芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2005年8月31日更新 Updated on August 31th,2005

2005/8/31

[あー、出遅れ出遅れ]
 帰宅が22:00過ぎ、夕食(夜食?)を済ませたのが23:30。その上連載のストックが殆どないと来ればどうしても遅れてしまいます。幾ら何でも夕食食べつつキーボードを叩くなんて曲芸は出来ません。昨日はご飯を炊かないと主食がない日だったので、炊けるまで待つしかありません。米を研いでおいただけまだましだったか・・・。
 本来なら定時に引き上げるつもりでした。腰痛が立って暫く(約5分)では壁伝いでないと満足に歩けないし、歩けるようになっても上半身で下半身を引き摺るように歩く、誰から見ても「何かあった」と思う有様だったので(何度「どうかしたのか?」と聞かれたことか)医者に行こうと。ところがいきなりの雨。ずぶ濡れで医者に行くほどぼけてません。止むまで、と思って本業をしていたら医者の受付時間をとっくに過ぎてしまい(一旦始めると終了まで時間がかかる)、自棄になって仕事してました。
 そんなこんなで8月も終わり。図ったように連載も2000回まであと10回。連載でもカウントダウンをしてるから良いか、と都合良く楽観視しています。今日は医者に行けると良いな、とこちらは希望的観測(^^;)。
 乾杯の前に飲むのも何だから、つまみを適当に口に入れながらTVを見る。ステージでは司会者らしい男性が観客を煽っている。LEDに「60」の数値が灯った。それを合図に会場が声を揃えて数値を読み上げる。残り1分からカウントダウンか。よくあるパターンだが、耕次が見たがる理由がまだ分からない。
 考えているうちにLEDの表示が20を切った。文字どおりの秒読みはもう直ぐだ。輪の中央に視線を移すと、全員が缶ビールを差し出す。視線は輪の中央とTVを交互に行き来している。乾杯の準備は整った。後はカウントダウンを待つだけだ。

「10!9!8!7!」
「6!5!4!3!」
「2!1!0!」
「「「「「「あけましておめでとう(ございます)!」」」」」」

 晶子だけ語尾が別途付いたが、10秒前から全員の声が揃って6つの缶ビールが中央で軽くぶつかり合う。そして軽くあおる。先走って少し早く開けてしまったが、十分冷えたビールの喉越しは良い。TVに映る会場は言うまでもなく大盛り上がりだ。

「今年も頑張ろうぜ!」

 宏一の景気の良い声と共に、近くの者、向かいの者、目が合った者同士でそれぞれ改めて缶ビールを軽く合わせる。どの顔も明るい。晶子と缶ビールを合わせる時は「今年もよろしく」と心の中で付け加える。

「ところで耕次。どうして・・・」
「おっ、出て来た!」

 最も引っ掛かっていたことを改めて問いかけたところで、耕次が歓声のような声を出して身を乗り出す。耕次のこんな輝いた横顔なんてライブ会場ぐらいしか目に出来なかったんだが・・・。

雨上がりの午後 第1990回

written by Moonstone

 TVに視線を移すと、カウントダウン開始まであと3分を切った、と言っている。満員らしい会場は大盛況だ。大成功だった今年の夏のサマーコンサートを思い出す。会場は満員になったのに当日不覚にも俺が熱を出して、晶子のフォローとステージの熱で冷ましたという情けない思い出もある。

2005/8/30

[Wikiと格闘中]
 腰痛は相変わらずですが本業でも自宅でも長時間座ることは避けようがないので、少なくともその間は痛みを忘れるようにしています。自宅では昨日付に引き続きWikiと格闘しています。説明どおりにディレクトリを構築したら問題なく展開出来たのですが、ソースファイルが数十ものモジュールの寄せ集めなので、何処に何があるのか探し回っています。
 Wikiそのものはもう自宅段階では使えるようになっています(CGIの動作試験はまず自宅PCでしています)。「使う」だけなら他の人もしていますから、「どうしてこうなるのか」を使いながら探っています。いざ実際のサーバーに展開してトラブル、となった時にソースファイルの内容を理解しているかどうかで格段の差が出ますからね。
 BGMは昨日ようやく入手した倉木麻衣さんのニューアルバム「FUSE OF LOVE」です。予約していて先週の金曜に入荷していたんですが、腰痛で唸っていて取りに行けなかったので(^^;)。ブックレットを見て思ったこと。「倉木さん、髪伸ばしてるんですか?」(前作のブックレットと比較)
 耕次が珍しく言葉を濁す。何だか知らないが、時間が差し迫っているだろうからあれこれ言い合うより何れかの方向で動くべきだ。俺は言い出した耕次と、机を万が一倒れても誰にも被害が及ばない壁際に運んで立て掛ける。机1つ退けただけなのに、一気に部屋が広くなったような気がする。
 気を利かして、晶子がTVの電源を入れる。その間、面子は空いたスペースの中央部にポテトチップやするめ、柿の種といったオーソドックスなものばかりの−妙なものには手を出したくないが−つまみを広げて適当に配置する。それが終わると缶ビールをどかどかと出して、TVの方向を開けた、反対方向に偏った形でこれまた適当に積み上げる。かなりの量だな。

「これ、リモコンです。」
「ああ、どうも。」

 耕次が晶子からTVのリモコンを受け取る。それにしても、耕次がTVと合わせるなんて意外だな。「TVは新聞と同じく、政府財界の意向を反映する堕落した寡占企業の媒体でしかない」というのが耕次の持論だったんだが。
 TVと丁度向かい合わせになる位置に耕次が腰を下ろす。・・・妙に画面に食い入ってるな。耕次が注目するものって・・・ん?何処かの屋内ステージが映ってる。カウントダウンを示す人の背丈ほどはありそうな巨大LEDの下、照明が落とされているからよく見えないが、ドラムやキーボード、モニタ用のスピーカー(註:コンサートなどでは演奏者が音を確認するためにステージの彼方此方にスピーカーを設置しています。各種ライブビデオを参照してください)がある。ライブ会場らしいな。
 耕次の左側に渉、俺、晶子、右側に勝平、宏一という配置で座り、耕次以外はTVをチラチラ見ながら、耕次はTVに顔を向けたまま缶ビールを開ける。よく冷えてるな。夏でも冬でもビールは冷えてないと不味い。

雨上がりの午後 第1989回

written by Moonstone

「広さ加減を考えると机を退けた方が良いな。」
「別に退けなくても良いんじゃないか?」
「いや、ちょっとTVと合わせたくてな。」

2005/8/29

[ドタバタ、ドタバタ・・・]
 ドタバタしているのは私なんですが、とりあえず更新リズムは平常に戻しました。確定と言えないのは未だ以って腰の据わりが不安定なためです。座れるようになっただけましと思っています。この痛みは何が原因なのか分からない上に、鎮痛剤も効かないという質の悪さもプラス(泣)。
 昨日連載のストックを増やした後(時間と腰の関係であまり増やせませんでしたが)、ふと思い立ってWikiを導入。圧縮ファイル展開までは出来ましたが、本来なら見える筈のFrontPageなるものが見えず「?」です。ドキュメントをさらっと読んだだけなので重要な設定箇所を忘れているのかもしれません。
 Wiki自体は前々から知っていたのですが、自分でも使えたら、という欲求がありました。こういう欲求はHTMLでもCGIでもありました。「自分で使えたら」→「既成のツールなどがない」→「自分で使えるように」という流れです。HTMLは今だとホームページビルダーとか色々ありますが、今尚全てのタグを手入力していて不自由は感じません。一昔前は「自分でほしい機能があったら自分で作る」のが当たり前だったので(歳がばれるな(^^;))。
 身を沈めて耳元で囁くように言うと、晶子は無言で頷く。普段は互いが満足するまで続くが、今は来客を迎える必要がある。ドアをノックしても応答がないと来客、すなわち面子の妙な関心を高めてしまう。面子が俺と晶子の夜の動向に関心を持っているのは、2日目の朝の時点で判明している。
 俺は身体を脇にずらして晶子を起こしてやる。そして一度軽くキスをしてから浴衣の着崩れを消す。浴衣ってのは乱すのは簡単だが、元に戻すのは殆ど着る時と大差ない。

コンコン

 少なくとも見た目「何もなかった状態」になったところでドアがノックされる。タイミングが良かった、と言うべきだな。俺はドアに向かい、鍵を外してドアを開ける。

「よう、持って来たぞ。」
「じゃあ開ける。」
「って晶子さんは良いのか?」
「大丈夫だ。ちゃんと着てる。」

 宏一の茶化しめいた問いに答えたは良いが、内心冷や汗をかく。応答がないようだと全員集合しての年越しが、部屋の壁を挟んでの音だけの鑑賞会になるところだったのは目に見えている。危ないところだったな・・・。
 兎にも角にもドアを開けて面子を中に入れる。全員が缶ビールやらつまみやらが入ったビニール袋を持っている。缶ビールはかなりの本数があるが、6人がかりなら多分飲み尽くすだろう。面子がどのくらい飲むのかは知らないが、俺も晶子もそこそこ飲むし。

雨上がりの午後 第1988回

written by Moonstone

「今はこれで止めておこう。」

2005/8/28

[遅い更新]
 今日付はいきなり見送りか、と思われたかもしれません。実際私も見送ろうかと思ったんですが、それだと責任放棄になるのでこの時間(8/28 18:00頃)の更新に踏み切りました。
 更新がずれ込んだ原因は腰痛の酷さとそれに伴う気分の悪さです。5分と座っていられないほど痛くて、その上両腕で支えないと立ち上がることも出来ない状態でした。連載執筆には少なくとも30分かかりますから、5分も座っていられないのでは話になりません。
 今はどうにか収束しています。また数時間後に更新しますが、またぶり返さないうちに連載のストックを増やしておこうと思います。いったいこの痛みは何が原因なのやら・・・。

「・・・この旅行の帰りに俺の実家に一緒に行くことにしたら・・・、その時は・・・行ってくれるか?」
「はい。喜んで。」

 晶子は目を閉じたまま答える。付き合っている相手を俺の実家に連れて行くのは2度目だ。旅行帰りに連れて行くというのはちょっと変わったシチュエーションだが、幸せそうな晶子を見ていたら連れて行きたくなって来た。
 俺は左手をそのままに身体を晶子に向けて、右手を晶子の背中に回す。少しして俺の背中に晶子の両腕が回る。改めて両腕でしっかり晶子を抱きしめる。そしてゆっくり体重を前に傾ける。晶子は抗うことなく後ろへ倒れていく。形の良い唇に俺の唇を重ねた後、白い首筋に唇を這わせる。微かな早い呼吸音が耳元で繰り返される。

・・・。

 俺は両腕で上体を起こす。下には口を少し開けた晶子が居る。その浴衣は両側に開かれ、白い豊かな膨らみが2つ、1/3程顔を覗かせている。胸が小さく早く上下に動いている。俺も自分の呼吸が早まっているのが分かるし、浴衣は言うまでもなく乱れている。
 互いの肌に指と唇を這わせる。それが晶子に女特有の事情がある時の、俺と晶子の愛の儀式。晶子が月曜に俺の家で夕食を作ってくれるようになってから、どちらともなく始まり、今もどちらからともなく不意に始まるこの儀式は、万年発情期とも言われる男の俺の欲求が他の女に向かないようにという晶子の意図もある。

雨上がりの午後 第1987回

written by Moonstone

 俺は晶子の手が重ねられた左手を晶子の頬に触れさせる。晶子は右手で俺の手を覆い、左手を俺の腕に回し、幸せそうに目を閉じて微笑を浮かべて頬擦りをする。滑らかな感触が掌を何度も往復する。

