芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2000年10月31日更新 Updated on October 31th,2000

2000/10/29

ご来場者68000人突破です!(歓喜)

 ・・・直前に調べたら67000人を飛び越していたので驚いています。2週間更新を停止しても、来てくれる方は居るんですね。

[皆様、お久しぶりです(_ _)]
 病気療養を宣言してから早くも半月。今日は久しぶりに長時間ネットに繋いで定期更新と相成りました。療養前から用意していたものと、療養中にちょこちょこと作りこんだものをアップしました。
 この間にいただいた感想メール(というかメールそのもの)は1通、掲示板の書き込みも1件・・・。もう半ば諦めてますからもう良いですけど・・・。

 療養といっても家事の手間が減っただけで(これは大きい)、起床と就寝の時間は何時もと変わりません。昼間はぐったりゴロゴロしているか、PCの前にいるかどちらかです。これも今までの休日と大して変わりません。この間、ちょっと静物画などを描いたりしてみましたが、隠し部屋送りが妥当かな(^^;)。とりあえずスキャナで取り込まないと公開しようもないですが(色も手で塗った)。
 具合ですか?まあ、以前よりは随分ましになりました。まだ常時パワー全開というほどではありませんが、とりあえず何かしよう、という気持ちは芽生えるようになってきました。こんなことなら、もっと早く療養すべきでしたね。
「そういうわけじゃないけど、何て言うのかな・・・今まで心の中で張り詰めていた何かがふっと緩むって言うか・・・。そんな感じがするんだ。」
「私が入れた紅茶で祐司さんがそういう気分になれるなら、私も少しは紅茶の入れ方が上手くなったかな・・・。」

 最初の頃は匂いこそ良いが苦い飲み物と言う印象しかなかった紅茶。飲みなれたというのもあるが、こうして晶子が入れた紅茶は日に日に味がまろやかで、喉の通りが良くなっていっているような気がする。

「上手くなったと思うよ、俺は。」
「嬉しい・・・。祐司さんにそう言って貰えて。」
「どうして?」
「だって祐司さん、良いものは良い、悪いものは悪いってはっきり言い分けるタイプだから・・・。」

 俺ってそんなタイプなんだろうか?自分では分からないが・・・。確かに練習のときは問題点を見つけると即座に指摘して直すように指導するけど・・・。それも最初の頃は厳しいというより粗を見つけてそこを叩くというような感じだった。
 落ち着いたところで、これからの身の振り方を考える。今日は家に寄らずにそのまま晶子の家に着たからギターやアンプを持ってきていない。だから練習は出来ない。今から取りに帰るのは面倒だし、晶子にも二度手間を強いることになる。
 かと言ってコンサートまであと少しと迫った今、長時間練習できるこの日を逃すのはあまりにも勿体無い。晶子のヴォーカルだけチェックしても。自分と一緒にステージに立つのだから自分もギターを弾いていないと感覚が掴めない。
 それに・・・自分の気持ちもはっきりさせなければならない。近いうち、智一が万全の準備を背景に晶子にアタックしてくるだろう。コンサートに出ることが決まっているからまず断られると思うが、そのアタックが晶子の心に何らかの影響を与える可能性は否定できない。
 心の傾きなんて不変のものじゃないってことは、俺自身思い知ったことだ。そうした智一のアタックを受けていくうちに、晶子の心の傾きも変わってくるかもしれない。また逃すのか?ほんの少しの勇気が足りなかっただけで・・・。そんなわけにはいかない。絶対そんなの御免だ。ならば・・・。

雨上がりの午後 第339回

written by Moonstone

「使い古された言葉だけど・・・ほっとするよ。こうして晶子の紅茶を飲むと。」
「学校で辛いこととかあるんですか?」

2000/10/15

[明日から暫くお休みします]
 療養先からネットに接続する手段は整えましたが(多分間違いないと思う)、更新も通常どおりやっていたら療養にならないので、トップページの告知ウィンドウのとおり、明日から1ヶ月間シャットダウンとして、定期更新以外は更新をしないという方針にしました。
 当然このコーナーも2週間おきに更新されることになります。シャットダウン期間からして2回だけですね。今まで毎日更新が日課だっただけにちょっと寂しい気もしますが、場合が場合だけにご了承ください。

 それにしても、相変わらずやる気が出ないです。そういう病気なんだから仕方ないんですけど、定期更新が迫った今になっても作品を仕上げようという気にならず、ただ横になってぼんやりしたりしてます。
 療養で果たして何処まで良くなるのか・・・。それが一番気になるんですが、こうやっていちいち気にするから駄目なんでしょうね(^^;)。

それでは、次回定期更新日まで!(^^)/~~~

 今の俺と晶子の関係を象徴しているように思う。俺の方から何かしようとするとさり気なくかわされたり邪魔が入ったり、緊張感で身体が縛られて何も出来なかったり・・・。かと思えば一昨日の映画を見た後のように、思い切った行動も出来たりする。どう動けば良いのか、未だに分からない・・・。

 だが、分からないことを理由に何時までも曖昧なままであるわけにはいかない。智一は万全の体制を整えて宣戦布告してきたし、今の関係がそのまま続くという保証はどこにもない。所詮友達でしかなかった、となるかもしれない。そうなれば・・・それぞれの心のベクトルは別の方向を向いていくだろう。
 それが必ずしも悪い結果だというわけではない。前の優子のときに潤子さんに言われたが、縁がなかったと解釈することも出来る。だが、俺はそれで良いのか?と問われれば、絶対嫌だ、と答える以外ない。これが最後の巡り合いじゃないという可能性だって、何処にもないんだから・・・。

 あれこれ考えていると、ドアがノックされる。ノックするということは何か手に持っているか俺の様子を伺いに着たかどちらかだ。俺は敢えて返事をせずにドアを開ける。
 晶子は両手にトレイを持っていた。トレイには芳しい匂いを漂わせるティーポットと、二人分のティーカップが乗っている。

