芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2002年11月30日更新 Updated on November 30th,2002

2002/11/30

[撮って来ました(^^;)]
 昨日の日記でどうするか悩んでいた、12月用の背景写真の撮影ですが、結局昨日撮影に行って来ました。カメラのバッテリーも充電したし、往復の切符も何気に買ったし(爆)、面倒だけどここは一つ、行って来ますか、ってことで、一旦職場から帰宅した後、食事を済ませ「あたしンち」を見た後(この辺が何とも(^^;))、駅へ向かいました。
 目的の場所に着いて足を踏み入れたら、予想どおりカップルがいっぱい。光のところに集まるなんて蛾みたいな奴らだな、とか思いつつ、自分もそれに近いものがあるな、とも思ったり(笑)。途中で2回アジア系外国人から写真撮影を頼まれましたが(頼み易い顔には思えんのだが)、約1時間で120枚の写真を撮りました。結構派手な演出もあって、カップルの他にも友人連れで携帯電話のカメラや私みたいにデジカメをイルミネーションに向けている人がかなり大勢居ました。考えることは同じか(笑)。
 で、120枚の中から1枚を選び出して残りはお蔵入り、というのは勿体無いので(ああ、貧乏性)、写真集を作ろうと思います。見たら撮影場所が何処かとか、私がどの地方に住んでいるかが分かってしまうと思いますが、まあ、仕方ないでしょう。厳選したものをお見せしますのでお楽しみに♪

「祐司君が民宿の部屋を出て行った時ね、晶子ちゃんが猛然と立ち上がって祐司君の後を追いかけようとしたのよ。私が止めなかったら、まず間違いなく祐司君は晶子ちゃんに引き摺り戻されてたと思うわ。」
「・・・それで?」
「私が止めた時、晶子ちゃんはどうして止めるんですか、ってもの凄い剣幕だったのよ。その時私が言ったのはたった一言。『祐司君を信じてあげたら?』その一言で晶子ちゃんは落ち着いたわ。そして祐司君の邪魔はしないことを私に約束して、祐司君の後を追いかけていったのよ。」
「・・・。」

 そういえば、あの話し合いが終わった後、知らないうちに後をつけてきていた晶子がそんなことを言ってたな・・・。潤子さんに言われて、彼を信じられないで彼女と言えるのかと自問自答した、とか・・・。
 だけど、今の俺に晶子を信じろと言われても無理だ。たった3日前に良くない、と自分で言ったことをよりによって俺の目の前で「実践」して見せたんだから。まあ、俺の前でなくてもその話を聞いたら、今の状態になっていただろうが。物忘れが酷いにも程がある。噂になるようなことは慎め、と言ったのに・・・。あの時もっと強く釘をさせなかったことと重なって、余計に苛立ちが増してくる。

「普段温厚な祐司君がささくれ立つ原因と言えば、今は晶子ちゃんとのことしか考えられないわ。何があったかまでは流石に分からないけど、祐司君にとっては余程のことだったんでしょうね。前に付き合ってた女の子と別れた直後と同じ雰囲気だもの。」
「・・・信じろ、って言いたいんですか?」
「率直な意見を言えばね。でも、信じられなくなった何かがあったんでしょ?真面目な祐司君が今みたいに頑なな態度になるくらいだから。」
「「・・・。」」

雨上がりの午後 第1003回

written by Moonstone

 忘れようにも忘れられない。あの日あの時恐らく始めて俺と宮城は本音を出し合い、双方に残っていた未練や悔恨を清算して以前の彼氏彼女の関係になったんだ。あの時がなかったら、俺は今尚宮城に対して恨み辛みと未練がましいものを引き摺っていただろう。

2002/11/29

[困った困った・・・]
 何が困ったか、って、明後日に迫った12月用の背景写真のことですよ。12月らしい写真が手元にないんです。生憎私の住んでいるところは住宅街なので大した変化は見当たらないし、夜景を映すには少々寂しいし、かと言ってイルミネーションがある場所まで遠出して写真を撮りに行くのもなぁ・・・、と思って、このお話をしている現在も思案中です。
 町はもうクリスマスムード一色みたいですから、人の多いところに出かければそれらしいイルミネーションとかがあるでしょう。でもそれをわざわざ撮りに行くのもなぁ・・・。どうせそういうところはカップルだらけでしょうし、そんな中で一人カメラを向けてたら、バナナで釘が打てるくらい詰めたい視線で見られるでしょうし・・・。まあ、それは別に構わないんですが、遠出するのが面倒なんですよね・・・。
 いっそのこと「冬のイルミネーション」とかいう写真集でも作ろうかな。そうすれば遠出して写真を撮る理由も出来るし、更新ネタにも困らなくて済むし(こら)。ま、とりあえずカメラのバッテリーは充電しておきますかね・・・。
バイトで注意を受けるのは始めの1週間くらい以来のことだ。その時は右も左も分からなかったから当たり前と言えばそうだが、今度ばかりは勝手が違う。
 客も俺の心情を察してか、リクエストタイムでの指名でも恐る恐るといった感じで、演奏後の拍手も何だかしなければならないからしているといった雰囲気が感じられた。それが余計に腹立たしくてならなかったが、間違っても客に当たり散らすわけにはいかないので、大人しく無言で引き下がった。
 掃除も終わり、「仕事の後の一杯」の時間になった。BGMはクリスマスコンサートでのマスターと潤子さんのペアでの候補曲「TWILIGHT IN THE UPPER WEST」。黄昏時をイメージさせる何処となく寂寥感を感じさせるこの曲が、今の俺には「終わり」を告げるラッパの音に聞こえてならない。
 四人の間に会話は一切ない。俺は今の心模様を反映するかのように速いペースでコーヒーを飲んでいく。一方の晶子はのったりくったり飲みつつ俯いている。普段なら心配するところだが今日ばかりは話は別だ。もっともこの場で例の話をする気はない。二人の問題は二人でどうにかするのが一番妥当だろう。マスターと潤子さんには関係ない話だし、二人の気分まで悪くしてしまうことになる。

「・・・祐司君。」

 重い沈黙を破ったのは、潤子さんの声だった。

「今年の夏、祐司君が前に付き合ってた女の子と話をしに行った時のこと、覚えてる?」
「・・・はい。」

雨上がりの午後 第1002回

written by Moonstone

 その日のバイトの俺は、マスターと潤子さん曰く「もの凄くご機嫌斜め」だったそうだ。自分では意識しないようにしていたんだが、行動が荒っぽかったらしくて何度も注意を受けた。

2002/11/28

[寒くなると困ること]
 私は寒いのが嫌いなので困ることが多いのですが、意外なところで困ることがあります。私は飲んでいる薬の副作用で口が乾きやすいので、最低でも1時間に1回は水分補給しないと辛いんですが、この寒い時気になると飲むものに困ります。コーヒーや紅茶を入れるのは面倒だし、水だと冷たいし・・・、ということで、白湯を飲むことが多いです。職場の人から「変な奴」とからかわれますが、白湯だと後味はすっきりしますし、ポットから注ぐだけでOKという便利さは、寒さで動きが緩慢になる私には(変温動物だな)ありがたいものです。
 あと、暖房が効いていても手の冷えはなかなか消えないんですよね。この時期私の手は、寒いところに出ると簡単に真っ白になります。文字どおり血の気が引いて蝋みたいになるんです。それから「復旧」するにも白湯の入ったコップは便利です。手をコップで包むと温かいんですよ(^^)。冷え性の私には辛い季節がいよいよ本格化しますが、唯一の救いは食べ物が美味しくなる事ですね。特に魚が美味しくなるので嬉しいです。

「・・・後で改めて話を聞かせてもらうからな。」
「分かりました・・・。」

 晶子が頷いたのを確認して、俺は身を翻してさっさとその場を立ち去る。さっきまで自分を翻弄した嘲りや激情が残る場に居るのが耐えられないからだ。もっと突き詰めれば、そんな感情を俺に味わわせる原因を作り出した晶子とこれ以上同じ場に居るのが耐えられないからだ。

「お、おい、祐司!待てよ!」

 智一の声が聞こえる。だが、俺はそれに構わずその場を後にする。話の続きは今日のバイトが終わった後だ。この場はこれで終わりだ。これ以上あの場に居たくない。晶子の奴・・・自分が良くない、と言ったことを堂々とやっていたのはどういう了見だ?まったく理解出来ない。否、俺の今のぐちゃぐちゃになった思考回路で理解しようとする方が無理な話だ。
 俺の中に嫌な予感が浮かぶ。宮城も他の男と気軽に仲良くなるタイプだった。俺にはそれが理解出来ず、宮城の気持ちが他の男に向くことを恐れて、その場に割り込んで宮城を引き離して散々厳重注意した。宮城はその場で謝って一件落着、となったが、結局は俺の手が及ばないところで他の男に走って関係そのものが壊れてしまった。その二の舞になるんじゃないか?晶子は俺の目が届かないのを良いことに、自分に言い寄ってきた目ぼしい男の方に走ってしまうんじゃないか?
 信じよう、信じたい、と幾ら自分に言い聞かせても、わけの分からない念仏を垂れ流しているだけみたいでまったく効果がない。悪い方へ、悪い方へ、俺の心のベクトルが太く長く伸びていくのが分かる。俺は・・・また裏切られるのか?時に信じて時に疑って、それでも関係は永遠に続くと信じて・・・その関係は呆気なく壊れちまうのか?怒りと恐れがごちゃごちゃに絡まって俺の心の中で渦巻く。どうなっちまうんだ?俺と晶子の関係は・・・。

雨上がりの午後 第1001回

written by Moonstone

 俺は腕時計を見る。3コマ目が始まるまでもうそんなに時間は残されてない。此処で急(せ)いて問い質したりすると、また頭に血が上って沸騰しかねない。とりあえずこの場は刺々しくなった感情を丸く治めるのが正解だろう。俺は晶子に言う。

2002/11/27

[連載1000回ありがとう]
 とうとうこの日が来ちゃいました(笑)。まさかここまで続くとは、そしてまだ終わる気配すら見せないことになるとは、思いもしませんでした。予測が甘かったかな・・・。でも、原則毎日更新を担っているのは此処だということは紛れもない事実ですからね。良いことなんじゃないでしょうか?
 連載1000回を迎えるにあたってお話したいことは色々あるのですが、此処だと収まりきらないので、明日にでも上段左のメモリアル企画の欄に掲載しようと思います。こんな考えで書いてたのか、と呆れられるかお怒りを受けるかとびくびくしてますが(笑)、メモリアル企画ということで大目に見てやってください。
 連載はまだまだ続きます。この日記も取りとめもないことや日々の苦悩、政治社会に対する厳しい論調を書いたりして続けます。約3年の積み重ねの末に迎えられた今日、リスナーの皆様に、特に連載読者の皆様に「ありがとう」と言いたいです。これからも日記共々「雨上がりの午後」を宜しくお願いします。
「これが落ち着いていられるか!」
「気持ちは分かる!だから今は兎に角落ち着いて、晶子ちゃんの話を聞いてやれ!」

 智一の言葉で、俺は前に潤子さんが言った忠告を思い出す。何か言う前にゆっくり10数えなさい、というあの忠告を。頭から血が引いてきたところで、ようやく俺はその言葉を実践に移す。1、2、3、・・・9、10。どうにか殴りかからんばかりの激情は消えた。俺は改めて晶子を問い質す。

「・・・もう一回聞く。何で今まで付き合ってる相手が居るって言ってなかったんだ?」
「・・・言う必要はないと思ったからです。」
「どういう了見でだ?」
「プライベートを先生に話す必要はないという意味です。祐司さんのことを隠して先生と仲良くしたかったという意思はありません。」
「・・・。」
「な?落ち着いて話を聞いてみればそういうことなんだよ。お前が一途なのは良いことだけどさ、それが暴力的行為に及んじゃ話にならないぜ?」
「・・・。」

 俺は溜息を吐き捨てる。苛立ちが多分に混じった、吐き出しても吐き出しても胸の奥に引っ掛かっているような感じがするものだ。その原因は何より、晶子の言動不一致にある。
 晶子には、つい3日前に噂を生むような行動は慎め、と言ったばかりだ。晶子も左手の薬指に指輪を填める相手が居ながら、その相手が居ないところで浮名を流す男と仲良くしてるのか、と思われて良いのかと尋ねたら良くないと言った。なのにその「良くない」ことを堂々と−見られなきゃ良いというものじゃないが−やっていた。これはどういうことだ?