2005/8/27

[アラームより早い目覚め]
 服薬しても直ぐ目が覚める、ということは服薬を始めて最初の頃は頻繁にあったようです(此処のログを見ました)。今は休みということで暇さえあれば寝ていますから、服薬の効果も薄れて当然かもしれません。昨日も早々と目を覚まして「どうせ役に立たないから」とアラームを解除しました。
 今日付は新作2作品公開ですが・・・、公開グループが先週と同じというのはいかがなものかと(汗)。1作は書下ろしですからお許しを、と言おうにもそれさえも先週と同じだったり(汗)。一月前は何もなかったので(此処は除く)更新しただけまし、と思ってやってください。
 昨日思い立ってアイスを買うべく外出しましたが・・・暑い。ぶり返したような暑さでした。台風が逸れた影響だか何だかで気温が一挙に上昇したようです。買って来たアイスを一気に半分以上食べちゃいました。・・・ちなみにアイスのサイズは2リットル。だって好きなんだもん。
 だけど、それを理由に進路をごり押しされたくない。公務員なら一生安泰なんていうのは過去の幻想だ、ってことは耕次も言っていた。定数削減とか人件費カットとかいう見出しは、一般企業だけの話じゃない。そもそも公務員関係で俺が今の大学に入った理由に合致する職種があるとは思えない。
 やっぱりレコード会社といった音楽関係の企業、若しくは・・・ミュージシャンか。前者は音楽という看板はそれなりに付随するが、どういった形でどのくらい関われるかは分からない。調査不足ってのもあるだろうが。最も音楽に密接に関われるのはミュージシャンという選択肢。だが、これだと親との衝突は避けられないし、何処でどういう形で収入を得るのか、といったことが不透明だ。
 桜井さん達のように夜の店に出向くとなると、晶子の職業にも依るがすれ違いが生じる可能性がある。性格が違うとは言え相手とのすれ違いが原因で心に痛手を負った経験がある身としては、すれ違いは避けたいというのが正直な気持ちだ。
 晶子が俺の居ぬ間に、とばかりに浮気をするとは思えないし考えたくない。だけど、人間の心に限らず「絶対」ってものはない。宮城と付き合っていた当時もこの関係は永遠に続くと信じて疑わなかった。だけど結果はあの様だ。どんなきっかけでどう転ぶか分からない。臆病なんだろうけど・・・進んで痛い目に遭いたくない。

「もう結婚指輪は祐司さんからもらいました。この世に2つとない最高のものを。」

 晶子の声が正面からじゃなくて左隣から聞こえて来る。向くと、晶子は俺のすぐ傍に居る。俺が考え込んでいる間に席を移したようだ。

「お金をかけるだけの披露宴はしたくありません。新婚旅行はこの旅行で十分です。結婚記念日に何かを求めるなんてこともしません。ただ・・・祐司さんと結婚出来れば、一緒に暮らせれば、それで満足です。」
「晶子・・・。」

 晶子の両手が、左手を上にして俺の左手に重なる。その薬指に輝く指輪。晶子にとってやっぱり、この指輪は結婚指輪だったんだ。あの時俺が指輪を填めたことが、晶子にとって誓いの儀式だったんだ。

雨上がりの午後 第1986回

written by Moonstone

 俺の方は漠然とではあるが進路を3方向に絞り込んだ。問題なのは・・・親の意向をどう見るかだ。一人暮らしをするようになって、金を稼ぐことの大変さと金のありがたみが身に染みて分かった。お前達だけには苦労をさせたくない、と去年帰省した時父さんが夕飯後の晩酌で言っていた。このところ毎週1回は実家から電話がかかって来るようになったのは、それだけ重大な関門を間近に控えた俺が心配だからだと思うと、無碍にするのは憚られる。

2005/8/26

[珍しく改装]
 腰の具合が芳しくないので、昨日もほぼ1日寝てました。その間ちょこちょことPCに向かって、メールの吸出しと今日の更新内容にある2グループのインデックス改装をしてました。
 私は必要に迫られない限り一度設定したレイアウトを変更することはないのですが、複数のインデックスを抱える2グループは、どうしても先に表示される作品が目立ってしまって公平さに欠けるなと思っていましたし、作品群の移動がいまいち分かり難いんじゃないかと思って、改装に踏み切りました。
 ご覧のとおり、入り口はいたってシンプル。そこから目的の作品群に移動出来るという形式です。Side Story Group 1は作品群に収録されている作品の名称もあるのでより分かりやすくなったのでは、と思っています。

「そうなら・・・、残るは俺の結論次第、ってことだな。」
「祐司さんに全てを押し付けることになるのは申し訳なく思ってます・・・。」
「嫌でも決めなきゃならない時期が迫ってるんだ。晶子が申し訳なく思う理由なんてない。それより・・・、1つ聞いて良いか?」
「何ですか?」
「・・・ミュージシャンってどう思う?今年の夏、一緒にサマーコンサートをした桜井さん達のような、CDを出したり全国でライブ活動をしたりといった、マスコミに登場するようなメジャーじゃないタイプの。」
「それも職業の1つだと思います。仮に祐司さんがそれを選んだとしても、私の気持ちが変わることはありません。」

 俺が今のところ選択肢の1つとしている、もしかしたらこれを選ぶかもしれないというものに、晶子は全面的な賛意を示す。前の俺音いに対する回答と一致する。俺の職業や収入とかに関係なく、ただ俺と一緒に暮らしたい。それが実現出来れば何も不満はない。そういう気持ちなんだな。
 この時点で改めて、晶子の側では俺の職業や収入に関するこだわりやしがらみといったものがないことが確認出来た。前に耕次も言っていたが、晶子は自分を崖っぷちに追い詰めている。今住んでいるマンションには4年住むことが、半ば絶縁状態の親と取り決めてあるが、それから先が未定ってことは家賃を払うか出るかのどちらかの選択を迫られるだろう。
 一緒に住むと決めている俺が今の町に何らかの形で根を下ろせば新居が見つかるまで今のマンションに住み続けることも出来るが、俺が新京市を出るとなれば俺が生活の拠点となる住居を確保していないといけない。一緒に住むと決めていても、住居という入れ物がないことにはその希望は実現しようがない。

雨上がりの午後 第1985回

written by Moonstone

 俺の次の問いが終わるとほぼ同時に、晶子から回答が出る。その表情も目も真剣そのものだ。晶子が、俺と一緒に暮らすということに今とこれからの生き甲斐を見出していることが改めて分かって、俺は安堵の溜息を吐く。

2005/8/25

[何時鳴った?]
 朝から出かけようと携帯のアラーム(目覚まし時計は現在電池紛失につき使用不可)を普段どおりにして枕元に置いておいたんですが、どういうわけか目覚めたのは9時過ぎ。アラームは2回、30分間隔で鳴るように設定してあるんですが、アラームが鳴ってスムース機能も働いた、という履歴が表示されてなかったので、無意識に消して寝入っていたようです。
 私の携帯はよくある折り畳み式で、アラームを消すには開いて所定のボタンを押さないといけません。音はやたらと派手なものを選択しているので起きた時の意識は嫌でもしっかりする筈なんですけど・・・。まあ、出かける用事は無事済みましたので、後は買い物以外自宅で色々作業したり(願望)腰を良くしたり(切望)します。
 夏の高校野球甲子園大会の優勝校で体罰隠しが発覚した問題については、此処で改めてお話しするつもりはありません。此処の最上段にある「見解・主張書庫」の「スポーツに関する見解」に私の主張は既出ですので。未読の方はご覧ください。
「実践して見せたんですから、文句の言いようがないですよね。それに、祐司さんがしっかりした目標を持って懸命に取り組んだことが分かって、私は改めて祐司さんと一緒に生きたいと思いました。こういう男性(ひと)なら大丈夫だ、っていう確信も改めて持てました。」

 賞賛を込めてか晴れやかな笑顔の晶子を見て、口元が自然と緩むのを感じる。受験勉強での頑張りはさして珍しくない話だろうが、褒めてもらえたのは素直に嬉しい。

「祐司さんが進路で悩んでいるならその大元でもある進学の経緯がどうだったのかを知りたかったから尋ねたんですけど、私の方がどうして今の大学に進学したのかと叱責される立場ですね・・・。」

 晶子の笑顔がすぼみ、自嘲が混じったものになる。そう言えば晶子は、仲が良かった兄さんと離されたことに反発して、通っていた大学を辞めて今の大学に入り直したんだっけ。進学先を絞り込む過程が曲がりなりにもあった俺と比較して、自分の選択は逃避にしか見えないんだろう。

「進学だって人それぞれ事情があるから、全部に白黒つけなくて良いと思う。とりあえず、俺は偏差値とか知名度とかそういう視点で今の大学に進学したんじゃないってことが分かってもらえたなら、それで良い。」
「・・・はい。」
「晶子は、・・・俺がどういう職業に就いても良いのか?」

 今度は俺から、これから絆を維持していくに不可欠且つ根本的な問いを投げかける。幸か不幸か、今の大学の俺がいる学部は職種さえ−音楽関係のみとかそういうものじゃないという意味で−選ばなければ選り取りみどりだ。だが、俺の選択肢によっては周囲からの軽蔑とかそういうものが付きまとうことになる。前にも話の流れで言ったと思うが、確認のために。

「犯罪になるものでなければ何でも良いです。」
「共働きを前提として、俺より晶子の収入が多くなっても、職業の社会的認知度が晶子の方が高くても良いか?」
「はい。勿論です。そんなことを求めるために祐司さんと一緒に暮らしたいわけじゃありませんから。」

雨上がりの午後 第1984回

written by Moonstone

「受験してから結果が出るまで2週間くらいあって、それまでに先に受けた片方の大学は合格したんだ。けどそれは滑り止めっていう気持ちじゃなかったし、落ちても仕方ない、と思えるだけのことはやったつもりだった。結果合格出来て、面子全員揃って第1志望校合格を達成出来たんだ。合格出来たことよりそっちの方が・・・むしろ嬉しかったかな。受験がかなり迫った時期のバンドの練習中に乗り込んで来た生活指導の先生に全員第1志望校合格を目指してる、って言った時に出来るものならやってみろ、って言われてたから。」

2005/8/24

[さあ、背筋を伸ばしてー]
 「出来ません(きっぱり)。」というのがキャプションの回答です。どういうわけか腰痛が重苦しくなってきて(今までも十分痛かったですが)、「座る→立つ」で背筋を伸ばせません。伸ばそうとなると5分以上かかりますがその間ずっと痛みます。鎮痛剤を飲んでも抑えられないので、出来るだけ姿勢をいきなり変えない、「座る→立つ」なら最初の位置から高いところに一旦腰を下ろして態勢を整えてから立つ、という面倒なことをしないといけません。
 今日から平日3連休を取ったので、せめて腰の具合が良ければ昨日付の一斉更新で出来なかったこととか意気込んでするのですが、この状態では足を動かしたりするだけでも痛むので、出来るだけ姿勢を固定していた方が良いのかもしれません。
 今日は休み初日ですが朝からちょっと出かける用事があるので、その時歩いたり階段を上り下りしたりするのに上体を傾けながら恐る恐る歩いている様子を見られるのかと思うとげんなりします(職場ならどうでも良いやと思う)。まあ、そう度々行くところでもないですし顔を覚えられることもないでしょうからまだ良いかな・・・。
「進学先がそういう方向なら当然理系になるから、そこまでは問題なかった。問題はどの大学を受験するか、だったんだ。俺の実家から通学出来る範囲内−まあ2時間と仮定すると結構な数の大学があるんだけど、私立、特に理系は払える学費じゃないから受けさせない、たとえ受けてもびた一文出さない、って親に言われたんだ。家にそんな余裕はない、って念押しされてな。となると、受験出来るのは国公立大学だけなんだど、そうなると片手があれば十分な数しかないし、受験用の大学別参考書の概要なんかを見ていても、これっていうのがなかったんだ。俺が通ってた高校では1年から模試で受験先を仮定した判定結果が出てたんだけど、3年で理系文系に明確にクラス分けされるまで家の経済状況なんて考えてなくて、とりあえず進学先がある大学を書いてたから・・・どうしようかって結構悩んだ。」
「・・・。」
「調べていくうちに、今の大学にこれ、と思う学科と講座が見つかったんだ。だけど同時に進級条件が厳しいとか、実家から通おうと思えば出来なくもないけど実験とかが入ってくると事実上無理ってことも分かって・・・。進級条件は自分の問題だから別として、これならどうかと思って親に提案したんだ。そうしたら、その大学なら条件付で仕送りしてやっても良い、って言われた。その条件ってのが仕送りは月10万きっかり、残りはバイトで補填する、4年で絶対卒業すること。この3つだった。勿論受け入れた。そうじゃないと話が進まないしな。」