「何で分かったんですか?」
「今まで晶子がドアをノックするときは、大抵手に何か持ってるときだから。」
「分かってくれて嬉しいです・・・。紅茶飲みましょうよ。」

 晶子は柔らかい微笑を浮かべてリビングに入り、片付いたテーブルにティーカップを並べ、そこに均等に紅茶を注いでいく。注がれた紅茶から心安らぐ独特の匂いが鼻を擽る。この匂いは・・・ダージリンか?
 俺と晶子はティーカップを手にとって口に運ぶ。紅茶ならではの渋みと香りが俺に自然と安堵の溜息を吐かせる。

雨上がりの午後 第338回

written by Moonstone

 夕食は平穏無事に終わり、晶子は早速食器を纏めてキッチンの方へ向かった。
片付けくらい俺がするべきだろう、と思ったが、言うより早く晶子が行動したから言いようがなかった。

2000/10/14

ご来場者66000人突破です!(歓喜)

 ・・・多少ペースが速くなったように思いますが、何故なんでしょう?10/1の定期更新以来、このコーナー以外更新していないんですが。

[これからの教育に望むこと(その2)]
 何にしても見た目が第一と教えることです。ページのアクセス数にしてもテキストページよりイラストページの方が、そしてそのイラストが綺麗な方がより増えやすいのは明らかです。それはやはり「見た目」が影響していることの何よりの証明です。
 内面を見るにしても外見が冴えないと内面も大したことない、と思いがちでしょう?「中身が大切」ならリクルートスーツなんて必要ないでしょう?それが人間の本性なんですから、それをありのままに教えれば良いんです。所詮奇麗事を教えても何れ事実が露骨に示されるんですから、最初から無駄な期待を抱かせないことです。

「何で?」
「だって、私が寝込んだとき、看病してもらうのに料理が出来た方が良いでしょ?」

 そういうことか、と呆れるよりと妙に納得してしまう。確かに常に付き添って病状を観察して薬を飲ませたりするのも大切だが、料理が出来ることも大切だ。
 まともに食欲がないとき、いきなりコンビニの弁当やサンドイッチを差し出したり、飲み物だけ飲ませるのも何か違和感がある。俺が食べた晶子手作りのお粥・・・。うっすら効いた塩味に梅肉の旨み、そして心に染みるような温かさは今でも覚えている。手作りがなせる技だろうか?

「・・・そう・・・だな。」
「少しずつでもやってみたらどうですか?私だって、キャベツの千切りが出来るようになるまで何度も指切ったりしましたよ。」
「そうなのか?」
「ええ。それに千切りしたつもりが全然千切りになってなかったり・・・。お母さんに呆れられたことも珍しくないですよ。」

 バイトでは潤子さんと一緒にキッチンを切り盛りしたり、こうして美味い料理が作れる様子からは、そんな失敗を重ねたことは容易に信じ難い。だが、俺も今のレベルまでギターを弾きこなせるようになるまで、結構四苦八苦した覚えがある。上手さの裏には秘められたそれなりの努力があるってことか・・・。
 今まで家の調理器具は単なる置物か或いはガラクタ同然の存在だったが、これから少しずつ使う練習をしてみようか・・・。確かに晶子が寝込んだとき、今度は俺が看病する番だし、季節柄それが何時来てもおかしくない。コンサートが間近に迫った今は、極力そんなことにはなって欲しくはないが・・・。

雨上がりの午後 第337回

written by Moonstone

 晶子が意味ありげな表情で言う。俺はふと思ったことをただ言っただけなんだが・・・。

2000/10/13

[とうとうドクターストップ]
 昨日(お話してる段階では今日)の診断で、やはり自宅(実家)で長期間療養した方が良い、と言われ、どうにか仕事も一段落ついた私も一向に病状が回復しない現状を考えて、それを承諾しました。診断書は書いてもらったので、あと所定の手続きをすれば休暇は取れるのでそれは良しとします。
 で、問題となるのはこのページの更新について。診断で言われた療養期間は最低1ヶ月と長く、更新停止となると今までのシャットダウンよりずっと長くなります。どうにかしてネットに接続できるようにするか、思い切って療養期間中完全に更新を停止するか、考えなければなりません。
 療養ということを考えればネットからすっぱり離れるべきなのでしょうが、更新停止1ヶ月でもご来場者が数百増えるなんてことはありえないので、最低でも週1回くらい更新した方が良いでしょうね。果たしてどうしたものか・・・。
 晶子は空になった盆を小脇に抱えて俺の横を通り過ぎていく。随分忙しないといえばそうだが、その表情が何処か嬉しそうなので、俺まで良い気分になってくる。
 今まで座っていたベッド脇の席に再び腰を下ろして、晶子の料理の到着を待つ。間もなく、盆にこんがり焼けたローストチキンと白いご飯の乗った皿を乗せて晶子が部屋に入ってきた。そして料理の皿を手早く、そして整然と並べる。この辺りの配慮も晶子ならではだろう。
 晶子は俺の右横に腰を下ろす。あまり広くないテーブルにこれだけの料理が犇めき合っているから、隣に座るのは無理がある。・・・並んで食べたいという気持ちもなくはないが・・・。
 いただきます、の挨拶もそこそこに、早速食べ始める。味の方は・・・何時ものとおり、いや、何時も以上に格別だ。

「美味いな、これ。」

 思わずこの一言が料理を含んだ口から漏れる。晶子がぴくっと反応して俺を見る。嬉しさがじわじわと表情に染み出してくるのが分かる。

「嬉しいです・・・。作った甲斐がありました。」
「料理が出来る人って憧れるんだよな。俺自身、包丁一本まともに使えないから。」
「本を買ってそれを見ながら少し練習すれば、ある程度のものはできるようになりますよ。私だって、最初から出来たわけじゃないんですから。」
「俺も・・・多少は出来るようになった方が良いかもしれないな。」
「私も、その方が良いと思いますよ。」

