創造センターは本号外で有事法制に反対する声明を発表します。

・現在開会中の通常国会で、所謂「不審船問題」を口実にした有事法制の提案の機運が高まっているが、芸術創造センターは、有事法制に断固反対する声明を此処に発表する。

・有事法制は元々アメリカ高官の日米軍事協力のための指針(所謂「ガイドライン」)の円滑な運用を、という圧力と日本の右翼政党であり与党でもある自民、公明、保守三党の他、民主党の一部、自由党などの長年の宿願である「何時でも戦争が出来る国家づくり」が合流して生じたものであり、不審船問題は口実に過ぎない。

・不審船問題も、発生場所は日本の各種法規で取り締まることが密漁や未許可の海底資源探索などに限定されている排他的経済水域であり、漁業法違反の疑いも明らかでもないのに取り締まりに乗り出したのは、海上保安庁の行き過ぎた行為である。排他的経済水域ではどの国の船舶も安全に公開できる権利を有する。さらに不審船を沈没させた場所は中国の排他的経済水域であり、巡視艇が武力で不審船を沈没させたことにアジア諸国が警戒や懸念の声を上げているのは当然である。

・また、有事法制は戦争状態と政府が判断すれば、国民の基本的人権が著しく制約されるばかりでなく、港湾や空港、運輸設備、通信などが全て軍事優先になり、国民の生活に重大な支障を与えることは明白である。

・防衛庁や政府自身、日本が侵略の危険にあるかと問われれば考えられないと答弁せざるをえない状況下で有事法制は不要である。有事法制は先に述べたとおり、世界的規模で戦争行為に走ろうとするアメリカの覇権主義と、「何時でも戦争が出来る国家づくり」を目指す日本の右翼軍国主義の一致点で必要とされているものであり、仮に有事法制が制定されれば、「ガイドライン」で日米が軍事行動に出る区域であるアジア地域で、現在テロ組織撲滅を口実に合同軍事演習が行われているフィリピンで戦争が勃発すれば、日本は「有事」となり、戦争体制になるのは言うまでもない。

・芸術創造センターは、このような覇権主義と右翼軍国主義の潮流に国民を放り込む有事法制に断固反対することを改めて表明する。同時に、不審船問題に関する周辺諸国とのルール作りを求める所存である。

・創造と構築で構成される芸術と、破壊と殺戮で構成される戦争とは決して相容れないというのが芸術創造センターの基本理念である。その理念にのっとり、芸術創造センターは有事法制に断固反対し、アメリカ言いなりの外交戦略からの脱却の世論を強く大きくすることが緊急に求められるものと考える。

2002.2.3
Moonstone Studio芸術創造センター


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