 話していて少し喉の渇きを感じて、茶で潤す。

「国公立系は2校までしか受験出来ない日程だから、片方を今の大学、もう1つを割と近い大学の理工学部に絞り込んだ。それが2学期の始め頃だった。近い方は模試の判定で何時も合格率90%以上だったんだけど、今の大学は高くて60%、低いと50%を割り込むギリギリのラインだったんだ。だから、進路指導の先生にはあまり薦められない、って言われた。けど、合格出来るかどうかで妥協したくなかったから懸命に勉強して・・・、面子の中で合格発表は俺が最後だったんだけど、合格したんだ。」
「凄く頑張ったんですね。」

雨上がりの午後 第1983回

written by Moonstone

「高校に入って、今の面子とバンド活動を始めて本格的に曲作りをするようになったんだけど、そこで勝平のシンセも色々いじってて、音が合成されたり、ボタンとかで設定した単なる数値の羅列が音になって出て来たりするのが不思議に思えて、調べていくと、それは電子回路や音響関係のことが絡んでることが分かったんだ。それで進学先は電子工学関係若しくは音響関係って絞り込んだんだ。」
「・・・。」

2005/8/23

[勝手が違う]
 昨日付の日記で触れた「ファイルの一斉更新」はカウンタの入れ替えを含めたものです。入れ替えをするにあたって、HTMLとしてあまり行儀が良くないとされるDOC TYPEの指定なしのインデックスも一気に修正して更新したわけです。ただ、DOC TYPEを指定するとFONTのサイズもテーブルのセル毎に指定しないといけないことまでは今回はパス。明日からの休みでちょこちょこ更新します。
 FirefoxとIEとでは表示が違って来るのはレンダリングエンジンの違いによるもので、「どんなPCでも同じように見られるように」というHTMLの精神から逸脱しているんですが現状では制作者サイドで対応するしかありません。ものが違えば作りも違って来るというのを自宅でも職場でも思い知らされました。苦心して作って送ったデータに不具合がある、との連絡。詳細を聞いて、回路作成の方法が違うとCADの描き方(極端な話CADはお絵描きソフト)も違ってくることが判明しました。
 今まで自前の制作機械用にしか作ってこなかったので、どうすれば良いのかと考えに考えてどうにか作って再送付。これでどうなるか・・・。PCが早いのがせめてもの救いかな(以前遅いPCで制作途中に強制終了させられた)。

「ああ、ありがとう。」

 気分転換を兼ねて茶を一口啜る。こうして茶を飲むと不思議と心のざわめきが静まっていく。元々茶は薬として日本に持ち込まれたという話を聞いたことがあるが、あながちそれは間違っていないかもしれない。

「進路のこと、考えてたんですか?」

 湯飲みを置いたところで晶子が尋ねる。その表情はいたって穏やかだが、大きな瞳を見ていると思っていることや秘めていることを「言おう」という気になる。

「・・・ああ。今年帰省しなかったのは、親とかからごり押しされない環境で考えたかったからだしな。」
「祐司さんはどうして今の大学の今の学科を受験したんですか?」

 晶子の問いは進路に関する根本的かつ重要なものだ。「偏差値が高い」「有名だから」という、一昔前のようで実は今でもしっかり通用する安直な理由じゃない。そこから手繰っていくことで答えが、答えにならなくてもヒントのようなものが導き出せるかもしれない。

「前置きが長くなるけど良いか?」
「ええ、勿論。」
「ギターを始めたのは中学からなんだけど、自然とギターの音の出し方に興味を持つようになったんだ。エレキだとアンプやエフェクタを通すからディストーションとかオーバードライブとかも加わるけど、それらはエレキの出力をアンプに大きく加え過ぎたりして歪むことから使われるようになったんだ。オーバードライブは歪みが弱め、ディストーションは強め、っていうくらいの区別しかないけど、どうしてこんな音が出るんだろう、って興味を持ってアンプとかエフェクタを色々いじってたんだ。」
「・・・。」

雨上がりの午後 第1982回

written by Moonstone

「祐司さん。どうぞ。」

 晶子の声で我に帰る。差し出された湯飲みには濃い緑色の液体が入っていて、そこからほんのり湯気が立ち上っている。

2005/8/22

[久しぶりの雨]
 土曜にあれだけ寝たというのにしっかり7時間ほど寝て起床。何やら涼しい(自宅のエアコンは除湿のみ)と思って外を見たら地面が濡れていました。深夜に雨が降ったようです。混雑が予測出来る中買い物に出かけたら、それを待っていたかのように降りが強まってきました。往路はまだしも復路はもうびしょ濡れ(汗)。
 盆休みを境に涼しくなって来ているのを感じます。朝晩は結構涼しいですし、昼も「照り付ける灼熱の太陽」というほどでもなくなっています。これから寒くなっていくのかと思うと嫌ですが・・・。
 土曜にテキストエディタを変えて、昨日から本格的に使い始めました。タグや属性に色が付けられるのが便利で気に入っています(^^)。あとはファイルの一斉更新くらいですかね。
 晶子の「追加」は耕次にとっても予想外だったのか、納得の言葉を出すが次が続かない。俺自身も納得がいくし、動揺していたのがみっともなく思える。LDKの狭い家で2人一緒に居るんだから、相手の行動を知らないのは確かに変だ。可能性があるとすればどちらかが寝ている場合くらいだ。

「他に何か?」
「あ、いえ。じゃあ戻りましょう。」

 流石の耕次も攻めるネタが尽きたのか、部屋に戻ることを提案する。逆襲する気もないし耕次とやり合うには力不足だから、それに従う。帰りの列は往路と同じだ。
 すれ違う客の年齢層は行きと変わらない。単に向かう方向が違うだけと言っても過言じゃない。客の年齢層の二極化が凄く顕著に現れている。俺と晶子は昼間町を観光していてこのくらいの年齢層の人達とすれ違ったり店で場所を同じくしたりするのがむしろ当たり前だから、まだインパクトは薄い方だろう。同じ時間帯にスキーをしている面子は、あまりのギャップに驚いていると思う。
 暫し廊下を歩いて階段を上り、それぞれの部屋に戻る。俺は部屋の鍵を開けて中に入り、電灯をつける。晶子が入った後ドアを閉めて鍵をかける。晶子が茶を入れてくれている柱時計の時間を見る。・・・9時半過ぎか。振り返ってみればあっという間に駆け抜けた今年も残り3時間を切った。
 来年はいよいよ進路の問題から逃げたり先送りしたりが出来なくなる。大学院への進学という選択肢がない以上、就職という選択肢を選ばざるを得ない。だが、自分がこれから進む方向性を未だはっきり見出せないで居る。単に会社の紹介とかに書かれてあるような待遇を信じ込んで、理想と現実のギャップに戸惑うくらいならまだしも心身を壊したら洒落にならない。だが、方向性によっては親との衝突は避けられない。・・・どうすれば良いんだろう?

雨上がりの午後 第1981回

written by Moonstone

「期間限定とは言え一つ屋根の下で生活してるんですから、自宅で相手の行動がまったく分からないというのは変ですよ。」
「あ、確かに・・・。」

2005/8/21

[起きている時間<寝ている時間]
 金曜が本業がギリギリで、帰宅後も事務関係の更新でバタバタしていたのでさあぐっすり寝られるぞと思ったのですが、1時に寝て3時に目が覚め、また寝て8時に目が覚めたら頭に霞とクモの巣が混在していて眠気で目が満足に開けられないのでまた寝て、13:00頃目が覚めてもまだ気分が優れない。結局19:00前まで寝てました。えっと・・・18時間寝ていた計算(汗)。
 寝る際には当然(本来はこれじゃゃ駄目なんですが)服薬するのですが、偶に妙な「効果」が現れます。まったく効かなかったり、昨日のようにやたら効き過ぎたり。前者は半分金縛り状態なので(当然徹夜になる)かなり辛いんですが、後者は眠気に延々と支配されるので「休日だからしたいことがあるのに」という気持ちになります。最近は後者の方が目立っています。
 前日起きていた時間が寝ていた時間より圧倒的に短いとは言え徹夜なんてことはもう出来ないので(年齢の関係もあると思う)、これからまた寝ます。日曜に買い物に行くのは嫌なんですけど(混むから)、仕方ありません。・・・あ、あと20回ですか。

「互いの風呂の時間は把握してるわけか。」
「当然だろ、耕次。期間限定とは言え同居してる最中なんだから。」
「勝平の言うとおりだな。」
「あ、いや、それは・・・。」
「祐司の家で同居してるんだから、風呂から出るのを待って一緒に寝る、ってパターンじゃないか?元々来客用の布団なんて用意してないだろうし、どちらか片方だけ床でごろ寝ってわけにもいかないだろ?」
「この季節、2人で寝た方が何かと都合が良いだろうな。」

 何の都合だ、とも突っ込めず、俺が介入する間もなく、面子の推測は加速する。俺の回答が絶好の材料を提供してしまった。今更後悔しても手遅れだが。

「お待たせしました。」

 タイミングが良いのか悪いのか、浴衣を着た晶子が出て来た。今は髪を下ろしている。今回は俺と二人きりじゃないことを踏まえてのことだろう。

「おや晶子さん、丁度良いところに。」
「何かあったんですか?」
「さっき祐司から、お二人の風呂の時間について聞き出したんですが。」
「罠仕掛けて吐かせた・・・」
「晶子さんも祐司の風呂の時間は知ってるんですか?」
「はい。」

 耕次の問いに晶子は何の迷いもなく即答する。このまま2人してずぶずぶと泥沼に嵌っていくんだろうか。もう1人の当事者である筈の俺は、完全に弾かれてしまっているし。

雨上がりの午後 第1980回

written by Moonstone

 耕次の問いに何気なしに答えて少ししてから重大なことに気付く。左右を見ると、面子が納得したように何度も頷いている。しまった・・・。耕次の尋問に引っかかってしまった。突然、しかもさり気なく出して来るってことをすっかり忘れてた。

2005/8/20

[見た目は多い]
 今日の更新はキャプションどおり見た目は多いですけど、作品は2つだけという寂しいものです(汗)。ずっと腰を痛めていてまともにPCの前に座れない日々が続いているので仕方ないんですが。見所はページマップでしょうか。Novels Group 4とSide Story Group 1は複数のインデックスがあって、特に後者はどちらに今回の更新分があるのか分かり難い面もありましたので。ご利用の際はJavaScriptをONにしてください。・・・まあ、此処のリスナーの皆様には必要ないお知らせでしょうけど。
 腰の具合は相変わらず芳しくないのですが、仕事柄どうしても長時間座ることが多いので、コップに水を汲むためなどで立とうとして、なかなか背筋を伸ばせずに痛みを堪えています。いったい何なのか分からないのが何とも・・・。
 とりあえず本業の方はひと段落ついたので(まだ安心出来ませんが)、来週は後半に休もうと思います。盆休みに休まないで一人遅れて休むのは例年どおりなので、新しいクッション(背凭れ用)を探しに行こうかと思います。

「入浴中の飲酒は良くないんだが、こういう景色を見ていると雪見酒をしてみたくなるな。」
「流石にそんなサービスはないから、風呂を上がって午前0時前に全員揃って乾杯、といこう。」

