芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2001年1月31日更新 Updated on January 31th,2000

2001/1/31

[1月ももう終わりです]
 寒さは全く緩む気配がないですが、あと2ヶ月ほどすれば身を縮こまらせる必要もなくなるでしょう。昨日は仕事で帰宅が遅くて夕食を菓子と作り置きの野菜スープで適当に済ませてこのコーナーを更新しています。
 最近のことですが、急に読みたくなったマンガが頭に浮かんできました。タイトルは「すくらっぷ・ぶっく」。確か作者は小山田いくさんで、秋田書店から出ていたと思います。一言で言ってしまえば「中学生の恋愛もの」なんですが、傷つけあったり打ち解けたりする様子が自然な形で描かれていて、良い話だなという印象が残っています。もう10年以上前のものなので多分古本屋を探さないとないでしょうが、もう一度読んでみたいです。
 別に自分が恋愛ものを書いているせい思い出したわけではないですが、心と心の触れ合いや確執を描く上で参考になるかな、と思います。キャラの中では青木理美が一番好きだったな〜(笑)。
「俺の方から泊まっていくって言うのは初めてになるのか?」
「そうですね。それだけ祐司さんが積極的になったってことですよ。」
「・・・積極的になったっていうより、何か俺が上手く晶子にそうなるように仕向けられてきたって感じがするな・・・。」
「あ、そんなこと言います?」

 晶子が少し怒ったように言うと、直ぐ耳たぶの辺りに何かが這うように動いたのを感じる。少しのタイムラグの後、晶子が何をしたか分かった。こいつ、耳たぶに舌を這わせたんだ。
 そう確信すると、少し落ち着き始めた体の火照りが一気に急上昇する。積極的なのは・・・正直嬉しいが、あまり度が過ぎると身体の火照りが爆発して理性の蓋が吹き飛ばされちまいそうだ。
 だが幸にも(?)晶子からのそれ以上の攻勢はなく、ただしっかりと俺の首に抱きついている。俺は改めて晶子をぐっと抱き締める。直ぐ近くにある茶色がかった長い髪が電灯の光を帯びて金色に煌いている。俺はその髪を撫でるように手を動かす。凄く滑らかでよく手入れしていることが分かる。
 今宵は何時眠るんだろう?・・・ふと思ったが、もうそんなことはどうでもよくなってきた。身体に感じる微かな呼吸の風や弾みのある柔らかさ、温もり、そして初めて手に触れた髪の滑らかさ。それら晶子の持つ全ての感触を堪能できるんだから・・・。

 翌朝、俺は晶子のベッドの上で目を覚ました。あれから暫くして風呂に入って寝たんだっけ・・・。別に疚しいことはしてない。まあ、晶子がこれなら狭くないでしょ、と言って俺の肩口を枕にしてよりリアルになった弾力と柔らかさに身体が芯から火照った覚えはあるが。

雨上がりの午後 第409回

written by Moonstone

「分かるよ、そりゃ・・・。此処で寝泊り案内されるのは初めてじゃないんだから・・・。」
「そう言えばそうですね。」

2001/1/30

[疲労困憊]
 夕食を作って食べて、底冷えするのでベッドに潜り込んだら、目覚めたときには日付を超えていました。勿論寝る気はなかったんですが、疲れと布団の温もりにはどうしても勝てません(爆)。
 慌てて飛び起きて連載を書いてこの日記をお話しているんですが、連載の書き溜めが全く無いので、毎回毎回新規に書かないといけません(^^;)。2〜3kBくらいなんですが、テキストで2〜3kBは結構時間がかかります。
 1時間ほど前に飲んだ薬のせいで多少頭がふわふわしてます。お陰でミスタイプ続出。気付くうちは良いんですが、チェック漏れがあるかもしれません。眠気に負けたなと思って見逃してください(笑)。
 今日もメールのお返事書けなかった・・・(汗)。いくら寒くても布団に潜るのは止めないといけません、本当に(-_-;)。
 晶子は時々頬を摺り寄せてくる。俺は髭が薄い方だからあまり下ろし金のような感触はしないだろう。それにしても晶子は手を繋いだり腕を組んだり、こうして抱き合ったりすることに俺以上に積極的だ。
 しかし、俺が抱き締めているのと晶子がしっかり抱きついていることで、胸に伝わる弾力を含んだ柔らかい感触がより強く感じられる。こういうのはちょっと・・・正直に言えば悪い気はしないが−男だからな−、どうしても意識がそっちの方に向いてしまう。
 ふと時計を見るともう日付が変わっている。午前様確実。それにこの家から出たくない、と思う。それに今までの経験から、俺が帰ると言っても晶子はご一泊を勧めるだろう。それならいっそこっちから切り出してみようか。

「・・・なあ、晶子。」
「はい?」

 囁くような晶子の声が耳元で聞こえる。声に混じった吐息が耳を擽る。

「今晩・・・泊まっていって良いか?」
「勿論良いですよ。今日は汗かいたから、お風呂も入ってくださいね。でも・・・。」
「でも・・・何?」
「祐司さんの方から泊まっていくていうの、初めてですね。」
「何か・・・あまり自分の家に帰る気がしない。帰っても部屋は寒いだけだし、今までの経験から言うと、晶子が御一泊案内をすると思って。」
「よく分かってますね。」

雨上がりの午後 第408回

written by Moonstone

 二人の時間なんて色々あるが、俺はこういう触れ合いの時間が好きだ。そこに言葉は取り立てて必要ない。不器用な俺は美辞麗句を並べて相手を誉めるのが恥ずかしいし難しい。ただ相手をしっかり抱き締めていれば良い。

2001/1/29

[やっぱり駄目でした]
 日曜は目覚ましをかけておいたんですが、あっさりスイッチを止めてそのままお休み(爆)。目を覚ましたのは15:00で起きて更新準備を始めたのは16:00。半日以上寝てました。土曜日と違うのは、まともな夕食を食べたくらいです。週末はただ寝る日になりつつあるな・・・(汗)。
 こんな調子なので、まだ頂いた貴重な(希少な)メールのお返事が出来ません。もう少しお待ちください。必ずお返事は致しますので(汗)。
 ところで・・・倉木麻衣の全国ツアーの会場は、私が日帰りで行動できる場所では行われないようです。ああ、これも田舎の宿命か(泣)。まあ、アルバムを買うのは決定しているので、それで我慢しますかね。折角チケット取れても交通費や宿泊費を考えると大袈裟すぎるし、第一ペアチケットだから、苦労して手に入れたチケットの恩恵を無料で供与するのはちょっと不満だし。でも生で見聞きしたいのは本音です。
だが、互いに腕を取り合ったままで、俺のもう片方の手は晶子の後頭部にある。その気になればもう一度引き寄せて唇の感触を感じることが出来る状態だ。
 だが、どうもそれは躊躇われる。もうキスが嫌になったわけじゃなくて、これで今日のキスは終わりにした方が後味が良い感じで残るような、そんな気がする。
 俺は晶子の腕から手を離して、頭に添えていた手を再び肩に戻す。晶子も俺の腕を取っていた手を離し、半ば俺の前に乗り出していた身体を再び俺の横に戻す。そして頭を俺に肩に乗せる。丁度キスをする前の状態に戻ったわけだ。違うところといえば、可能な限り俺と密着していることと身体が内側から熱く火照っていることか。
 これほどの身体の火照りは、晶子と付き合うようになって初めてだ。キスすることそのものは初めてじゃないのに・・・相手が違うと−晶子には悪い表現だが−やっぱり「初めて」は「初めて」になるのか。とうとうキスしてしまった、という思いが緊張の鎖となって身体をがんじがらめにする。
 その緊張を少しでも和らげようと、俺は晶子の肩を抱く手をより自分の方に寄せようとする。晶子との距離はもう詰まりきっているが、そうでもしないと落ち着かない。

「もっと・・・近づけたいですか?」
「え、いや・・・。」

 晶子の不意の問いに如何答えようか戸惑っていると、晶子が腰を上げて俺の方を向き、がばっと抱き付いてきた。両腕を首に回して頬を摺り寄せて・・・。俺は少し固まっていたが、宙に浮いていた両腕を晶子の身体に回す。晶子の初ステージの前以来、正面から晶子を抱き締める。あの時は俺の一方的なものだったが、今は・・・互いに相手をしっかり抱いている。

雨上がりの午後 第407回

written by Moonstone

 −どのくらい時間が経ったか分からない。ゆっくりと晶子の唇が俺から離れる。俺も晶子の後頭部に回した手の力を緩める。ずっと目を閉じていた晶子が目を覚ますように瞼を開く。