雨上がりの午後 第336回

written by Moonstone

「あとロースとチキンと御飯持ってきますから、先に食べてても良いですよ。」
「いや、折角だから待ってるよ。」
「・・・じゃあ、急いで持ってきますね。」

2000/10/12

[突然、状況は変わるもので・・・]
 昨日の更新から本日の更新までにメールを計4通も戴いて、嬉しいと同時に驚いています。昨日の愚痴(それもダークモード全開)が効いた・・・んじゃないとは思いますが(そんなにリスナーが多いわけじゃないですし)、しっかりお返事しますので少しの間お待ちを。
 さて・・・こうして毎日お話しているわけですが、もしかすると、当分の間止めないといけないかもしれません。最終決定は今日なんですが・・・今の心身の不調を根本的に治療するには、もはや今の生活では不可能で、帰省して療養に専念するべきだという方向で周囲が(親含む)纏まっています。実家ではネットに繋げませんからね・・・。だとすると、治るまでの間更新は出来ませんから、このページは益々陰が薄くなってしまう・・・。そういう危機感が強いです。何も更新しなくても1日数百もカウンターが回って掲示板が勝手に賑わうようなページじゃないですからね(また言う(^^;))。
 でも、本当のところ、あれだけ邪険にされても諦めないストーカーばりのしつこさの源は何なんだろう?その秘密が・・・あのノートパソコンの中にあるのかもしれない。書いてる小説が私小説だと言ってたし・・・。
 視線が再び机の上に置かれたノートパソコンに注がれる。あの中に晶子の秘密があるかと思うと、どうしてもその中身を見たくなってしまう。他人の日記とかはどうしても読んでみたいと思うものだから、などと自分の衝動を正当化していたりする。
 だが、晶子のことだから、パスワードとか使ってそうだな・・・。それに如何にもこれ、というような分かりやすいファイル名にしているとは限らない。そうなるとドキュメント関係のファイルを一つ一つ探して、その中身を確認していくという原始的な手段しかないが、そんな悠長なことをしてたら幾らなんでも晶子に見つかってしまうだろう。
 そうなったら・・・どうなるか分からない。今まで続いていたこの曖昧で心地良い関係が一気に崩れ去るかもしれない、否、崩れてしまうだろう。それだけは・・・絶対嫌だ!

「祐司さん、ドア開けてもらえますか?」

 CD『FOURTH DIMENSION』が最後から2曲目の「Up Close」が流れる最中、ドアの向こうから晶子の声が聞こえてきた。多分、料理を両手に抱えているんだろう。

「分かった。今開ける。」

 俺は立ち上がってドアを開ける。エプロン姿の晶子が両手に持った盆に彩り鮮やかなサラダと縁の辺りがぐつぐつと煮えているグラタンを乗せて立っていた。
 晶子はありがとう、というと直ぐに俺の横をすり抜けて、サラダとグラタンをテーブルの上に置く。グラタンは出来て間もないから、先に小さな鍋敷きを置いて、そこに盆に乗せていた鍋つかみでグラタンの皿の両脇を持って素早く置く。流石に自炊してバイトでもキッチンを担当しているだけあって、動きは手早くて無駄がない。

雨上がりの午後 第335回

written by Moonstone

 あくまでも兄に似ているというのはきっかけを作るために持ち出した口実で、実際は俺に一目惚れした・・・なんてことはあるわけないよな。まさに自惚れだ。口に出して誰かに聞かれたら大笑いを食らうのは必至だ。

2000/10/11

[かなり自棄気味です]
 連載開始1周年でもお祝いメッセージなど無しですか・・・。ま、それほど期待してなかったですけど、これならわざわざ1周年だなんて言う必要なんてなかったですね。一人で騒いで労って・・・馬鹿みたいです。
 昨日は酷い目眩に加えて最近なかった胸の痛みが終始襲ってくる最悪の状況の中、遅れている仕事を懸命に進めていました。それで誰かが労う筈もなく、帰宅しても誰が待っているわけでもなく・・・。何も良いことはありません。
 このページの運営にしたって、何をしても無反応で感想は来れば御の字。別のページは何もせずともカウンタが増えるし掲示板も勝手に賑わうというのに・・・。一体何なんでしょう?理不尽ばかりがまかり通るなんて、ネットも実社会も全然変わりませんね。

「・・・知りたいですか?」
「そりゃあな。折角書いてるんだったら見てみたいってのもあるし。」
「人に見せられるようなものじゃないですよ・・・。半分日記みたいなものですから・・・。」
「?私小説ってやつ?」
「まあ、そんな感じですね。それが下手だから余計に恥ずかしくて・・・。」

 私小説という甘美な響きの言葉に加えて、文系学科に在籍する晶子の文章力をもってすると日記がどう変貌するのか、興味は尽きない。

「下手でも俺が書く文章よりはずっとましだと思うけどな。」
「やっぱり・・・見せられないですよ。まだ家計簿の方が良いです。」
「家計簿って、そんなの見せてもらってもまともな感想は言えないぞ。」
「遣り繰りを知ってもらうのも良いかな、とは思うんですけどね。」
「?」

 晶子の言葉に何か意味深なものを感じたところで、ドアの向こうからチンという軽やかな音が聞こえて来る。晶子が使っているといっていたオーブンが時間いっぱいになったことを告げる音だろう。
 晶子は即座に立ち上がり、機敏な動きでキッチンへ戻っていく。俺が声をかける間もないくらいだ。流石に普段、バイトで日が俺より浅いにも関わらず、キッチンに接客、そして演奏をてきぱきとこなせるだけのことはある、と感心さえしてしまう。
 料理も上手くて朗らかで、その上容姿も合格点・・・。本当にどうしてこんな「出来の良い」女が、この見た目の冴えない俺に執拗なまでに追い縋ったんだろう?兄に似ている、とか前に言ってたが、それが理由じゃないような気がする。

雨上がりの午後 第334回

written by Moonstone

 小説を書いているとなると、やっぱりその内容が気になる。晶子だと純文学か恋愛小説ってイメージがあるけど・・・どうなんだろう?晶子は視線を少しさ迷わせて、言いたそうな、逆に言いたくなさそうな複雑な表情で尋ねる。