 普段言動が淡白な渉には珍しい風流な言葉に続いて、耕次が確認がてら続く。全員揃って乾杯は、去年の成人式会場前でのスクランブルライブが終わった後以来だな。あの時は唯一車で会場に乗り込んだ勝平だけジュースだったから、全員が酒で乾杯というのは初めてだな。
 高校時代の泊り込み合宿でも、飯盒炊爨をしたり料理を作ったり−作るのはもっぱら勝平が主導権を掌握していて他は指示に従うだけだった−したが、流石に酒は持ち込まなかった。ばれたら良くて自宅謹慎、悪くて停学。それに俺達は特に生活指導の教師に目をつけられていたから、みすみす攻撃の口実を与えるわけにはいかないという自制心があった。夜の学校で飯盒炊爨というのも破天荒だが、酒盛りをするほど馬鹿じゃない。
 今は全員20歳になったから、おおっぴらに飲酒出来る。大学生になると世間の認識が事実上飲酒も喫煙も解禁になるのは不思議だが、そういったことも気にすることはない。こうやって共に過ごせる時間は限られている。楽しむ時に精一杯楽しんでおきたいもんだ。

 全員揃って風呂からあがり、浴衣を着て廊下に出る。晶子はまだ居ない。やっぱり髪を洗う分だけ時間がかかるんだろうな。

「晶子さんは・・・まだみたいだな。」
「普段もこうなのか?」
「烏の行水の俺よりは長いな・・・!」

雨上がりの午後 第1979回

written by Moonstone

 宏一のジェスチャーを交えた希望に耕次が突っ込みを入れる。宏一は返すが苦笑いしているから、気分を害した様子はない。まあ、こいつが機嫌を悪くした回数を数えるには片手どころか指2、3本あれば事足りるんだが。

2005/8/19

[PCとの格闘]
 自宅PCの状況がどうも気に入らないので、OSからクリーンインストールしました。前回よりは随分スムーズに出来ましたが、HDDのフォーマットもあるので時間がかかりました。PCを横で見ながら夕飯食べたりしてました。OSのインストールよりWindows Updateの方が時間も手間もかかってイライラしました。一度で全部必要なものを埋めりゃ良いのに、3回に分けてくれるもんだから・・・。
 ネット環境の構築と最低限必要なソフトをインストールした状態です。これから開発環境とかをインストールするんですが、くどいほどしているのでまず間違うことはないと思います。・・・圧縮ファイルの展開場所さえ間違えなければ(今回間違った(汗))。
 環境整備が終わったら明日付の更新に向けて準備です。まだ途中のものもあるんですよね・・・。説明事項を追加する程度ですが、コメントとか簡潔に収めるのはちょっと苦手なので、それで時間をとられそうな気がします。

「皆は?」
「俺は学生自治会の法学部会長選挙が年明けに控えてた関係で、帰省しなかった。去年も成人式会場前のスクランブルライブ前後くらいだ。」
「じゃあ耕次も、本格的に帰省したのは今年が初めてなのか。」
「そういうことになるな。祐司のバイトの関係もあって俺が電話する機会がなかったから、祐司が知らないのも無理はない。」

 耕次が学生自治会に入ったことは聞いていたが、学部単位の選挙とかに関わるとなるとやっぱり忙しいんだろう。「学生の自治意識の低下が、今日の大学の衰退と、官僚と大企業の介入を招いた原因の一つ」っていうのが高校時代からの持論だったから、候補者の支援とか若しくは耕次本人が候補者として活動していたんだろう。今もそうかもしれないが。

「他は?」
「俺は実家から通学してるから、帰省もへったくれもない。親父の関係で年始回りと会合があって、それに連れ出されたくらいだ。今年はこの旅行を口実にそれから離れられて、すっかり浸ってる。」
「俺は一昨年去年と帰省してた。日頃の家事から一時的にでも解放されたくてな。」
「俺はスキー三昧。此処は初めてだけどな。」
「今年は上手い具合に全員揃った、ってわけか。」

 勝平、渉、宏一の事情も分かり、感慨が深まる。耕次が言っていたように、来年はどうなるか分からない。顔を合わせられる時に合わせておいた方が良い。進路は別々になっても、高校時代に苦楽を共にした貴重な仲間達なんだから。

「こういう時、酒があると良いんだけどな。こう・・・くいっとお猪口を傾けてさ。」
「お前らしくなく、粋なこと言うなぁ。」
「前半は余計だ。」

雨上がりの午後 第1978回

written by Moonstone

 勝平の問いに答える。晶子と付き合い始めてまだ一月経ったかどうかという時期。俺の家でカウントダウンをして缶ビールで乾杯。遅い朝を迎えて初詣に出かけた。俺に会いに来たという宮城とのことは伏せておく。清算はしたがあまり思い出したくないのもある。

2005/8/18

[未読の書]
 此処の管理運営と作品制作で毎日がいっぱいいっぱいになってから、買ったけど読んでない本というのがあります。私が現在買う本は主に3系統で、1つはコミック。もう1つは技術書(主にWeb関係)。もう1つが小説です。
 読後はその作品の影響が出やすいので小説は「これ」と思うもの以外は買わないんですが、新刊で買って約1年半未読状態のものもあって、流石に(汗)。文庫本で場所をあまり取らないので、尚更忘れられやすくなっているような・・・。
 あ、上部にカウント報告のご案内を設置しました。何時の間にやら此処は10万超えたので、今回はこの数値に。インタビュー企画など考えていますので、よろしければどうぞ。
 面子の中で実家から通学しているのは勝平だけ。他は全員一人暮らしをしている。俺は絶対実家から通学出来ないという道程じゃないが、大学の情報を調べていて1、2年はまだしも3、4年は実験とかでほぼ不可能となることが分かった。親もそれは承知していて、受験するにあたっては「そこだったら一人暮らしをさせてやっても良い」と言われた。3回の乗り換えと待ち時間、そして電車に揺られる時間を考えると、3、4年は車内が寝る時間になると言っても過言じゃない。一人暮らしをしている今でも、実験がある月曜日の翌日は寝不足になりがちだし。
 面子で一番裕福なのは、両親が中規模の工場を経営する勝平。残る面子で俺以外は共働きの会社員。俺の実家は自営業だが、一人暮らしをするようになってようやく家計が楽じゃないことがよく分かった。

「まあ、祐司にとっては予定外の出費になっちまっただろうが、良いもんだろ?」
「こういう出費なら惜しくないさ。来て良かった。」

 耕次の問いに否定の余地はない。予想外ではあったが、普段の喧騒と隔絶された雪中の田舎町で、気心知れた仲間とこうして時を同じく出来て良かった。素直にそう言えるし、そう思う。

「そう言えば祐司。去年は成人式会場前の約束のために帰省してたけど、一昨年はどうしてたんだ?」
「一昨年は晶子と一緒に年越しして、月峰神社に初詣に行った。」
「月峰神社か。ごった返してなかったか?」
「凄い人出だった。」

雨上がりの午後 第1977回

written by Moonstone

「しかし、やっぱり大きい風呂ってのは良いよなぁ。アパートのこじんまりとした風呂とは全然違う。」
「実家でもこんな風呂がある家はあまりないと思うぞ。」
「確かに。」

2005/8/17

[おや?と思われたでしょうか]
 TOPを見て「昨日までと何か違う」と思われた方は「ニュース速報」をご覧ください(既読でしたらすみません)。思うところあって掲示板JewelBoxの復活計画を全面的に白紙撤回したので、そのためのスペースを設置しておいても無駄ということで削除しました。左右がちょっとアンバランスですが仕方ありません。
 今まで蓄積してきたものは色々ありますから(技術面でもレイアウトの面でも)白紙撤回というのは私自身少し寂しいものがありますが、止むを得ません。現在建設中の科学文化研究所では掲示板の類は一切設置しないつもりです。ちなみにログは全て保存してあります。これまで抹消する気にはなれなかったので。
 それにしても何故?と疑問に思われる方は居られるかもしれませんが、白紙撤回した理由については「ニュース速報」にもありますように、8月20日発行予定の「Moonlight PAC Edition」にてご説明いたします。

「流石にゆったり出来るなぁ。」
「そんなに違うのか?」
「全然。更衣室で順番待ちにならないで居たのが不思議なくらいだ。」

 隣り合わせた勝平の回答は、それまで耕次達が温泉に入っていた時間帯の混雑を端的に示している。俺と晶子が昨日一昨日と入った時は混雑とは無縁だったから分からないが、耕次達には相当のギャップに見えるらしい。
 ふと外を見る。ガラス越しにライトアップされて見える風景は、今夜も白と黒のモノトーンで構成されている。今まで雪を見慣れない生活だったから新鮮に見えるが、毎年これだけの雪を押し付けられる地元の人にはいい迷惑だろう。もっとも、昨日の雪合戦のように雪と切っても切れない関係にある行事もあるから、一概に邪魔者扱い出来ないところもあって難しいところだろう。
 髪と身体を隈(くま)なく洗って、温泉へ。・・・此処が一番厄介なんだよな。露天風呂だから、一時的とは言え素肌が痺れるような外気に直接触れるし。素早く入る以外にない。耕次がガラス戸を開けた次の瞬間、俺達面子は連れ立って外に出て温泉に入る。思わず安堵の溜息が出る。

「露天風呂ってのはこういう時がきついな。」
「ガラスの箱庭だったらつまらないぞ。」
「そりゃそうだけどなぁ・・・。」

 宏一のぼやきと渉の淡白な突っ込み。性格が驚くほど対照的なこの二人が、ベースとドラムという欠かせない要素を1つのバンドで担っていたのは今でも不思議だ。渉と宏一を誘ったのは耕次だが、同じ中学の出とは言え、よく引っ張り込めたもんだと思う。耕次だからこそ成せる業だな。

雨上がりの午後 第1976回

written by Moonstone

 更衣室で服を脱いだ後、洗い場に入る。これまでどおり−耕次達には初めての光景だろうが−場所には余裕がある。壁際、すなわち女湯の方向に纏まって空いているところを見つけ、そこに並んで腰掛ける。

2005/8/16

[もしかして・・・]
 痛みこそ随分和らぎましたが、「座る→立つ」でなかなか背筋が伸ばせない上に重い痛みが続くのにはほとほと困っています。長時間座る姿勢を続ける人がなりやすいという椎間板ヘルニアではないか、と疑心暗鬼になっています。前の整形外科でのレントゲン診察でも骨には異常ない、と言われましたが、何となく100%信用出来ない・・・。指だってまだ完治してませんし(真っ直ぐ伸びきらない&関節が膨れたまま)。
 はっきり言わなくても横になっていた方が楽です。「二本足で立って歩く」否「上体を起こしている」ことが背骨に絶えず負荷を与えていることを痛感しています。背骨がぎしぎし音を立てながら沈んでいって、それに合わせて痛みが増してくるのが分かります。
 此処しか更新していないのに連日ご来場くださってありがとうございます。今はこれだけしか言えませんが、身体が100%復調したらそれに見合うだけのことをしたいと思います。今は我慢の時なんだと自分に言い聞かせています。
「クラスがバラバラだったってのが大きいよなー。少なくとも2年の時くらい一塊にしてくれりゃ良かったのに、先生達も気が利かないっつーか・・・。」
「幾ら成績が良かったとは言え、特に生徒指導の教師の目の敵にされてたから、仕方ない。クラス編成は教師の一方的権限行使の場の1つだからな。」

 勝平、宏一の回想に続いて、切り出した耕次が言う。リーダーの耕次がかなり急進的な一面を持っていて度々生活指導の教師と対峙したこともあってか、3年間を通じて俺達面子が同じクラスになることはなかった。まあ、3年生は理系文系で大別されるから、進路が異なるとその時点で分割されてしまうのは致し方ない。
 クラスはバラバラでも目標に向かっては一致団結する。それが俺達バンドの共通の理念だった。それがなかったら大小含めてテストがない日がなかったと言っても過言じゃなく、宿題をない日を探すのはほぼ不可能だった日々の中で卒業寸前までバンド活動を続けられた筈がない。俺の新京大学合格で「全員第一志望校合格」を実現して、受験前に「出来るものならやってみろ」と嘲笑った生活指導の教師達に、全員揃って合格証明書を突きつけた時の耕次の言葉は今でも鮮明に思い出せる。