2001/1/28

[やる気限りなくゼロ]
 昨晩は一応作品制作をしたり、撮影したままになってる写真の整理とか、メールのお返事とか(うう、遅すぎる)その他家事をやろうと思ったんですが・・・。目覚ましを消してそのままベッドにばったり。寒いとか雨が降ってるとかいう以前にやる気が全く無くて、そのまま昼過ぎまでまどろんでました。
 電話のコール音で起きて、誤魔化し程度に朝昼兼用で食事。その後来襲した弟にJavaScriptの指導(になったかな?)。それから、やらなきゃと思いつつもやる気の無さに負けてベッドにばったり。ようやく動き出したのが20時くらいでしたか。連載の書き溜めも底をついていたので、もっと用意しておきたかったのに・・・。作品制作は夢のまた夢で終わりました。
 今日は雨も止むらしいので、久しぶりに買出しに行こうと思います。それから来週の定期更新の準備をして、連載を書き溜めて・・・。もっとも、やる気があれば、の話ですが・・・。かなり濃厚なキスシーンを書いて照れる筈が淡々と書き進めていた自分がちょっと怖い・・・。

もう一度唇を重ね合わせる・・・。

 俺の腕を取って服をきゅっと握る晶子。俺は晶子をより自分の正面に抱き寄せる。晶子は何の抵抗もせずに俺の左腕と身体が密着するまで距離を詰める。
 俺は晶子の肩に置いていた手を晶子の後頭部に回す。そして空いている手で晶子の腕を取る。自分から晶子を引き寄せるのは・・・何時以来だろう?
 ああ、そうだ。晶子が初ステージに臨む前、落ち着かせようと思って咄嗟に抱き寄せたんだったっけ・・・。あの時は恋愛感情なんて欠片も無くて、ステージ以外のことに意識を向ければ少しは緊張感が和らぐだろう、という思いだった。単純にそれだけだった。それが今では・・・。

自分から抱き寄せたい、離したくないと思ってそうしている・・・。

 長いキスの沈黙の後、晶子が唇を離す。離すといっても顔が視界いっぱいを占める距離でだ。・・・ちょっと気になって目を開けてしまった。晶子は目を閉じたままだ。一度小さな呼吸を鼻先に感じる。
 すると晶子の唇が俺の唇を再び塞ぐ。さっきのは軽い息継ぎか・・・。俺は唇を離すのを許すまいとしてか、晶子の後頭部に回した手をぐっと自分の方に近づける。晶子の唇を自分の唇により密着させる格好になる。俺の服を掴んでいた晶子の手が、俺の服から離れて俺の腕そのものを掴む。
 微かに鼻の横辺りに感じる呼吸、胸に感じる柔らかい感触、そして何より唇に伝わる温かくて柔らかい感触・・・。これら全てが晶子の感触。どれも離したくない・・・。このひとときがずっと続けば良いのに・・・。

雨上がりの午後 第406回

written by Moonstone

 俺は肩を抱いた晶子を自分の正面近くに引き寄せる。俺と晶子は至近距離で向き合う。そしてどちらからでもなく自然に目を閉じて距離をさらに縮めて・・・

2001/1/27

ご来場者84000人突破です!(歓喜)

 ・・・26日付更新のときに自分で84005HITを踏みましたからね(^^;)。ひととおりカウンタを確認したら、やはり「雨上がりの午後」を置いているNovels Group 3の伸びが顕著ですね。来週更新しますのでお楽しみに。

[ああ、またか・・・]
 眠気がかなりあったので、暖房が行き届くまで待ってよっと、布団に潜ったら最後、目を覚ましたらテレホタイム開始をオーバーしてしまいました。こうなると当分繋ぎ難いですからね。特に金曜と土曜は。繋がるようになるまで連載の書き溜めとかしながら待ってました。
 明日の更新はどうしましょうかね・・・。定期更新の谷間の週ですが、多少は更新したいですね。・・・それより折角頂いた感想メールの返事書かないと(爆)。今週の生活は滅茶苦茶だったからなぁ・・・。
 それともまた御一泊か?・・・恐らく晶子は拒まないだろうが、キスされたという衝撃が未だ頭の中をぐるぐる回っている状態で、果たして平静で居られるだろうか?・・・ちょっと自信が無い。
 会話が出来なければ触れ合う時間を持てば良い。咄嗟にそう思った俺は、ゆっくりと左腕を上げて晶子の背後に回し、そして晶子の左肩を包むように優しく掴む。
 この時点で心臓は再び激しく脈打ち、喉も潤いを失っていく。キスは勿論、肩を抱いたりするのは別に初めてじゃないのに−肩を抱くことはあまりしなかったが−、緊張で身体が細かく震えるのを感じる。俺が緊張して如何するんだ?全く・・・。
 程なく、左肩に軽い重みを感じる。チラッと横を見ると目を閉じた晶子が俺の肩に凭れている。その表情は柔らかくて幸福感に満ち溢れているとでも言おうか・・・。安心して俺の肩に凭れているように見える。俺は信頼されてるんだと思うと、それだけで心にじんわりと暖かい何かが染み出してくるように感じる。
 晶子が身体を水平にずらしてさらに俺に近付いて来る。二人の距離が縮んだことで、よりしっかりと、そして優しく晶子の肩を抱ける。そしてちょっと汗の匂いが混じった、でも甘酸っぱさは輪郭を失っていないシャンプーの匂いが俺の鼻を擽る。それでさらに俺の中での幸福感が増す。

「・・・高価なプレゼントも豪華なディナーもない。生憎俺にはそんな甲斐性はないしな。けど、俺は晶子とこうして一緒に居られる時間が・・・凄く大切で幸せに思う。」
「私も・・・こうして祐司さんと一緒に居られれば、着飾った演出なんて要らない。こうして二人で同じ時間を共有できて・・・幸せです・・・。」
「・・・晶子。」

雨上がりの午後 第405回

written by Moonstone

 兎に角この沈黙を何とかしないと・・・。時計を見ると既に12時を回っている。家に帰れば間違いなく午前様だ。別にそれで怒る相手が俺の家に居るわけじゃないが。

2001/1/26

[気付いたら朝だった(汗)]
 暖房が行き届くまで、とベッドに潜り込んだのが最後。遅刻も遅刻、とうとう予定時間より7時間遅れの更新になってしまいました(汗)。途中で何度か目を覚ましたんですが、まだ眠い、とあっさり眠気に負けて、PCと暖房は勿論、ポットの電源もつけっ放しで、何時も起きる時間に近い時間まで眠りこけてました。
 昨日やたらと胸が痛んで、その薬を飲んだのが余計に眠気を誘発したかな・・・。今晩も同じことやってしまいそうで怖い(汗)。何せ「仕事に遅刻する」ということが頭からそっくり抜け落ちますからね。写真の整理も一向に終わらない(というか進んでない)ので、今日は気をつけよう、うん(-_-)。
「そりゃそうだけど・・・。」
「相手が私じゃ、不満でしたか?」
「それは・・・ない。絶対にない。」

 俺は首を強く横に振る。不満だなんてとんでもない。唇と唇が触れ合いそれが少し密着を増すあの感触は、他で味わえるようなもんじゃない。そして相手が他の誰でもない、晶子だからこそ・・・あの緊張感や興奮、そして幸福感が感じられるんだ。
 晶子もようやく足を崩す。やっぱり今まで緊張してたんだろうか?相手からされるのと自分からするのとでは、やっぱり緊張感が違うんだろうな。引き合いに出すのは晶子に悪いが、優子と付き合っていたとき、俺の方からキスするのと−ファーストキスはそうだった−優子の方からキスされるのとでは全然緊張感や後で湧き上がる感情が違った覚えがある。嬉しいとか幸せだな、とかいう感情は別にして。
 俺と優子はそのまま横を−テーブルの方になる−向いて押し黙る。何か話そうにも話題がさっきのいきなりキスのせいか思いつかない。キスは初めてでもないのにこれほどどぎまぎするなんて思わなかった。幾らいきなりでも少し驚くくらいかと思っていたが−何時かキスするのかと思ったことがある−、見事に予想は外れた。
 キスの感触を忘れていたからだろうか?まあ、それは多少あるだろう。優子と切れて2、3ヶ月しか経ってないし、最後のキスも覚えている。だが、感触までは殆ど思い出せない。キスの感触は意外に昇華しやすいらしい。

雨上がりの午後 第404回

written by Moonstone

「好きな相手にキスされたら・・・嬉しいのと照れくさいのどちらかだよ。・・・今回は何があるのかと思ったら、いきなりキスでびっくりしたってのはあるけど・・・。」
「キスさせて、って言ったらプレゼントの内容がばれちゃうじゃないですか。」