雨上がりの午後 第1000回

written by Moonstone

「落ち着けって言ってるだろ、祐司!今のお前が冷静に人の話を聞けるとはとても思えん!そんな状態でやり取りしてたら、それこそお前の怒りの矛先が晶子ちゃんに突き立てられるだけだぞ!」

2002/11/26

[♪いーとー巻き巻き♪]
 私の仕事では配線用にケーブルをよく使うんですが、その仕入先が変わったことで大変なことになりました。今まではボビンに巻きつけられた形で納入されていたものが、倍の長さになってただとぐろを巻いて4つの場所で括られただけという形で納入されました。
 私の居る仕事部屋で使われる分には大丈夫なのですが、職場全体の共用ストックルームで使われることになると、絶対と言って良いほどぐちゃぐちゃにされるので、さあどうする、と相談した結果、旋盤にボビンをくっ付けて回転させて巻きつけていくことになりました。勿論、ケーブルを手繰っていくのは私に決定(^^;)。
 途中でケーブルが縺(もつ)れてごっちゃになった形で巻きつけたら話にならないので、1分間に70回転の速度で610mのケーブルを延々と手繰っていく・・・。単純な作業ですが時間がかかる上にケーブルは4つもあったので、終わった頃には終業時間になってました(汗)。本当は今日Photo Group 1に小テーマを追加するつもりだったんですが、立ち作業で疲れたお陰で呆気なくダウン。明日には写真を追加するつもりですのでお楽しみに。
俺の頭に上った血がまた沸騰し始める。身体に力が篭るが、それはギリギリのところで封じられる。

「晶子ちゃん。君の交際相手はどうも相当嫉妬深いみたいだね。僕と会う時は彼に見つからないようにしないとね。」
「先生!そういう挑発するような言い方は止めてくださいって言ったじゃないですか!」
「おっと、そうだったね。じゃあ、また後で・・・。」

 田畑は笑みまで浮かべて俺の方に手を振って−間違いなく晶子に向かってのものだろう−、生協の建物の方へ歩き去っていく。侮られてる。嘲られている。田畑の態度から嫌というほど感じた感情が、俺の歯をギリギリと軋ませる。

「落ち着け、祐司!暴力沙汰になったらただじゃ済まないぞ!」
「・・・分かったよ。だから離せ!」

 俺が叫ぶと、俺を封じていた力がゆっくりと消えていく。俺は息を切らしながら、田畑が歩き去って行った方向を一度睨んだ後、後ろに回した晶子に向き直る。晶子は何と言って良いか分からないといった表情で俺を見ている。普段なら可愛らしいとでも思うだろうが、今はそのはっきりしない態度が腹立たしくてならない。

「晶子・・・。どういうつもりなんだよ。」
「どういうつもりって・・・。」
「何で俺っていう交際相手が居るって今の今まで言ってなかったんだよ!そんなに言いたくなかったのか?!言えない事情でもあるのか?!」
「それは・・・。」

雨上がりの午後 第999回

written by Moonstone

 田畑は悠然と身だしなみを整えて見せる。その様子が鼻にかかって仕方がない。その仕草と俺を見る目が、俺が晶子の彼氏だということをまったく意に介していないのが嫌というほど分かる。

2002/11/25

[計画倒れ]
 やっぱり土日の片方が好調だと片方は駄目です。PCに向かっても結局何も思い浮かばず、突出してきた疲労感の前にダウンしてしまいました。で、結局何も出来ずじまい。通例どおり此処の更新が出来ただけです。写真の追加くらいなら出来たんじゃ、と思われるでしょうが、PCに向かうことだけでも疲労感を感じるんですからどうしようもありません。
 日曜日何も出来なかったことで、11月末までに紅葉の写真を全て出し切ることが難しくなりました。小テーマをあと2つ作る予定なんですが、その2つのそれぞれに短文を添え、更に英訳する必要があるので、そんな時間があるかどうか甚だ疑問です。11/30付で一気に更新する可能性が高いです。
 まあ、土曜に派手に更新しましたから、日曜は休養、と考えても良いでしょう。メインコンテンツをろくに更新しなくても客が来るお気楽極楽なページじゃないんですが、無理して身体を壊したら何もなりません。こんなペースで更新を続けていこうと思います。
晶子が俺という交際相手が居るということを言っていなかったということと、田畑の冷静そのものの態度が、俺が前後左右も分からずにじたばた足掻いているような気にさせる。

「まあ・・・、嫉妬のあまり彼女を束縛するのは良くないと思うよ。」
「お前に指図される筋合いはない!!」
「まあまあ、そんなにカッカせずに。そんなに彼女と僕が仲良くするのが気に入らないのかい?」
「分かってるならそうするな!!」
「そういう寛容さがない態度では、彼女との破綻は目に見えてるね。」
「!!」
「止めて!祐司さん!」
「止めろ、祐司!」

 気が付いた時、俺は晶子と智一に両腕をがっしりと掴まれていた。後一歩のところで俺は田畑に殴りかかるところだったみたいだ。頭に上った血が沸騰していたせいだろう、その辺のところはまったく記憶にない。

「キャンパス内で暴力沙汰は良くないね。二人が止めてくれなかったら、君は今日付で停学処分になっていたところだよ。」
「こ、この野郎・・・!!」
「先生!人を挑発するようなことを言うのは止めてください!」
「おっと、これは失礼。私としたことが・・・。」

雨上がりの午後 第998回

written by Moonstone

 俺が再び田畑の方を向くと、田畑は憎たらしいほど落ち着いた態度で俺を見ている。その目は「君が晶子ちゃんの交際相手か、ふーん」と言っているように見えてならない。

2002/11/24

[これは流石に疲れた・・・o(_ _)o]
 昨日予定していた更新を今日に延期したのは、このままずるずると引き延ばして何時まで経っても更新しないことになる、と思うグループ(Novels Group 1とMoonlight PAC Edition)があったからです。それを仕上げて、Photo Group 1の小テーマ毎の短文とその英訳、Moonlight PAC Edition(プラスMoonlight(上位ページの広報紙))執筆編集を一気にやりました。Novels Group 3とSide Story Group 1の作品と圧縮ファイルを昨日のうちに揃えておいたのは正解でした。
 それらが終わった頃丁度御飯が炊けて夕食。で、「クレヨンしんちゃん」をきっちり見てから(爆)ちょっと疲れを感じたので横になったら、何時の間にか2時間くらい寝てしまいました。まあ、これくらいは仕方ないでしょう。頑張った甲斐あって、沢山更新出来ましたから。
 で、明日は(実際は日曜日)久々にNovels Group 2やSide Story Group 2に手を伸ばそうと思います。あとPhoto Group 1の新小テーマ追加と。恒例どおり1日くたばってしまいそうな予感がするんですが、ここらで手をつけないと何時まで経っても手をつけない可能性が高いので、何とか頑張ってみます。さてさて、明日の更新にはどれだけ並ぶやら・・・。
「何処まで俺を馬鹿にすれば気が済むんだ、お前は!!」
「祐司さん、落ち着いて・・・」
「黙れ!!」

 俺は晶子に向かって怒声を放つ。晶子はびくっとして項垂れる。俺は再び田畑を睨みつけるが、田畑は憎らしいほど冷静沈着そのものだ。完全に俺は侮られてる。腹の中で何かがぐらぐらと激しく煮え繰り返る。

「レディを怒鳴りつけるのは如何なものかね。」
「黙れ!!人の彼女に汚らしい手で触るな!!」
「私は彼女に指一本触れちゃいないよ。勝手な臆測は困るなぁ。」
「何が臆測だ!!彼方此方で女に手出してるくせしやがって!!」
「教官と生徒という垣根を越えて気軽に話し掛けるのと、ナンパ男の言動を一緒にされるのはちょっと迷惑だな。」
「お前のやってることはナンパ男のやることすることそのものだろうが!!」

 俺は晶子を自分の後ろに回して、田畑を怒鳴りつける。

「彼方此方で女に手を出す暇があるなら仕事しろ!!」
「私は就業規則に則って仕事をしているよ。言いがかりは困るなぁ。」
「言いがかりもへったくれもあるか!!浮名流しの分際で、その何人もの女に触れた手で俺の彼女に触れるのは許さん!!」
「君の彼女だったのかい。晶子ちゃんに交際相手が居るなんて、今日この場で初めて聞いたよ。」
「何?!」

 俺は後ろに居る晶子を見る。晶子は俺に睨まれるのが怖いのか、それとも気まずい雰囲気に耐えられないのか、何も言わずに俯く。晶子・・・。何で俺と付き合ってるって言ってないんだ?!言いたくないのか?!

雨上がりの午後 第997回

written by Moonstone

「晶子ちゃん。その彼は一体誰何だい?」
「ま、晶子ちゃん、だと・・・!」
「女性に対する親しみの呼称だ。気に病むほどのことじゃないよ。」

2002/11/23

[勤労感謝、というけれど]
 今の社会は、勤労者(労働者)が感謝されるような社会でしょうか?景気は一向に良くならず、働けど働けど賃金は下がるわ、その上来年度には3兆円規模の社会保障の負担増が計画されているなど、自民、公明連合の悪政で労働者は絞りに搾り取られているのが現状ではないでしょうか。
 自民党は元々大企業、金持ちの為の政党ですから当然の帰結としても、公明党は貧困層の底上げや負担増計画に反対する「平和の党」「福祉の党」だった筈です。しかし、自民党と組んで何をしているかと言えば、国民、労働者いじめの政策や負担増計画ばかり。本性を表したといえばそれまでですが、あまりにも酷い裏切りぶりです。口を開けば不良債権早期処理しか言えない欠陥内閣にこれ以上政治を任せて良い筈がありません。自分で自分の首を締めるようなものです。
 本当に勤労者を尊び、国民生活を守る政党はどこか。来年の春には一斉地方選挙が控えています。そこでマスコミの下馬評や事実無根の世論誘導に惑わされることなく政党や候補者をよく選び、自民、公明連合の悪政に終止符を打つ狼煙を上げようではありませんか。民主主義社会では、選挙は権利であると同時に義務でもあるのです。
 智一の言葉に俺は耳を疑いつつ、智一が指差す方向を見る。生協の建物の方へ向かって親しげに談笑しながら歩いているのは、背の高い眼鏡をかけた若い男と、間違いなく晶子だ!てことは、あの男が例の田畑とかいう女たらしの助教授か!
 俺はまっしぐらに二人の方に駆け出していく。石が敷かれた道を通らず、最短距離で二人の方に向かう。晶子の奴、もう疑われるような行動はしないとか言っておきながら、立派に周囲に見えるところで疑われるようなことをしてるじゃないか!一体何のつもりだ?!