2000/10/10

[今日で連載開始1周年です]
 昨年のこの日半ば唐突に始めた「雨上がりの午後」。途中何度かのシャットダウンを挟みましたが、それ以外は毎日更新を続けて今日、1周年を迎えることができました。毎日なんて続けられるのか、という不安はありましたし、それは今でもありますが、どうにか続けてこれたのは頑固な私と着実に増えるリスナー数(もう7000人超えてますしね)のお陰だと思います。
 300回以上続いてもなかなか進まない二人の関係に苛立ちを感じるかもしれませんが、ゆったりした世界で展開されるこの話ならではだとご理解ください。完結までにどのくらいかかるのか、私自身想像がつかなかったりします(爆)。

[私の現況について]
 トップから「現在、管理人の・・・」という表示が消えましたが、酷い不調であることには変わりありません。土日よりは多少ましですが・・・。ただ、戴いた感想メールのお返事が全て済んで、それら以外ここ数日メールが来ないからお返事が遅れるも何もない。だから表示を消した。それだけのことです。
 メールチェックはエヴァSSをアップしたとき以外する必要がないかもしれません(笑)。チェックの度に「メールはありません」は空しいですから。
 晶子は中に入ってドアを閉めると、俺の横に座る。晶子の顔を見ると、あのノートパソコンのことがどうしても聞きたいという衝動が内側から激しく襲って来る。こんなプライバシーに踏み込むようなこと、聞けるような間柄じゃないのに・・・。

「祐司さんって、月曜日の夕方から何してるんですか?」

 と思ったら、晶子の方から突っ込んだ質問が投げかけられる。少し頭が混乱したが、直ぐに平常に戻って少し考えてから答える。

「まあ・・・夕飯食べて、後はCD聞いてバイトで演奏する曲を探したり、アレンジしたり・・・。テレビは滅多に見ないな。」
「私とよく似てますね。」
「似てる?」
「夕飯作って食べたら、大体CD聞きながら本を読むかパソコンしてるんですよ。家計簿つけたりとか小説書いたりとか・・・。」

 実に呆気ない形でノートパソコンの「正体」が明らかになった。家計簿をつけていたのは予想どおりだが、意外というか驚きなのは小説を書いてるってことだ。そんな趣味があったとは・・・。初めて知った晶子の意外且つ高尚な一面に、俺は思わず感嘆の溜息を漏らす。

「へえ・・・。小説書いてるんだ。凄いなぁ。」
「別に凄くないですよ。本を読んでたら自分でも書いてみたいって思って書き始めたのがきっかけですし・・・。祐司さんのギターの方がずっと凄いですよ。」
「俺、国語はまるで駄目だったからな・・・。読書感想文なんて大嫌いだったし。」
「私もあれは嫌いでしたよ。本読んでそれでどう思うかって、その人の自由じゃないですか。なのに優等生的なものを求めてくるでしょ?あれが嫌で・・・。」
「で、どんな小説書いてるんだ?」

雨上がりの午後 第333回

written by Moonstone

 俺は暇を持て余していないか、と様子を見に来たってところか。俺は実際ノートパソコンのことが気になって暇を持て余すどころじゃなかったんだが。

2000/10/9

[・・・全然やる気なし・・・]
 本当は時間のあるこの時期に作品製作を一気に進めるべきなんでしょうが、出てくるのは溜息だけ。重い気分に押し込まれるように、一日の殆どの間、ベッドで転がってました。製作が滞ったままのCGIを作ろうにもそれについて考えるだけで気が重くなってきて・・・。
 気晴らしにと外出しても気晴らしにならず(直ぐ雨が降り始めたし)、結局昨日(お話中の段階では今日)も只「生きているだけ」の生活でした。この分だと連載の書き溜めも使い切ってしまうでしょうね・・・。別に、何処ぞのページのように、1、2ヶ月以上作品を更新しなくてもカウンターが数百も回るほどこのページは更新を期待されていませんから、明日にいきなり更新停止しても誰にとっても痛くも痒くもないんでしょうけど・・・。
 俺は、半ば無理矢理ノートパソコンから視線を逸らして適当に室内をさ迷わせる。だが、流れてくる音楽は殆ど耳に入らない。あのノートパソコンの中にどんな秘密があるのか、それが気になって気になって・・・。
 もし日記でもあれば、そこで晶子の本音が分かるかもしれない。だが、それで俺への気持ちが嘘偽りで固められた虚像だったと分かったら・・・俺はどうなってしまうか分からない。もう人間なんて二度と信じるものか、と固く塞ぎこんでしまうかもしれない。
 ・・・しかし・・・どうしてこう、俺は良い方向へ物事を考えられないんだろう?日々綴られてる俺への想いとか・・・。ま、そんな柄じゃないか。中学時分なんて暗いって女子に陰口叩かれてて、ギターを始めたのを小耳に挟んだら急に態度が変わったのを見て、何だこいつら、と思ったのがことの始まりかもしれない。
 そんなことを思っているとドアがノックされる。晶子か・・・。別に自分の家なんだからノックなんてしなくても良いと思うんだが、その辺の律儀なところが俺と違うところなんだよな。

「はい。」

 その律儀さに応えてきちんと応答すると、ドアが開いて晶子が顔を出す。様子を伺う、といった表情だ。

「どうしたんだ?」
「退屈じゃないです?」
「いや、CDいっぱいあるし・・・。それより、火から目離して良いのか?」
「今オーブン使ってるんで、ちょっと手が空いてるんです。それで・・・。」

雨上がりの午後 第332回

written by Moonstone

 だが、もし俺にとって衝撃的なものだったら・・・きっと覗き見たことを後悔するだろうし、もしかしたら晶子への印象が大きく変わるかもしれない。それなら最初から見ないほうが賢明だ。

2000/10/8

ご来場者65000人突破です(喜)