2001/1/25

[また寝ちゃった・・・(汗)]
 折角身体の調子が良くても眠気が強くてかなわないです。昨日も暖房が行き届くまで、と思ってベッドに潜ったのが最後、この時間まで寝ていて起きるのが辛かったです。でも眠気が強くないときは身体の具合が悪いから、まだ眠気が強い方がましかな・・・。具合が悪いとそれこそ起きるのも辛いですから。
 それは別として、とある新聞のWebサイトを見ていたら、私を10何年ぶりかにメジャーな方に目を向けさせた倉木麻衣の初の全国ツアーがあるということ。それもチケットは応募&抽選方式(売り出したら数分かからずに売切れでしょう)。自分の行動範囲内でもやってほしいなぁ。兎に角チケット入手のために応募期間が始まったら爽○美○飲みまくるか(笑)。あの歌声を生で聞きたい〜!(>_<)
 クッションの上にちょこんと正座して、やや前のめりに両手をついた格好の晶子は頬が薄紅色に染まっている。俺はただ呆然と後ろめりに倒れそうになる身体を両腕で支えて晶子を見詰める。

「・・・い、いのう・・・え・・・。」
「晶子、でしょ?二人だけのときは・・・。」
「あ、ああ・・・。そうだったよな・・・。」

 俺と晶子はゆっくりと姿勢を正して−何故か両方共正座だ−見詰め合う。ただ見詰めあうだけの時間が粘性たっぷりに流れ行く。どうやって、どんな話を切り出そうかとあれこれ考えてはみるものの、晶子にキスされたという事実がずんと圧し掛かって纏まる気配がない。

「・・・さっきのが二つ目のプレゼントです。」
「・・・な、何で・・・。」
「私に音楽の楽しさを教えてくれたお礼と・・・付き合うようになった思い出を作りたかったから・・・。」
「・・・そ、そう・・・。」
「ちょっと・・・物足りなかったですか?」
「・・・そんな筈・・・あるわけないだろ?」

 緊張と興奮が鎮まってきた俺はようやく足を崩す。指先で唇に触れてあの柔らかい感触の残像を反芻すると、何度でも鮮明なものとなって脳裏に蘇ってくる。

雨上がりの午後 第403回

written by Moonstone

 ・・・どれだけ長い時間が流れたか分からないが、唇に感じる感触が静かに遠のいていく。胸にあった両手の感触も消える。晶子の気配が遠のいたことを確認してゆっくりと閉じていた目を開ける。

2001/1/24

ご来場者83000人突破です!(歓喜)

 ・・・「魂の降る里」の更新が効いたかな。でも、「雨上がりの午後」も結構固定層を持っているようですね。Novels Group 2を追い越しましたし・・・。他のグループが濃いからこういう「普通さ」が新鮮に見えるんでしょうか?

[とうとう書いてしまった・・・]
 横になるとまた昨日みたいになってしまう可能性が高いので、時折欠伸しながらお話してます(でも途中でちょっとダウン)。身体の調子は良い方ですが、強い胸の痛みが頻発するのがちと辛いです。仕事難しかったからなぁ・・・。
 それはさておき、今日の連載でとうとう書いてしまいました。キスシーンを。手を繋いだりするのはまあ何度かありますが、キスシーンは今まで何回書いたかという程記憶が無くて(汗)、それも今回みたいに一人称で書くと自分のことみたいで尚照れます(大汗)。これからまたキスシーンがあったら大変そう・・・(^^;)。
「喜んで貰えて良かった・・・。でも、まだもう一つありますよ。」

 そう言うと、晶子の表情が急に真剣なものになる。俺は身に覚えがないし、一体どうしたっていうんだ?

「一先ず・・・床に座って私の方を向いてもらえませんか?」
「床に・・・?ああ、分かった。」

 何をするか分からないから、俺は大人しく晶子の言うとおりにするしかない。まさか平手打ちなんてことはないと思うが・・・。

「じゃあ、目をぎゅっと閉じてください。絶対開いちゃ駄目ですよ。」
「わ、分かった・・・。」

 晶子の迫力に気圧されて、俺はぐっと両目を閉じる。何が起こるんだろうという不安とその裏返しの期待がどんどん強くなる。目を開けて確認したいのは山々だが、絶対開いちゃ駄目と言われているから、そうするしかない。
 そう思っていたら、何か柔らかいものが唇に触れたのを感じる。これは・・・もしかして・・・否、もしかしなくてもキスじゃないか?!俺は目を開けそうになるが、再び目をぎゅっと閉じる。急に膨らんできた緊張感と興奮を押さえるためだ。
 柔らかくて温かい感触が少し圧力を増す。そして俺の胸に晶子の両手が触れるのを感じる。晶子が顔だけじゃなく、身体まで距離を縮めたということだ。溢れて激しく渦を巻く緊張感と興奮で、俺は両手を床について身体を支えるのが精一杯だ。

雨上がりの午後 第402回

written by Moonstone

「練習の合間に少しずつ編んでいたんです。祐司さん、マフラー持ってないみたいですから、丁度良いかなって・・・。」
「ありがとう。最近首元が寒くてな。大事に使わせてもらうよ。」

2001/1/23

[大遅刻です(汗)]
 寒いし(寒いのは嫌っ!)今日はこのコーナーの更新だけだから、ちょっと休むか、と思ってベッドに潜ったのが運の尽き。目が覚めたら時計の短針が半周していました(汗)。
 身体の具合は割と良かったんですが、兎に角朝から眠い日でした。こういうときに限って常用の眼鏡を忘れたり(慌ててると結構忘れる)、細かい作業があったりで目の焦点が合わせ辛いこと(- -;)。その作業を進めるには試行錯誤が必要で、それで余計に疲れたのかなぁ。やっぱり体力が相当落ちてます。
 今日の更新(これです)を終えたらまた改めて寝ますが、中途半端な時間なので薬は飲まない方が良さそう。只でさえ寝起きが良くないのにその上薬で作られた眠気が重なると、もう起きるのが億劫になって仕事休みます、になりそうで怖い(汗)。
 「冬の布団の中」は人を眠りに陥れる確実な罠ですね。寒さに弱い私には尚更有効な罠ですよ。せめて目覚ましくらいはかけておくんだったな・・・。背面のスイッチを操作するまでしつこく鳴り続ける恐怖の目覚ましを(笑)。

聖夜の中、愛を告げ、その気持ちを抱き締めあう
僕の言葉に君は微笑み、そして同じ言葉を返す
なかなか言えなかった一言が、今は大切な愛の鍵
今が思い出の雪となって、積み重なっていく
舞い散る雪より早く。通り行く人より多く。

 4小節のエンディングを終えると、一人分だけだが熱い拍手が送られる。晶子が身体も俺の方に向けて、何度も何度も痛くないのかと思うほど手を叩いている。満面の笑みがプレゼントされた歓びの大きさを物語っている。

「・・・気に入ってもらえたかな。全部空気に消えてしまったプレゼントだけど。」
「勿論ですよ。こんなプレゼントが貰えるなんて、私、何て言って良いか・・・。」

 晶子は涙ぐんでさえいる。これだけ喜んでもらえたなら、睡眠時間を削りに削って考えに考えただけの甲斐はあるというものだ。俺はストラップから身体を通してギターをベッドの脇に立てかける。晶子は手を叩くのを止めると、すっと立ち上がって戸棚の方へ向かう。そして戸棚を開けて何か包みを取り出して戻ってくる。

「私からは・・・2つあるんです。」
「2つ?」
「ええ。一つ目はこれです。どうぞ。」

 晶子からシンプルな、しかしセンスのある包みを渡され、俺は丁寧に包みの封を外して中身を見る。・・・マフラーだ。丁寧に畳んであるマフラーは触感がとても柔らかい。柔軟剤の柔らかさとは気分的に全然違う。

雨上がりの午後 第401回

written by Moonstone

人は僕達を笑うかもしれない。何を今更と
だけど、愛を確かめ合う時のリピートは必要なんだ
僕達の愛の日記を続けていくために

2001/1/22

[申し訳ありませんでした]
 21日は定期更新予定日でありながら、自分の心身の不調と作品制作の遅れでいきなり延期してしまいました。管理人とはいえご来場の皆様に肩透かしを食らわせたようで・・・。今後は出来るだけ余裕を持って更新できるようにしたいと思います。
 実は21日も心身の状況はかなり悪くて、起きたのは昼過ぎ、それも20日とと同じく電話のコール音で起きた身です。それから軽く食事を食べたり20日までの進み具合を確認したりしてから、更新準備開始。途中で夕食を挟みながらの準備でしたが、どうにか間に合いました。
 更新の数は今回も少ないですが(写真の整理が全く手付かずですので・・・)、各グループをご堪能下さい。できれば一言でも感想を下さると嬉しいです。
 ・・・そう言えば今日でこのコーナーも400回。別にそれに合わせるために定期更新を延期したのではないですが、また一つ山を越えたという気分です。
 晶子に言われて突然思い出す。俺が店からギターを借りてきたのは、晶子に2年間封印してきたオリジナル曲を聞かせるためだったんだ。今まで二人だけのパーティーに夢中ですっかり忘れていた。
 勿論アレンジは出来た。だが、元々俺が高校時代にやってたバンド用に作った曲だから、弾き語りにするのはかなり違和感があった。正直なところ、晶子に満足してもらえるかどうか分からない。