「晶子!!」

 俺が走りながら怒鳴ると、晶子がそれに気付いたのか俺の方を向く。困惑したような、驚いたような表情でその場に突っ立つ晶子に、田畑とかいう男が何やら話し掛けている。それを見て、俺の中で何かが音を立てて切れたのを感じる。
 俺は二人の傍に駆け寄るや否や、晶子の腕を掴んで自分の方に力任せに引き寄せる。晶子はきゃっ、と小さい悲鳴をあげて俺の前に来る。俺は晶子に構うことなく、田畑とかいう助教授を睨みつける。だが、田畑は至って冷静で、むしろ俺を嘲笑っているかのようにさえ見える。

「何だね、君は。いきなり・・・。」
「お前が田畑とかいう浮名流しの助教授だな!」
「教官をつかまえてお前、とは随分な言い方だね。」

 田畑は眼鏡を人差し指でくいと挙げて俺を見る。明らかにその目は俺を嘲っている。そう思うと頭に上った血が沸騰するような感じがする。

雨上がりの午後 第996回

written by Moonstone

「何だよ。今度は白衣の天使か?」
「違う!あそこ見ろ!晶子ちゃんと例の田畑助教授だぞ!」
「何?!」

2002/11/22

[これは凄いなぁ〜]
 この場でリンク先のページを紹介することは滅多にないことなんですが(そのページに肩入れすることになりますから)、今回はそんな躊躇いを吹き飛ばすようなインパクトを持つページをご紹介します。今日の更新でAccess Streetsにリンクを張った「月深館」です。
 上位ページ(http://www.msstudio.org/)では、「Terragen」というフリーウェアを使って自然の風景を描いてそれを背景にしているんですが、「月深館」はその「Terragen」の作品が目を見張るほど素晴らしいものです。特にご本人が仰っているように、数を重ねるごとに作品がレベルアップしていっているのが分かります。如何に私が素人レベルで遊んでいるかということを思い知らされました(勿論、真剣に作ってますけど)。
 ジャンル分類は「オリジナル小説」と「詩篇」としていますが、本当はこの「Terragen」によるCG作品をジャンルに挙げたかったんです。でもジャンルは1つか2つと決めていて、挙げた二つのジャンルもこれまた素晴らしい作品なので、涙を飲んで「Terragen」作品というジャンルは取り上げませんでした。余裕のある方は是非尋ねてみてください。幻想的な世界の虜になると思います。本当に凄いページに出会えたものです。
 正直言えば、軽はずみなことをするな、と晶子に釘を刺しておきたいところだ。でも今はそんなことをするべきじゃないだろう。晶子があんなに真剣に噂を否定して、信じてくれ、と懇願したんだ。そんな相手を突き飛ばすようなことはしたくない。噂は噂でしかないと分かった。それで良いじゃないか・・・。

 3日後。
俺は残された数少ない一般教養科目の英語の講義を受けるため、智一と一緒に教養課程棟がある地域へ向かって歩いていた。俺達が今主に居る工学部棟のあるエリアから歩いて10分くらいある。今回のは昼休みを挟んでいるからまだしも、もう一つの方は−何で同じ英語が2つに分かれてるのか理解出来ない−講義と講義の間の10分の休みの間に移動しないといけないから、工学部の講義の終わりが遅れたらダッシュ決定だ。
 今日は晴れてこそいるがかなり冷える。家を出た瞬間にこの冷気に当てられて、慌てて厚手のコートを箪笥から引っ張り出したくらいだ。これから冬本番ということを考えると、この程度の寒さでぎゃあぎゃあ言ってちゃ話にならないかもしれないが、それでも寒いものは寒いんだから仕方ない。教室にはまだ暖房が入らないから着込んで我慢するしかない。でも足元からの冷えにはなかなか対応が難しいんだよな・・・。
 昼食を近くの生協で−生協の店舗は敷地中央部に加えて工学部や理学部、医学部の近くにもう一つある−済ませたから、後は講義のある部屋へ行って後ろの方に席を取るだけだ。時間は充分とまではいかないまでもそれなりに余裕はある。席を取ったら生協にでも行ってみるかな・・・。

「お、おい、祐司。」

 隣に居る智一が肘で何度か俺を小突く。また自分好みの女を見つけたのか?晶子ちゃんを諦められない、とか言っておきながら、まったく・・・。

雨上がりの午後 第995回

written by Moonstone

 安堵の笑みを浮かべる晶子が俺との距離を詰めてくる。そして手が触れ合い、自然と重なり合う。そう、何時ものように・・・。俺の感情もさっきまでのが嘘みたいに静まり返り、暗雲も沸き立つ怒りもすっかり消え失せてしまった。

2002/11/21

[50000人ありがとう]
 このコーナーのリスナーが50000人を突破しました。Side Story Group 1に次ぐ大台突破です。あちらは抜群の知名度を持つ作品をベースにしていますから別格で、オリジナルとしては初の突破となります。
 日々戯言や仕事の苦悩、時に政治社会について熱弁を振るうという、主旨が何だか分からないコーナーが一番大入りというのもちょっと複雑な気分ですが、毎日このウィンドウを開いてくださる方には感謝するしかありません。この日記が目的なのか、それとも連載が目的なのかは分かりませんが、このコーナーが、このページが生きていることを示す重要なパラメータになっていることには違いありません。
 何をお話するかはその日その場で決めるという、いい加減なことこの上ないコーナーですが、1999年7月1日開始以来地道にそして着実にリスナーを増やしてきたのは、案外そのいい加減さが功を奏したのかもしれません。間もなく連載が1000回を迎えます。50000人目の貴方、そして連載をずっと呼んでくださっているという貴方。ちょっとしたリスナー参加企画を考えていますので、是非メールでご連絡ください。お待ちしております。

「だったら・・・もう噂を生むような行動は慎んでくれ。講義が殆ど専門教科になって行く場所が離れてても、今回みたいに噂ってやつは簡単に届くんだから。」
「祐司さんが今日不機嫌だったのは、伊東さんから私と田畑先生の噂を聞いたからだったんですね。実感しました。」

 晶子は神妙な表情で言う。

「私自身は気軽に話が出来る先生としか思ってなかったんですけど、祐司さんの言うとおり、確かに周囲から見れば疑いを持たれて噂になっても仕方ないですね。」
「・・・。」
「これからは注意します。それからはっきりこの場で宣言します。私は祐司さんを愛してます。その気持ちに変わりはありません。嘘偽りはありません。自分が原因を作っておいて無責任と言われればそれまでですけど・・・信じてください。お願いします。」

 晶子の表情は真剣で、その大きな瞳は真剣さを訴えているように見える。どうやら噂は浮気という最悪の事実とは違うものらしい。否、違うんだ。晶子がこれほど真剣に言っているんだ。肝心の俺が何時までも疑ってたら話が進まないどころか悪い方向に進んでしまう。

「・・・分かった。信じるよ。俺だって疑いの目で晶子を見たくないし。」
「ありがとうございます。本当に御免なさい。祐司さんの気持ちを踏みにじるようなことをして・・・。」
「噂が噂でしかなかったってことが本人の口から明らかになったんだから、信用する以外にないさ。第一、晶子がそこまで真剣に言うのに俺が信用しなかったら、俺と晶子の関係は・・・縁起でもないけど、破局へ向かって一直線だからな。」
「祐司さん・・・。」

雨上がりの午後 第994回

written by Moonstone

 晶子は断言する。その表情は真剣そのものだ。嘘や誤魔化しは一片も感じられない。

2002/11/20

[今日は・・・]
 何をお話しようかと布団の中に潜って考えていたら何時の間にか寝てしまって何時もの時間から1時間近く遅刻してしまいました(爆)。それでも思いつかなかったので今日は諦めます。兎に角更新作業が面倒だった、ということだけはお話しておきます。「魂の降る里」でもやらなきゃならんかな・・・。うわー、勘弁してくれよ(泣)。
 それが疑われるような関係なんだ、と言いそうになったところで、俺は潤子さんの忠告どおりゆっくり10数える。そうすると不思議と破裂しそうな感情が静まっていくように感じる。

「でも、その田畑助教授と仲が良いのは事実なんだろ?」
「はい・・・。」
「それに話の内容が何であろうが、傍目から見れば晶子の行動がその助教授と親しく見えるとは思わないのか?」
「私はそんなつもりはないんですけど・・・、確かにそう思われても仕方ないですね・・・。」
「別に絶対俺以外の男と話をするなとは言わない。そこまで晶子を拘束する気はない。でも周囲から疑われるような行動は慎んで欲しいんだ。噂ってのは簡単に尾鰭が付く。俺がその助教授との関係を疑うのは勿論、晶子自身が変な目で見られることになるかもしれないんだぞ。晶子が前に言ってたじゃないか。俺がプレゼントしたペアリングを左手の薬指に填めたから、言い寄られる回数が激減した、って。」
「はい。覚えてます。」
「なのに、彼方此方で浮名流してる助教授と仲良く話してる現場を誰かが見れば、あんなところに指輪填めてるのに相手が居ないところじゃあの男と仲良くしてるのか、って思われかねないんじゃないか?晶子はそれが良いのか?」
「良くないです。」

雨上がりの午後 第993回

written by Moonstone

「でも、仲が良いって言っても、専門教科の話とか世間話とかしてるだけです。疑われるような関係じゃありません。」

2002/11/19

[ささやかな秋の企画]
 今日このページに来られて背景写真ががらりと変わっていたのに驚かれたかもしれません。日曜日に撮影してきた写真の中で、私が特に良いと思った3枚を11月末までにご紹介します。11月末までは今日を含めて12日ありますから、1日あたり4日間ですね。つまり今度は11/23に変更ということになりますね。これは毎日来てくださっている方へのささやかなお礼を兼ねた企画です。大きいサイズのものが見たいと思われる方、もう暫くお待ちください。限られた時間の中で写真を選んで体裁を整えるのは、それなりに時間がかかるんですよ。
 私は興味本位から始めたので、カメラの効果的な使い方や構図、光源と被写体の位置関係といったことは知りません。自分で「これは良い」「これは綺麗だ」と思ったものを手当たり次第に撮っています。プロの方からすれば笑いものでしょうが、これで金を稼ぐわけじゃないんですから、撮りたいように撮れば良いんじゃないか、と思っています。
 今回選んだ3枚も自分の主観で選んだものですから、自分の感性がご覧になる方の感性に一致することは考えていません。でも、もし写真を見て「良いなぁ」と思われたなら、少なくともその方には私の感性が伝わったことになります。それがより多くの人に伝わるような写真を撮れるようになりたいですね。
俺が演奏したのはクリスマスコンサートの候補曲である「Mr.Moon」。練習はそれなりに積んできたからきちんと整ったと思うが、俺の心の違和感が消えないままだったから客にもそれが伝わったかもしれない。
 「仕事の後の一杯」でも会話は殆どなく、潤子さんが念のため、と言って夕食の時に言った忠告を繰り返した。感情的にならないように。言う前に必ずゆっくり10数えるように。言うのは簡単だが、一旦感情が高ぶったらそれを実行できるかどうかの保証はまったくない。だが、付き合う前の智一との一件で俺が一方的に怒鳴り散らして心がすれ違いを起こしたことを踏まえれば、潤子さんの忠告をしっかり胸に刻んでおくしかない。

「・・・今日大学から帰る時、智一から聞いたんだけど・・・。」

 それまで俺と晶子の間に立ち込めていた沈黙を俺が破る。今日は俺と晶子は手を繋いでいない。俺が繋ぐことを拒否したんじゃない。晶子が拒否したわけでもない。どちらからも手を差し出せる雰囲気じゃなかった。それだけだ。

「晶子。お前・・・、田畑とかいう助教授と仲良いんだって?」

 俺が率直に尋ねると、晶子ははっとした表情になる。思い当たる節はあったのか・・・。俺は黙ったままの晶子に畳み掛ける。

「これも智一から聞いたんだけど、その田畑っていう助教授は彼方此方で浮名を流してることで有名なんだってな。それは別としても、だ。晶子がその田畑とかいう助教授と仲良くしてるっていうのは本当なのか?」
「・・・はい。田畑先生とは仲が良いです。」