バンドやってるから。恋愛してるから。
服装が乱れてるから。髪を染めてるから。
所詮あんた達はレッテル貼りの特権を行使したいだけだ。
ヒラメはシーラカンスを永遠に知らないまま終わるのさ。

 その後俺達の出身高校がどうなったかは知らないが、あの時の耕次の言葉に対する教師達の反応が視線の回避と気まずい沈黙だけだったことは確かだ。帰り道、「シーラカンスは生きる化石だぞ?」という宏一の突っ込みに対する「歴史の長さが違う。権力に対する反骨ってもののな。」という耕次の返し文句も覚えている。

雨上がりの午後 第1975回

written by Moonstone

「そうだな。高校時代は何かとステージで暴れてたのに、学校を出るとライブに行くとか練習するとか、そういうこと以外ではあまり一緒に行動しなかったからな。」

2005/8/15

[また休眠]
 木曜の来客の対応で神経が極端に張り詰めていた後遺症が今頃出て来たのか、結局昨日も買出しと食事以外は殆ど横になっていました。何だか起きているだけでもしんどいです。23:00を過ぎるとちょっとましになるんですが、明日からまた本業がありますから、一山超えるまで(超えたら休む予定)平日以外への対処が難しそうです。
 今日も暑くなるのかな、とふと思ってみたり。昨日は正午前に買出しに行きましたが、曇り気味だったのに暑さは相当のものでした。暑さは良いのですが発汗が凄いので、今日の遠出の用事には飲み物を持って行く必要があるかな、と思うわけで。
 TOP最上段に表記したとおり、今日は15年戦争終結の日。戦後60年、被爆60年という節目の年ですが、日本軍国主義の亡霊は今尚健在どころか勢いを増しています。あの時戦争を煽った勢力が我先にと戦地に赴いたか?少なくとも日本において、軍隊は国の指導部を守るためにあって、国民を守るためには存在しない。あの惨劇を繰り返さないためにも、「国」の定義を改めて見詰め直すべきではないでしょうか。
「正解。その上ごった返しててな・・・。祐司と晶子さんは?」
「空いててゆったり入れた。」
「更衣室などで待つ必要もありませんよ。」
「今まで見たところ俺達くらいの年齢層の客は居なかったし・・・。ほぼ全員がカウントダウンイベントに行ってるな。」
「そう考えるのが自然だな。今まで祐司と晶子さんが俺達と別行動を執ってたのは、混雑を避けるという観点からすれば正解だったと考えるべきだろう。」

 耕次の推測に渉が補足する。面子が温泉に行っていた時間帯の混雑具合はどうなのかは推測するしかないが、これまでの証言からするに、相当なものなんだろう。俺と晶子は混雑に遭遇してないから、渉の言うとおり、混雑回避という観点からすれば正解と言うべきだろう。
 行き交う客の年齢層が高い方で固定されているのを感じつつ、温泉の前に到着。此処から先は当然だが俺を含むバンドの面子と晶子は分かれる。こういう時は混浴でなくて良かった、と思うのは独占欲と言うべきものだろうか。

「しかし・・・、考えてみれば、俺達面子がこうして一緒に風呂に入るのはこれが初めてだな。」

 更衣室に入ったところで、耕次が少し感慨深げに言う。思い返してみれば、高校時代合宿と称する学校への泊り込みで侵食を共にすることはあったが、その時風呂には入ってない。学校に設備がなかったし−生徒が泊り込むことなんて想定してないだろうが−、近くに銭湯がなかったのもある。1日2日風呂に入らなかったことで死にはしない、という認識だったから、何ら気にすることはなかった。
 修学旅行では基本的にクラス別の班別行動だったが、面子全員がバラバラだったこともあって、一緒に風呂に入る機会はなかった。卒業旅行は、俺と宮城が二人きりで旅行に出かける口実として面子が用意してくれたから行ってない。大学はバラバラ。以来今までこうして一堂に会することもなかったから、そういう観点からすれば感慨深いものがある。

雨上がりの午後 第1974回

written by Moonstone

「ああ。早い・・・って言って良いかどうかは分からないが、少なくともこのくらいの時間帯はこんな感じだった。逆に皆が温泉に行く時間だと、年齢層が俺達と同じくらいの客しか居なくなってるんじゃないか?」

2005/8/14

[丸1日寝てました]
 一応朝8時頃目を覚ましたんですが、どうにも具合がはっきりしなかったのでそのまま気が済むまで寝てました。気が済んだのは18:00頃。流石にその時間まで殆どずっと寝ていると身体が彼方此方痛くなります。ちょこっと買い物に出かけて夕食の後は・・・メールの吸出しくらいですか。
 新作制作と意気込んではいるんですが、身体の調子が低空飛行状態なので思うように出来ません。腰の据わりが悪いのもありますけど(座ってするものですから)。夏には強いんですが、それと今の身体の具合とは別問題なのでどうしようも・・・。
 この週末で何も出来ないのも癪なので、此処の過去ログをアップしました。ダイアルアップの方には優しくない重さですが、連載が入っているのでご了承願います。

「それじゃ、行こうか。」
「はい。」

 金庫の鍵を手首に通し−輪がゴムになっている−、部屋の鍵を持って晶子と部屋を出る。部屋の鍵をかけたところで、両側の部屋のドアが開く。出て来たのは勿論面子4人。その手には俺と晶子と同じく浴衣とタオルがある。

「あれ?祐司と晶子さんも風呂か?」
「ああ。皆もか?」
「奇遇だな。まあこの際だ。一緒に行こう。」

 第一声を発した耕次の音頭で、俺達は揃って温泉に向かう。廊下は広いが横に広がると邪魔になるから、自然と耕次と渉、勝平と宏一、そして俺と晶子の順で廊下を歩く。温泉へ続く長い廊下に入ると、行き交う人の年齢層は高い方で固定される。食事の時はぱっと見ただけでも居ることが分かった俺たちと同じくらいの年齢層の客は、どうやら全員カウントダウンイベントに出かけているらしい。

「何だか随分俺達が浮いて見えるな。」
「そりゃそうだ。年齢層が見るからに違う。」

 廊下の人気が途絶えたところで、耕次と勝平が言う。面子は昨日までスキーに行ってたから、この時間帯に温泉に行ってない関係で知らないんだな。

「祐司。昨日までもこんなもんだったのか?」

雨上がりの午後 第1973回

written by Moonstone

 十分休んでから、温泉に行くことにした。浴衣とタオルに包んだ下着の替えを持てば準備完了。携帯や財布といったものは持って行く必要がないし、持って行っても置き場所もないからどうぞ盗んでください、というようなものになるので、部屋にある金庫に入れておく。これも昨日までと変わらない。

2005/8/13

[どうにか安定期]
 妊娠しているわけではありませんので念のため(出来たら凄い)。どうにか「座る→立つ」もほぼ支障なく出来るようになって週末を迎えます。来週はとりあえず月曜と火曜は出勤してデータを送るまでして、今後はそれから決めます。がらんとした職場で寂しくないか、と言われれば、普段から事実上個人単位で仕事をしていますし、人気のない方がむしろ落ち着けます。人込みに酔うほどではありませんが、好き好んで飛び込むほどではありません。
 話は変わりますが、圧縮ファイルをどうしようかと思案しています。現在主だったところでは「雨上がりの午後」と「魂の降る里」で用意していますが、「Saint Guardians」はごく一部、しかもタグ修正前の古いものしかありません。ご来場者数はそこそこありますので、用意した方が良いかな、とも思います。
 「Saint Guardians」で問題なのは、フレームを使っているということです。必然性から生じたものとは言え、あれが圧縮ファイル作成を躊躇させる大きな要因です。フレーム、本文、解説の3つを用意しないといけないので・・・。「出版するまで待って」と言ったらそれこそ何時になるか分かりませんし。とりあえず今日新作を作りながらぼちぼち考えます。ご意見ありましたらどうぞ。

「あの日あの時、今までの人生を歩んで来た安藤祐司と井上晶子という2人の人間が居たからこそ生まれた奇跡・・・だな。」
「魔法でも何でもないんです。出逢いそのものが凄い奇跡なんですから。」
「俺と晶子がどちらか一方でもそれぞれの過去を持ってなかったら、俺はあの時コンビニに行かなかっただろうし、晶子は俺を見て驚いたりもしなかっただろうし・・・。本当に奇跡だよな・・・。」

 俺は宮城から一方的に最後通牒を突きつけられたショックで自棄酒をあおり、大学もバイトもサボって、空腹を解消しようとあのコンビニに出向いた。晶子は俺が兄さんに瓜二つだという家族関係がある。そういった過去の蓄積がなかったら、あの日あの時の出逢いは生じなかった。本当に・・・奇跡だな。

「祐司さんにとっては、あの当時は辛かったと思います。けど、あの時祐司さんがああいう状況にあったからあの日あの時あのコンビニへ買い物に来たんですから、私にとっては・・・恵まれた出逢いだったと思ってます。」
「あれは仕方ないさ。今更よりを戻すことなんて出来ないし、そんなつもりもない。変えられない過去に条件分岐を施して推論を立てるのは、小説や映画とかの世界だから出来ることだからな。それに・・・。」

 俺は改めて晶子を正面から見詰める。心なしか晶子が緊張しているように思える。

「晶子と出逢えてこうして居られる今は、俺には十分幸せだよ。」
「私もです。」

 晶子の表情が嬉しさで緩んで、同時に今まであったしんみりとしたものが一挙に消え失せる。そう。今俺は、溢れんばかりの幸せを抱えている。その幸せを脇に置いて、動かせない過去に造花の枝葉を付けても意味がない。それより、無限小に近い確率から芽生えた奇跡を元に生じた今抱えている幸せを大切にした方がずっと有益だ。自分のためにも晶子のためにも、未来のためにも。

雨上がりの午後 第1972回

written by Moonstone

 あの日あの時の出逢いがなかったら、否、それ以前に俺と晶子が同じ時を生きてなかったら絶対に生まれなかった奇跡。今の俺と晶子の関係は、宝くじとは比較にならない物凄い確率で生じた奇跡。「一期一会」という言葉もある。出逢いは幾重もの奇跡の上に生じるものなんだ。そう思うと、晩飯の時に奇跡だ魔法だと言われて生まれた不快感が消えていく。それどころか、腹を立てていたことが馬鹿馬鹿しくさえ思える。

2005/8/12

[あと一月くらい]
 昨日付のお話しの段階では気付かなかったんですが、連載が2000回まであと30回になったんですね。更新の時は機械的に最後の日付分をカット→ログに保存→・・・という作業をしているので、精神的に切羽詰っていたりすると気がつかないこともあるんです(月代わりだと流石に気付きますが)。寝て待っても来るものではないので、毎日書き進めていきます。続けていれば結果は自ずと生じますからね。
 測定機器の問題は何とかクリア。普段使っている私が言うのも何ですが、今の測定機器は便利になったもんだと思います。画面は鮮明なカラー液晶、測定ポイントの設定も階層メニューやジョグダイアルなどで直ぐ、数年前の同等以上の性能がコンパクトに。技術の進歩ですね。
 もっとも機器や技術が進歩したからといって、それで良いものが出来るかと言えばそうではなく。執筆にしても原稿用紙やノートなどに万年筆や鉛筆で書いていた頃より良いものが出来ているとは一概には言えません。技術や道具は使うものであって使われるものではない。そう思います。
 部屋の鍵を開けて、電灯をつけて中に入る。既に布団が敷かれてあるが、机は片付けられていないから、面子が来ても場所に不自由することはない。まだ温泉に行くにはちょっと早い気もするから、食休みとするかな。普段はそれどころじゃないし。