「ちょっと出来に不安はあるが・・・聞いてくれるか?」
「私が聞きたいって無理言ったんですから、勿論聞きますよ。」
「それじゃ・・・ちょっと待っててくれ。」

 俺は立ち上がって壁に立てかけておいたギターを手に取って、ストラップに体を通しながらベッドの上に腰掛ける。念のためというかおまじない的にチューニングを済ませてから、俺の方をじっと見詰める晶子に曲を紹介する。

「曲の名は『聖夜に愛育む』・・・。」

 自分で言って何だが身体がむず痒くなるタイトルを言って、ギターの弦を爪弾き始める。8小節のイントロを終えると、俺は歌詞をメロディに乗せて歌にする。

息も凍る寒さの中で、君は佇んでいた。僕よりも早く
身を縮め、両手に白い息を吹きかけていた君の手を取る
待ちきれなかったんだろうか、僕が来るのを
待ちきれなかったんだろうか、愛を抱く時を

雨上がりの午後 第400回

written by Moonstone

「・・・祐司さん。」
「・・・何?」
「あの曲、聞かせてくれませんか?祐司さんが以前作ったっていう曲を・・・。」

2001/1/21

[起きたら一面雪景色]
 蓄積していた疲労のためか、目覚ましをかけずに寝たら半日寝てました。電話のコール音が無かったら、何時まで寝てたことか(汗)。暖房をかけている割には随分底冷えするので外を見たら・・・真っ白(大汗)。前日疲れた身体に鞭打って洗濯して干した洗濯物が一部雪を被ってました。
 それらを慌てて中に取り込むと、また気が重くなってきて、ベッドの中に潜り込みました。結局更新準備を始めたのが20:30くらい。これから書きかけの作品を仕上げて更新作業を行うのは現在の心身の状態では無理と判断して、トップページにあるとおり定期更新を明日に延期させていただきます。
 明日は必ず更新します、と言い切りたいのですが、以前の状態にぶり返したような重症なので出来るかどうか不安です・・・。
 ぼそっと呟くように出た言葉を、晶子は聞き逃さない。なかなかの地獄耳だ。一緒に年越し、そして初詣、というスケジュールが晶子の中で既に出来上がっているようだ。以前なら俺はそんなこと夢にも思わなかっただろう。仮に夢でそうなったら悪夢扱いしていたに違いない。
 だが、今は正反対だ。このパーティーと同じように、二人で一つの時間を共有する機会を多く持ちたいと思う。そういう機会がなかなか持てなくなったことが、優子との関係が切れる原因の一つになったんだ。だったら尚更のこと、二人の時間を多く持ちたい。そしてそれを大切にしたい・・・。今は過去の傷を忌み嫌うだけじゃなく、教訓にすべき時なんじゃないか?

「そうだな・・・。そうするか。」
「本当?」
「・・・ああ。」

 ただでさえ至近距離なのに、さらに距離を詰めて晶子が俺の顔を覗き込む。それこそ視界いっぱいに、ほんの少し顔を近づければ鼻先が、少し顔を傾ければ唇が触れ合う距離で・・・。俺は胸の激しい鼓動を感じながら、短く答えるしかない。
 晶子は安堵の表情と共に微笑を浮かべる。俺が帰省せずに此処に残ることが本当に嬉しいと言っているような表情だ。こんな表情を間近で見せられたら、俺はもう身動きが取れない。ただ荒くなりそうな呼吸をどうにか押さえて、晶子をじっと見詰めるしかない・・・。

雨上がりの午後 第399回

written by Moonstone

「俺も帰らないでこっちに居るかな・・・。」
「そうしましょうよ。そうすれば一緒に年も越せますし、初詣だって一緒に行けますし・・・ね?」

20001/1/20

[もう疲れた・・・]
 それだけです。・・・以上。
「それで?」
「今年は帰るつもりはないって答えました。今のバイトを始めたことは前に言ってあるし、私の実家はちょっと遠いんで、帰っても直ぐこっちに戻ってくるような感じになりますから。」
「そうか・・・。確かにバイトの休みは1週間だし、往復だけで大体2日は潰れるから、休みが勿体無いような気がするな・・・。」

 そう言えば、俺もコンサートの準備一色だった12月の半ばくらいに実家から電話があったな。その際帰ってくるのか、と聞かれたが、そのときは今バイトが忙しいから後で返事するって言った覚えがある。だったら尚更早くどうするか決めないと・・・。
 帰らなくても別に支障はない。仕送りにバイトで得た金を合わせれば充分年も越せるし、今の家で一人ゴロゴロしてるのも悪くない。勿体無い過ごし方かもしれないが、大学とバイトに明け暮れた1年の最後と次の1年の始まりくらい、のんびり過ごしても罰は当たらないだろう。

雨上がりの午後 第398回

written by Moonstone

「コンサートのことばっかりですっかり忘れてたな。んー、帰ろうと思えば帰れない距離じゃないけど、親戚回りだの何だのでゆっくりできそうにないし・・・。今迷ってる段階。」
「私は一昨日実家から電話があって、年末年始帰ってくるのかって聞かれたんですよ。」

2001/1/19

[まあ、一応・・・]
 仕様に関する問題は、実際の使用を考えれば問題ないという結論に落ち着きました。それはそれで良いんですが、ひたすら打開策を思案した約15時間は一体何だったのか、と思うと自分が情けなく思えてなりません。
 兎に角体調が悪い日でした。思案に次ぐ思案で頭が重くなるし、胸は激しく痛むし、おまけに吐き気もする始末。気分はもう最悪に近い状態です。今日から乱れに乱れたスケジュールに少しでも軌道修正できるようにしなければなりません。今週は定期更新も控えてるのに、きちんとできるのか不安いっぱいです。暫く休業した方が良いのかな・・・。
「ああ。智一とのことにしても晶子とのことにしても、結局俺があれこれ考え込んで何も行動を起こさなかったことで、傷つけたんだと思うとな・・・。それだけが引っ掛かるんだ。」
「それは仕方ないですよ。祐司さんには祐司さんの事情があったわけですし、それで悩んだり苦しんだりするのを咎める権利は誰にもないです。」
「・・・そう言ってもらうと救われる。」
「何事も真面目に取り組むところが祐司さんの魅力なんですよ。でも行き過ぎると祐司さん自身が大変ですから、程々にして下さいね。」
「ああ。」

 晶子の心遣いがじんと心に染みる。冷え切った両手で温かいものを包み込んだときのような・・・。俺にしつこく付きまとうだけの存在だった晶子が、今や自分を労わってくれるようになるなんて、あの時想像しただろうか?ほんの一歩踏み出すだけでその後が大きく変わっていくものなんだと実感する。
 ケーキも食べ終わり、かなり冷めた残りの紅茶を飲みながら、俺と晶子は会話を進める。コンサートの話題もそろそろ尽きてきたかな、と思ったところで晶子が言う。

「ところで祐司さん。」
「ん?何?」
「年末年始、如何するか決めました?」

雨上がりの午後 第397回

written by Moonstone

「いや・・・ちょっと智一のことを考えててさ。」
「伊東さんのこと?」

2001/1/18

ご来場者82000人突破です!(歓喜)

 ・・・先週の日曜日にグループの更新がなかった割には、ちょっと早いような気がします。来週の日曜日には可能な限り更新するつもりです。

[思案に明け暮れた日]
 相変わらず仕様を満たさない物体を相手に闇雲にカットアンドトライしても無駄なので、基礎理論を読み返したり理論値の計算とシミュレーション、そしてひたすら打開策を考える一日でした。恐らくこれではないか、という案には行き着きましたが、それ自身実行が大変な上に、失敗した場合はまた大変な作業が待っているので実行には至らず終い。
 一日考え事、それも原因不明の状況について考え続けて、精神的に相当参ってしまいました。胸の痛みの酷くなってくるし、他の仕事の進行を考えると・・・今こうしてお話している間でも自然に項垂れてしまいます。常に頭から仕事のことが離れないんですよね・・・。如何したら良いのやら・・・。
 カツン、という軽く小さな音がして、俺と晶子のティーカップが触れ合う。そして湯気と共に仄かな芳香を漂わせる紅茶を一口喉に通す。温かいものが喉を通って腹に入り、じんわりと体全体に広がる。本当にコンサートは終わったんだという意識が胸全体に拡散していく。
 それから後はケーキと紅茶をそれぞれ交互に食べたり飲んだりする。これは流石に同じ動きというわけにはいかない。ゆったりした気分でささやかなパーティーの時間が流れていく。
 勿論食べたり飲んだりしているだけじゃない。腕と腕が触れ合う距離で俺と晶子は色々なことを話す。専ら話題はほんの1時間ほど前に終わったコンサートについてのことだが、共通の話題があることで−寝食まで共にしたくらいだ−会話も弾む。普段の俺は他の奴等との共通の話題について殆ど知識がないから滅多に話の輪に入ることはない。だから何故か気の合う智一以外とは疎遠になってしまうんだが。
 智一といえば・・・折角伝を当たって晶子の住所と電話番号を調べたのに、俺が「先取り」する形になって苦労が水の泡になったんだったな。まあ、智一は智一なりにイブの夜を過ごしただろう。別の女を誘うって言ってたしな。
 だが、まるっきりショックがないというわけではないだろう。念願だった晶子の住所と電話番号を手に入れて舞い上がっていたところに俺の交際宣言だ。ショックを受けないほうがむしろおかしい。もっと早く決断していたら、もっと早く過去の影を払拭していたら、智一をあんな目に遭わせることはなかっただろう。それだけが悔やまれる。