 噂は本当だったのか・・・。暗雲が晴れる代わりに、心の底から嫌な感情がふつふつと沸き立ってくる。・・・怒りだ。間違いない。

雨上がりの午後 第992回

written by Moonstone

 今日のバイトも終わった。クリスマスコンサートを約一月後に控えていることもあってか、リクエストタイムでは俺が1曲、晶子が2曲、マスターが1曲、そして晶子と潤子さんのペアが1曲と分散した。

2002/11/18

[行って来ました〜♪]
 昨日は予定どおり紅葉の写真撮影に行って来ました。朝何時もの時間に起きて(これが辛かった(^^;))電車を乗り継いで現場に到着。さあ存分に撮るぞ(この時点で整理の面倒さは考えてはいけない)と思ってカメラの表示を見たら、バッテリーが1時間ほどしかない!充分充電した筈なんですが、夜の間に放電したか・・・、否、それにしては減少量が大き過ぎる。きちんと充電してなかったか。多分そうでしょう。う、迂闊・・・。o(_ _)o
 しかし此処で充電しに戻るのもアホらしいですから、「必要時以外は電源を入れない」作戦で臨むしかない。てなわけで、広大な現場を2時間ほど歩き回って130枚の写真を撮りました。帰宅して昼食を食べてからくたばりましたけど(爆)。
 現在のところひととおりPC上で閲覧を済ませたところなんですが、なかなか上手く撮れているのではないかと思います。これから選考会を実施してページにアップする写真を決めてサムネイルを作って、小テーマ毎に分類して短文書いて英訳して・・・という作業が待っているんですが(汗)、何とか11月中にお見せできるようにしたいと思っていますので、もう暫くお待ち下さい。
 あ、そういえば12月の背景写真、どうしましょうか・・・。12月と言えばクリスマス、というのが相場なんでしょうが私はそういうのが嫌い。でも現在の写真(ボツったもの含む)の中に12月らしい感じのものはないし・・・。また何処かに写真撮影に出かけなきゃならなさそうです。うー、これから寒くなるというのに。かと言って南半球へ行って写真撮影、なんてこと出来ませんから何とかするしかないですな。
 潤子さんの声で俺は視線を上げる。湯気の立ち上る器が乗ったトレイが二つ前に差し出されている。俺は、いただきます、と言ってトレイを受け取ってさっさと夕食を食べ始める。今日は肉団子と野菜のスープに回鍋肉という俺好みのメニューだが、味を味わう心理的余裕はまったくない。

「私から二人にそれぞれ一つずつ忠告させてもらうけど・・・。」

 潤子さんが顔を上げた俺に向かって言う。

「祐司君は晶子ちゃんに何か尋ねる時、絶対に感情的にならないように。言う前に必ずゆっくり10数えなさいね。それだけで随分違ってくるから。」
「・・・はい。」

 俺が返答すると、潤子さんは同じく顔を上げた晶子の方を向いて言う。

「晶子ちゃんは祐司君の質問に、包み隠さず正直に答えるように。嘘や誤魔化しは何ればれるし、ばれた時には取り返しのつかないことになりかねないわよ。」
「はい。」
「それから最後に二人に共通することを一つ。どうしようもなくなったら私やマスターに相談して頂戴。少なくとも私やマスターは、貴方達二人をただのバイトの子とは思ってないから。」
「・・・はい。」
「分かりました。」

 俺と晶子はそれぞれ返答する。マスターと潤子さんが俺達を自分の子どものように思っていることは知っている。確かにどうしようもなくなったら、二人に相談した方が賢明だろう。会えない時間の多さ、潤子さんは親から勘当、そんな試練を乗り越えて結婚して仲睦まじい家庭を作ってるんだ。赤のの他人の俺が本当の家族のように思えるような・・・。そんな二人の「セーフティネット」があるなら、場合によっては利用した方が良いに決まってる。出来れば、そんな事態にならないで欲しいんだが・・・。

雨上がりの午後 第991回

written by Moonstone

「はい、お待たせ。」

2002/11/17

[あと10回か・・・]
 980回の時は「まだ20回ある」と思っていたんですが、今日であと10回になりました。何がって、連載の回数ですよ。このまま進めば11/27に1000回を迎えることになります。始めた当初はまさか此処まで長期化するとは思ってなかったんですが、1000回を迎えようとしている今も終わる気配がないのはどういうことでしょ?(^^;)そういう観点からすると、1000回は通過点に過ぎないということですね。
 途中から書き溜め用ファイルに書いてそこからコピー&ペーストするようになったんですが(当日書いてたんじゃ間に合わない時代があったため)、そのファイルも4番目、全体では1MBを越えます。自分で言うのも何ですがテキストで1MBというのはかなり巨大なもので、これからそれらがNovels Group 3に乗っかってくるというのは、ちょっと怖い気がします。まあ、サーバー容量は大丈夫ですが。これからもちまちま続けていきますので、一つご愛読の程を宜しくお願いします。
 俺は口ではそう言いつつも、視線をマスターに合わせない。それこそ吐き捨てるように、上っ面だけ謝っただけだ。マスターと潤子さんはあの噂とは何の関係もない。なのにマスターにまで怒気を向けてしまった。
 ・・・そうだ。俺は怒ってるんだ。智一からあの噂を聞いたことで。もっと厳密に言えば、その噂で晶子が他の男と、それも浮名を流している教官と親しくしているということに。事実かどうか確かめたわけじゃない。だが、噂を聞いたことがきっかけで心に広がり始めた暗雲は、晶子に対する一番大切な感情の一つ、信じるということを確実に蝕んでいる。蝕まれたそれは怒りに変質してしまっている。とうとうそれが表面化したわけか。否、智一との時で既に表面化していたと思うが。

「井上さん、祐司君に何か悪いことした覚えはあるかい?」
「私はないんですが・・・祐司さんにしてみれば悪いことをしてしまっているのかもしれません。推測の域を出ませんけど。」
「祐司君、井上さんが何か君の感情を害することをしたのかい?」
「・・・断言は出来ませんけど・・・。」
「ん?どういうことだ?」
「此処では言いません。これは俺と・・・晶子の問題ですから。」

 俺が言ったことが晶子とマスターに聞こえたかどうかは分からない。だが、そんなことはどうでも良い。やっぱり晶子を問い質すしかない。そうしないとこの暗雲は晴れそうにない。何時までもこんな恐ろしい暗雲を心に漂わせておくわけにはいかない。
 だが、俺が問い質したところで晶子は本当のことを言うだろうか?真相が発覚するのを恐れて、はぐらかしたり偽ったりするんじゃないか?噂が噂じゃなかったら、俺は何としても晶子をその女たらし教官から遠ざけなきゃならない。どんな手を使ってでも。

雨上がりの午後 第990回

written by Moonstone

「井上さんは君を気遣って言ったんだぞ。何も怒鳴りつけることないじゃないか。」
「・・・すみません。」

2002/11/16

[日曜に向けて]
 紅葉の恐らく最後の撮影チャンスになる日曜日の天候は良好なようです。となると問題は一つだけ。当日身体が動くかどうかです。やる気があっても身体が動かないというのが今までのパターンでしたから、昨日お話したとおりそれこそ身体を引き摺ってでも行かなければなりません。果たしてそう上手くことが進むかどうか・・・。最後の頑張りにかかってます(選挙カーみたいだな)。
 撮影場所までは電車を乗り継いでいくしかありません。私の地方の電車は乗り継ぎが非常に悪いので(長時間待たされる)、早めに出発して撮影予定場所へ向かおうと思います。多分半日は費やすことになるでしょうね。久しぶりの本格的な写真撮影に戸惑いも多いのですが、やる気と時期が丁度重なった日曜日を最高の活動日にしたいと思います。帰ってからくたばっても別に構わないので(本当はあまり良くないんですが)、兎に角行って撮って帰ってくることを考えます。
 カウンターの内側に入った潤子さんの呼びかけに対する応答も、俺と晶子では全然声の張りや調子が違う。晶子は普通どおりだが、俺は確実に落ち込んでいるのが自分でも良く分かる。晶子の普通どおりの応答が、俺には無神経で脳天気にさえ思える。
 ・・・危ない。このままじゃ晶子に対する気持ちまで、何もかも奈落の底に叩き込んでしまいそうな暗雲に飲み込まれてしまう。晶子を信じるんじゃなかったのか?!俺は何をやってるんだ?!自分で言ったことすら実行できないでどうするんだ?!

「・・・さん、祐司さん。」

 晶子の声で俺は我に帰る。俺は何とか平静を取り繕って−多分取り繕えてないと思うが−晶子の方を向く。その表情は不安そのものだ。そういう表情は俺がするものだ、と思うと、腹のそこからふつふつと嫌なものが沸き立ってくる。

「・・・何だよ。」
「具合悪いんだったら、無理しない方が良いですよ。」
「俺はバイトが生活に直結するんだ。気楽なこと言うな!」

 無意識に語気が荒くなってしまった。晶子はびくっとして困惑した表情で俺を見る。

「お、おいおい、祐司君。一体どうしたんだ?」

 マスターが髭面に似合わない−失礼だがそう思えるんだが仕方ない−心配げな表情で俺を見ている。考えてみれば、今までマスターと潤子さんの前で晶子を怒鳴りつけたことはなかったんじゃないだろうか?だとすると、俺の感情は制御不能に限りなく近い状態になっているのかもしれない。

雨上がりの午後 第989回

written by Moonstone

「夕食の用意するから、ちょっと待っててね。」
「・・・はい。」
「はい。」

2002/11/15

[布団でぬくぬく♪]
 新調した寝具には羊毛の敷布団があって、風邪をひいてからそれを使い始めたんですが(遅い)、これが凄く温かい♪ふかふかしてて気持ち良いので、布団に潜るとまず寝てしまいます(^^;)。体内時計が大乱調を来している今は間食ならぬ「間睡眠」は避けないといけないのですが、この布団に潜るともう駄目ですね。特に朝布団から出るのが嫌なこと。厚手の掛け布団1枚だけで充分な温かさはGood!(^^)bです。
 さて、紅葉もピークを超えかけてきましたね。私の職場の敷地には彼方此方に紅葉する木が植えてあるせいで、赤や黄色が見栄えよくてきれいです。特に銀杏が良いですね。あの黄色というより金色の葉は、今時期しか見れない季節感たっぷりのものだと思います。
 まだ風邪が治りきっていないのですが、今週末にでも紅葉の写真撮影に行こうかと思っています。今週末を逃すと来年まで待たないといけませんし、来年は私が労働組合を立ち上げるので週末にも何か予定とかが入ってくるかもしれませんから、今度は動かない身体を引き摺ってでも写真撮影に出かけようと思います。久しぶりにPhoto Group 1も更新出来ますし。

「こんばんは。・・・祐司さん、何かあったんですか?」

 カウンターに座っていた噂の「関係者」である晶子が、気遣うように尋ねてくる。俺は反射的に晶子の方を向いて口を動かそうとしたところで、どうにか自分を制止する。この場くらいはとりあえず抑えないと・・・。第三者の客もいるから、そんな状況で噂を元にした痴話喧嘩なんてみっともないどころの話じゃない。