 ・・・本来ならもっと喜ぶべきなんでしょうけど、無気力状態でほぼ一日ぐったりしていた今の私では、素直に喜ぶことが出来ません。

[気力ゼロ、作品製作不能・・・]
 経験しないと分からないものっていうのは色々ありますが、私の無気力状態がどんなものか、想像できるでしょうか?作品製作どころではなく、外へ出ることも面倒で、機械的に体が動いて何かをしないと何も出来ない、食事も食べたいと思わない・・・。この日記も今は日課だから、という理由でキーボードを叩いているといった感じです。
 希少な感想メールの返事すらもなかなか書けず、ご迷惑をお掛けしております。完全復帰はまったく見えません。今思うことは只一つ、「何でも良いから楽になりたい」ということだけです。
 晶子はそう言いつつ早くもエプロンを着けて臨戦体勢に入っている。邪魔にならないようにと、俺はドアを開けてリビングに向かう。相変わらず綺麗に片付けられて、それでいて生活感のある部屋だ。俺の部屋もこれに少しは近づけられたら良いんだが・・・。
 CDのある場所は知っている。コンポがある棚の下の方に整然と並べられている。俺なんか最近聞いたCDが上に積まれていって地層みたいになっている。なるほど、縦に積むところを横に並べていけば良いのか・・・って、そういう問題でもないか。
 適当にCDを2、3枚物色して俺がマスターとペアを組んでコンサートで演奏する「Jungle Duncer」が入っている『FOURTH DIMENSION』から聞き始める。軽快なリズムの「Flip Out」が流れる中、俺はクッションの一つに腰掛けて部屋をぼんやりと見回す。晶子の部屋にはポスターとかが一切貼られていない。だから壁に見るようなものはカレンダーくらいしかない。

 ふと窓際の方を見ると、机が目に入る。こちらもノートパソコンと筆立てと蛍光灯が置かれているくらいのもので、俺の部屋のように楽譜やアレンジのメモやらが散乱した「作業机」じゃない。どちらかというと洒落たオフィスの机という印象だ。
 その中でノートパソコンが気になる。あの中に・・・何があるんだろう?日記とか家計簿とかつけてそうだな・・・。几帳面な晶子のことだから。そう思うと尚更ノートパソコンが気になってくる。あの中に何があるのか・・・。
 ちらっとダイニングの方を見る。ドアが閉じているから晶子の姿は見える筈もない。今は料理に勤しんでいることだろう。ならば・・・この隙に・・・。否、人の秘密を勝手に覗くなんて・・・。
 CDの演奏などもうお構いなしに、視界に映る画面の閉じられたノートパソコンの中身を見ようか見まいかで激しい葛藤が始まる。あの中に俺の知らない晶子の一面があるかもしれない・・・。それならそれを知りたいと熱烈に思う。

雨上がりの午後 第331回

written by Moonstone

「CDとか・・・聞いてて良いか?」
「良いですよ、勿論。気に入ったのあったら借りていっても良いですから。」

2000/10/7

[戦いの後、待っていたものは・・・]
 連日の長時間労働の甲斐あってというか、納期が迫っていた仕事は無事完成しました。しかし、その完成品を持っていた先で知った事実は・・・
・今は現場がまだ(私が今回作ったもの)を設置できる状況ではない。
・肝心の現場でのチェックは当然出来る筈もない。

 要するに、納期に間に合わなくても全然支障はなかったわけです。納期をそっちで指定しておきながら自分達の体勢が整ってないから待ってくれ、なんて、今週私がボロボロになりながら納期に間に合わせようと必死になったのは何だったのか?見事に徒労でしかなかったわけです。
 それを怒る間もなく、すぐさまその仕事の為にほったらかしになっていた別の仕事を開始。流石に今日は心身が限界に達していたので、昨日(木曜日)よりは早めに帰りました。それでもその後夕食を食べる気力もなく、暫くぐったりと横になってからこうして今お話しています。
 今日も連載は書き溜め分です。気力がゼロに等しいので・・・。今週末で多少なりとも回復すれば良いのですが・・・。心の疲れはどれだけ寝ても取れませんからね・・・。このまま消えてしまえれば楽になれるのに、と溜息混じりに思っています。

「良かった。祐司さんでもそう思うって。」
「何で?」
「私、本番でちゃんと歌えるか不安で、今日もCDに合わせて練習してたりしてたんですよ。」
「二人揃って同じか・・・。」

 俺と晶子は顔を見合わせて軽く笑いあう。こういうのって本当に友達みたいだよな・・・。こういう関係のままで居られるのも良い。けど、この関係を二人だけのものに留めておくには・・・やっぱり俺が一歩踏み出さないと駄目だろう。
 晶子が手袋を外してセキュリティを外してドアを開ける。俺はドアが閉まらないうちに晶子に続いて中に入る。管理人の中年の男性と目が合って会釈しあう。何度も足を運ぶうち、流石の俺も顔を覚えてしまった。
 この管理人は俺と晶子のことをただの友人とは思ってないだろうな・・・。最初の頃は別にして、今は足しげく彼女の元に通う男、と映っているんだろうか?やっぱり・・・。そう思われても仕方ないし、それでも良いと思う。既に周囲で既成事実は続々と出来上がっている。後は・・・結局俺次第なのか。
 井上がドアの鍵を開けて俺を先に中に入れる。既に部屋は暖房が行き届いている。台所には俺が絶対使わないような調理器具が色々と出ている。ラップをされた状態でタレに漬け置きされた肉も見える。随分と手の込んだメニューになりそうだ。

「私は料理を始めますから、祐司さんは向こうの部屋でくつろいでて下さい。」
「一人で料理させるのもなんだし、手伝えることがあれば手伝うけど?」
「あ、大丈夫です。何時もやってることですから。」

 そうか。晶子は俺と違って自炊してるんだったな・・・。料理といえばパンを焼くことと湯を沸かすことくらいしか知らない俺が手伝うといっても晶子の指示どおりに動くのが精一杯だ。勝手を知らないからそれすらも怪しい。そういう人間は大人しくしているのが賢明だろう。