「どうしたんですか?」

 晶子の声が耳元で聞こえて、俺ははっと我に帰る。しまった。また考え事に熱中するあまり動きが止まってしまっていたか。

雨上がりの午後 第396回

written by Moonstone

「それじゃ・・・コンサートの成功を祝して。」
「「乾杯。」」

2001/1/17

[もはや万策尽きた・・・?]
 「?」は要らないかもしれません。部品を交換したり、負荷を実際使用するものに変えたりと色々試したんですが・・・仕様を満たすには至らず終い。別の仕事は同時進行で進め、また別の仕事も控えているというのに・・・。予定なんて「何それ?」という状態です。
 初めての手の肌荒れが酷くなってきて、場所によっては擦るだけで痛いです。ストレスでビタミンCを過剰に消費して肌荒れになるそうですが、今も時折ある胸の痛みに加えて肌荒れとは、自分の身体が内からも外からも崩壊していっているような気がします。もういっそ崩壊してくれた方が楽なんじゃないか・・・?
「ケーキ買って食うなんて、自分の今の家じゃ考えられないことだからな。男一人でケーキ屋に入るのって、ちょっと抵抗あるし・・・。」
「女の人が圧倒的に多いですからね。無理ないですよ。」

 俺と晶子はクッションを並べて座る。少々手狭に感じるが、腕と腕が密着することが俺の中での晶子の存在感を増幅させる。クリスマスの夜に二人きりという事実がそれに拍車をかける。・・・緊張するなぁ、やっぱり。

「じゃあ、いただきましょうか。」
「・・・ああ。」

 俺と晶子は共にケーキの乗った皿にあるフォークではなく、ティーカップに手を伸ばす。そして互いに向き合う。事前に打ち合わせをしたわけでは勿論ない。俺も晶子も自然にティーカップを持って向き合った。

「やっぱり最初は乾杯かな、って・・・。」
「同じこと・・・考えてたんだな。」

 ケーキと紅茶で乾杯するというのは物珍しいことだとは思うが、店で4人揃ってシャンパンのグラスを合わせたときより大きくなった安心感と充実感が、改めて通過儀礼をすることを選択させたんだろうか。

雨上がりの午後 第395回

written by Moonstone

「自分の好みでチーズケーキとモンブランにしたんですけど、これで良かったですか?」
「良いさ、勿論。わざわざ買っておいてくれたものだし、それに・・・。」
「それに?」

2001/1/16

[義務か、それとも趣味か]
 それが問題だ、とは言いませんが(爆)、こうしてページの運営に加えて作品制作をしていると、時々自分はどちらなのか考えてしまうことがあります。
 元々は自分の作った作品(当初は文芸と音楽)を不特定多数の人に見聞きしてもらおうと思い、締め切りなど特に考えずに始めたことですが、更新間隔が一月以上開くと焦ってしまい、特に定期更新前は時間との勝負を直前になって繰り広げているのが現状です。定期更新はご来場者が何時になったら更新するんだ、とやきもきしないように一つの目安として設定したものですが(その日に来れば必ず何か更新されている、と分かりますからね)、それが翻って自分の首を締めている状況にあります。
 仕事が多忙になった上に昨年から心身の調子を崩して、毎日作りこむということがほぼ不可能な状況で、このコーナーだけは極端な言い方をすれば生きている限り必ず更新する、と躍起になっています。何もそこまで、と思われるかもしれませんが、何時更新したか分からないようなページが多くのアクセス数を稼ぎ、勝手に掲示板が賑わい、酷い場合は感想送っても一言も返事を返さない無礼なページが現にあるので(でもアクセス数は多い)、せめて更新頻度だけはそんなページに負けたくない、という対抗意識があるんだと思います。
 晶子が鍵を開けて先に中に入る。俺も続いて中に入ってドアと鍵を閉める。もう何度も繰り返したせいか、条件反射的にそうしてしまう。それだけ晶子の家に出入りするようになっているということか・・・。
 まったく、ほんの2、3ヶ月前まであれだけ晶子を毛嫌いしていたことが不思議に思えてならない。晶子が初舞台を踏んだ日の帰りに紅茶を飲みに立ち寄って以来、何度となく通う間にこの部屋が自分の家のような錯覚すら感じるようになってしまっている。この前も自分の部屋みたいに横になって、そのまま御一泊となったしな・・・。
 晶子はさっさとコートを脱いで椅子にかけ、紅茶を沸かす準備を始める。暖房のスイッチは入れてあるらしく温風の流れを感じるが、まだコートが脱げるような状態じゃない。

「先にリビングに行ってて下さい。直ぐ用意しますから。」
「ああ、分かった。」

 俺はコートを着込んだまま、リビングに通じるドアを開けて中に入る。部屋は相変わらず綺麗に整理整頓が行き届いている。俺の家はというと・・・今は想像しないでおこう。あまりの落差に余計に帰りたくなくなってしまいそうだ。
 暖房もそろそろ効いてきたから、俺はコートを脱いで晶子のベッドの上に置いておく。そしてクッションの上にどかっと腰を下ろして晶子が来るのを待つ。こうしてぼうっとしていると、本当に自分の家でくつろいでいるような気がする。部屋の風景ももう見慣れてしまってるしな・・・。
 少ししてドアを軽くノックする音が聞こえる。両手が塞がってるんだろうな、と思って立ち上がり、ドアを開けると、もはや目に馴染んだ感すらあるティーカップにティーポット、そしてモンブランとチーズケーキが1つずつ乗った皿を2皿トレイに乗せた晶子が立っていた。
 ありがとう、と言って晶子がティーカップをテーブルの一辺に並べて、併せてケーキが2つ乗った皿を並べる。普段並べるときはテーブルの1辺に一人分なのに・・・。晶子の可愛い魂胆が見えて思わず笑みがこぼれる。以前だったら何の真似だ、とか食ってかかってただろうな。

雨上がりの午後 第394回

written by Moonstone

 相変わらず頑強なセキュリティを通って、俺は晶子と一緒にパーティー会場である晶子の家に向かう。この時間だと廊下を歩いてる人なんて見かけないし、足音も妙に良く響く。近所迷惑なんじゃないか、とさえ思う。

2001/1/15

[ラジオのリクエスト]
 私は家に居るときは大抵ラジオをつけています。テレビだとついそっちの方に目が行って(音だけだと何が何だか分からない)作品制作や更新準備の手が止まってしまいますからね。で、番組にはリクエスト募集というものがかなり多くて、「○○の××さんからのリクエストで・・・」という喋りが何度となく流れます。
 でも、リクエストされる曲は今流行りのものか(Jポップとかいうやつね)、番組のDJの曲だったりして(これって宣伝と違う?)、私が聞くようなジャズやフュージョン系の曲はラジオを聞くようになって以来一度も流れてきたことがありません。
 一度その手の曲をリクエストしたら、DJはどういう反応を示すでしょうね。戸惑うか、それとも選考段階で無視されるか・・・。多分後者かなと思います。リスナーの圧倒的多数はJポップとかメジャーな曲しか聞かないでしょうし、そんな中でジャズやフュージョン系の曲が流れてきたら、違和感を感じるでしょう。やっぱり少数派はその域を出られないのかな・・・。
 何で一緒に年越しになるんですか、と言いそうになったが、疲れで苦笑いしか出来なかった。もっとも晶子の前で言うには少し憚られる台詞だから言えなくて良かったかもしれない。まあ、そんなに照れるな、と軽くあしらわれるだけだったかもしれないが。
 メリークリスマス、というこの日らしい挨拶の後、店を出て今こうして晶子と並んで、否、寄り添って歩くこと暫し、それでようやく本当に終わったんだなぁ、という実感が内側から湧きあがって来るのを感じる。今は疲労と満足感や充実感、そして安堵の生み出した心の酒にほろ酔いしているとでも言おうか。
 これから行くのは晶子の家だ。前々から言っていたとおり、晶子お手製のささやかなクリスマスパーティーにお邪魔するためだ。今更帰るなんて言わせませんからね、といわんばかりに、晶子は俺の腕にしっかりと自分の腕を回している。以前なら罠に引っ掛かりに行くようなものだ、と頑強に拒否して腕を振り払っただろうが、今はそんなこと微塵も思わない。

「ケーキの好き嫌いって、何かあります?」
「いや、妙な味がしないやつなら何でも食べる。」
「それはないと思いますけど・・・。予め好きなケーキとか聞いておいた方が良かったですね。」
「それだと楽しみがなくなっちまうよ。」

 俺なら兎も角晶子が選ぶケーキだから、得体の知れないものじゃないだろう。・・・別に俺が意外性を求めて未知の物体のようなケーキを探して店を回るというわけではないが。
 そんなやり取りを交わしていると、目の前に晶子の住むマンションが現れる。だが、自分の中ではそんなに歩いたという実感がない。店から直ぐのところにこのマンションがあるような気さえする。会話に夢中になってて距離の感覚がなくなっていたということか?