「いや、別に何も。」
「そうですか・・・。」

 何時もなら何かあったんでしょう、と突っ込んできそうなところだが、晶子はそれ以上俺に尋ねようとはしない。これもあの田畑とかいう助教授と仲良くやってて気分が良いせいか?そう思えて余計に暗雲が重く垂れ込めてくる。いつか雨雷が発生してもおかしくない空模様だ。
 俺は何時もの席に腰を下ろして、客席の方を見る。客はまだ疎らだ。潤子さんが俺が来たのに気付いたのか−カウベルの音で気付いているとは思うが客相手で直ぐには来れなかったんだろう−、何時ものような温かい笑顔を浮かべて小走りでこっちに来る。

「こんばんは。」
「こんばんは、祐司君。あら?今日はちょっとご機嫌斜め?」
「いや、単に講義の連続で疲れてるだけですよ。」
「そう・・・。ならまだ良いんだけど、心に毒を溜めるのは身体にも良くないわよ。」

 !潤子さん、俺の心模様が分かるのか?!・・・まあ、誤魔化しが効かないとか不器用とか言われる奴だから、潤子さんでなくても分かるよな。俺に今日何かがあったかってことくらい・・・。でも潤子さんが言うところの「毒」は此処で吐き出すわけにはいかない。兎に角今は外部から余計な刺激を受けないことが肝心だ。その刺激で毒を溜め込んだ心が破裂してしまいかねない。

雨上がりの午後 第988回

written by Moonstone

 そう言っては見たものの、俺は内心やはりそうか、と思う。智一と別れて帰宅してから此処に着くまでの間、暗雲は晴れるどころか完全に俺の心を覆い尽くしてしまった。胸が嫌に疼く。この気分はかつて感じたことがある。高校時代、宮城が他の男と親しそうに話している様子を見た時に感じたものと同じだ。

2002/11/14

[眼鏡の汚れ]
 私は近視+乱視なので何かをするには眼鏡が手放せません(そのくせ、何処に置いたか忘れて探し回ったりしますが(爆))。コンタクトは使いません。というより使えません。目に物を入れるなんて私にはとてもとても(^^;)。で、その眼鏡なんですが、私は視界に塵が入るのが嫌いなので結構頻繁にレンズを拭くんですが、それでも何時の間にか汚れるんですよね。
 眼鏡が汚れる理由を考えてみたんですが、服みたいに直接汗や垢が付くわけでもなし、いまいち汚れる理由がはっきりしません。それでもある時ふと見ると、レンズが汚れていた、なんてことはしょっちゅうです。あと考えられるのは埃くらいのものですが、埃が汚れになるほどレンズに大量に付着するとは考え辛いんですよね。でも、それくらいしか原因がない・・・。
 リスナーの皆さんは眼鏡派かコンタクト派か、そんなもの必要ない派のいずれかだと思いますが、特にコンタクト派の方、レンズが汚れる原因が何なのか、ご存知でしたら教えてください。こういう時には掲示板JewelBoxをどうぞ。ちょっとした論争になると面白そうですね。
 駄目だ!まだ俺は晶子を信用してない!晶子を信じる、って智一に言い切ったのは他ならぬ自分じゃないか!何度言い聞かせれば分かるんだ!俺は・・・俺は晶子を信じたいのに・・・!

「お、おい祐司。」

 智一が声をかけてくる。俺が智一の方を向くと、智一はひっ、と小さい悲鳴を上げて身体を少し仰け反らせる。俺の表情がどうなっているのかは分からないが、恐らく苛立ちと不安がごちゃ混ぜになった、鬼のような形相になっているんだろう。

「何だよ。」
「しょ、所詮噂だからさ・・・。い、言っとくけど俺が流した噂じゃないからな。俺はあくまでそういう話を聞いただけだからな。これだけは信じてくれよ。」
「分かってる。お前は聞いた噂をおれに聞かせただけだってことくらいな・・・。」
「そ、そうか・・・。」
「こんな気分になるなら聞きたくなかったけどな。」

 俺がそう言うと、智一は益々表情を引き攣らせる。余程恐ろしい表情で智一を睨んでいるんだろう。噂を聞かせただけだとは分かっているが、智一の行動を恨まずにはいられない。何も知らなければ普段どおり帰宅してバイトして晶子の家で紅茶をご馳走になって、という平凡だが幸せな時間を過ごせた筈なのに・・・。

 カランカラン。
カウベルの音が何時ものとおり最初に俺を出迎える。だが、その音が今日はやたら耳障りに感じる。

「こんばんは・・・。」
「おっ、こんばんは。・・・な、何だ一体。随分ご機嫌斜めみたいだな。」
「気のせいですよ。」

雨上がりの午後 第987回

written by Moonstone

 否、真偽を確認しなくても噂が真なら黙っているわけにはいかない。ただ教官と変に仲違いすることなく講義を受けている分には何ら問題ない。だが、個人的に親密になるのは如何なものか。ましてや相手は浮名を流している男だ。厳しく咎めておかないとそのまま俺とは違う方向に突き進むことに・・・。

2002/11/13

[体内時計、ご乱心]
 前の週末に風で寝込んでいたせいで体内時計が完全に狂ってしまって、夜なかなか眠れない、そのくせ昼間やたらと眠い、帰宅して夕食食べたら一眠り、そのため余計に夜眠れない、という悪循環に陥っています。風邪の方は快方に向かっているんですが、こちらの方は何とも・・・(汗)。
 第一、私が夜寝る前に飲む薬は、常人なら数分でノックアウトされる強力なものなんですが、それが(相変わらず)4、5時間しか効かないので一体どうしたものか・・・。睡眠薬の効果が切れての転寝は眠気の尾を引くことになりますから、いっそ眠い夜の早い時間帯に薬を飲んで爆睡して、未明から早朝にかけてネット活動をしようか、とも考えています。
 さて、最近私は2つのページの管理者に、発言や行動に重大な事実誤認や態度の一方的な転向があるとして、それらを撤回、謝罪するよう抗議・要請するメールを送ったんですが、片方は「担当部で検討します」と返答が来た一方で片方はまったく音沙汰なしです。発言や態度の転向には理由があるのでしょうが、せめて「自分はこれこれこう思うから要請には応じられない」くらいの返答があっても良いと思います。大手ページになればなるほど対応がおざなりなのは、一人ぐらい無視しても構わないという傲慢な意図がある気がしてなりません。ま、そっちがその気ならこっちにも考えがありますが。
「まさかお前、噂をでっち上げて割り込もうなんて考えてのことじゃないだろうな?!」
「そ、そんなことするかよ!割り込む隙は窺ってるけど、噂を捏造してまで割り込もうなんて考えやしないさ。そんな卑怯な手、使うかよ。」
「まったく、噂ってやつは・・・!」

 俺は吐き捨てる。苛立ちと不安と共に。否、言葉に併せて苛立ちはどうにか吐き捨てられたが、不安だけは吐き捨てられずに心の中にしぶとく居座っていやがる。どうにかならないのか、この胸の中で蟲がむずむず蠢くような嫌な気持ちは・・・!
 俺はたまたま近くに転がっていた石を力いっぱい蹴り上げる。石は大きく水平に飛んだ後、かなりのスピードで道路を跳ねながら視界から消える。それでもまだ、心にあるこの嫌な疼きは消えない。くそ・・・。どうにかならないのかよ・・・!

「・・・い、言わない方が良かったか・・・な。はは・・・。」

 そう言う智一の顔には引き攣った笑みが浮かんでいる。俺が言葉とは裏腹に激しい苛立ちを露にしたのに驚いているんだろう。確かにこの苛立ちは智一の発した妙な噂によるものだ。だが智一本人のせいじゃない。その辺りは俺も弁えているつもりだ。前みたいに彼方此方当たり散らすようなことはしない。

「まあ・・・、言わないでいてもらった方が良かったことには間違いないな。」
「そ、そうだよな・・・。ま、まあ、俺も文学部の奴に聞いただけで実際に現場を見たわけじゃないから、あんまり気にすんなよ。」
「ああ・・・。」

 そう同意はしてみるものの、益々噂の広げる暗雲が広く重くなってくるのが分かる。この暗雲を晴らすには・・・どうしたら良いんだ?噂のレベルで晶子を問い質したくはない。何処かの歌じゃないが、噂を信じないで、とか晶子に泣かれかねない。だが、噂のレベルで真偽を確認しておかないと・・・、また・・・俺は・・・大切なものを失ってしまうかもしれない。俺の知らないうちに!

雨上がりの午後 第986回

written by Moonstone

「・・・俺は晶子を信じる。」
「その分なら大丈夫だな。」

2002/11/12

[こ、これはきつかった・・・]
 本日の更新でNovels Group 3の表示形式の統一とファイル番号の変更を行いましたが、勿論1日で出来る筈がありません。風邪をひいて作品制作が出来なかった週末から一昨日にかけて、ローカルで地道に変更作業をしてきた結果です。
 前者はまあ、私には直接関係ないのですが(Netscape6の起動の遅さでそれ以降アップグレードしてない)表示形式を統一しておくに越したことはないかと思いまして。後者の方は必然性に駆られてのものです。何せ現時点でChapter73、今後の展開を考えると99までで収まりそうにないからです。途中から3桁にすると開いたりする時の表示がごっちゃになって嫌なので、番号を3桁に統一することで999+1(000から始まるので)のChapterがズラリ並ぶようになりました。
 後者の作業が凄く大変でした。ファイル番号を変更するということは、ファイルにある「進む」「戻る」のファイル番号も全て変更しなければならないからです。延々と繰り返す地道で面倒な作業でしたが、これで安心して長期化に対応できるというものです。・・・「3×3EYES」みたいに400とか500になりゃしないだろうな(汗)。

「何だよ、噂って。」
「文学部の奴から聞いたんだけどさ、晶子ちゃん、田畑とかいう助教授と仲良いらしいぜ。」
「・・・単に教官と学生の関係だろ?」
「お前知らないのか?田畑助教授って言えば、文学部じゃ知らない奴は居ない教官だぜ。」
「だから何が言いたいんだ。」
「田畑助教授はな、凄い女たらしで、目をつけた女子学生に言い寄ることで有名なんだ。それだけならまだしも、独身で金持ちでルックスも抜群だから文学部の男衆の敵って言われてる食わせ物なんだぞ。」

 ありがちな話だな・・・。目をつけた女に言い寄るところは智一と一緒だが、教官と学生という立場が気にかかる。単位と引き換えに女子学生に交際を迫る不届きな教官の話は、インターネットでもよく目にするからな・・・。

「田畑助教授は英文学科だ。晶子ちゃんも英文学科だろ?独身貴族の女たらし教官と、清楚可憐な晶子ちゃん。そんな二人が・・・」
「単なる噂だろ!妄想は一人で布団の中でやれ!」

 俺は語気を強めて智一の言葉を遮る。そんな話、所詮噂に過ぎない。噂をいちいち本気にしてたら噂に翻弄されてしまう。噂の対象が付き合ってる相手となれば尚更噂は切り捨てていかないといけない。噂が元になって関係が壊れるってこともありうるんだから。
 でも・・・心に垂れ込めた暗雲は消えない。晶子を信じたい。信じなきゃどうするんだ。幾ら自分に言い聞かせても暗雲は一向に晴れない。晶子が絡んだこの噂、もし本当なら・・・。駄目だ!余計なことを考えるんじゃない!好きな女を信じないで何が彼氏だ!さっき自分で智一に言ったばかりじゃないか!単なる噂だろ、って!