雨上がりの午後 第330回

written by Moonstone

 そう言いながら苦笑いを浮かべる。日が押し迫るコンサートに多少不安があるのは事実だし、嘘は言ってないから表情も自然に出てくる。これなら何かある、と敏感な晶子に悟られることはないだろう。

2000/10/6

[いっそひと思いに楽にして・・・]
 1日で2日分の仕事量と時間で、先日にもまして食事すらもままならない日でした。現場でのチェックもあるし、次の仕事も差し迫ってるし・・・。これらが神の試練と言うなら、神とやらは余程イジメが好きな存在なのでしょうね。じゃあ、人を苛める人間は全員神に等しいわけですか。ははは・・・。
 そんなわけで、今日は(お話の途中で日付が変わったけど)は疲れ果てた心身をさっさとベッドに叩き込むつもりです。来週もこんな感じになることが分かってるし・・・。本日分の連載も書き溜め分です。結局予想どおりになったわけです。あと1日・・・果たして生きられるのか?
 本当に俺はどうすれば良いんだろう・・・。智一のことだ。何らかの方法で晶子の電話番号を探し当てて誘ってくるだろう。前みたいに妙な意地を張ったら・・・その時こそ本当にもう全てが終わりだ。今度は・・・絶対に止めなくちゃ。
 結局会話は何もないまま、晶子の済むマンションの前に辿り着いた。晶子が先に自転車を降り、俺は晶子の先導を受けて自転車置き場へ向かう。晶子が通学や買い物に使うというまだ新しい自転車の隣に、俺の使い古された自転車を並べておく。何気なしに密着できる自転車が少し羨ましく思う

「今日は腕によりを入れて作りますからね。」

 晶子は手を後ろで組んで少し前屈みになった姿勢で微笑みながら言う。本当に良い笑顔だ・・・。これが他の男のものに、智一のものになったときのことを考えると・・・否、考えたくない。

「・・・どうしたんですか?難しい顔して。」

 姿勢はそのままで晶子が表情を変えて尋ねてくる。不安にさせてはいけないし、何より爆弾を−勿論、智一の万全たる誘いのことだ−晒すわけにはいかない。俺は首を横に振って極力さり気なさを装う。

「いや、ちょっとコンサートのことを考えててさ・・・。」
「私よりコンサート慣れしてる祐司さんらしくないですね。」
「経験あるっていっても、今回のは今までのと勝手が違うからな・・・。」

雨上がりの午後 第329回

written by Moonstone

 晶子の家までまだ距離はある・・・。何か話をしようか?・・・今日、智一に宣戦布告をされたことを話すべきだろうか?でもそんなこと話して何になる?晶子に俺か智一かどちらかを選ばせるのか?智一に晶子の電話番号を教えなかったくせに、智一が晶子を豪華絢爛なもてなしをしようと目論んでいることをわざわざ伝えるようなもんじゃないか。

2000/10/5

[今日はほぼお休み状態・・・]
 現在、心身の状態が極めて良くない状況でして、PCの前に座っているだけでも苦痛に感じるくらい、落ち込みが酷いです。当日になって更新休み、というのはご来場者に失礼ですので、今、残り少ない気力を振り絞ってお話しています(連載は書き溜め分を使ってます)。
 今は何というか、ただ生きているだけ、という気分です。仕事は期限が迫っている中で重大な問題が発覚するし、その対策の準備でまた帰宅がずれ込むし・・・。何でも良いから、早く楽になりたいです・・・。
 自転車を半ば強引に引っ張り出し、自転車置き場を出るまでは俺が先導する形で歩いていく。晶子な俺の後を何も言わずについてくる。自転車置き場を出たら直ぐにでも後ろの荷台に座るつもりなんだろうか。まあ、俺もその覚悟というか予想というか、心構えは出来ているが。
 夕闇の気配漂い始めた外に出ると、自転車の後ろに重みがかかる。後ろを見ると、晶子が素早く横に座って急かすような、懇願するような目で俺を見る。晶子は目で訴えるのが本当に巧い。さっさと自転車に乗らなければならないような気になってくる。
 自転車に乗るや否や、早速俺の腰にコートの両腕が回り、背後に密着感と微かな弾力を感じる。二人乗りの準備は万端と言ったところか。

「この時期、二人乗りは寒いぞ。バイクじゃないからまだましだろうけど。」
「祐司さんの背中、温かいから大丈夫ですよ。」

 背後からそんな声が聞こえて来る。俺は小さく溜息を吐くと自転車をこぎ始める。徐々に加速していくにつれて冷気を切って生まれる寒風が強まってくる。手袋をしていても手の感覚が弱くなってくるくらいだ。この時期の冷気は半端じゃない。本当に骨身に染みるという表現がぴったりだ。
 寒風が強まるにつれて、俺の腰に回っている両腕に少し力が篭ってくる。それに併せて背後の密着感が増してくる。これが夏場だったら・・・と一瞬思うが、運転で生まれる風に他愛もない妄想は呆気なく吹き飛ばされる。

雨上がりの午後 第328回

written by Moonstone

 晶子は少し甘えるような感じで俺を急かす。俺もこんな寒風吹きつける中立ち話なんてしたくないから、さっさと自転車置き場の方へ向かう。晶子には後ろに乗るのを楽しみにしているのか、言わなくても後をついてくる。

2000/10/4

[これからの教育に望むこと(1)]
 これからお話する内容は、私のこれまでの人生経験や事実などを基にしています。よって、何処かの御前会議のような文部省検定済印的美辞麗句はありませんので、その辺はあしからず。