雨上がりの午後 第393回

written by Moonstone

 店の方は明日は休み−月曜日だから−。27日は通常どおりの営業で28日は店を閉めて大掃除をするということだ。29日から1月4日までは年末年始のお休み。帰省するなり一緒に年を越すなり好きにしてくれ、とマスターはにやっと笑いながら言った。

2001/1/14

[如何すりゃ良いってんだ・・・]
 昨日の更新が大幅に遅れたのは(A.M.4:30くらい)、帰宅してから少し餅や菓子を食べて寝てしまったからです。ま、それは別として・・・起きていると金曜日の突然のトラブルを思い出してあれこれ打開策や原因を考えてしまって、起きている時間が苦痛でなりません。普段なら気にならないラジオの賑やかな会話さえ耳障りに感じます。
 起きていればそのことを考えてしまうので、気分転換も何もありません。今こうしてお話している間でも考え込んでしまって、キーを打つ手が何度も止まります。
 新人とはいえないキャリアを積んで来て、何度も作った実績があるものなので、余計に自分が情けなく思えてなりません。おまけに身体の具合もかなり悪い・・・。このまま苦しんで死ねって言いたいんですかね。神や仏とやらは・・・。
 深まった闇の中で聞こえる音は、俺と晶子の会話と足音くらいのものだ。その静けさが身体の彼方此方に染み込んだ疲れと相俟って、クリスマスコンサートが終わったという印象を実感させる。
 2日目は開演前から修羅場だった。前日会場に居た人から口コミで聞いて初めて来たらしい客や、前日も見覚えのある客までぞろぞろと押し寄せ、会場は1日目にも増して鮨詰め状態になった。止むを得ず、テーブル席の空白部分まで立ち見客を押し込んでようやく全員収容、となった。
 対してステージに立つ側である4人はといえば1日目の疲労が抜けきれてなくて、かと言って手を抜くわけにはいかないから1日目同様、否、それ以上のパワーを振り絞って演奏に歌にステージを動き回った。1日目は専ら座って演奏していた俺も、『Jungle Dancer』とかでは立ち上がって演奏したくらいだ。
 2日目も無事終了した後は、疲れの溜まった体に鞭打って後片付け。テーブルや椅子をかなり動かしたから、それを元の位置に戻すだけでも一苦労だった。勿論、飾り付けの取り外しも忘れるわけにはいかない。この店ではもうクリスマスは終わったんだから。
 まず一度目にコンサートが終わった、と実感したのは、「仕事の後の一杯」でシャンパンのグラスを4人全員で合わせたときだった。マスターが音頭をとった後「かんぱーい!」と言いながらグラスを合わせたとき、思わず深い溜息が出てしまった。達成感や充実感に加えて、この2日間を無事に乗り切った安堵の念も多分に含まれていたと思う。

雨上がりの午後 第392回

written by Moonstone

「ようやく終わったって気分がしてきたな。」
「私もです。1日目はまだ明日があるっていう緊張感がありましたしね。」

2001/1/13

[何もする気なし・・・]
 動いていたものは動かなくなり、その原因追求で他の進行予定が大幅に乱れて、散々どころの話じゃありません。ショックが大きすぎて夕食を食べる気もなし。
 目張り用に使っていた果物ナイフを見ていた時、その刃をじっと見詰めているうちに、刃先を自分の方に向けていました。・・・絶対神や仏なんて居ません。もし居たとしたら、そいつらは人を苛めるのが大好きな極悪人です。

「今宵繰り広げられた音の饗宴に長らくお付き合いくださいまして、本当にありがとうございます。これからもDandelion Hillをよろしくお願いいたします。」

 マスターの言葉に客は拍手と歓声で応える。潤子さんと晶子への声援がそれに何度も混じってくる。生憎俺への声援は殆どないが、一人のギタリストとして最高のコンサートのステージに立てたことだけで充分だ。

「それでは皆様、ご唱和をお願いします。メリークリスマス!!」
「「「メリークリスマス!!」」」

 客の声が一つの塊となる。それが弾けた後には惜しまない拍手と歓声が会場いっぱいに広がり、ステージに居る俺や晶子、マスターと潤子さんに暖かい賞讃の雨となって降り注ぐ。それがとても心地良い。
 カッコつけ、と時に陰口を叩かれながらもギターをやっていて良かった。自分の嗜好と洒落た建物のアンバランスに負けず、この店のドアを叩いて良かった。そして・・・このステージに立てて良かった。

それに今、最高のパートナーが俺の隣に居る・・・。

雨上がりの午後 第391回

written by Moonstone

 潤子さんも会場の雰囲気の収束を感じてか、ピアノの方からステージ前に出てくる。4人勢揃いしたことで、マスターが一列に並ぶように合図する。ステージに向かって左から潤子さん、俺、晶子、そしてマスターの順に並ぶ。店の「顔」の二人に挟まれて、男性客の視線がちょっと痛い。

2001/1/12

ご来場者81000人突破です!(歓喜)

 ・・・早い(汗)。ご来場者数が増えやすいSide Story Group 1を更新した影響もあると思いますが、それにしても・・・やっぱり早い。何故?

[孤独な世界に一人佇む]
 前々から感じていたことなんですけど、最近頓に孤独を感じます。ネットは新時代のコミュニケーション、なんて謳い文句もありますが、私はこうして地道にページの管理、運営をしてその後少々他のページを巡回して、たまに寄せられる感想や書き込みのレスをしておしまい・・・。コミュニケーションが別世界の話のように思えてなりません。
 仕事も殆どは単独作業ですし、家も自分一人。集団行動が嫌いで自分で選んだ道には違いないのですが、2、3人、否、一人で良いから自分の話を聞いてくれる人が居てくれたら・・・と思うときが多いです。特に自宅で。
 知っているチャットに踏み込もうにも話題についていけそうもなかったり、自分以外誰も居なかったりして益々孤独を感じます。お前は自分のページの運営を一人でやってろ、と言われてるみたいで・・・寂しいです。
リズムが乱れては話にならないが、このステージに立つ4人が互いの存在を確認しあって曲を進めるんだ。これこそコンサートの醍醐味。俺がかつてバンドで演奏するのが楽しいと思わせるようになったものだ。
 曲がエンディングを迎える。パラパラと拍手が起こるとそれが直ぐにいっぱいの拍手と大歓声になって会場を包み込む。大盛況だ。鳴り止む気配のない拍手と歓声の中、頬を紅潮させて満足げな笑顔を浮かべる晶子がマイクに向かって言う。

「皆さん、本当にありがとうございました。」

 晶子の一言で会場のボルテージが沸騰寸前に達する。俺は急いでストラップから身体を抜いて立ち上がる。客が今にもステージに殺到しそうな勢いだから、そうなったときは晶子をガードしなきゃいけない。

「あー、皆様、落ち着いてください。冷静に、冷静に。ステージには絶対上らないで下さい。」

 マスターが別のマイクを持って前面に出る。潤子さんが使っていたものだろう。ボルテージは相変わらず高いが、幾分収まったように感じる。マスターの面構えに圧倒されたか?