「どうぞ。」
「あ、ありがとう。」

 晶子が差し出した入れたての茶を一口啜る。熱いが喉の通りは良い。思わず溜息を吐いてしまうが、これは仕方ないか。

「今こうして祐司さんと一緒に居られるのは、奇跡の1つだと思います。」

 晶子が静かに語り始める。

「世界に居る何十億の人の中で私という存在が生まれて、今まで生きてきて今の大学に入って今の町に住んで、祐司さんも何十億の人の中に生まれて、今まで生きてきて今の大学に入って今の町に住んで、そしてあの日あの時、あのコンビニで出逢った・・・。それは何千万分の一、いえ、何億分の一、それ以上の確率だと思うんです。言い換えれば凄い奇跡ですよ。」
「言われてみれば・・・、そうだな。」
「祐司さんが今年の夏休みに『別れずの展望台』で歌ってくれた、『Time after time〜花舞う街で〜』にもあるじゃないですか。」

 あの晩夏の一こまが蘇って来る。何時か晶子だけに聞いてもらおうと、慣れない弾き語りを練習したあの曲を歌った時と、あの曲の中にあるフレーズ・・・。何億何十億の人間の中に生まれて、あの日あの時同じ場所に居たからこそ生まれた出逢い。確かに奇跡だ。そうとしか言いようがない。

雨上がりの午後 第1971回

written by Moonstone

 夕食を終えて2階に上がったところで今後の予定を決めて、耕次が確認の音頭を取る。時間は20:00前だから3時間以上ある。その間何をするかと言えば、温泉に行くことを除けば部屋でのんびり寛ぐこと。それで十分だ。

2005/8/11

[未だ不安定]
 腰痛がしつこく続いていて、特に「座る→立つ」の後に歩くと1分ほど下半身を引き摺ってしまいます。鎮痛剤は持っていますが基本的に食後に飲むものですし、痛いから飲むを繰り返していると効果が薄れてくることもあるので、かなり我慢しています。
 現に今も痛んでいるので、大事をとって今日付は短めにします。今日は来客があるので絶対に休めない故。しかし、導入以降誰も使ったことがない測定機器を果たして私が使えるのか果てしなく疑問(汗)。取扱説明書は読んではいますが、測定対象がなかったので電源を入れてないですからね・・・。
「祐司、どういう魔法使ったんだ?」
「自分で分かってるなら本にして売ってる。」

 耕次と宏一の駄目押しで少しふてくされて、俺はご飯をがっつく。自分で分かってることとは言え、他人から言われるとやっぱりそれなりに嫌なもんだ。大体、俺が晶子を引っ掛ける魔法を使えたなら、言ったとおりその内容を本にして売る。そうすれば確実に儲かるし、札束で頬を叩かれたい女なら頼まなくても寄って来るだろうし。
 ・・・やっぱり傍から見てるとアンバランスに見えるんだろうか。食べて少し冷静になったところで、そういう思いが頭を過ぎる。思えば晶子が俺を追いかけ始めたのは、俺が晶子の兄さんに瓜二つらしい−本人を知らないから晶子の言葉を借りるしかない−ということから始まった。そういう偶然がなかったら、あの日の夜の出逢いは単なる袖の触れ合い、否、すれ違いで終わったんだろうか。
 過去に「もし」や「〜たら」「〜れば」を持ち込むのは良くない。その可能性から湧き上がる推測に溺れて今を見失ってしまうからだ。人生にやり直しは出来ないことくらい百も承知。だったら修正が効かない過去を推測の元であれこれ議論しても、それこそ時間の無駄。そうとは分かっているが・・・、現実を目の当たりにするとそういう思いが急浮上してくるのは、人間には過去への未練がつきものだからだろうか。

「じゃあ、午後11時50分に祐司と晶子さんの部屋へ集合ということで。それまでは自由行動。じゃあ解散。」

雨上がりの午後 第1970回

written by Moonstone

「あの味も素っ気もない出逢いが此処まで進展したのは、やはり奇跡としか言いようがないな・・・。」

2005/8/10

[ったく・・・]
 自宅のPCを再起動する前にメールソフトのゴミ箱を見たら、3日間で230通以上溜まってました。1日70通以上ですか・・・。はは・・・。此処をお聞きの方はご存知でしょうが、yahooやhotmailなど有名にして迷惑メールによく使われるフリーメールは、正当な内容でも読まずに削除される危険が極めて高いのでご注意を。そうでもしないとやってられない(激怒)。
 来週は盆休み、という方は結構居られるようで、そのあおりか職場の食堂が営業時間短縮&弁当休止と相成りました。営業時間はまだしも、弁当休止は痛い・・・。昼はよくそこの弁当で済ませているので、その間何処へ行こうかと思案しています。自分で作るという選択肢もありですが、箱がないので断念。この時のために買うのも何ですし。
 職場のカレンダーに休業日程を書き込んで(電話近くにあるので結構見られています)、あまりに休みが重なっているのを見て「来週休もうかな〜」と考え中。帰省は来月ですが、それとは別で休もうか、と。職場の人ほぼ全員休みですし。でもこういう時に限って何やら荷物とか届いたりしますから、難しいところです。
 耕次に代わって晶子と問答した渉は、これまた感心した様子だ。・・・改めて考えてみると、俺は晶子の厚意に甘えて結構、否、かなり無理を言って来たと思う。「どうですか?」と聞かれて率直に「煮物が甘く感じたからもっと辛めにして欲しい」とか答え、その時晶子は嫌な顔をするどころか、飽きない程度に繰り返し出して何時しか味を俺好みに合わせてくれた。
 晶子だって今まで食べ慣れて来た味がある。それを変えるのは我慢が必要な筈だ。辛いから甘いに慣れさせるのも違和感を感じるだろうが、甘いから辛いに変えるのも違和感を感じて当然だ。何時もどおりのやり取りの中の幾つかに晶子の絶え間ない努力や我慢があったことを考えると、申し訳なく思う。

「服やらアクセサリーやら強請らず、祐司の見た目や収入に泳がされず、あくまで祐司が喜ぶことに生きがいを見出す・・・。」
「強請ったことと言えば、誕生日にペアリングをプレゼントされると分かった時に、結婚指輪にしてくれと言って譲らなかったこと・・・。」
「料理を振舞うにも祐司の好みを最優先にして、それを心底大切にしている・・・。」
「見てくれも性格も満点。厳しいことで知られてた祐司の両親も連れて来いと言うくらい好感を持たれてる・・・。」
「「「「・・・。」」」」
「?」
「「「「世の中不思議だなー。」」」」

 耕次、勝平、渉、宏一の順で見解を言ってから少し間をおいて、計ったかのように面子が口を揃えて深く溜息を吐く。・・・こういう態度に出られると、流石にちょっとむかっとする。そりゃあ、背も高いとは言えないし貧乏学生の典型だし、ファッションセンスなんて皆無。あるのはギターの腕くらいだ。釣り合いが取れないと言われればそれまでだが・・・、やっぱり引っかかる。

雨上がりの午後 第1969回

written by Moonstone

「ほう・・・。」

2005/8/9

[痛みの先には何もない]
 昨日は休みでしたので、日曜に続いて殆ど休んでました。2日あれば1作品くらい新作が書けるでしょうが、何分腰が不安定過ぎるので安全策を執りました。一旦座ると立ち上がって背筋を伸ばすのに時間がかかります。この調子だと完治は当分先と踏んでいます。とりあえず鎮痛剤を持ち歩いて応急処置をするしかないです。
 で、オンラインニュースで郵政民営化法案否決→衆議院解散総選挙を知ったわけですが、自民党に郵政族が居る以上、その利害(要するに選挙時の人と金の支援)を切り捨てる法案は否決不可避です。郵政民営化の背景には340兆円以上の資金を「民間」に解放しろ、という財界(特に銀行と生保業界)とアメリカの圧力があるのですが、それよりも利害を優先させた議員が多かったというわけです。
 「自民党をぶっ壊す」「改革には痛みが伴う」とか仰々しいことを言っていましたが、壊されたのは大多数の国民生活であり、痛んだのは大多数の国民の懐。マスコミが「自民か民主か」のキャンペーンを張るのは目に見えていますが、どちらも献金目当てに増税・改憲路線を突っ走る政党ですから、両方(+選挙で票分配する公明党=創価学会)に期待するだけ無駄です。それだけは言えます。有権者諸氏はこの機会に熟考すべきでしょう。
「ふむふむ・・・。」
「あと、生協の食堂のメニューがある程度パターン化されているのもあります。実験が大変なものだということは想像の域を出ませんが、その合間に一息、と思って夕食を食べに行って前に食べたことがある、となるとつまらないと思うんです。一息吐く時間でもある食事の時間を楽しんで欲しい、と思ったのも、私が食事を作ることにした理由の1つです。」
「配慮が行き届いていますねー。」

 耕次が言うまでもなく、俺もそう思う。出されるメニューは毎回違ったし、和洋中様々で今日は何が出て来るのかと楽しみだった。ご飯も炊きたて、茶も入れたて。冬場で独り食事、となるとどうしても気分が沈みがちだが−欝になるほどじゃない−、彩り豊かな温かい食事を食べられるというのはやっぱり嬉しいし、帰って来たんだ、という気分に浸れる。
 俺は唐揚げとか脂っこいものが好きなんだが、流石にそれが連続すると飽きる。晶子が言ったように、生協の食堂のメニューはある程度パターンがある。「あ、確かこのメニューって何時だったか正確には覚えてないけど、一月以内には食べた覚えがある」という曖昧なレベルだが、それでも結構気分が萎える。実験中の昼食は尚更だ。その実験が終わった後の遅い夕食だから、美味いものが出て来るのは本当にありがたい。

「晶子さんは夕食を振舞うにあたって、祐司から何らかの報酬を得たいですか?」
「食べてくれてそれを美味しいと褒めてくれたり、この味はもっとこうして欲しいとか要望を言ってくれれば十分です。」
「前者は納得出来ますが、後者は作った側として腹が立ったりしませんか?」
「いえ。祐司さんと私とでは味の好みが違うので、我慢しながら食べてもらうよりこうして欲しいと言って貰った方が、むしろ助かります。」
「ご存知でしょうけど、祐司はファッションとかにはてんで無頓着で、食べ物に関しても煩い方じゃないです。要望を受けたことはあるんですか?」
「はい。煮物関係が祐司さんにとっては甘く感じられたみたいで、好みの味にするのに色々工夫しました。」
「相手の味に合わせるというのは、苦痛じゃないですか?」
「いえ。私は祐司さんに美味しく食べてほしいですから。」

雨上がりの午後 第1968回

written by Moonstone

「祐司さんは月曜に学科の実験があるんですけど、その帰りは全般的に遅くなる傾向がありますし、時間も不規則です。忙しいとは言っても食事は生活の基本ですからしっかり食べて欲しい。でも今の祐司さんに一から料理を教えて自分で作って、ということは出来ません。ですから私が作ることにしたんです。」

2005/8/8

[完全休養]
 土曜日の帰宅が遅くなった影響で寝る時間もずれ込んだんですが、起きる時間は何時もと大差なし(汗)。土曜に家を出るまでに書いておいた新作を仕上げた後、後は殆ど1日寝てました。寝不足感があったのは勿論ですが、今の深くて重い腰痛は睡眠不足からも来ている可能性があると思ったので。
 部屋が暗くなってから(19:00頃)夕食を作って、と始めたのですが、幾分楽になりました。まだ座る→立つがスムーズに出来ないので幾分不自由しますが、これまでのように痛みで数秒その場で動けないということはほぼなくなった分、気持ちも楽になりました。身体の具合が悪いと精神状態も悪くなる→身体の弱いところに悪影響が出る、の悪循環が出来ますからね。
 今日は有給で休みです。土曜に午後から日付が変わる頃まで出るんだから、1日休んでも罰は当たるまい、と思ってのことです(余った飲み物も置いてきたし)。とりあえず2日で100通以上も溜まった迷惑メールをHDDからも抹殺しようかな、と思います。本当に頼まなくても来ますね・・・。
「そのような場合は、まず何よりその事由の正当性がどちらにあるかを考えるべきだと思います。正当性は全てにおいてあるなしの二分論で色分け出来る性質ではないですから、その場合はその検討から始める必要があると思います。それがなされた結果女性の側に非があると判明しても尚、女性が数や勢いなどで自己主張を押し通すのは、女性の権利ではなく単なる傲慢でしかないと思います。」
「なるほど・・・。」