その1:真面目にすることを善とするな。

 真面目にやってきた結果が今の私の状況です。心身共にボロボロで投薬治療無しでは何時自分で首を括るか分かりません。先日全面和解となった川崎製鉄過労死訴訟でも、「真面目すぎたから」という理由で賠償額が減額されたことがあるんですから、真面目にするのは結局は損なんです。明らかに。
 真面目にやれ、と教え込むのは過労死しろ、と刷り込むのと等価です。これは言うなれば、間接的に過労死を教唆しているようなものです。人殺しを教えるとは何事か?!真面目奨励を捨て、適当や加減の仕方を教えるだけで、私のような状況になる人間は大幅に減少する筈です。それが出来ないということは、医者や製薬会社の票や献金の目減りが怖いからでしょう。
 電車のドアが開くと客が少ないせいか載る人間と降りる人間のタイミングがほぼ重なる。そんなにしてまで座りたいのか?まあ、自分も講義4コマ続いた日には座りたくもなるが・・・。
 ホームを歩き、改札の前に出たところで見覚えのある顔が目に入る。・・・晶子だ。俺に気付いたのか、嬉しそうに笑みを浮かべながら手袋に包まれた手を小さく振っている。しっかり着込んではいるが、着膨れと言うほどではない。
 晶子がこっちに向かって手を振るのを見て俺は勿論、周囲の男が自分のことか、というような反応を少し垣間見せる。それに少しムカッとした俺は足早に改札を抜けて晶子の元に歩み寄る。チラッと注意を見ると、明らかに落胆の色と羨望の視線を感じる。やっぱり晶子は良い意味で人目を引く容姿を持っているのは間違いない。これで今までよく「一人」で居られたものだ、と改めて思う。

「予想どおりでした。」

 晶子がその微笑を絶やさず、少し得意げに言う。そんな様子にも少しも嫌味がないのが晶子らしい。

「3コマ目が終わるのが3時前でしょ?だとすると、この時間の急行に乗ってくるかな、って思って待ってたんですよ。」
「待ってたって・・・そんなに前からか?」
「いいえ。10分くらい前ですよ。予想さえ出来ればそんなに慌てる必要もないですから。」

 本当に10分くらいだろうか?晶子のことだから少なくとも30分くらい前からこの場所でじっと改札口を見ながら俺が現れるのを待ってたのかもしれない。ちょっと心配交じりの疑いを向けてしまう。

「それより、早く家に行きましょうよ。」
「あ、ああ。そうだな。」

雨上がりの午後 第327回

written by Moonstone

 電車が減速を始め、俺が降りる液の名前を何度か反復するアナウンスが流れる。俺は鞄を持ち直して電車が完全に停止するより少し前に席を立つ。別にドアが開くまで座ってても十分間に合うんだが、電車通学をしていると自然とそうなってしまうのは何故だろう?

2000/10/3

ご来場者64000人突破です!(歓喜)

 ・・・って、何です?この急激な増え方は(汗)。昨日の更新後に確認したとき驚きましたよ(^^;)。エヴァSSの力はまだまだ健在ですね。こんな増え方はエヴァSSをアップしたときくらいしか見れませんから直ぐ分かります。

[とうとうダウン]
 先週、否、その前の週からずっと心身不良が顕著になっていたのですが、月曜の朝は本格的に駄目。食べることはおろか起き上がることもままならなかったので仕事を休みました。本当はあまり休むわけにはいかなかったのですが、身体が言うことを聞かないんじゃどうしようもありません。
 そんなわけで本日分は日記も連載も短め(連載は書き溜め分)。本日は通院日なので医者に処方箋を変えてもらうつもりです。
 改札を潜って電車を待つ間、俺の頭は晶子に何時どうやって自分の気持ちを伝えるか、その一点だけしかない。否、別に時間も場合も本来ならさほど深刻にならなくても良い。迎えにきてくれる今日でも良いし。コンサートの練習の合間でも良いだろう。唯一欠けているのは・・・俺の勇気だけだ。
 程なくホームに走りこんで来た電車に乗る。時間のせいか随分空席が目立つ。俺は空いている端の席に座ってあれこれと考え込む。出迎えてくれるであろう晶子の顔を思い浮かべながら・・・。

 ふと思う。俺に返事を告げることができないでいるのは、ひょっとしたら今の関係を一歩奥へ進めたくないという抵抗感なのかもしれない、と。この関係のままなら終わりになってもさほど傷つくことがない、というある種の保証があるせいもあるだろう。
 でも、返事をすると約束したのは他ならぬ俺だし、今の気持ちで返事をすれば当然関係は一歩奥へ進まざるを得ない・・・。今の関係が友達のままで居られないのは当たり前なんだ・・・。俺が女だったら、或いは晶子が男だったらと思うとそれにふと憧れてしまう。

 前に潤子さんは男と女の間に友情はあると思うと言った・・・。だけど、それは一部嘘だと思う。全部が全部嘘とは言えない。俺が潤子さんに抱いている感情は恋愛感情じゃないと分かってるし、そういうのも友情の範疇に入ると思う。
 電車の窓は時々加速と減速を繰り返しながら、家々の稜線と田園風景の混在した郊外ならではの風景を映していく。その稜線の何処かに自分とよく似た状況に居る人間が居るかもしれない。そしてそういう小説を書いてる奴も居るかも知れない・・・。居ても全然不思議じゃない。驚きはするだろうが。そう思うと、今自分が考えていることが他愛もないようにすら思える。事態は全然他愛もないことじゃないんだが、何となくそう思えてしまう。

雨上がりの午後 第326回

written by Moonstone

 俺と智一は正門を出たところで別れてそれぞれの帰途につく。駅への道程を歩く間、俺の心の中はざわめいたままだ・・・。智一のいきなりの宣戦布告、そして対する俺のあまりに脆弱な背景と曖昧な態度のままという現実を直視させられたこと・・・。このままじゃいけないことは分かってる・・・。だが、一歩がどうしても踏み出せないままだ・・・。

2000/10/2

[やっぱり何時もの閉じこもり日曜・・・]
 日曜、起きたら晴れる気配があったんですけど、もう今更なぁ、と思って出掛ける予定を取り止めました。ここで出掛ける気力が以前はあったんですけど・・・。今はやっぱりまだ駄目ですね。その分というのも何ですが、作品製作を進めました。出来るだけ連載は定期的に更新できるようにしていきたいというこれまでの反省点を踏まえてのことです。
 このページの作品の数はそれなりにある、と自負していますが、連載の更新が不定期というのは問題だと思うんです。自分が他のページを見るときでも同じように連載が不定期だと待ち遠しいと思うと同時に、どうしたんだ?と不安になるのもまた事実。ご来場者数を稼ぐ最短距離でもあるSide Story Group 1を中心に、安定した更新が出来るようにしていきたいです。