「皆様、お楽しみ頂けたようで何よりです。今年は新しく二人が加わったことで例年に無く賑やかでバリエーションに富んだコンサートとなりました。ギターの安藤君、そしてヴォーカルの井上さんにどうぞ拍手をお願い致します。」

 一旦収束に向かった拍手が再び大きくなる。俺と晶子は戸惑いながら顔を見合わせ、客席に向き直って一礼する。これは曲を演奏する側として当然の礼儀だろう。しかし、これだけの人から拍手や歓声を受けるのは高校時代のバンドのコンサート以来だな。体育館に比べれば狭い会場に客が犇めき合う様子は、もうライブ会場といったほうが良いかもしれない。

雨上がりの午後 第390回

written by Moonstone

 曲もいよいよ終盤。ヴォーカルとサックスが絡みながら会場に広がる。それを支えるように俺と潤子さんがバッキングを加える。シーケンサはあくまで人の手が足りない部分の補助だ。

2001/1/11

[はう〜、どうしたものか・・・]
 昨日より忙しくて気がついたら終業時間間際。しかし予定には間に合わず、ほぼ完了した頃には昨日よりさらに1時間ほどタイムオーバー。細かい作業の繰り返しで肩は凝るし腰は痛いし、ダウン寸前で帰宅しました。
 それに加えて家事とこのページの更新があるのはお約束(と言うのか?)。肩凝りには湿布を張ったんですが、殆ど効果なし。更新までの時間がさらに1時間縮まったので、昨日のうちに多少無理してある程度準備しておいて良かったですよ。白紙の状態からだったらどうなっていたことか(汗)。

 正直言って迷ってます。暫くシャットダウンするかどうかを。体力的にはもう限界の上、別の仕事も入ってきたし・・・。何かまた悪い方向に向かい始めたようですから、仕事以外の負担を減らしたいです。本当に。
 でも、幾らページは管理人の都合でどうにでも出来るとはいえ、シャットダウンするのは仕事のせいにして逃げるみたいで納得し難い・・・。メイドさんを雇って家事を任せられれば良いんですが、所詮理想の域を出ませんな(爆)。
 さあ、次はいよいよ最後の曲、『COME AND GO WITH ME』だ。4人それぞれがそれぞれの「指定席」について準備を整える。マスターはマイクスタンドを一つ片付けて自分が担当するアルトサックスを準備する。コンサートの進行に加えてマイクスタンドの出し入れや自分の楽器の準備と、マスターが一番動き回っていると思う。
 1分か2分くらいでマスターがサックスを構える。晶子は歌うときそのままの姿勢で正面を向いている。潤子さんを見ると、準備OKという合図か小さく首を縦に振る。俺も準備完了。となれば、フットスイッチを押すだけだ。

 ラジオ音のSEが混じるイントロが終わると直ぐに晶子の出番だ。最初の部分はリズム楽器が無いからリズムを自分で取るしかない。晶子は身体でリズムを取りながら声量を控えめにして歌う。囁くような歌声は原曲を髣髴とさせる。
 最初のヴォーカル部分が終わると次はマスターのサックスだ。ブロウの効いた音色が歌っているように聞こえる。演奏時間は短いが、長く続く次のヴォーカルに繋げる重要な部分だ。マスターの演奏から手を抜いている感じは全く無い。
 再び晶子のヴォーカルが前に出る。今度はイントロのときと違って明瞭な、それでいて透き通った声で歌う。ゆったりとハネるリズムと客席からの手拍子に乗って晶子は会場に歌声を広げる。いい雰囲気だ。ハイテンションでもなく厳かでもない適度なリズムは最後を飾るに相応しい。マスターと潤子さんも結構考えてプログラムを組んだものだ。
 晶子のヴォーカルが終わると次は再びマスターのサックスに替わる。今度はリズム楽器が無い状態でのソロだ。かなりの難所だが、ここでリズムを崩すようなマスターじゃない。抑揚を聞かせて大胆に吹き鳴らす。
 途中からリズム楽器と俺のギターが加わる。ギターの音がサックスとほぼ並んで前面に出るのはこの部分だけだ。自分の中でリズムをしっかり刻みながらマスターのサックスとの共演を楽しむ。サックスは少々大変なフレーズだがそこはマスター。難なく吹きこなしてみせる。

雨上がりの午後 第389回

written by Moonstone

 マスターの提案に、客席は拍手や歓声や指笛で応える。この分だとこれから日曜日は潤子さんの『ENERGY FLOW』に加えて二人の『Secret of my heart』狙いの客でごった返しそうな気がする。

2001/1/10

[あかん、疲れたぁ・・・]
 9日はほぼ丸1日立ち仕事でしたからねぇ。続けているにしたがって腕や肩が痛くなってくるし、休憩もなかなか入れられないし、さらに喉が痛くなってきて風邪の前兆か、と焦りました。一度肺炎になった私は風邪には要注意なんです(また肺炎になりやすいらしい)。
 他にも雑用が色々あるし、ようやく終わった後で今度は足腰に重い疲れが来てもう散々。帰路で歩くのも足が重いこと(汗)。ほぼ予定どおり進んだのがせめてもの幸いでした。

 心身の調子は割と良好なのですが、まだ以前のように余力が残る状態ではないですね。1日の仕事でくたくたになってしまいます。で、家に帰れば食事をするなら仕度に後片付け、洗濯(これは毎日ではないけど)、このページの更新が待ってますから、なかなか「ほっと一息」とはいきません。
 これから暫く修羅場が続きますから、作品制作に欠かせない週末の時間を睡眠で過ごしてしまいそうな気がします(汗)。もっと作品制作のペースを速めたいんですけどね・・・。特に連載ものは。
切なげな表情を見せられてこの歌を歌われれば、俺を含めて聞いた相手は大抵ノックアウトされそうな気がする。実際、会場の男性客は魂を抜かれたような感じになってる奴が多い。
 曲はもう一度同じフレーズを繰り返した後、大きな山場を迎える。一言歌詞が会場の空気に刻まれるたびに静かに、しかし激しく会場の興奮が増してくるのを感じる。二人のヴォーカルを傍で聞いていて、俺は身体が震えるのを感じる。その震えが指に伝わらないようにするのが精一杯だ。

 そして二人の声が消え、演奏が終わる。と同時に割れんばかりの拍手と歓声と二人への声援が沸き起こる。この曲をデュエットするという試みはズバリ的中して観客の心をがっしりと掴んだと言って良い。観客にとってはこれ以上ないクリスマスプレゼントになったんじゃないか?
 あまりの反響に二人も面食らったらしく、互いに顔を見合わせる。そしてようやく客席に向かって揃って一礼する。すると再び大きな声援が飛び交う。まさにアイドルのコンサートになってしまった。二人ともルックスの良さに加えて抜群の歌唱力もあれば、こうなっても仕方ないか。
 ここでマスターがステージに出てきて、潤子さんの前にあるマイクスタンドからマイクを取って客席に向かって言う。

「えー皆様。落ち着いて。落ち着いて下さい。」

 マスターが言うと、徐々にではあるが客席の興奮がようやく収束に向かう。何分本当に客がステージに上がってきそうな勢いだっただけに、俺も内心胸を撫で下ろす。

「いやー、今回のコンサートのために実験的に組んだペアなんですが、まさかこれ程の反響があるとは思いませんでした。これから日曜限定でリクエストのレパートリーに加えようかと思います。それでよろしいでしょうか?」

雨上がりの午後 第388回

written by Moonstone

 やがて曲はサビの部分に入る。二人の歌声にも熱が篭る。その切なげな詞が会場の雰囲気を更に盛り上げる。俺の胸に切なく響いて来て、同時に今まで晶子が見せた切なげな表情が思い出される。

2001/1/9

[ようやく通常行動に復帰・・・?]
 8日の昼過ぎに更新して、それから約半日後の今になってまた更新です(^^;)。今日の更新はこのコーナーだけかと安心していたら、Total Guidanceが一部実際の内容と食い違っていたり、メールにチェック漏れがあってCGを頂き損なっていて慌てて展示の準備をしたりと、存分に慌しい時間を過ごしました(爆)。自業自得といわれればそれまでなんですが。
 連載の方は「Secret of my heart」を歌う場面ですが、フュージョン系しか聞かない私が唯一この所謂「流行もの」の曲を歌わせたのは、少し前までTVの「名探偵コナン」のエンディングでこの曲を私が好きな毛利 蘭が歌っていて(声は勿論、倉木麻衣でしたが)、その切なさたっぷりの表情にノックアウトされたからです(爆)。この娘、性格も良いし一人にしとくの勿体無いよなぁ。怖いものが苦手ってところも良し。(^^)b 蘭のCGって何処かのサイトにないかなぁ〜。

「さて皆さん。このコンサートもいよいよ終幕を迎えつつあります。若くて楽器の違う二人を加えて、これまでより幅を広げた今回のコンサート。最後は井上さんと潤子が初めてデュエットに挑む『Secret of my heart』、そして4人全員で初めての披露となる『COME AND GO WITH ME』。この2曲を続けてお送りしましょう。」