 耕次をはじめ、面子は感心した様子だ。隣で聞いている俺も、晶子の言うことは分かりやすいし筋が一本通っていると思う。俺が居る電子工学科は女子学生の割合が圧倒的に低いのもあってか、殆ど彼女らの声−主張という意味−を聞いたことがない。
 同じ学科の同じ学年でも未だ顔と名前が一致しない人が居るくらいだからいい加減な推測だが、女性の比率が低い理系学部では大体女子学生は大人しいーこれも主張という意味−。今まで実際に見聞きした唯一の例外といえば、智一の従妹でもある吉弘だ。多数の取り巻きを従えて風を肩で切って歩き、明らかに相手を見下した目つきでの命令口調は、自分への異論反論は一切許さない、という態度がありありだった。仮に彼女が議員とかになったら、議会は押しの一手だけがぶつかる修羅場、否、罵り合いの場になっているだろう。
 俺はバイトや生活習慣の関係で、今はまずTVを見ない。だから最近の事例については知らないが、高校時代にTVの討論番組で、女性国会議員がことある毎に、女性は、女性が、とまくし立てていて、これじゃ討論番組じゃない、と思ったことがある。耕次の質問は、そういう女性の台頭を想定してのものだろう。

「前の質問などと一部重複するかもしれませんが、祐司に手料理を振舞うようになったのはどうしてですか?」

雨上がりの午後 第1967回

written by Moonstone

「では想像の範疇になりますが、そのような傾向を同じ女性としてどう考えますか?」

2005/8/7

[ただいま〜]
 職場のレクリエーションの実行委員の仕事を済ませて帰って来ました。準備は午後からだったんですが、何より外は暑い。設置場所が全面コンクリートなことや湿度の高さも加わって、何もしなくても汗が滴り落ちるくらいでした。そんな中椅子やら机やらを下から運んだり、電灯の配線をしたりしていたので、少し日焼けしたようです。「少し」というのはずっと設置場所に居たわけではないからです。ずっと居たら今頃日焼けの痛みでひぃひぃ言っているでしょう(私は肌が弱いので日焼けは赤くなって痛むだけ)。
 最も大変なのは設置と撤収なので(この手のものは大抵そうですが)、それらが今年は随分スムーズに出来たのが救いですかね。今回のものは職場の恒例行事の1つで、今年も相当人数参加者がありました。腰を痛めているとは言え、長時間同じ姿勢を続ける必要がなかった分まだ楽だったかも・・・。
 予想外に夕食の時間が出来たので(去年はなかった)最寄の駅前に出たんですが、壮絶な混雑でした。最寄の駅でこの有様だから、会場は絶対凄まじいことになっていると確信しました。職場の人は人伝で聞くなり体験するなりした結果、昨日のレクリエーションに参加するんですけどね。来年は参加者になりたい・・・。
「晶子さんは、祐司に手料理を振舞う時に後片付けはどうしてるんですか?」
「私がしています。」
「後片付けの手伝いくらいしてくれ、と思う時はありませんか?」
「いえ。私が作ると言い出して準備しているものですし、祐司さんに食べてもらうことそのものが嬉しいですから、後片付けをどうとか思うことはありません。」
「そうですか。言い換えると、晶子さんが祐司に手料理を食べてほしいために作ってるのだからそれに関して祐司の手を煩わせるつもりはない、ということですね?」
「はい。」
「改めて本人から話を聞くと、控えめなようで自分はこうする、という意思はきちんと持って行動してることがよく分かります。」

 晶子と問答した渉は、改めて感心した様子を見せる。渉には、他人からどう思われても何と言われても自分の意思にしたがって行動する晶子が栄えて見えるんだろう。初日の飲み会で宏一が連れて来た女連中と比較すると尚更。

「確か、文学部でしたよね?晶子さんは。」
「はい、そうです。」

 次に尋ね始めたのは真打と言うのかどうか分からないが、耕次だ。

「今回の旅行の宿をネットで手配した際に、ついでと言うと何ですが、新京大学について多少調べたんです。それによると、新京大学でも文学部では女子学生の比率が高いそうですね。」
「はい。学科やゼミによって若干異なりますが、最低でも7、8割は女性だと思います。」
「となると女性の発言力と言うんでしょうか。ゼミなどで揉め事や諍いが発生した場合、事由の正当性を問わずに女性が力で押し切るのを『女性の権利』などとある意味正当化する傾向があるかと思いますが、そのような事態に遭遇したことはありますか?」
「いえ。私が所属するゼミではそのようなことはありません。」

雨上がりの午後 第1966回

written by Moonstone

「流石に喫茶店でバイトしてるだけあって、祐司も晶子さんも手際が良いな。」
「普段してることだからな。」

2005/8/6

[今日は早めに・・・]
 前にもお話したかもしれませんが、今日は職場のレクリエーションの実行委員として出かけて、帰りがかなり遅くなるので(終わる時間が遅いから仕方ない)更新を早めにしました。とは言っても20:00頃ではさほど早いとは言えませんか。私は23:00過ぎに更新する習慣が根付いているので。
 今日付更新は色々ありますが、投票所Cometのシステム更新がようやく、という感じです。表面上ではあまり変化ありませんが、内部的にはかなり複雑なことをしています。バージョンアップに伴うデータの互換性喪失というのは利用者にとってかなり痛いのですが、使っている以上文句は言えません。試行錯誤の末にどうにか解決しました。
 TOP最上段にも表記しましたが、今日は広島に原爆が投下された日です。ブッシュ大統領を筆頭とするアメリカを牛耳るネオコン(新保守主義者)が「使える核兵器」を平然と口にし、その戦略に「日米同盟」を口実に追従する日本。何故何百億もの金の一部でも核被害者救済や貧困対策に向けられないのか。抑止力など軍事力を際限なく増大させ、結果貧困やテロの温床となるだけの空論だということに、被爆国日本こそいち早く気付くべきではないでしょうか。

「カウントダウンイベントに行く連中は、それぞれの宿かスキー場近くの飲食店で晩飯を済ませて、そのままスキー場に戻るだろう。スキー用具はスキー場に預けられるようになってたからな。」
「やはりと言うか、カウントダウンイベントの一切はスキー場を経営するリゾート会社が取り仕切ってるようだ。特設ステージとかにもその会社名がでかでかと書いてあったからな。」
「宿で年越しするならまだ十分余裕はあるから、一度風呂に入ってから何処かの部屋に集合、って段取りで良いだろう。部屋は・・・どうする?」
「俺と晶子の部屋で良いんじゃないか?間にあるし。」

 まさか外で買い込んだ飲食物をロビーで飲み食いするわけにもいかない。かと言って、カウントダウンイベントへ行かないのにわざわざ外に出る理由もない。となれば3つある俺達の部屋の何れかになるが、面子の「配慮」で真ん中になった俺と晶子の部屋が良いだろう。

「確かに間にあるし分かりやすいと言えばそうだが、晶子さんは良いですか?」
「はい。」
「じゃあ、食ったら時間を決めるか。」

 場所が決まったら時間を決めるのは食後でも良い。年が明けるまで十分余裕があるからだ。どんどん運ばれて来る夕食を食べて、空いた皿は俺と晶子が適当に重ねて従業員に差し出す。その度に従業員はありがとうございます、と言って去っていく。俺と晶子は普段バイトで料理を乗せた皿をテーブルに運んだり、逆に空いた皿をキッチンに持って行くことを繰り返しているから、従業員の気持ちは多少なりとも分かるつもりだ。

雨上がりの午後 第1965回

written by Moonstone

 夕食が運ばれて来る中、俺達は会話を進める。

2005/8/5

[遅刻して御免なさい]
 このところ日付が変わる前に更新していたのに今日付はやけに遅くなった(A.M.2:00過ぎ)理由を簡単に言うと、夕食後に一休みしようと横になったら金縛り状態になってしまい、解除に3時間以上かかって、今度はその疲れで気絶したからです。まだ服薬しないと安心して寝られません(汗)。
 今日付の更新を済ませて一安心、とはいきません。明日付は複数のグループで更新しますので、その準備が必要だからです。ローカルで作品自体は用意してあるんですが、インデックスは万が一の事態に備えて(この前のSide Story Group 2のように別のグループのものと取り違えるなど)直前になるまで変えませんから、複数あるとその手間が結構かかるわけです。
 まだ腰痛が残っていて、立ち上がるのに一苦労します。せめてこれさえなくなってくれれば楽なんですがなかなかそうもいかず・・・。まあ、明日付に向けて準備しますので、お楽しみに♪

「そうか。俺達も行かないことにしたし。」
「え?」

 俺は耳を疑って思わず聞き返してしまう。てっきり面子は揃ってカウントダウンイベントに行くものとばかり思ってたが。

「宏一の話を聞いたり、ステージが設置されてる現場を見て、相当混雑しそうな様子らしい。大勢の前で何かするのはまだしも、あれだけ広い場所を埋め尽くすほどの人手の中に混じる気にはなれなくてな。宏一はまだしも、俺達が此処に来た目的は一足早い卒業旅行だから、何も年越しまで他の奴らと歩調を合わせる必要はない。」
「飲み物とかは買い込んで来たし、年越し前か後にでも一度何処かの部屋に集合して乾杯でもしておけば良いだろう。」

 耕次の説明に渉が補足する。ライブでは大勢の客を前に、お前は大人し過ぎる、と俺に言っていた面子も、目的のスキー以外ではさして関心を寄せないようだ。
 改めて考えてみると、面子の決定は納得出来るものだ。共通の目的があればそれに向かって邁進するが、それ以外では縛りにとらわれることなく自由に行動する、というのが暗黙の了解だ。耕次が言ったように此処に来たのは一足早い卒業旅行のため。面子はそれにスキーが加わり、面子に誘われて急遽合流した俺と、これまた急遽同行することになった晶子は観光が加わった。それ以外のこと、今回はカウントダウンイベントは予定外のものだから、全員の意見の一致がない限りそちらに走ることはない。

「カウントダウンイベントに行かないとなると、晩飯の後は風呂か?」
「そういうことになるな。」

雨上がりの午後 第1964回

written by Moonstone

「早速だが決めたか?これからどうするか。」
「ああ。俺と晶子は部屋で年越しさせてもらう。」

2005/8/4

[今度はしゃっくり]
 腰痛は多少緩和されましたが、今度は朝からしゃっくりが頻繁に出て困っています。食事中には止まっただけまだましですが、ようやく止まったと思ったらまた始まって、の繰り返しで甚だ迷惑しています。100回すると死ぬぞ?と職場で脅されましたが(笑)、通算すればとうに100回越している今でも平気ですから大丈夫でしょう。
 かなり前から頭を悩ませていた別件が、昨日ようやく解決しました。出来てしまうとあまりにも呆気ないのですが、解決するまではやっぱり暗中模索になります。紹介されている設定を一部無視したツケでしょうかね(ソフトウェアのインストール先を余程のことでない限りデフォルトにしない人)。
 必要なこととは言え、普段の運営を続けながら別のことをするのはなかなか大変なもので・・・。今は少しずつですが睡眠障害が回復しているので、下手に夜更かしとかをしてぶり返されると困りますし。第1目標は掲示板をどうするか、ですかね。