雨上がりの午後 第985回

written by Moonstone

 噂、という一言と智一の思わせぶりな言葉で、俺の心に急速に暗雲が広がり始める。たかが噂だ、気にするな。心にそう言い聞かせてはみるものの、この暗雲は広がる一方で晴れる気配がない。

2002/11/11

[ま、まだ治らない・・・(汗)]
 土曜日から本格化した風邪の症状は収まる気配がなく、鼻水が鬱陶しい上に全身気だるくて仕方ないです。うー、まだ熱が出てるみたい。こんな状況の中、昨日は午前中と夜に作品制作に手を出しました。「大人しく寝てろ」と思われるでしょうが、メインコンテンツをろくに更新しなくてもカウンタが数百も数千も伸びるお気楽極楽なページではないので、風邪だからといって休んでばかりというわけにはいかないんですよ。
 今回手をつけた作品はかなり巨大化することが見えてきたので、ただでさえ風邪で体調が芳しくない上に身体を休めることで時間を取られるので、日を分けて書かないと出来そうにないです。今までは1日で1作品完成、と出来たんですが、流石に今回ばかりはそうもいきません。
 作品制作などのページ更新作業が集中する週末に完全ダウンしたので、この影響は暫く続くでしょうが、何とか更新していきますので此処は一つ大目に見ていただきたいと思います。

「祐司。お前、後期になってから晶子ちゃんとご無沙汰なんじゃないのか?」

 ほら、今日も来た。生憎だがバイトを続けているから夜には必ず会えるし、日曜の夜は晶子の家にお泊まりという日々が続いている。・・・そう言えば、バイト先が同じことや週1回のお泊りのことは言ってないな。まあ、言う必要はないか。

「週末とかに会ってるからご心配なく。」
「とか言うけどさ、普段会えないと心配じゃないか?」
「何がだよ。」
「晶子ちゃんが浮気してないか、とか。」
「してない。」
「言い切るな、お前。」
「信じてるからな。」

 そう、信じてなきゃやってられない。俺だって晶子と一緒に大学を行き来したいし、俺の目が届かないところで、なんていう不安というか疑念というか、そんな感情が頭を擡げてくることがまったくないといえば嘘になる。だが、晶子は人の目を盗んで悪さを−勿論悪い意味でだ−するような女じゃないし、そう信じてる。
 智一はひゅう、と口を鳴らす。信じるもんか、で凝り固まっていたあの時から考えれば、俺は豹変したと言えるだろう。宮城と切れた時は全てが終わったと思った俺だが、妙な気を起こさなくて良かったと思う。一時の激情に全てを任せていたら、何をしていたか分からない。宮城との思い出の品が全て粉々になったが、人が粉々になるよりはずっと可愛らしい。

「なかなか言うねぇ。ま、それくらい信じてりゃ、俺が耳にした噂は文字どおり馬耳東風ってやつだな。」
「噂・・・?」

雨上がりの午後 第984回

written by Moonstone

 今日も講義を終えてくたびれた身体を押し進めるように歩く。その隣には晶子じゃなくて智一が居る。4コマまで講義がある日が殆どだし、晶子は大学に来る時間も帰る時間も違う。傍目にはすれ違いカップル状態だ。当然、智一がそのことを見過ごす筈がない。

2002/11/10

[う、迂闊・・・o(_ _)o]
 風邪ひいちゃいました。金曜日に喉の具合が悪かったので薬を飲んでいたんですが、昨日は喉から鼻に移って、今でも放っておくと鼻水が垂れて来るほどです。熱も出ているらしく、全身が気だるいです。
 そのせいで、昨日予定していた作品制作はまったく出来ませんでした。それでも食事とかは自動的に出てこないので、買出しや料理はふらふらしながらやりました。まあ、食欲がそこそこありますからそれほど大事には至らないと思いますが、油断は禁物ですね。
 てなわけで、風邪が治るまでこのコーナーも小規模になると思います。来週1週間は研修者への対応があって休めないので、この週末に治しておきたいところです。やりたいことはあるのにそれが出来ないというのは、原因が何であれ気分的に嫌なものですね。
でもそれがないからこそ、俺と晶子が二人一緒に保証を作りながら前に進んでいくんだ。それが恋愛ってもんだと思う。その一つの大切な区切りの日はまだ終わっていない。俺と晶子は静かに佇む、少しひんやりとした秋の夜の道を歩いていく・・・。

 冷気が針のごとく鋭くなって久しい。もはやコートと手袋、マフラーは手放せない。朝起きるのも辛いことこの上ない。月曜は別として。今年の冬は厳しくなる、という長期予報が秋にあったが、あれはどうやら当たったようだ。こういう予報は当たって欲しくないんだが、寒い時に寒くないというのは問題が多いから約3、4ヶ月は耐え凌ぐしかない。
 今年もあと一月を切った。例年どおり−とは言っても俺と晶子は2回目だが−喫茶店Dandelion Hillのクリスマス・コンサートが開かれるということで、俺と晶子はそれぞれ、時には一緒に練習していた。晶子のレパートリーも随分増えて、俺とだけじゃなくて潤子さんともコンビを組む曲も加わり、前回よりバリエーション豊かなコンサートになりそうな気配濃厚だ。
 今回の注目株は、自分の贔屓目もあるかもしれないが、晶子の新レパートリー「Winter Bells」と「Like a star in the night」だろう。どれも冬をイメージさせる−前者はクリスマスソングと言って良いと思う−曲だけに客の人気も高い。後者は潤子さんとのペア曲ということもあって、初公開以来毎回のようにリクエストされている。練習に付き合っている俺としてはちょっと悔しいような・・・。
 かく言う自分はというと、晶子をコーラスにしたギター曲「Tonight's the night」と「Mr.Moon」が目玉だ。片方はエレキ、片方はアコギと同じ種類だが違う性質の音を出す楽器と、片やダンサブル、片やメロウな感じの曲で対比を印象付けるという「作戦」だ。本当はもっと候補曲を増やしたかったんだが、何分実験とレポートで忙しいし、晶子のコーラスと合わせることを考えるとこれが限界だ。

雨上がりの午後 第983回

written by Moonstone

 未来の賽がどう転ぶかなんて本当にどうなるか分からない。まさに神のみぞ知る、ってやつだ。俺と晶子の関係がこの先ずっと続く保証はない。

2002/11/9

[リンク集大改装完了!]
 以前から「Moonlight PAC Edition」や此処で発表していたリンク集「Access Streets」の改装がようやく完了しました。集めたデータが新鮮なうちに行わないと、データが変わってしまって記載内容と実際の表示などが食い違う可能性があったのでここ数日こつこつと進めてきました。
 ご覧いただくとお分かりかと思いますが、リンク先に関する情報がかなり詳細に記載されています。これで少なくともブラウザが相手先の推奨環境に合わなくて見れない、ということはなくなるのでは、と思います。ページの細かいところまで見たわけではありませんし、そこまで記載したら後々の管理が大変なことになってしまいますが(今回の改装でもかなりの情報量になったし)、参考にしていただければ幸いです。
 もしこのお話をお聞きの方で、当ページと相互リンクしたいと思われている方は、これまでどおり事前にご一報くださるだけで結構です。ページに関する情報はこちらで収集しますので。これはジャンルやページ情報を何処まで記載するかで私の主観に頼る部分が大きい為です。出来ればリンクに関する情報を一喝して掲載しておいて下さるとありがたいです。これからは最低1ヶ月に1回は全てのリンク先を訪問しないといけないかな・・・(汗)。
 レジで清算を済ませて雑誌をコンビニの袋に突っ込んで、俺は晶子と共に本屋を出る。時計を見るともう11時を回っている。何だかんだしてる間に結構時間を食ったな。今から晶子の家で紅茶をご馳走に、なんていうのは迷惑なんじゃないだろうか?

「なあ、晶子。」
「これから私の家に来てくれますか?」
「・・・え?」

 思わず俺は聞き返す。晶子に尋ねようと思ったことを逆に晶子から誘いという形で受けてしまった。本屋で俺が考えてたことを晶子が口にしたときも少し驚いたが、これには流石にびっくりだ。晶子は本当に人の心をすかしてみることが出来るんじゃないか、と思ってしまう。

「どうしたんですか?」
「いや・・・。俺が今から何時ものように晶子の家に邪魔して良いかって聞こうかと思ってたところで、晶子の方から誘いを受けるとは思わなかったからさ・・・。」
「思考パターンが似てるって証拠ですよ。」
「そうだな。」

 苦笑いする俺に晶子が俺の左手をぎゅっと握って、切なげに訴えるような目で俺を見る。うっ、この目と表情は反則だよなぁ・・・。

「どうしますか?」
「・・・大切な日はまだ昨日になってないよな?」
「OKってことですね?」
「勿論。」

 断る理由なんてある筈がない。今の俺と晶子の関係の基(もとい)になったこの日に、ささやかな、でも幸せな祝杯を挙げない理由なんてある筈がない。俺は晶子の手を握り返して、二人並んで通りを歩き始める。

雨上がりの午後 第982回

written by Moonstone

 俺と晶子は顔を見合わせて微笑む。他の可能性を考えるのは自由だろう。でもそれに熱中して今を変質させるようなことになったら話にならない。宮城と切れた直後に出会った晶子と付き合うようになって、今日で出会って一年を迎えた。それで良い。

2002/11/8

[15年間、お疲れ様でした]
 私が「Master's Profile」の詳細で好きな漫画の一つとして挙げている「3×3EYES」が、39巻、40巻の同時発売で完結を迎えました。私が「3×3EYES」を知ったのは確か高校生の時。弟が友人から借りてきた9巻(だったと思う)を見て、その絵柄が気に入ったのと(絵柄が気に入らない漫画は買わない)話の前後が気になって、単行本をボツボツ集め始めたのがきっかけです。
 キャラがいっぱい出てきて混乱する時もありましたが、圧倒的な強さを誇るベナレスに挑む八雲の姿が印象的です。メインPCの引き取りの前に立ち寄った本屋で偶然発売に出くわして買ったのですが(39巻は買い忘れた(爆))、私としては「3×3EYES」らしいラストだと思います(ネタバレになるのでこれ以上詳細は言いません)。
 ご存知のとおり、私は小説を連載しています。連載回数はもう少しで4桁の大台に乗ります。それでも何時終わるかは見当がつきません。少なくともあと1、2年、もしかしたらそれ以上かかるかもしれません。連載当初から読んでくださっている方は少ないと思いますが、Novels Group 3で編集して再掲載しているので、まだの方は是非ご覧下さい。「3×3EYES」には遠く及ばないでしょうが、私も誰かを引き込むような、キャラに思い入れが出来るような話を書きたいですし、そんな作品になるように日々書き進めているつもりです。最後に高田祐三さんへ。「本当にお疲れ様でした。」
歴史に「もしも」は禁物だというが、こういう歴史には「もしも」を考えてみるのもたまには良いんじゃないだろうか?しょっちゅうだと、今の自分達の関係が何なのか疑ってばかりになってしまうだろうが。

「・・・否、ついさっきまで俺も同じことを考えてた。あの時宮城と付き合っていたなら、俺と晶子はどうなってたんだろうか、って。」
「・・・。」
「俺は自分で言うのも変だけど、一つにとことん入れ込むタイプだから、晶子がどんなに言い寄ってきても『付き合ってる相手が居るから』って断ってたかもしれない。」
「かもしれない・・・?」
「ああ。俺はあの夜の電話でもう駄目だと思うその瞬間まで、本当に宮城が好きだった。結婚したいとも思ってた。宮城も以前何度となくそう言っていた。でも結局は切れちまった。だから晶子が現れても晶子とは絶対付き合っていなかった、とは言い切れないと思う。」
「・・・。」
「距離が近い晶子と接している間に心が晶子の方に移ったかもしれない。でもやっぱり俺には宮城が居るから、って心変わりを食い止めてたかもしれない。過去になっちまったことは、他の可能性を否定出来ないんじゃないかな・・・。歴史に『もしも』は禁物だっていうのは、そういう出口のない迷路に迷い込んでしまうことを防ぐためなのかもしれない。」