 潤子さんが「指定席」のピアノを離れて、マスターが素早く用意したマイクスタンドの前に立つ。その瞬間おおっ、というどよめきが起こる。潤子さんと晶子のデュエット・・・。ファンにとっては感涙ものだろう。その脇にいる俺は恐らく目の片隅にも入っていないんだろうな。まあ、ヴォーカルがこの組み合わせじゃ太刀打ちできる筈がない。
 俺は二人がそれぞれ歌う体勢になった−晶子は両手をマイクに乗せて、潤子さんは左手だけマイクに乗せる−ことを確認して、フットスイッチを押す。安っぽい音色のリズム音が始まる。俺はそれに合わせてバッキングを始める。程なく軽いハミングが入る。これは潤子さんの声だ。マイクを通して聞く潤子さんの声は普段どおり上品に澄んでいる。

 そして二人のデュエットが始まる。同じソプラノボイスでも違う音色−敢えてこう言う−だから音の厚みが増す。しかし、潤子さんの声は晶子に勝るとも劣らぬほど良く通る。なるほど晶子がヴォーカルの座を奪われると警戒する筈だ。実際のところ潤子さんはピアノ専門だから警戒する必要はないんだが。
 客席の様子を伺ってみると、手拍子こそあるが、ものの見事にヴォーカルの二人に視線が集中しているのが分かる。特に男性客なんて、瞬きするのも惜しいような雰囲気を醸し出していたり、呆然と突っ立ったままの奴も居る。

雨上がりの午後 第387回

written by Moonstone

 ようやくコンサートも終盤に近付いてきた。晶子からマイクを譲られたマスターが前に出てくる。

2001/1/8

ご来場者80000人突破です!(歓喜)

 ・・・おお、万の位が変わったぞ(驚)。それもシャットダウンの期間を考えるとかなりのハイペース。これに奢らず、作品制作に力を入れなければ・・・。

[お休み最後の日]
 昨日今日と何時もと違う時間帯に更新しましたが、ネットに繋ぐ場所と時間がそうするしかない状況でして・・・(^^;)。で、この約半日後にはまた更新するんですけど(爆)。お休みから通常の生活に切り替えるのは休みの長短に関わらず結構難しいものですね。
 連休の最後なので存分に静養しておきたいところなのですが、何分やることが多い(汗)。年賀状の整理に寒中見舞いの用意(こっちへ戻ってくるのが遅過ぎた)、そして遅れに遅れたメールのお返事に(シャットダウン中だったからねぇ・・・)事実上1日2回のページ更新の準備。食事やその他の雑用は手早く片付け・・・られるかどうか不明(爆)。今日は早く寝たいんだけどなぁ・・・。
 そう言えば今日は成人の日。大人になった皆様はこの日獲得した選挙権を必ず使ってください。1票が積み重なることで政治が変えられるのですから。
 マスターがサックスから口を離すと拍手と歓声が沸く。それらに混じって安藤くーんという声援も聞こえて来る。潤子さんや晶子に比べれば人気度(?)は低いが、声援をもらえるとちょっと照れくさいがやっぱり嬉しい。
 俺はふぅ、と目立たないように溜息を吐いて次の曲の準備を始める。次はムードが一転して4人全員揃っての楽しいクリスマスソング『赤鼻のトナカイ』だ。潤子さんと晶子がが左脇からステージに上がって所定の位置につく。最初はヴォーカルが主体なので、マスターは少し後ろに下がった位置に居る。

 少しして潤子さんの軽快なピアノのイントロが始まる。この4小節分のイントロの間に晶子がマイクをスタンドから引き抜く。またステージを動き回りながら歌うつもりだな・・・。まあ、こういう感じの曲の場合、突っ立って歌うよりは動きながら歌う方が良い。
 直ぐに晶子のヴォーカルが入る。これまた英語だ。聞き取りやすいには違いないが、俺には何のことやら分からない。まあ、日本語と同じことを言ってるんだろうと勝手に思い込む。俺は今回、バッキングに専念しなきゃならない。
 一頻り晶子が歌い終わると、晶子が後ろに下がってマスターが前面に出て来てテナーサックスでメロディを演奏する。サックスが入ると不思議とジャズっぽく聞こえる。マスターが普段良く使うのはアルトサックスだが、テナーサックスは音域がやや低い分、渋い感じになる。抑揚のつけ方が上手いから余計にそう感じるのかもしれない。
 マスターのサックスが終わると、晶子が再び前面に出てきてサックスとユニゾンする。高音域と低音域の交わりが良い感じだ。潤子さんもノリの良さを感じたのか、バッキングが自然とジャズっぽくなる。こうした場面でも臨機応変に対応できるのが凄い。俺も負けじとジャズっぽく演奏する。
 人間と人間のぶつかり合い・・・コンサートをする魅力は何といってもそこにある。シーケンサは演奏データを正確に演奏するが、臨機応変に演奏のタイプを変えたりとかは出来ない。その点からも、このコンサートをやって良かったと思う。
 最後もジャズっぽくマスターのテナーサックスのフリーで締める。大きな拍手と歓声が客席から沸き起こる。街で流れている曲と違うタイプの『赤鼻のトナカイ』に新鮮さを感じたんだろう。

雨上がりの午後 第386回

written by Moonstone

 最後は俺とマスターのユニゾンで締めて、加えて俺が動物の鳴き声を模した音を出す。コンガはフェードアウトしていく。このエンディングをどうするか、結構苦心したものだ。原曲はサックスソロがフェードアウトしていくようになっていたからな。

2001/1/7

[新たな年の夜明け(もう遅い)]
 ご来場の皆様、1週間遅れですがあけましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛顧の程をよろしくお願いいたします(_ _)。

 年末年始は結構バタバタしてまして、落ち着いて作品制作が出来るようになったのは4日から。本当はPhoto Group 1も更新したかったんですが間に合わず、ちょっと寂しい出足となりました(^^;)。流石に3日であれもこれも更新、というわけにはいきませんね。心身の調子はかなり良好になってきたんですが、時間の短さと元来の制作の遅さには勝てません(爆)。
 今年は21世紀の始まり。文字どおり世紀を跨いだわけですが、昨年2000年だ、ミレニアムだと騒いで今度は新世紀の幕開け、ですか。普段何の疑問もなく元号を使っているのに、こういうときだけ西暦を持ち出して騒ぐのは変なものだと思うんですが・・・。マスコミや評論家諸氏が「ミレニアム」を「新世紀」に書き換えれば良いだけですから、そのほうが都合が良いんでしょうね。
 世の中には変えるべきもの、変えなければならないものもあれば、変えなくて良いもの、変えてはいけないものもあります。その見極めをマスコミや評論家に頼るのではなく、自分自身で出来るようにしていきたいものです。
 此処から暫くは俺の独壇場だ。割と細かいフレーズで、音域も広い。軽快なリズムに乗って細かい音は細かく、長い音はアーミングで揺れを出す。最初のあたりで戸惑っていた客席からも、リズムに合わせて手拍子が起こる。手拍子があると演奏もより楽しめる。客席からの反応はあるに越したことはない。ブーイングでもそれは演奏に対する不満であって、無関心とは違う。
 マスターのサックスが重なる。ギターとサックスが音を重ねることはたまにリクエストであっても、メロディで重なることは今までなかった筈だ。手拍子や自分の中で刻むリズムを頼りにサックスと不協和音を展開しないようにする。・・・今のところはOKだ。

 一時サックスが前面に出るがそれもつかの間、サックスとあわせたフレーズを展開してギターソロに繋げる。このフレーズも細かいフレーズよりアーミングの微妙な加減が要求される。フレットの位置を目で追うことは勿論、右手も弦を弾いたりアームを操作したりと忙しい。かなり難易度の高いフレーズで、練習でもかなり手を焼いた覚えがある。
 俺のソロが終わると次はマスターが前面に出る。原曲とは音色が違うがこれもどちらかというと細かさより音の長さを強調するようなフレーズだ。マスターはサックスそのものの音を出さずにエフェクタをかけてシンセっぽい音色を出す。フットスイッチが別のところにもあるらしいが、まさかサックスの経路にまで仕込んであったとは知らなかった。音合わせでも見せなったマスターの秘策か。

 そして客にとっては手拍子し辛いサックスとのユニゾンを済ますと、再び軽快なリズムに乗って俺がギターで動物の鳴き声を模した音を出す。アームの操作が忙しいが、良い感じの音が出ている。客席からも手拍子に混じって感嘆の声が聞こえて来る。この辺り、意外に好評のようだ。
 狼か何かの遠吠えのような音を出して普通のフレーズに繋げる。一度こなしたフレーズだが油断は禁物。軽快かつ丁寧な演奏でサックスとのユニゾンに繋げる。
 後はサックスが前面に出る。この曲、最後はサックスのソロにギターがゆったりしたフレーズを混ぜるようになっている。マスターのサックスの音が一段と映える。

雨上がりの午後 第385回

written by Moonstone

 イントロの動物の遠吠えのようなSEに、客の中から小さなどよめきが起こる。アーミングとエフェクトを組み合わせただけなんだが、これも初めて披露する曲だから、こういう注目を引くようなものがあると良い。

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