「よう。お待たせ。」

 声の方を見ると、スキー用具を肩に担いだ耕次をはじめとする面子が居た。携帯で時刻を見ると6時を少し過ぎている。十分許容範囲内だから、文句を言う必要はない。

「スキー場の混雑はどうだった?」
「昨日より増えてた。やっぱり初心者も、スキーをメインに考えている奴は中級者コースにシフトして来てる。」
「初心者コースはもう、滑るより交流の場所になってるぜ。カウントダウンイベント用のステージも作ってたし。」

 どんな規模のイベントなのかは知らないが、元々何もない−あると邪魔だろうが−ところにステージを設置するとなると、太陽が昇っているうちから作業を始めないと間に合わないだろう。ステージがある店のクリスマスコンサートでも、テーブルや椅子を退けたり飾り物をつけたりするのを早いうちから取り掛かるしな。

「とりあえず俺達は服を換えたり道具を置いたりしに部屋へ戻るから、少し待っててくれ。」
「分かった。」

 面子はいそいそと階段へ向かう。服を換えたりするのにそんなに時間はかからないだろうし、宿に戻って来るまでの状態より今は居ることが分かっているから、不安がる必要はない。
 少ししてジャケットを脱いだりスキー用具を置いたりした面子が戻って来た。俺と晶子は共に食堂へ向かう。昨日一昨日より人が多い、特に俺達と同じくらいの年齢層の客が多いような気がする。カウントダウンイベント前に腹ごしらえをしておくつもりなんだろうか。奥の方に行くと6人分の席が空いていたから、そこに座る。程なく従業員がお茶とお絞りを持って来る。

雨上がりの午後 第1963回

written by Moonstone

 午後から雪が降り始めて、宿へ帰る頃には視界がかなり遮られるほどの大降りになった。今でも窓から見ると、吹雪くまではいかないにせよかなり降っている。スキーをしている面子−ナンパにご執心であろう1名は別として−は怪我とかしてないだろうか、と不安に思う。

2005/8/3

[医者へGO]
 あまりにも腰痛が酷いので、医者に行って来ました。レントゲン撮影でも、やはり骨には異常ないとのこと(今年の3月に腰痛の診察を受けに行ってます)。どうも筋を違えているらしいです。で、痛み止めの注射を受けて帰宅。多少ましになりましたが、まだ自由に立ったり座ったりとはいきません。座るにしてもある程度時間が経ったら姿勢を少し変えるようにしています。
 今日自分のページをチェックしていて、Side Story Group 2のインデックスがSide Story Group 1のインデックスと同一になっていることを発見。即座に修正しておきました。アップの時ディレクトリを間違えたからでしょうが、全く気付かずに居ました(汗)。以後注意します。
 今日の更新内容は数こそ多いですが内容は細かいものです。先述したインデックス取り違えと此処以外ではTotal Guidanceだけです。そこも単にFirefoxのダウンロードページへのリンクを用意しただけです。そこにも併記しておきましたが、時間帯によっては「窓の社」からのダウンロードをお勧めします(夜22:00以降はまず無理)。MacユーザーはIEをお使いなんでしょうか?
 俺が居ない隙に、ということをしでかすような女じゃないと信じてたし、それは今でも変わらない。信じないと愛情に限らず友情とかそういうものは遅かれ早く瓦解するものだということを、田畑助教授絡みの一件で嫌と言うほど思い知らされたのもある。
 電話の時間は俺に迷惑がかからないように、という晶子の配慮で短かったから、その間にあれこれ問い質すことは出来なかった。俺の家で待っていた晶子とは夜を共にしたが、その前後でも尋ねていない。俺の家で待っていてくれた上に、好物の唐揚げを作ってくれたのもあって、尋ねるのを思いつかなかったこともある。
 ことが終わった後で、俺と離れていた時間は短いようで長かった、俺に早く帰って来てほしいと思っていた、と晶子は言っていた。電話でも自分が今日なにをしたかの概要を伝え合っていたし、その内容に「ちょっと待て」と言うべきものは何もなかった。だからその時も聞かなかったし、今更蒸し返すつもりなんてさらさらない。
 大賑わいのイベントの輪に入って年越しをするのも一つ。2人で静かに年越しをするのもまた一つ。面子も明言こそしていないがそれを承知で晶子の同行を許可、否、持ちかけてきたんだし、俺は理由があったとは言え去年寂しい思いをさせてしまった分、そして来年がどうなるか分からないから出来る限り晶子の意思を優先したい。それだけだ。

 宿に戻って1時間あまり経った。俺と晶子は宿のロビーに居る。今日は主に町の南側を回ったが、川の両側がコンクリートじゃなくて石垣で作られていて、橋の傍にあった立て看板には、町の治水事業の一環として作られた100年以上のもので、重要文化財に指定されている、と書いてあった。石垣は色も大きさも不揃いな石で作られていて、所々に苔(こけ)らしいものが生えている辺りに、年季を感じさせられた。水はあまり流れていなくて、砂州に近いところは凍り付いていた。
 昼飯は町の一角にある食堂で食べた。そこのメニューも昨日昼飯を食べたところとほぼ同じで、地元産の牛肉を使ったものが中心だった。晶子と相談して、2人用のすき焼きを頼んだ。値段の割に意外に量が多くて−値段の高いところは量が少ないという俺の固定概念のせいだが−、得した気分になった。客の年齢層が高いのはもう分かりきっている。

雨上がりの午後 第1962回

written by Moonstone

 去年の年越しに関して、晶子からはあまり詳細を聞いていない。分かっていることは、マスターと潤子さんの家で年を越したこと、やはりマスターと潤子さんと一緒に月峰神社に初詣に出かけたこと、俺が自宅に戻る日に俺の家で待っていた、ということくらいだ。

2005/8/2

[状態悪化中]
 土曜から再発した腰痛は一向に良くならず、一度姿勢を固定すると変更にかなりの痛みを伴う羽目になりました。「座っている→立つ」では1分くらい腰を曲げたままで(前屈み状態)、その後2,3分かけて徐々に体勢を立て直す、という有様です。逆は割とすんなり出来るんですが。
 同じ姿勢を長時間続けるのが良くないらしいんですが、本業もこちらも同じ姿勢(椅子に座る)を長時間続ける傾向が強いものですので、どうにも避けようがないのが実情です。身体の具合が良くなってきたと思ったら腰が悪くなる・・・。両立はさせてもらえないんですか?(泣)
 思った以上に重傷だった右手薬指は、普通に握り拳が作れる程度まで回復しました。ただ、未だにまっすぐ伸ばせませんし、握力は負傷前の半分あるかないかといったところです。見た目腫れているように見えるのは、骨がそうなってしまったかららしいです(触ってみると分かる)。よく医者に行くまで我慢出来たもんだ、と我ながら不思議です。
 俺を含むバンドのメンバーは、コンサートを成功させるとか次の定期試験に備えるとかいう共通の必須事項以外では自由気ままに行動する、というのが暗黙の了解になっている。現に高校時代、俺は当時付き合っていた宮城とデートしていたし、耕次は校則−校則は拘束と重複しているというのが持論だった−改正のために生徒会に掛け合ったり生活指導の教師と直接対峙したりしていたし、勝平は実家の工場で材料工作をして、楽譜やノートを広げて置ける卓上スタンドを作ったりしていた。渉は図書館に通っていて、宏一は機会ある毎に女に手を出しまくっていた。
 今回も旅行でこの町に来るという目的は共通しているが、俺以外の面子はスキー、俺は晶子と観光がこの町における目的だ。その目的には俺が面子に干渉してないし、面子も俺と晶子に干渉していない。行くかどうかを決めておいてくれ、とは言っていたが、来い、とは言ってない。行く行かないは俺と晶子が決めることだという意思表示の裏返しだ。だったら、俺と晶子が合意した方向で行動すれば良いだけのこと。

「去年は寂しい思いをさせちまったからな。来年はどうなるか分からないし、今一緒に過ごせる時間を大切にしたいのは、俺も同じだよ。」
「祐司さん・・・。」
「面子も行くかどうか決めておけ、とは言ってたけど、来い、とは言ってないしな。理由は俺からちゃんと説明する。」

 晶子は俺の左肩に頭を乗せる。腕に手を回しているから−今日は雪は止んでいる−必然的にかなり密着した格好になる。屋内、専ら俺か晶子の家のどちらかだがそこでは割とよくあるが、屋外では殆どない。せいぜい手を繋ぐかこの町での観光のように晶子が俺の腕に手を回すくらいだ。晶子がこういう行動に出たということは、それだけ嬉しいんだろう。

雨上がりの午後 第1961回

written by Moonstone

 元々晶子をこの旅行に同行させることを持ちかけたのは、俺の自宅に電話をかけてきた耕次を筆頭とする面子の方だ。2人部屋3つを予約したのは良いが1人分空いてるからどうしようかと考えていたところだ、とも言っていた。俺が晶子を同行させるなら、俺の性格をよく知ってる面子のことだ。俺が晶子を優先させることくらい百も承知の筈。そうでなかったら、引き摺ってでもスキー場へ連れて行っている。

2005/8/1

[まだ痛むぅ・・・]
 土曜にPCに向かってひたすらキーボードを叩いた結果再発した腰痛は昨日も尾を引いて、昼過ぎまで満足に動けませんでした(汗)。起床したのは5時頃だったんですが(それも問題)。今は試行錯誤の末、背凭れのクッションに体重を預けて腰に極力負担がかからないようにしています。この体勢に持っていくのがかなり難しかったです。
 月始めで背景写真を更新。・・・やっぱり花火(汗)。この時期に関係する手持ちの写真はこれしかないんですよ(汗)。この写真は去年もこの月に使ったような気がしないでもないんですが、気にしないでおきます。で、昨日付日記でも言及していた新作を公開。久しぶりのシリーズ更新です。「こんなもん考えるのに時間かかってたんか」と怒らないでください。今後単発形式で続けていくものですので。
 これから色々することがあるので、今日付更新は時刻を早めました。明日以降はそう上手くいかないでしょう(威張れない)。連載のストックを増やしておかないと・・・。

「晶子。今日のカウントダウンイベント、行きたいか?」
「出来ることなら・・・祐司さんと2人で年を越したいです。」

 宿を出て少し歩いてからの俺の問いに、晶子は遠慮気味に答える。やっぱりそうだよな。去年はマスターと潤子さんの家に行って正月を迎えたんだ。来年はどうなるか分からないから−分からないから色々悩んだり考えたりするんだが−、せめて今年は、という思いなんだろう。

「でも、私に決める権利はありません。」
「晶子?」
「本来今回の旅行は、祐司さんが高校時代のお友達との一足早い卒業旅行なんですから、厚意で同行させてもらっているとは言え私は部外者です。祐司さんの行動を束縛する権利はありません。そのくらいのことは弁えているつもりです。」

 遠慮している。一言で言えばまさにそれだ。晶子は俺と面子との旅行に同行していることに、かなり負い目を感じていることが改めて分かる。正直な気持ちは先に出た。だが、後半の言葉は自分の気持ちを無視して構わないから俺が決めてくれ、というものだ。痛々しくさえ思う。

「・・・部屋で年越しをしよう。」
「祐司さん?」
「俺自身面子と卒業旅行と言いながら、今もこうして別行動を執ってるんだ。1つ2つそれが増えたからってどうってことない。もし俺の別行動が許せないなら、とっくに止めてる。それ以前に晶子の同行を認めなかった筈だ。」

雨上がりの午後 第1960回

written by Moonstone

 朝飯を済ませた俺達は、スキーへ行く組と町の散策の組に分かれる。言うまでもなく前者は俺を除く面子全員、後者は俺と晶子だ。この町は思った以上に広いから、昨日一昨日でもまだ全部を回りきれていない。今までは主に大通りとその北側を歩いていたが、今日は南側を歩いてみようと思う。

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