 俺が言い終えると、晶子は笑みを浮かべる。

「そうですね。あの時祐司さんが失恋してなかったらどうなってたか、なんて考え始めたら、それこそ色んな可能性が浮かんできますよね。自分から言い出しておいて何ですけど、もうこのことはおしまいにしましょう?」
「それが正解だな。今は今を大切にすることに専念してればそれで良いんだ。過去の可能性をあれこれ考えても今に反映させられるわけじゃないし。不毛な議論とはまさにこういうことなのかもな。」
「きっとそうですよ。」

雨上がりの午後 第981回

written by Moonstone

 そう言ってぺこっと頭を下げた晶子の顔はあまりに儚げで、微風のひと吹きで崩れてしまいそうだ。俺がついさっきまで考えていたことを晶子も考えていたことに心が共鳴するのを感じる。

2002/11/7

[わーい♪帰ってきたー♪]
 昨日「修理に出して半月経つのに音沙汰がない」と言っていたメインPCですが、何と昨日電話があって(平日の昼間はこっち、と教えておいた)「直りましたので取りに来て下さい」との吉報。仕事を終えてからPCショップに直行して受け取って帰宅しました。久しぶりの起動で、更に他所に預けていたのでHDDが心配だったんですが、無事起動完了しました。
 ところが大変だったのは此処から。メインPCを修理に出している間に変更のあったファイルを全て旧PCからメインPCに移して、ページ表示に異常がないかどうか確認して、更にこの間送受信したメールも移動。私のページはグループ分けされているので階層が細かくて、データを受け渡しするFDに(旧PCにはCD-RWという便利なものはない)フォルダを作ってそこに移して運んでコピー・・・という作業は骨が折れました。
 まあ、どうにかそれらの作業も完了しまして、滞っていた会計処理と連載書き溜め、そしてこのお話をしています。新品に交換されたキーボードは凄くいい感じのレスポンズです。前は調子に乗って強く叩き過ぎたので、今度はその辺注意しています。そうすると無意識に肩に力が入っちゃうんですけどね(^^;)。ウィンドウが開く速さもページが表示される速さも、鬱陶しく思いながらも旧PCに慣れかかっていた私には凄く軽快で気持ち良いです。何はともあれ、めでたしめでたし(^^)。さ、これから頑張って働いてもらうからね〜(笑)。
「女は皆敵だ、二度と騙されてなるか、関わってなるか、と思ってイライラを無関係な晶子にぶつけたのには違いない。・・・本当に悪いことしたと思う。今更謝ったって遅いけど。」
「いいえ。私は祐司さんがあんな態度に出たのは仕方なかったことだと思ってます。だから謝る必要なんてないですよ。」
「・・・ありがとう。」

 晶子の労わりに満ちた言葉が心に染みる。俺としては智一の時と同様、幾ら何でもあんな態度は失礼だ、って叱られた方が良いと思う。でも晶子が俺のあの時の心理状態を理解してくれているのはありがたい。こんな人の心がわかる人間と出会えた俺は、本当に幸せな奴だ。
 時折晶子と話をしつつ店内をぶらつきながら思う。もしあの時宮城と切れてない状態で晶子と同じように出会っていたら、どうなっていたんだろう?俺はもう修復不可能と思うあの時あの瞬間まで、本当に心底宮城が好きだった。結婚したいと思っていたし、何れそうなるものと信じてた。それが譬え未熟者同士の恋愛ごっこだったとしても、だ。
 でも、今思うと、そんな状態で晶子が現れても俺の気持ちは変わらなかった、とは断言出来ない。歴史に「もしも」は禁物だというが、その言葉どおりこのことは考えない方が良いんだろうか?

「祐司さん。」

 一年前の今日と同じくやっぱり買いそびれていた−生協に行ってる余裕がなかった−音楽雑誌を手に取ったところで、晶子が話しかけてきた。

「ん?」
「こんなこと聞いちゃいけないとは思いますけど・・・、あの時優子さんと付き合ってたら、祐司さんはどっちを向いたんでしょうね。」
「・・・。」
「一途で真摯な祐司さんだから、きっと私、また失恋してたでしょうね。物凄く不謹慎なことは承知で言いますけど、祐司さんが私と出会う前に失恋してて良かった・・・なんて、やっぱりこんなこと言っちゃいけませんよね。御免なさい。」

雨上がりの午後 第980回

written by Moonstone

「・・・あの時は、悪いことしたな。」
「良いんです。あんなことがあった直後に見ず知らずの私が祐司さんを見る度に驚いてああだこうだ言ってれば、怒りたくもなると思いますよ。むしろ、私の方が無礼なことをした、って謝らないといけませんね。」

2002/11/6

[メインPCはまだかぁ〜]
 修理に出して半月経つメインPCなんですが、修理の見積もりが来てそれを了承して以来さっぱり音沙汰がありません。まさか今頃修理不可能なんて言わないだろうな?(汗)。メインPCにWeb環境を移動したのはまだしも、その他までは移行出来なかったので、修理の長期化には困っています。
 まずは何といっても会計処理。私は家計簿をつけているんですが、そのファイルを移行しなかった(バックアップはしましたが)ので会計処理が完全に滞っています。溜まりに溜まったレシート20枚以上。財布の札の枚数より多いな(泣笑)。これを後で一気に処理するだけで相当時間かかりそう・・・。かといって収支管理はいい加減にしたくないので、一日も早く処理したいです。
 他にはWeb環境そのもの。画面が大きくなったのは(13インチ液晶が17インチCRTになった)良いんですが、表示やプラグインの起動が遅い。明らかに遅い。これだけでも結構イライラするものです。やっぱりノーマルPentiumとCerelonじゃ違うんですねぇ。でも今のメインPCを購入する約2年半前まではこの遅いノーマルPentiumのPCでストレスを感じなかったんですから、慣れというものは恐ろしいものです。兎にも角にもメインPCよ、早く帰ってこーい!

「でも、祐司さんが今日を覚えててくれたことは凄く嬉しいです。」
「誕生日の時みたいに忘れてるかと思った?」
「少しだけ。」
「誕生日は忘れても、この日は忘れないさ。今日を境に俺と晶子の追い駆けっこが始まったんだからな。最初は晶子が追いかける側で、でも何時の間にか俺も追い駆けるようになっていった・・・。」
「それで・・・一度すれ違ったんですよね。」
「向き合ってたのに、差し出していた手が互い違いになってたから・・・。否、俺はそれまで向き合っていることから目を逸らそうとしてた。こんなことはもうあれっきりで御免だ、って身に染みて分かった筈だろ、って自分に言い聞かせることで・・・。」
「私は自分の思いどおりにことが進まないことが悲しかった・・・。どうして私から目を逸らすの、って自分中心に物事を考えてた。祐司さんの心を試した。・・・私と祐司さんが本当に向き合えたのは・・・。」
「俺が熱を出して寝こんだ時だろうな・・・。」
「ええ・・・。今振り返ってみると、それまでが長かったようで短かったです。」

 俺と晶子は通りを横切って本屋へ向かう。晶子と二度目に顔を合わせた場所だ。俺が手を引いたわけでも、晶子が手を引いたわけでもない。ごく自然に、無意識のレベルで俺の足は本屋へ向かう。晶子の歩調と方向も俺とまったく同じだ。あの時は訝しさと鬱陶しさ、加えて苛立ちさえ感じさせた晶子の一挙一動が愛しくてならない。
 本屋の出入り口のドアが開き、俺と晶子は中に入る。出入り口にほど近い位置にあるレジに居る店員かららしい、いらっしゃいませ、の声が出迎える。店内は混雑とまではいかないまでもそれなりに人が居る。これも一年前の今日と同じだ。あの時は買い遅れた音楽雑誌を買って、本屋を出たところで晶子と再び出くわしたんだよな。そして苛立ちを何の関係もない晶子にぶつけて立ち去ったんだっけ・・・。

雨上がりの午後 第979回

written by Moonstone

 それはそれで嬉しいんだが・・・。と思っていたら勘定が済んだ。俺は金を払ってつり銭を受け取り、袋に詰まった買わなくても良かった買い物を持ってコンビニを出る。そこでどちらから合図することなく、俺と晶子は手を繋ぐ。

2002/11/5

[無駄か?重要か?]
 結局月曜日も殆ど一日寝て過ごしました。3連休の丁度2/3を殆ど何もせずに過ごしたことになります。連休前まで仕事が修羅場だったので、安心感でその疲れがどかっと出たのか、果てまた身体がストライキを起こしたのか・・・。どちらなのか、それ以外なのかは分かりませんが、結果から見れば無駄に時間を使ったと言えます。
 でも、果たしてこういう過ごし方が無駄、の一言で片付けられるのか?毎週日曜日はこんな感じなんですが、それで月曜以降の体調が最近好調を維持出来ているとしたら?ぶっちゃけた話、休日に身体が動かなくても平日に身体が動けば問題はないのです。ページの更新はどうなる、と言われれば胸にチクリと来るものがありますが、どのみち作品を公開してもろくに反響がないページの更新に情熱と体力をかけることの方こそ無駄なんじゃないか?そうも思えます。
 連続2日殆ど寝て過ごしたことで、身体は確かに十分休まりました。今日からの仕事も恐らく身体が動かない、ということはないでしょう。一方から見れば無駄な時間潰しも、もう一方から見れば重要な休養の時間・・・。見方次第で変わるものです。
「・・・覚えてたのか?」
「勿論ですよ。あんな衝撃的なこと、忘れようにも忘れられませんよ。それに今はその人とこうして一緒に居るんですから。」
「驚かせようと思ったのに・・・。」
「前にも言ったでしょ?女ってのは記念日とかそういう大切な日を殊更よく覚えて大切にする生き物だ、って。」

 はぁ・・・。晶子の方が一枚上手だったか。今日の今日まで散々あれこれ考え悩んだのが、何だか馬鹿馬鹿しく思える。こんなことなら何時もの道のりで、話が一旦途切れた時にでも話を切り出して良かったな・・・。

「次の方、どうぞ。」

 レジの男性に呼ばれて、俺は自分の番が回ってきたことに気付いて慌てて籠を差し出す。勘定が進む間、俺はふと晶子の方を見る。俺の視線に気付いたのか俺の方を向いた晶子は、驚いて口を手で塞いだあの時とは違って柔らかくて温かい微笑を浮かべている。

「祐司さんが最近疲れた顔をしてたのは、講義のことに加えてこの日に備えてどうするかあれこれ考えてて、良いアイデアが思いつかなかったからなんじゃないですか?」
「ああ・・・。よく分かるな。相変わらずというか・・・。」
「少なくとも私との間では、妙な気遣いや演出は無用ですよ。もうそのことは分かってくれていると思ってたんですけど・・・。」
「一度くらい晶子を感動させたくてな・・・。」
「付き合ってくれ、って言ってくれた時に十分過ぎるくらい感動しましたよ。」