 まあ、それには何より身体を早く何とかしないといけないですね。今の医者に通うようになってはや3ヶ月・・・。早く直したいのは山々ですが焦って治るようなものでもないので(病気なんて何でもそうですが)、確実に治るまで無理はしたくないものです。仕事の方はお構いなしに無理させまくりですが(怒)。
 せめて、午前と午後で落差が激しいことと体力が格段に落ちたことくらい、どうにかならないものかと・・・。これ、結構しんどいんですよね〜。
 智一がにやりと笑う。・・・そこでようやく感づいたがもう遅い。鎌をかけられてたんだ。まあ、本来の目的もあるだろうが・・・。

「・・・で、何で、ま・・・否、井上の電話番号が必要なんだよ。」
「何でも何も、どうやって誘うんだよ。」
「・・・あ。」
「はあ〜あ。こんな鈍い男に何で晶子ちゃんは・・・。」

 智一が溜息混じりに首を横に振る。よせ。俺だって不思議に思うくらいなんだから。

「で、番号は?」

 智一がにじり寄ってくる。今まで晶子が俺にだけ教えてくれた電話番号・・・。それを教えたくないという気持ちの方が強い。・・・やっぱり、教えるわけにはいかない。

「悪いが・・・あれは・・・俺の電話番号と交換し合ったんだ。ま、否、井上の承諾無しに他人に教えるわけにはいかない。」
「おっと・・・。とうとう独占欲発揮か。」
「何とでも言え。」
「まあ良いや。学部に問い合わせるなり、伝を当たるなり、色々方法はあるからな。」
「・・・だったら最初からそうすりゃ良いじゃないか。」
「お前と晶子ちゃんがどの程度まで接近してるか、知りたくてな。」

 智一はこういう駆け引きや読みが巧い。その点で劣る俺は・・・やはり自分の立場をはっきりさせておかないと、本当に晶子の向いている方向を奪われかねない。それだけは・・・絶対嫌だ!

雨上がりの午後 第325回

written by Moonstone

「そんな声出すなよ。何事かと思ったぜ。」
「・・・そりゃ、こっちの台詞だ。何でだよ?」
「やっぱり電話番号まではやり取りしてたか。」

2000/10/1

[神無月、辺りを見れば緑色(笑)]
 雨に降られて一部見送りになったものの(ずぶ濡れになって行く気なくなったのもある)朝から出掛ける予定が目白押しで、昨日(金曜日)中途半端に寝ただけの私には辛いものがありました。
 その後ページ更新の準備に入ったわけですが、今回に限って作品そのものは前から準備できていたので珍しくも慌てふためくことはなく(笑)、やや中途半端な思いがあったトップの大幅な改装に踏み切りました。

 で、ご覧のとおり緑色の嵐(笑)。Master's Profileにあるとおり、私は緑色が好きなのでページの色を統一しようとなると必然的にこうなったと(笑)。茶褐色の背景があったこのコーナーも漏れなく改装の対象になってごらんのとおり。Mail Formにまで手を出したので流石に疲れましたね。それでも夢を見るために転寝するような眠り方しかできないのは嫌なんですが。
 まあ、今回の配色や配置の変更は気分的なものです。何だかんだ言いつつ無事2年目の運営も半分を過ぎましたし、緑が少なくなっていく(私にとっては辛い寒さというものもある)季節を控え、緑溢れる目に優しい(?)配色を考えてみました。
 どうあがいてもまともなイラストが描けない私が見た目をどうこう出来るといえば、このくらいのものです。ちなみに今後「紅葉だ〜」とばかりにド派手な配色に変更したりは(多分)しませんのでご安心を(笑)。
 確かに・・・そのとおりだ。俺の中に焦りが生まれる。今までは友達以上恋人未満で良かったかもしれない。実際、俺自身そんな関係に安穏としてきた感がある。だが・・・もう時間も余裕もない状況に追い込まれようとしている!

「ま、俺が不利なのは仕方ないにしても・・・恨みっこ無しだぜ、祐司。」
「・・・ああ。」

 俺は自分に言い聞かせるように言う。クリスマスコンサートはあるし、多分晶子は智一の申し出を断るだろう。だが、それに安住してはいられない。俺が態度をはっきりさせる、丁度良い機会だ。

 補講は何時もどおりの倦怠感と共に過ぎ行き、昼食を挟んで今日の分の補講は終了した。後は帰って迫るコンサートの練習だ。そっちの方もあまり余流を感じない。晶子よりはステージ慣れしているとはいえ、ライブハウスや学園祭の体育館とは広さも雰囲気も全然違うから、やっぱり日に日に増してくる緊張感は拭いきれない。
 それに加えて今朝の智一の「宣戦布告」だ。コンサートと時間的に重なるだろうから、事実上智一に「勝利」の可能性はないが、もう諦めたものかとばかり思っていた智一が最高の場所を用意して挑んでくるとは思わなかった。青天の霹靂とはまさにこのことだ。

「それでさ、お前に頼みがあるんだけど。」

 帰り道、智一が話を持ちかけてきた。・・・まさか、晶子をよこせ、なんていうんじゃないだろうな?以前ならまだしも、今は絶対認めん!

「・・・何だ?」
「晶子ちゃんの電話番号、知ってるだろ?教えてくれよ。」
「な、何だって?!」

 いきなりな申し出に、俺は素っ頓狂な声を出す。周囲にまばらに居た人間の視線が俺達に集中する。

雨上がりの午後 第324回

written by Moonstone

「!」
「態度がはっきりしていない相手と、万全の体制で自分を向かえる相手・・・。心理的には後者の方が有利だと思うぜ、少なくとも俺はな。」


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