雨上がりの午後 第978回

written by Moonstone

「今から丁度一年前・・・。時間は遅いですけど、祐司さんと私はこのコンビニのレジで初めて出会ったんですよね。」

2002/11/4

[うーむ・・・]
 どうしても日曜日は身体が動かないです。結局何時ものとおり(これが何時ものとおり、というのが何とも・・・)寝て過ごしました。身体には逆らえないですし、休みですから、身体に鞭打つようなことは止めよう、というのもありますが。3連休で作品が1つも書けないのは如何なものかとも思いますが、出来ないものはどうしようもありません。義務じゃないですし。
 今日は休み明けに向かって身体を慣らしておくために、普段どおりの生活をするつもりです。そうすれば身体も動くでしょうし、動かさないといけません。家に篭ってばかりだと余計に身体が動かないかもしれないので、時には外に出てみようかな、とも思います。寒そうなので出来ることなら出たくないんですが(矛盾してる(爆))。紅葉の写真なんか撮れると良いんですけどね・・・。
宮城と電話をしていた頃は、時々電話が終わってからコンビニに買い物に行っていたから、この辺りの道はそれなりに知っている。この通りに出るのは・・・あの時以来か・・・。
 俺は晶子の手を引いたままコンビニに入る。いらっしゃいませ、という声に出迎えられて、俺はここで晶子から手を離して籠を持ってぶらぶらと店内を回り、特に買う必要もない缶コーヒーやらスナック菓子やらを籠に放り込んでいく。
 晶子と初めて顔を合わせたのはレジに並んだ時だった。だからレジに並ぶ口実を作らないといけない。レジに並んだところで「今日は何の日か覚えてるか?」と切り出す。これが一番妥当且つ俺にしてはそれなりに演出の効いた行動だろう。晶子は特に買うものがないらしく、俺について来るだけだ。同やら今のところ「作戦」は順調に進んでいるらしい。ようし、このままこのまま・・・。
 ひととおり店内を回ったところで俺は晶子と共にレジに並ぶ。俺の前には3人ほど客が居る。隣のレジには4人並んでいるからどっちに並んでも大差ない。よし、今だ。俺は決意新たに晶子の方を向いて言う。

「晶子。今日は・・・」
「一年なんですよね。」
「?!」

 俺がない知恵絞って描いたシナリオどおりに言おうとしたところで、晶子が肝心要の言葉を口にした。晶子の奴・・・知ってたのか?それとも思い出したのか?このコンビニに来たことで。

雨上がりの午後 第977回

written by Moonstone

 俺は内心胸を撫で下ろしながら何時もの道から逸れて、道のりとしてはジグザグするようにコンビニに一番近いところに出る通りに入る。

2002/11/3

[まったり過ごした日]
 連休1日目の昨日は昼頃に起きて買い出しに出て、時に小説を書いたり寝たりとまったり過ごしました。これじゃ連載の祐司君の週末と大差ないじゃん(爆)。金曜日、ネット切断後にリンク集の改装を始めて、それがレイアウトの変更で長引いたので寝るのが遅くなったのが一因なんですけどね。
 このお話をご覧いただいている頃にはまだネットに繋いで呑気にネットサーフィンなどしていると思いますが、どうしても1作書き上げたいので、巡回コースを(最近削減した)回ってさっさと切断しているかもしれません。それはその時になってみないと分かりません。
 昨日ちょっと風変わりなことをしました。膝の部分が破れたパジャマのズボンを縫ったんです。膝掛け毛布を被っていてもスースーして寒いので、やむなく取組みました。糸を通すのはそれ程苦もなく出来たんですが、やっぱり縫うのは難しかったです。まあ、とりあえずでかい穴が塞がったのでそれで良しということで(^^;)。裁縫も時にはやらないと駄目ですね。裁縫したのって何年ぶりだろう・・・(汗)。
この道を少しまっすぐ行ったところに電話ボックスがある。俺がバイト帰りに宮城と声を交わしていた場所だ。それは一年前の昨日、俺が自棄っぱちで放った「さよならっ」を最後に終わったんだよな・・・。

「祐司さん、どうしたんですか?」

 晶子の声に俺は我に帰って晶子の方を見る。いけないいけない。今日は大切な記念日だってのに、今更取り戻せない、否、もう取り戻そうとしないことに決めた過去への郷愁に浸ってしまっていた。

「あ、いや、以前はこの道を歩いてたんだっけ、と思ってさ・・・。」
「今は私を送っていってくれますけど、そっちへ行った方が祐司さんの家へ近道なんじゃないですか?」
「まあな。でも、どのみち右折するから大して変わりないけど。・・・行こう。」

 このまま居るとまた過去へ思いを馳せることになりそうだから、俺は晶子の手を軽く引いて歩を進める。このまま行くと晶子の家があるマンションの前に行ってしまう。さて、どうやって道を変えるか?さりげなく、あくまでもさりげなく切り出してみるか・・・。

「・・・なあ晶子。ちょっとコンビニに寄っていかないか?」
「え?何か買い物でも?」
「ん。ちょっと・・・。駄目か?」
「私は良いですよ。祐司さんと一緒に居られる時間が更に増えるんですから。」
「それじゃ・・・。」

雨上がりの午後 第976回

written by Moonstone

 俺と晶子は何時もの帰り道を歩いていく。ある十字路に差し掛かったところで俺はふとその奥、晶子とは反対側の方を見やる。

2002/11/2

[リンク集整備に向けて]
 今日の更新でAccess Streets収録の全リンクのチェック並びに変更、修正が終了しました。これでAccess Streets改装の準備が出来たわけです。現在はリンク先のバナーとページ名のみという良く言えば簡素、悪く言えば素っ気無い表記になっていますが、今度の改装ではリンク先の詳細の情報を記載して、目的のページを探し易いようにしたいと思います。
 約80あるリンクの改装は大変でしょうが、なるべく早くお見せ出来るようにしたいと思います。で、懸案なのが改装後の管理なんですよね。詳細な情報を記載するのは利用者にとっては便利だと思うんですが、あるページの情報が変更された場合、それを如何に早く反映させるか・・・。CGIを用いた修正、削除の機能を持つリンク集ならその点手っ取り早く出来るんでしょうが、手動では厳しいですね。まあ、自動でも変更しない人はしないし、妙なページのリンク登録を防げますから(私という介在者が居ますからね)良いのかもしれません。
 今、解説用の雛形が出来上がったところです。この雛形を元にすれば、そんなべらぼうに大変な作業にはならないかもしれません。より良いリンク集にしたいと思いますので、暫くはコンテンツの更新にまで手が回らないでしょうが、その辺はご容赦願います。
 潤子さんが夕食の乗ったトレイを二つ差し出す。俺と晶子はそれを受け取る。今日のメニューは焼いたサーモンに・・・何だろう?白濁したソースがかかっている。それに付け合せのブロッコリーとじゃがいもと人参の茹でたものにコーンポタージュスープ、サラダ、ご飯といった洋食系のものだ。香ばしい匂いが食欲をそそる・・・と言いたいところだが、あまり食欲が沸いてこない。こりゃ重症だな・・・。
 俺は割り箸を割ってもそもそと食べ始める。気になっていたサーモンのソースは・・・生クリームが混じっているみたいだ。生クリームがこんな形で出てくるなんで思いもしなかった。その意外性が心をふっと軽くさせる。ようやく回復しかけてきた身体に料理を詰め込んでいく。食べる時に食べておかないと体力回復どころじゃない。この機会を利用して身体と心を通常状態に戻しておかないと・・・。
 何時もと大して変わらないペースで夕食を食べ終え、最後に茶をくいと一気飲みして、ご馳走様でした、の一言と共に殻になった皿が乗ったトレイをカウンターに乗せる。俺はこれから着替えないといけない。カウンターを通って店の奥に入る。晶子はエプロンをつけて早速客席の方へ向かう。
 身体の疲れは抜けてないが、気分的な疲れは結構取れた。気分的な疲れといっても身内の不幸とか−縁起でもない例だが−深刻な事態からくるものじゃないから、多少時間がたてばそれなりに回復するものだ。身体の疲れはどうしようもないが、バイトで走り回ってれば忘れてしまうだろう。バイトが終わってから、バイトの分と合わせてどばっと噴出してきたらたまったもんじゃないが。ま、兎も角今から暫くはバイトに専念しよう・・・。

 バイトは何時ものようにというか慌しく、あっという間に過ぎ去っていった。「仕事の後の一杯」もそこそこに俺と晶子は店を後にした。今日は少し冷えるせいか、晶子が俺の手を握る手に力が篭り、身体も何時もより寄せ気味だ。普段は「仲良しカップル」って感じの距離だが、今日は言うなら「身を寄せ合う仲睦まじい恋人同士」という感じだ。

雨上がりの午後 第975回

written by Moonstone

「はい、お待たせ。」

2002/11/1

[もうあと2ヶ月ですか・・・]
 まったく月日が過ぎるのは早いものです。歳取って来ると余計にそう思うんですよね(^^;)。背景写真がいきなりくらいものに変わってびっくりしたかもしれませんが(こんな程度で驚く筈ないか)、これは夕闇迫る直前の空を森の中から見上げたものです。他のも見たい、という方はPhoto Group 1へどうぞ。
 修理に出してから半月程経過したメインPCですが、ようやく修理見積もりの連絡がありました。思ったより安い金額で治ることでほっとしました。5万超えるようなら以前の形式、つまりメインPCと旧PCを使い分ける方法で金が貯まるのを待つ、という方針だったのですが、普通に使う分には(3Dゲームとか、CPUや画像処理機能を酷使すること以外という意味)十分使えるものですからまだまだ頑張ってもらいたいものです。否、頑張ってもらわないとね(ニヤリ)。
 話は変わりますが、私が来年の春、久しぶりに業務発表を行うことが内定しました。本当はもっと早い段階でしたかったですし、そうするべきだったのですが、私が心身をぶっ壊してダウンしてしまったので延び延びになっていたんです。心臓部の一つを作ったのは私ですからね。まあ、ノーベル賞には遠く及びませんが(笑)制御機器としては結構面白い出来になったものですし、一応特許申請も済んだ代物ですから、復活記念に一発決めたいと思います。でも、直前になったら地獄絵図になるんだろうな、きっと(汗)。
 俺は無意識に溜息を吐いて晶子の隣に座る。テーブルに両肘を乗せると再び溜息が出る。疲れているのが自分でもはっきり分かる。理工系は厳しいということは分かっていて今の大学を受験したんだが、まさかここまで厳しいとはな・・・。講義の内容は何のこっちゃさっぱり分からないものが多々あるし、教官はそんなことお構いなしに講義を進めていきやがるから、講義について行くのに神経が磨り減る思いだ。講義中につい居眠りしてしまって、慌てて黒板の内容をノートに書き写すなんてことも最近じゃ珍しくない。
 まったく、今日は大切な日だっていうのに・・・。疲れで気分まで重い。そこにろくな演出が出来ない情けなさが加わって、余計に気が滅入ってしまう。明るく楽しく迎えたかったんだけどな・・・。

「祐司さん、大丈夫ですか?」

 晶子が声をかけてくる。見ると心配そうな表情をしている。こんな時にこんな表情をされると、今日を共に祝う大切な相手に心配をかけてしまっていることで余計に気が滅入ってしまう。せめて表情だけでもそれは出さないようにしないと・・・。俺は笑みを作って首を縦に振る。

「ああ、ちょっと疲れてるだけ。」
「顔色、良くないですよ。後期が始まってから日増しに悪くなって来てますけど、疲れが溜まってるんじゃないですか?」
「どうせ土日に昼過ぎまで寝るから、それで解消されるさ。心配要らないよ。」
「絶対無理はしないで下さいね。」
「ああ。心配してくれてありがとう。」

 そう言って笑みを作ってみたものの、また溜息が漏れる。この疲れは精神的な部分の比重が高いから、あー疲れた、なんて気軽に口に出来るタイプのものじゃない。心の色や重さは演奏に出るから解消しておきたいところなんだが・・・。
 そもそも今日は気が重くなるような日じゃない。晶子と出会って1年という大切で嬉しい日だ。なのにそれを疲れた身体と精神で迎えるなんて運が悪いにも程がある。これじゃ「今日は何の日か覚えてる?」なんて良い感じで切り出せるとは思えない。バイト中上手く休み休みしながら体力と気力を回復させていくしかないな・・・。

雨上がりの午後 第974回

written by Moonstone

「専門教科の講義が4コマぎっしりですからね・・・。」
「夕食はもう直ぐ出来るから、座って待ってて。」
「はい。」


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